日産 NV400は、日産が展開する商用バン”NV”シリーズのうち、ヨーロッパを中心に販売されているLCV(Light Comercial Vehicle)です。NV400の400は、車両総重量最大4トンを意味し、LCVとしては最大級のクラスとなりますが、ヨーロッパの商用車らしく高速巡航性能に優れ、また貨物車としての用途のみならず、多人数を乗せるミニバスとして使ったり、キャンピングカーのベースとして使ったりと、多様な発展性を持っていることが特徴です。
NV400は日産ブランドということもあり、LCVとしては日本でも知名度が高いモデルになりますが、今回はそんな日産 NV400について、車体バリエーションやエンジンのラインアップ、オプションに至るまで徹底解説します。あらゆる需要に対応するLCVを、イギリス仕様右ハンドルで並行輸入してみませんか?
この記事の目次
日産 NV400の特徴
日産 NV400の”NV”とは、Nissan Vanの略称です。日産は2010年代から世界中で商用車のモデル名を再編し、NVやNT(Nissan Track)に車両総重量の10分の1の数字を組み合わせたものを、自社開発車はもちろん、OEMモデルについても用いるようになりました。NV400はルノー マスター(Renault Master)のOEMで、ヨーロッパのLCVではもっとも大きいクラスに属します。これよりも大きな商用車は、キャブオーバーのトラックが主体となります。
NV400のベースとなるルノー マスターは、1980年に初代が登場、現行モデルは3代目となります。日産へのOEM供給は1997年に登場した2代目をベースに2002年からスタート、当時はインタースター(Interstar)を名乗りましたが、前述のとおり日産の商用車名再編に伴い、3代目マスターへのモデルチェンジを機に、新しくNV400を名乗るようになりました。他にもマスターはボクスホール|オペルにOEM供給されており、こちらはボクスホール|オペル モヴァノ(Vauxhall | Opel Movano)を名乗ります。
NV400は日産が日本で販売しているNV350 キャラバンよりも、車両総重量の点では若干上のクラスに属しますが、コンセプトは大きく異なります。日本のNV350が取り回しと過積載気味の積載を考慮して、キャブオーバーで後輪駆動のレイアウトを取るのに対して、NV400は長距離の高速巡航性を考慮して、ボンネットにエンジンを収め、需要に応じて横置きの前輪駆動と縦置きの後輪駆動を選択できるようになっています。このように、ひとつの設計で多様な需要に対応するという設計は、ヨーロッパのLCVならではの特徴です。
余談ですが、2代目のルノー マスターには、スウェーデンのオムニノーバ社が客室部にFRPの車体を架装したマルチライダーというノンステップのミニバスが存在しました。このモデルは当時の日産ディーゼルの販売会社を介し、日本へも正規輸入されています。マルチライダーは“赤バス”として最大70台を運用した大阪市をはじめ、日本の各都市で最長で10年以上に渡って運用されました。現在でも退役して払い下げられた個体が、送迎車や自家用車として活躍しています。
専用のフロントデザインを持つエクステリア
NV400のエクステリアは、短いボンネットとルーフ上端まで繋がるフロントスクリーンの傾斜、スクエアな車体後半の形状など、このクラスのLCVとして標準的なシルエットです。全体的なデザインテイストはルノーの雰囲気を強く感じさせるものですが、近年日産が採用している逆台形のフロントグリルが備わるなど、独自の変更が加えられています。この変更に伴い、ボンネット、フロントバンパー、ヘッドライト、そしてフロントフェンダー部のボディパネルがNV400専用のものに変更されています。それ以外の部分はマスターと基本的に共通です。
NV400には、大きく分けてバンタイプと、トラックタイプの2つのボディバリエーションが用意されています。
バンタイプでは、1列シートのパネルバン、2列シートのクルーバン、3列シートのクルーバスの3種類が、架装用仕様では1列シートのシングルキャブと、2列シートのダブルキャブの2種類が用意され、それぞれで、複数のボディサイズが選べます。代表的なパネルバンを例にとると、全長は約5m、5.55m、6.2m、全高は約2.3m、2.5m、2.8mの3種類から選ぶことになります。NV400の全幅は2mを上回るので、全長5m、全高2.3mのもっとも小さなボディサイズでも、相応の迫力を感じられる大きさとなります。
パネルバン/クルーバン/クルーバスの後席ドアは、助手席側(右ハンドル仕様の場合は左側)にしか用意されませんが、クルーバス以外では反対側のスライドドアをオプションで追加できます。テールゲートには、左右の大きさが同一の観音開きドアが採用されています。進行方向左側のドアにナンバープレートやエンブレムが取り付けられていますが、それらがない右側のドアはリアガラスの天地高が高く取られており、デザイン上のアクセントとなっています。
トラックタイプは、架装を前提にしたシャシーむき出しの仕様や、底床プラットフォームのみの仕様から、有蓋の荷台、無蓋の荷台、ダンプカー仕様など、さまざまな仕様が用意されています。
そのほか、マイクロバス・路線バスとしての使用を前提にしたトラバス(TRABUS)仕様も用意されています。こちらは内装仕様やバリアフリー対応などが必要に応じて決定できるようになっていますが、ボディサイズ以外はカタログに設定されていません。購入をご検討の際は、別途ご相談ください。
使いやすさを突き詰めたインテリア
インテリアは曲線基調で、左ハンドルと右ハンドルいずれの仕様でも、共通の運転環境が確保できるよう、左右対称のデザインが行われています。空調の操作パネルなどはルノーの乗用車と共通の部品が多く見られますが、ひとまわり小型のルノー トラフィックより、どちらかといえば日産 NV350 キャラバンに似た雰囲気を感じさせます。シフトレバーはインパネシフトですが、レバーは少しドライバー側に伸びた台座に取り付けられており、操作性と、前後左右のウォークスルーのしやすさを両立しています。
助手席は1人掛けの座席か、2人掛けのベンチシートとなります。中央席も十分なサイズが確保されているので、ベンチシートを選んだ場合も窮屈な思いをすることはありません。また、助手席エアバッグは中央席もフォローできるくらいに大きく開くなど、安全性も考慮されています。中央席背もたれを倒すと、テーブルとして利用することが可能です。
パネルバンの場合は、前席直後に、荷物の飛び出しを防ぐ金属製のバルクヘッドが備わります。バルクヘッドは安全性の上では重要な装備で、空調の面でも有利ですが、一方でウォークスルーができない、カスタムの支障になるなどの問題もあり、使い勝手もトラックそのものになってしまいます。そこでNV400ではドライバーの頭の部分だけを保護する大きさの、ボルトでとめられた金網状のバルクヘッドをオプションで選べます。事実上のトラックとして購入される場合を除けば、こちらの選択をおすすめします。
クルーバンの場合は、4人掛けの2列目シートが装備され、その直後にバルクヘッドが備わります。スライドドアはイギリス仕様の場合、左側にしか備わりませんが、オプションで右側にも装備することが可能です。クルーバンの場合、バルクヘッドが必ず付属するのはルノー トラフィックと同様です。
クルーバスの場合は、脱着可能な3人掛けの2列目ならびに3列目のシートが装備されます。レッグルームは65cm程度が確保され、オプション扱いのエアコンを装備した場合、天井には各席に対して独立した吹き出し口も追加されます。なお、クルーバスは小型バスという扱いであり、パーソナルユースよりは業務用途を主眼に置いています。したがって、内装の雰囲気やデザインは基本的にパネルバンやクルーバンに準じます。
エンジンをM9Tに絞り込んだパワートレイン
エンジンはルノー製のM9T型2.3Lターボディーゼルのみが設定されています。ルノーのM型エンジンは日産と共同開発されたもので、日産側ではMRエンジンとしてラインアップされていますが、M9Tは3代目ルノー マスターと同時に登場し、2016年現在も、マスターと NV400、ボクスオール|オペル モヴァノにのみ設定されています。排気量が2.0LのM9R型エンジンは、日本でも2代目エクストレイルのディーゼル仕様としてラインアップされていたことが知られていますが、M9TはM9Rに比べるとロングストローク仕様となっています。製造は長い歴史を持つ、フランスはルノーのクレオン(Cléon)工場で行われています。
レイアウトは耐荷重に合わせて、横置きエンジンの前輪駆動と、縦置きエンジンの後輪駆動、そして4WDの3つから選択できるようになっていますが、右ハンドルイギリス仕様には4WDの設定はありません。ヨーロッパのLCVは、シトロエン Hバンに代表されるように、FFとすることで床を低くし、日本車に比べて広い荷室を確保することが一般に知られていますが、特に全長6mを超えると前輪の荷重が不足がちになるので、このクラスになると後輪駆動の需要も存在します。そのためNV400では、駆動輪を需要に応じて選べるようになっているのです。
後輪駆動については最大積載量を重視した仕様に設定されています。例えばリアにダブルタイヤを組み合わせた全長6.2mのパネルバンで後輪駆動を選ぶと、同一ボディの前輪駆動と比べて約700kg増しとなる2.2トンの積載に対応しています。また後輪駆動の方が小回りも効きます。ただし、空荷だったり積載量が少なかったりする場合は、走行安定性を逆に損ねる場合があるので注意が必要です。またドライブシャフトなどの存在により、床も約10cm程度高くなります。
エンジンの出力は110PS、125PS、135PS、150PS、165PSが用意されています。基本はシングルターボですが、135PSと165PSの2種類はツインターボでアイドリングストップの設定もあり、後輪駆動との組み合わせはツインターボエンジンに限られます。変速機は6MTを基本として、前輪駆動ではルノー トラフィックと共通のルノー内製のPF6が、後輪駆動仕様ではZF製のZF6(ルノー内呼称)が採用されています。また、前輪駆動150PS仕様では全長5m仕様(L1)を除いて、ヴァレオ(Valeo)製の6速セミATであるPA6が採用されています。NV400では特に呼称はありませんが、ルノー マスターではクイックシフト6(QuickShit6)と呼ばれるものに相当します。
なお、NV400はオプションでエンジン出力の外部取り出しに対応しています。これはトラックにクレーンを搭載する場合や、1台積みのキャリアカーでキャリアの昇降を行う場合の動力に用いる場合を想定しています。
最大2.2トンの積荷に耐える足回り
NV400のサスペンションはルノー マスターのものと同一で、フロントにはマクファーソン・ストラット、リアにはリーフリジッドが採用されています。リアサスペンションは、1クラス下のルノー マスターがトーションビームを採用しているのに対して、より大重量の積載物の搭載を視野に入れていることを示しています。またリーフスプリングは、前輪駆動では1枚ですが、後輪駆動では仕様によって2枚から3枚に増やされています。
足回り関連では、後輪駆動で選べるリアデフロックがユニークなオプションとして設定されています。一般にデフロックは、フルタイム4WDでドライブシャフト軸にあるセンターデフの機能を一時的に止めるために装備され、前後輪に均等に動力を振り分けることを目的としていますが、NV400のデフロックは後輪の左右の駆動力を均等にするためのもので、ロック率100%で手動で動かすLSDとして振る舞います。これは重量物を載せた状態で、片輪が空転して発進不能になった場合の脱出手段として用意されています。
また、後輪駆動の一部仕様では、リアダブルタイヤが設定されています。これはリアのトレッド幅を狭めて、標準のタイヤの内側に、もう1本のタイヤを追加するという構成です。リアダブルタイヤは大荷重に耐えられると同時に、走行中に後輪がバーストした際に横転を防ぐなど安全面にも寄与します。いっぽうで、雪道では轍に進路を乱されやすくなるなどの欠点もあるので、必要に応じての選択をおすすめします。またバンボディの場合、ダブルタイヤではホイールハウス間の荷室の幅が30cmほど狭くなります。
なお、後輪駆動の場合、仕様によりますが、同一ボディの前輪駆動と比べて2.7〜5cmほど全高が高くなります。
動力性能と経済性
日産 NV400の加速性能や最高速度について、日産英国はウェブページに掲載していません。基本的に同一仕様のルノー マスターを参考にすると、パネルバンの場合、最高速度と100km/hまでの加速性能は、125PS仕様で143km/hと15秒、150PS仕様で149km/hと12.5秒、160PS仕様で160km/hと12秒となります。いずれも空荷の状態の数値で、またルーフの高さなど車体形状によっては空気抵抗が変わり、最高速度が変動するので、参考値程度として捉えてください。基本的には、日本の高速道路で十分に先を急げる動力性能を持っていますが、商用車の一般論として、特に大荷重対応仕様の場合は、空荷の状態での高速走行で安定性を欠く場合があります。必要に応じた耐荷重仕様を選ぶことが大切です。
燃費は仕様によりますが、欧州複合モードで約11〜15km/Lとなります。日産 NV350 キャラバンのディーゼルがJC08モードで12.2km/Lであることを考えると、これは優秀な数値です。ただし大型の商用車はタイヤが高額になるケースがあります。タイヤの選択も、対応する耐荷重とセットになるので、仕様を選ばれる場合はランニングコストについても十分に吟味されることをおすすめします。
まとめ:こだわった仕様に仕上げたい1台
上記特徴からも伺えるように、NV400はあらゆる需要に対応できるように設計、開発されています。その上で、駆動方式をはじめ、それぞれの用途に応じて作り分けることで、完成した個体を個々の現場の需要に最適化しており、その時点での汎用性はあまり重視されていません。これは、例えばやや小さなLCVである、ルノー トラフィックやフォルクスワーゲン トランスポーター(T6)、トヨタ プロエースなどが、汎用性の高い車体で1台で色々な用途に使うことができるのとは対称的です。
したがってNV400を購入する場合は、何のために使うかという観点が非常に大切になります。もしも大は小を兼ねるという発想でNV400を購入すると、やや持て余してしまうかもしれません。いっぽうでバイクなどのトランポとしたり、送迎車として使ったり、また本格的なキャンピングカーを仕立てたりというように、あらかじめ用途を見極めた上でNV400を購入・カスタムすれば、その余裕のあるボディサイズを存分に活用することができるのではないでしょうか。
日産 NV400の装備とオプション
NV400にはEグレードとSEグレードという、2つのグレードが設定されています。SEグレードが基本仕様という位置づけで、廉価版であるEグレードは車体仕様によっては設定されていません。
SEグレードでは、運転席・助手席(2人分)のエアバッグとサイドエアバッグ、横滑り防止装置(ESP)などの安全装備が装備されています。特にサイドエアバッグや横滑り防止装置は、日本の商用車では省略されている装備なので、NV400を選ぶ大きな理由となるでしょう。また、クルーズコントロールは、長距離でのドライブの疲労度を軽減してくれるはずです。
対してEグレードでは助手席側のエアバッグが省略され、クルーズコントロールも非装備となります。標準で105Lの燃料タンクも80Lに減らされ、基本的には限られた環境で使われることを前提にしたグレードとなっています。特殊な用途ではない限りは、SEグレードをおすすめします。
オプションとして外せない装備としてはエアコンがあります。近年の欧州車としては珍しく、NV400はSEグレードでもエアコンが装備されていません。日本で乗る上では必須の装備となるでしょう。注目のオプションとしては、純正のトウバーがあります。純正トウバーを装備した場合、トレーラーの蛇行(スネーキング)などを防ぐように、エンジンの制御が入るようになっているので、牽引の予定がある方には最初からオプションとして装備されることをおすすめします。
他にも商用車らしく多くの細かい装備仕様があるので、オプションについても発注時に必要に応じて取捨選択することが原則となります。
NV400のスタビリティの高さのプロモーションビデオ(約37秒)
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日産 NV400のライバルは?
日産 NV400のライバルとしては、代表的なものとして、フィアット デュカト、メルセデス・ベンツ スプリンター、フォード トランジットなどが挙げられます。またユニークなものとしては、イヴェコ デイリーなどもあります。ほかにも兄弟車であるルノー マスターやボクスホール|オペル モヴァノの存在も気になります。
フィアット デュカトとその兄弟車
フィアット デュカトは、フィアットとグループPSAの合弁事業であるセヴェルにより開発されたモデルで、イタリアのアテッサにある「Sevel Sud」で製造されています。現行モデルは2007年に登場、2014年には大規模なフェイスリフトを実施しました。またヨーロッパでは兄弟車として、PSAからプジョー ボクサーとシトロエン ジャンパー/リレーとして発売されているほか、メキシコではプジョー マネージャー、北米ではラム プロマスターとして発売されています。
デュカトの特徴としては、価格が安い割にエンジンの性能が高いことが挙げられ、商用のみならず、キャンピングカーのベース車としても、もっとも人気があるモデルです。ヨーロッパ市場ではフィアット、フォード、イヴェコの3社の直4ターボディーゼルエンジンを選択できますが、特にイヴェコ製の3.0Lのエンジンは、最高出力177PS、トルクは400Nmに達し、その動力性能の高さはYouTubeにドライバーがスピードメーターを映した動画が多く貼られるほどです。
一方でデュカトの駆動方式は前輪駆動を基本としており、全長6mを超えるモデルでは駆動輪の荷重不足が指摘されることがありました。この欠点に対しては、一部の仕様に4輪駆動を設定することで対応しています。
メルセデス・ベンツ スプリンターとその兄弟車
メルセデス・ベンツ スプリンターは、1995年からT1に代わってラインアップされています。T1は日本にも正規輸入され、初期の高規格救急車としても導入されていたので、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。また、スプリンターについても、初代はトヨタの小型セダンとの商標の問題からT1Nの名前で正規輸入されていましたが、2006年に登場した2代目は正規輸入が行われていません。
スプリンターのエンジンは、直4に加え、190PS/440Nmを発揮するV6ターボディーゼルエンジンが設定されています。後輪駆動と合わせて高性能なLCVとして位置づけられていますが、価格も相応に高価です。そのため、以前はキャンピングカーのベース車としても好まれていましたが、近年はデュカトにシェアを奪われています。
スプリンターの兄弟車としては、フォルクスワーゲンにOEM供給されて販売されているクラフター(LT)、またフォルクスワーゲングループのMANのTGEがあります。
フォード トランジット
フォード トランジットは、デュカトやスプリンターなどの超高速マシンという雰囲気から比べると、動力性能的には、ややおとなしいモデルです(とはいっても、日本の道路事情ならばストレスない走りを楽しめる水準です)。前輪、後輪、4輪の各駆動方式が選択できるなど、NV400と近いコンセプトを持ち、質実剛健とした雰囲気や、乗用車に近い雰囲気のインテリア構成などでも支持を集めています。兄弟車は存在せず、単一ブランド販売ゆえのわかりやすさも魅力です。
イヴェコ デイリー
イヴェコ デイリーはイタリアのイヴェコ社が唯一製造販売しているLCVで、イヴェコの製品としてはもっとも小さなモデルです。日本でのイヴェコの知名度は低いのですが、かつてハシゴ消防車にイヴェコ製のものが採用されたことがありました。ほかにもイヴェコ LMVという軽装甲車がナショナルジオグラフィックのテレビ番組『世界の巨大工場』で紹介されたことや、トラック運転シミュレーターの『Euro Track Simulator』を通して知られた方もいるかもしれません。
デイリーのエンジンはフィアット製ないしイヴェコ製で、スペック的にはデュカトに似ていますが、こちらは後輪駆動を採用しています。また特筆すべき点としてZF製の8速トルクコンバーター式ATであるZF8HPの設定があります。
ルノー マスターやトラフィック
ルノー マスターとボクスホール|オペル モヴァノは、NV400とほとんど仕様差が無いと考えて良いでしょう。乗用車の場合、たとえばマツダ ロードスターとフィアット 124 スパイダーの例のように、メーカーによって味付けを大きく変えることは多いのですが、いかんせん商用車は確実かつ安全に荷物を運ぶことが第一なので、メーカーによって乗り味が大きく異なるということはありません。欧州では販売網などが問題になりますが、日本で乗られるなら好みで選んでも良いでしょう。
もしもNV400を実際に購入する場合は、ルノー トラフィックもライバルになるかもしれません。取り回しの良さではトラフィックに軍配が上がりますが、耐荷重はもちろん、ハイルーフ仕様のフィッティングの良さにもNV400に軍配が上がります。(余談ですが、日産はルノー トラフィックのOEMであるNV300を2016年中に発売する予定です。トラフィックの大きさの方が良いけれども日産ブランドは譲れないという方は、NV300の販売開始を待たれても良いかもしれません)
NV400のベストバイと選び方は?
NV400をはじめヨーロッパのLCVは、用途に応じて仕様を細かく選び、自分だけの1台を作るような選び方が基本です。そのため、ベストバイを絞り込むのは難しい部分があります。
例えば、日本で色々な架装を行い、キャンピングカーや水回りを備えたトランポとして8ナンバー登録するためのベース車として選ぶ場合は、前輪駆動のパネルバンで、全長5.55m(L2)、全高2.5m(H2)の仕様を基準とすると考えやすいので、これをまずはベストバイモデルとしてご提案します。この仕様は室内高が1.9m弱確保されますので、8ナンバー登録が可能なのはもちろん、室内で大人が十分に立って過ごすことも可能です。
この仕様を基準として、さらに広大なスペースが必要だったり、床を二重にして断熱層を確保するならば全長6.2m(L3)や6.85m(L4)、全高2.7m(H3)を選べば良いですし、逆に大き過ぎるならば全長5.05m(L1)、全高2.3m(H1)を検討してみても良いかもしれません。
一方、大きく手を加えずに最初から4人以上で使うことが見込まれたり、ある程度の汎用性を確保しておきたいならば、クルーバスがおすすめです。クルーバスは8〜9人乗りとなり、3ナンバーの取得が可能です。7名が乗車できるクルーバンもありますが、バルクヘッドで荷室との間が仕切られていたり、2列目の座席が4人乗りとなったりするので、こちらは用途に応じて指名買いするべき仕様です。
エンジンは2ペダルが必要ならば150PSのシングルターボ、動力性能優先ならば165PSのツインターボをおすすめします。
日産 NV400のプロモーションビデオ(約1分34秒)
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注目の並行輸入、日産 NV400の日本国内での乗り出し価格は?
NV400のイギリスでの販売価格は仕様によって大きく変動しますが、架装などを行わずに日本での3ナンバー登録が可能なクルーバスの全長5.55m、全高2.5m(L2H2)で、2ペダルを選択し、またオプションのフロント・リアのデュアルエアコンなどが含まれるプレミアムコンフォートパックで、35,721ポンドです。右ハンドル仕様を並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
なお、エアコンをフロントのみとした場合は2,100ポンド、トランスミッションを3ペダルMTとした場合は1,400ポンドほど安くなります。別途お見積りしますので、お気軽にお問い合わせください。
またNV400のパネルバンの価格は、L1H1で20,135ポンドから設定されています。クルーバスに比べて3割程度安くなりますが、基本的に1ナンバー登録となります。8ナンバー登録のためにビルダーなどに持ち込んで架装などを行う場合は、諸経費が変わります。別途ご相談ください。
NV400は日本への導入の見込みはないので、入手するには並行輸入が現実的な方法です。ご要望に応じて左ハンドル仕様の並行輸入も可能です。
既に生産終了、あるいは新型・後継モデルが発表済のモデルです。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。ご対応ができない場合もございます。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスしてください。
日産 NV400の中古車情報
日産 NV400の現地中古車をお探しすることも可能です。走行距離が少ない高年式中古車(新古車)が出回ってますのでまずは予算と合わせてご相談ください。
スペック表
日産 NV400のスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | 日産 NV400 クルーバス / Nissan NV400 Crew Bus |
サンプルグレード | L2H2 Premium comfort pack 6 Semi-Auto |
英国販売価格 | £35,721 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 左 |
ドア数 | 4 |
カラー | アバランチェホワイト(標準) ブレイズ(標準) タンジェリン(標準) シグナルブルー(標準) インクブルー(標準) シトラスイエロー(標準) デルタブルー(OP/MTL) シルバー(OP/MTL) ブルーグレイ(OP/MTL) パールブラック(OP/MTL) ※OP:有料オプション(£420) ※MTL:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 5,548 × 2,070 × 2,499 mm |
ホイールベース | 3,682 mm |
トレッド(前/後) | 1,750mm / 1,750mm |
車両重量 | 2,159kg |
乗車定員 | 9名 |
トランスミッション | 6速セミAT(シングルクラッチトランスミッション) |
エンジンタイプ | 直列4気筒ディーゼルターボ |
総排気量/内径x行程 | 2,298cc/85.0mm×101.3mm |
圧縮比 | 16.1 |
最高出力 | 110kW(150PS)/3,500rpm |
最大トルク | 350Nm/1,500-2,750rpm |
燃料タンク容量 | 105L |
燃費 | 約15.0km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 15インチホイール |
最高速度 | 149km/h |
0-100km/h加速 | 12.5秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
日産 NV400をもっと知りたい方はこちら
・日産 英国 NV400のオフィシャルサイト(Nissan UK NV400)
・日産 英国 NV400のカタログダウンロード(Nissan UK NV400)
※本記事は2018年1月21日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。