2016年5月、新型プジョー3008(Peugeot 3008)の概要発表が行われました。
パリサロンでのお披露目を行って以降、欧州各国向けには今年の10月から順次市販を開始し、右ハンドルのイギリス向けは2017年1月からデリバリー開始、日本市場での発売時期は2017年中を予定しているようです。欧州でも大きな流行となっているクロスオーバーSUV市場に真っ向勝負を挑むため、新型3008は初代からのコンセプトをガラリと変えてきたところに、プジョーがこのモデルに賭ける意気込みをひしひしと感じます。
さらに、新型3008の発表から3週間後である6月16日には、最上級モデルである3008GTが追加発表されました。ただし、この3008GTの日本への正規輸入の有無や、発売時期は未定とのこと。そこで今回は、新型プジョー3008GTについて、ベースモデルである3008を交えながら徹底解説します。誰よりも早く日本へ並行輸入してみませんか?
この記事の目次
プジョー3008の歴史と特徴
初代3008は、2009年のジュネーブショーでデビュー。当時は、カテゴリの違うボディのいいとこ取りともいえる「クロスオーバー」ブームに欧州でも火がつき始めた時期で、3008は、ステーションワゴン、ミニバン、SUVなどの要素をひとつのボディに融合させたクロスオーバーモデルとして誕生しました。
これまで、ミニバンやSUVなどの多目的車の生産を他社からのOEM供給に頼っていたプジョーにとって、自社で開発と生産を行った初めてのモデルでもあり、ロードクリアランスを高めに取った「大きなハッチバック車」もしくは「5人乗りのミニバン」という、少し不思議な印象を受ける出で立ちから、まだまだ「手探り感」を感じるデザインのモデルでした。
プジョー 3008 プロモーションビデオ(約68秒)
SUVとして生まれ変わったエクステリア
2代目となった新型3008のエクステリアデザインは、誰が見てもひと目でクロスオーバーSUVとわかるプロポーションに生まれ変わりました。
基本的なメッキパーツの使い方などは、先代3008の後期モデルに準じた流れを継承していますが、プジョーの最新デザイン言語に則ったフロントマスクと、ライオンの爪痕をモチーフにした縦三本に光るLEDリアコンビネーションランプを配し、SUVらしくベルトラインも高めに設定されています。
サイドパネルに厚みを持たせ、前後フェンダーのふくよかさで力強さを出しつつも、クーペライクな小ぶりなキャビンとの組み合わせでスマートさも表現するのは、まさに現在のSUVのデザイントレンドに合致したもので、初代のややミニバン寄りだったエクステリアのイメージを払拭し、コンセプトの軌道修正に成功しています。
インテリアの未来を感じるi-Cockpit
先代3008のドライバーオリエンテッドなインパネデザインを継承しつつも、全体の質感を向上させ、さらに、鈍い輝きを放つサテンシルバーの加飾パーツを随所に配することで高級感を演出しています。もちろん、上下にフラットなグリップを持った小径ステアリングなど、プジョーの最新デザイントレンドが随所に反映されています。
インテリアにおける最大のハイライトは、第二世代の「i-Cockpit」と呼ばれる表示デバイスの採用です。クルマとの対話を深めることを目的としたこの装置は、ステアリングの奥に備わる「ヘッドアップ・インスツルメントパネル」や、12.3インチの全面液晶パネルを採用したメーターパネルなどで構成されます。特筆すべきメータパネルは、従来の計器の型から解き放たれ、ナビやオーディオなどの機能選択によって多種多様な表示に変化します。メカニカルな情報を担う計器類と、AVやナビなどの電子情報の切り替わりでは、アニメーションを伴った豊かなモーション表示がされ、未来感を体感するような演出がなされています。
センターコンソールに鎮座している8インチのタッチパネルディスプレイは、エアコンやオーディオ、ナビの操作がメインですが、メーターパネルを連携させることで運転中の視線移動を少なくし、使い勝手を向上させています。
パワーと燃費を両立したディーゼルエンジン
3008GTに用意されるエンジンは、プジョーの最上級セダン「508」にも搭載されるディーゼルエンジンの「2.0L BlueHDi 180 S&S」のみとなっています。181psの最高出力と400Nmもの最大トルクを誇る最新のディーゼルエンジンです。
現時点では、ガソリンエンジンを含めても3008シリーズにおける最高出力のエンジンを搭載しており、3008シリーズのトップグレードに位置する3008GTに相応しいものとなっています。
トランスミッションはアイシンAW製の6速AT(EAT6)との組み合わせのみが発表されています。このATは308以降、順次プジョーの既存モデルへの搭載が進められており、適切な変速スケジュールや、日本の道路事情とのマッチングの良さに定評があります。3008GTでもその実力を十分に発揮することでしょう。
燃費についての正式な発表はまだありませんが、同じエンジンを搭載する508SWを参考にすると、欧州複合モードでは21.7km/Lとなっており、ボディサイズを考えると3008GTでも十分な低燃費が見込めます。
なお、その他のグレードでは、3気筒ガソリンエンジンの搭載なども示唆されています。
あらゆる路面状況をサポートする走行デバイス
初代3008には、世界初のディーゼル&ハイブリッド車である「Hybrid4」システムを採用した、後輪を電動モーターによって駆動するAWD(4輪駆動)仕様が存在していました。ですが、現時点で新型3008にはAWD仕様のモデルは存在していません。
「SUVなのに4駆じゃないの?」と疑問に思われるかもしれませんが、欧州市場におけるライトなSUVはFFモデルが主流です。前後バンパーやドアの下端、ホイールアーチやサイドシルなどに、プロテクターの役割を持たせた無塗装の樹脂パネルを装着し、ロードクリアランスを大きめに取ったFFモデルがユーザーに充分に受け入れられているのは、VWポロやゴルフなどに用意される「CROSSシリーズ」が、人気モデルとして定着したことでも証明されています。
3008シリーズにAWD車はありませんが、SUVとしての「行動範囲の拡大」をサポートするために、路面状況に応じてトランクションコントロールの制御マップを切り替える「グリップコントロール」を採用しています。センターコンソールにあるダイヤルで「通常、雪、泥、砂、OFF」の5段階に切り替えることで、それぞれの路面状況に適したエンジンパワーの制御を行います。ちょっとした林道のような起伏のある砂利道や、交通のある雪道程度のラフロードなら、十分な走破性を確保しています。
総評:フランス車らしく個性的で特別なSUV
都会派のエレガントな高級感と、SUVとしてのアクティブな印象が重なる、特別な設えが施されたエクステリア。ステアリングを握ってエンジンを始動すれば、目の前に美しいモーショングラフィックスが浮かぶ、未来感あふれるインテリア。
思わず気持ちが高揚する…、そんな体験を与えてくれるクルマが、プジョーが送り出す特別なSUV、3008GTと言えるでしょう。
プジョー3008のライバルは?
3008GTが属する「CセグメントSUV」は、現在もっとも勢いのあるカテゴリーであり、多くのメーカーが魅力的なモデルを投入しています。そのため、新進気鋭から歴戦の猛者まで、さまざまなモデルが揃っています。3008GTに近いボディサイズで見てみると、欧州勢なら、アウディ Q3や BMW X1、日本車勢ならマツダ CX-5や、日本でも発売予定のトヨタ C-HRが有力なライバルとなるでしょう。
こうしたライトなSUVは日本車が北米市場で開拓したジャンルですが、欧州では従来のワイルドでタフなイメージのデザインから、都会でも映えるようなクールでスタイリッシュなモデルが主流になりつつあります。
こうしたトレンドをいち早く反映した日産ジュークを皮切りに、欧州勢もこれに追随しました。現在は マツダ CX-3や、トヨタが満を持して登場させるC-HRなど、SUVらしい塊感はキープしつつも、より大胆でインパクトのあるモデルが登場しています。市場規模がCセグメント全体に匹敵するほどの拡大を見せる今、まさに群雄割拠の時代と言えるでしょう。
3008シリーズが初代からコンセプトをガラリと変更し、よりSUV色を強くしたのにも大いに頷けます。
装備とオプション
エクステリアにおける3008GTの専用装備は、
- クローム・ウエストラインモールディング
- クローム・エグゾーストパイプ
- クローム・ドアミラーハウジング
- ブラックアウト・ルーフパネル
- 19インチ・アロイホイール
- ドアミラー内臓・LEDウエルカムランプ(ブルーライオンロゴ入り)
- 「GT」専用エンブレム(フロントフェンダー&リアテールゲート)
となっています。ノーマルの3008にクロームの加飾を追加し、インテリアのコントラストを高め、高級感を持たせているのが特徴です。
また、3008GTのみの専用オプションとして、「Coupe Franche」(クープ・フランシュ)と呼ばれるスペシャルな2トーンのボディカラーがオプション設定されています。日本語で「スパッと切る」という意味を持つこの2トーンカラーは、刃物でボディの後ろ1/3を切ったように斜めに直線的な色分けがされた斬新なカラーリングで、308GTiや208GTiなど、最上級スポーツモデルのみに設定されている特別なボディカラーです。
日本未販売 プジョー 3008GT を並行輸入した場合の乗り出し価格
プジョーの新型3008と新型3008GT のイギリス仕様右ハンドル車モデルは、まだ販売価格が発表されていません。ただ初代3008は上級モデルのアリュールに、1.6Lのディーゼルエンジンと6ATの組み合わせの場合、販売価格は24,685ポンドでした。新型でも価格帯が大きく変わらなかった場合、イギリスより並行輸入した場合の日本国内での乗り出し価格は、諸経費込で、430-530万円(2016年7月21日為替レート1ポンド141円にて計算)くらいになりそうです。下に、最新為替連動による日本国内での乗り出し価格目安を表示させていますので、ご参考にしてください。
また、新型3008の左ハンドル仕様や、初代3008の日本未導入仕様の新車・中古車の輸入も承ります。お気軽にお問い合わせください。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスしてください。
車両詳細画像ギャラリー
プジョー 3008GTをもっと知りたい方はこちら
・プジョー 英国 新型3008 オフィシャルサイト(Peugeot UK New 3008)
・プジョー 英国 新型3008 GTライン オフィシャルサイト(Peugeot UK New 3008 GT LINE)
・プジョー 英国 新型3008 GT オフィシャルサイト(Peugeot UK New 3008 GT)
・プジョー 英国 新型3008 カタログダウンロード(Peugeot UK New 3008 LITE BROCHUE)
※この記事の内容は2016年7月時点のものです。最新の情報が入り次第追記いたします。お気に入り登録をお願いします。
※本記事は2016年7月24日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。