BMW X5は日本のみならず世界的に人気のミッドサイズ・ラグジュアリー・クロスオーバーSUVですが、日本に正規導入されていないモデルも存在します。
この記事では、ディーゼルエンジンを搭載するX5のトップエンドモデル、BMW X5 M50dの特徴について解説します。また、日本に並行輸入する方法もご紹介します。
この記事の目次
モデル概要
BMW X5 M50dは、現行型がデビューした2013年当初からラインナップされてるモデルです。その開発はBMWのモータースポーツ関連部門であるBMW M社が手掛けています。X5 MやM3、M5のような純粋に走りと追及した「M」モデルではなく、BMW M社によってエンジンやサスペンションなどチューニングが施された「M Performance」という位置づけです。
日本と比較するとクリーンディーゼルの導入に積極的だったヨーロッパは、SUVの半数以上がディーゼルモデルとなっています。その傾向はラグジュアリーSUV市場においても同様で、このカテゴリではディーゼルにも高性能を求めるユーザーが数多く存在することから、X5 M50dもヨーロッパで熱い支持を受けています。一方日本では、高性能車=ガソリンまたはハイブリッドのイメージが根強く、X5 Mの存在もあることから日本市場には導入されていないものと思われます。
ハイライト
エクステリア
X5 M50dだけに与えられた専用エクステリア
第3世代に当たる現行X5は、SUVらしい力強さと都会的なスタイリッシュさの両方に磨きをかけました。短いオーバーハングの四隅に大径タイヤを配した踏ん張りの効いたデザインは、頼もしい走りを予感させ、ボンネットバルジやフェンダーダクトから伸びるサイドのキャラクターラインが力強さを、キドニーグリルと繋がる横長のヘッドライトがスタイリッシュさを感じさせます。
X5 M50d 専用のフロントバンパーは、M Sportバンパーの左右エアインテーク部にフィンが入ったデザイン。足元には20インチのMライト・ダブルスポークスタイル・アルミホイールが与えられるほか、ブラックフィニッシュされた左右出しマフラーテール、専用ドアミラーカバー、テールゲートに誇らしげに掲げられたM50dバッジなども専用装備です。
インテリア
BMW流の最新スペックと贅を尽くした空間
BMW X5 M50dのインテリアは、最新でありながら落ち着きある贅沢な空間となっています。シートはもちろん、ダッシュボード上部全体までステッチが施されたレザーで覆われ、大きなセンタートンネルで区切られた前席は心地よい包まれ感で満たされます。BMWプロフェッショナル・マルチメディアのディスプレイは、メーターと高さを揃えることで視線移動を少なく、かつ一体感が得られる作り。iDrive タッチコントローラーはショートカットボタンが付属し、アームレストに肘を乗せた状態から自然に操作できる場所に配置されています。
M50dのシート素材はダコタ・レザー。組み合わせるオプションで選べるカラーが異なります。アルカンターラとブラック・ダコタレザーのコンビシートはノーコスト・オプションです。インテリアトリムは2種類の素材感が異なるアルミ調から選べ、オプションならすべてのトリムからお好みで選択可能です。好みのシートカラーやトリムを選ぶのも、このクラスのSUVを選ぶときの醍醐味と言えるでしょう。イギリス仕様のX5は5人乗りが標準で、オプションのサードシートを装着すると2-3-2の7人乗りが可能になります。
パワートレイン
低回転から740Nmの最大トルクを生み出すディーゼル・ツインターボ
BMW X5 M50dに搭載されるエンジンは、BMW M社によってチューニングされた「The M Performance TwinPower Turbo engine」で、3.0L直列6気筒ディーゼルを3ステージのツインターボで過給し、381ps/4,000-4,400rpm・740Nm/2,000-3,000rpmという強力なパワー/トルクを生み出します。0-100km/hを5.3秒で加速し、最高速はリミッターが作動する250km/hと、2,265kgの巨体を持つSUVとは思えない動力性能です。それでいて、欧州複合基準で14.92km/Lという優秀な燃費を実現しています。
740Nmという最大トルクは強烈なインパクトがありますが、驚くべきはわずか1000回転で460Nmものトルクを発揮することでしょう。右足のつま先にほんのわずかな力を込めるだけで車がすっと前に出る感覚は、M50dのエンジンならではの特徴です。
駆動方式はBMWがxDriveと呼ぶAWDで、常にベストなトラクションが得られるよう、四輪すべてで発生するトルクを最適に制御しています。トランスミッションはスポーツ・オートマチックと呼ばれる8速ATで、シフトレバーやパドルシフトで任意のギアを選んでマニュアル感覚でドライブすることも可能です。
サスペンション
快適な乗り心地が約束されたアダプティブ M サスペンション
BMW X5 M50dには、標準でアダプティブ M サスペンションが装着されています。コンフォート・スポーツ・スポーツ+と3つのモードをドライバーが任意で選べるアダプティブ M サスペンションは、ミリ秒単位で減衰力を随時調整しており、BMWが標榜するドライビング・プレジャーを高次元で提供します。
コンフォートではフラットライドな乗り心地、スポーツは固めのセッティングでロールを抑制、スポーツ+ではさらに高い速度域に対応。最もハードなスポーツ+でさえ、不快な突き上げを感じることはほとんどなく、路面と走行の状態に合わせて常に車の姿勢を制御してくれます。ダイナミック・スタビリティコントロール(DST)や電動ステアリングの重さまでが総合的に制御されるため、まるで3台の異なる車を運転しているような気分が味わえるほどです。
参考スペック
BMW X5 M50d(381ps)
寸 法 ▶︎全長x全幅x全高 = 4,886 x 1,938 x 1,762 mm
ホイールベース:2,933mm トレッド:前/後 1,644 mm/ 1,650 mm
エンジン▶︎3.0L 直列6気筒ディーゼルツインターボ
2,993cc 381ps/4,000-4,400rpm 740Nm/2,000-3,000rpm
駆動方式▶︎AWD(四輪駆動)8速スポーツオートマチック
懸架装置▶︎前:アダプティブ M サスペンション
後:アダプティブ M サスペンション
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤ ▶︎前:275/40 R20 後:315/35 R20
燃料容量▶︎85L 車両重量:2,265kg 最高速度:250km/h(リミッター作動) 0-100km/h加速:5.3 秒
燃 費 ▶︎14.92km/L(欧州複合基準) -m/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎69,020ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください
ライバルモデル
高性能ディーゼルエンジンを搭載するラグジュアリーSUVであるBMW X5 M50d。そのライバルと考えられる車には、ポルシェ カイエン、メルセデスベンツ GLE、アウディ SQ7などがあります。
ポルシェ カイエンには、3.0L V6ツインターボ・262ps/550Nmのカエイン ディーゼルと、4.2L V8ツインターボ・385ps/850NmのカイエンS ディーゼル、2つのディーゼル・モデルがあります。いずれも日本には導入されていませんが、欧州ではオーダーの半数以上をディーゼルエンジンが占める人気ぶりです。
メルセデスベンツ GLEのディーゼルモデルは、日本でも正規販売されている350dで、3.0L V6ターボ・258ps/620Nmのスペック。高性能はAMGモデル(ガソリンのみ)に譲るメルセデスの姿勢から、カイエンやSQ7と比較すると穏やかに見えますが、620Nmのトルクは十分以上にパワフルです。
アウディ SQ7は、4.0L V8ツインターボディーゼルから435ps/900Nmというパワーを発揮するQ7のトップエンドモデルです。EPCと名付けられた電動コンプレッサーによる低回転からの過給によって、わずか1,000回転で900Nmの最大トルクを発揮するこのモンスターも、日本には未導入です。
このほかに、レンジローバー スポーツやボルボ XC90も魅力的なディーゼルエンジンを搭載するモデルを用意しています。そんな中で、BMW X5 M50dは、一時子会社化したランドローバー社のAWD技術を独自に進化させたxDrive、モータースポーツからフィードバックされたアダプティブ M サスペンションやM Perfomanceエンジンなどで、運転する楽しさとラグジュアリーさを高い次元で両立したモデルと言えるでしょう。
バイヤーズガイド
日本のディーラーで購入できるBMW X5の3つのグレードと、M50dをパワー/トルクで比較してみると、その性格がより分かりやすくなります。
- X5 M:V8 4.4L ツインターボ 575ps/6,000rpm 750Nm/5,000rpm
- X5 50i:V8 4.4L ツインターボ 450ps/5,500rpm 650Nm/4,500rpm
- X5 35d:I6 3.0L シングルターボ 258ps/4,000rpm 560Nm/3,000rpm
- X5 M50d I6:3.0L Tターボ 381ps/4,000-4,400rpm 740Nm/2,000-3,000rpm
M50dのエンジンは、低い回転から大きなトルクを生み出すのでアクセルを強く踏み込む必要がありません。このビッグトルクを活かして悠々としたクルージングを楽しみながら、いざという時にはどの回転域からでも背中がシートに押し付けられる程の加速を味わうことができます。SUVにスポーツカーの走りやスタイルを求める方にはX5 Mがあります。M50dは、羊の皮を被った狼がごとく、外観からはうかがい知れないハイパフォーマンスを、ゆったりとした余裕を持って楽しみたい方にこそお勧めしたいモデルです。
2017年現在のBMW X5 M50d日本導入の可能性
現行のX5(F15系)がデビューした当初からラインナップされていたM50dは、デビューから4年が経過した2017年現在でも日本には導入されていません。高性能ディーゼルの市場が醸成されていない日本では、残念ながらすぐに導入される可能性は低いでしょう。
並行輸入という選択肢
日本市場に正規輸入されていないモデルも、並行輸入を行えば日本で所有できます。一例としてコアカーズを運営する並行輸入車販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したプBMW X5 M50d (381ps – 8速スポーツAT)の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- BMW 英国 X5 M50d のオフィシャルサイト(BMW UK X5 M50d)※カタログのリクエストもこのページからできます・要登録
- BMW 英国 X5 M50d のコンフィグレーター(BMW UK X5 M50d)
※本記事は2017年12月14日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。