HYMERは1957年以来、欧州においてキャンピングカーの代名詞となっています。数ある欧州キャンピングカーの中から選ばれる理由は、高品質な装備品がもたらす快適な空間、休暇を愉しむためのアイデア、所有することの悦び。壮大な冒険に必要なすべてを備えているキャンピングカーです。
今回は、HYMERのキャンピングカーである「HYMER ML-T」を解説します。
この記事の目次
モデル概要
HYMER ML-Tは、メルセデス・ベンツのスプリンターをベースしたキャンピングカーです。スプリンターは商用車として設計されており、主に貨物車や宅配・訪問サービスの車両として使用されていますが、キャンピングカーやマイクロバス、トラック、救急車、各種特殊車両のベース車両にもなっています。
HYMERはドイツのキャンピングカービルダーとして有名ですが、そのラインナップはフルコン・キャブコン・バンコン・トレーラータイプのキャンピングカーなども製造。ベース車両はメルセデス・ベンツのスプリンターだけでなく、フィアット デュカトも使用しています。
欧州のキャンピングカーはこのデュカトが圧倒的なシェアを持っていますが、駆動方式はFFのみでFRや4WDが存在していません。その需要をカバーするのがHYMER ML-Tです。リアに荷重がかかるキャンピングカーはFR車が有利であり、特に滑りやすい上り坂ではFFのデュカトとの差は明らかです。
HYMER ML-Tはキャブコンに位置するキャンピングカーですが、一番の魅力は高い居住性にあります。たとえば、日本で人気のバンコンは「寝るクルマ」と言えますが、キャブコンはまさに「動く家」といった感じ。高さは290cmもあり、立ったまま車内を移動できます。家族4人で使用しても狭いと感じることはありません。
このHYMER ML-Tはシリーズ化されており、ドイツ本国ではML-T560・ML-T570・ML-T580・ML-T620・ML-T630が用意されています。主な違いは乗車定員と就寝定員、そして全長です。ML-T580までは全長7mを切っており日本のフェリー料金を考えると、このあたりのグレードが使い勝手の良いキャンピングカーと言えるでしょう。HYMER ML-Tについてさらに詳しく見ていきます。
ハイライト
エクステリア
防寒・コーティングされた完璧なボディ
HYMER ML-Tの車幅は全グレードで2,220mmとなっており、日本の狭い道路でも扱いやすいでしょう。たとえば、ハイエースのワイドボディは車幅1,880mmですので、340mmほどしか変わりません。本格派キャンピングカーながらも、柔軟かつ機敏に運転できるのは大きな魅力です。
HYMERのキャンピングカーは高断熱を誇る「HYMER PUAL」を採用しています。これはHYMER独自のボディーパネル素材であり、発泡ウレタンをアルミニウムでサンドイッチした構造。35mm厚ながらもレンガ80cm相当の断熱性があると言われており、年間を通じて快適な室内温度を保つことができます。
このHYMER PUALは1978年に第一世代が発表されていますが、その後「HYMER PUAL 2.0」へと進化。100%ウッドフリー(側壁に木製フレームワークなし)、均一で迅速な熱伝達、軽量・撥水性・防腐性、そして高い耐久性が特徴です。これらは極寒地でのテストから生まれており、特許も取得しています。HYMERの防寒へのこだわりは非常に高いのです。
HYMER ML-Tのアンダーボディには、GRP(繊維強化プラスチック)が採用されています。経年劣化による損傷や腐食から車両を保護し、跳ね石・砂利も同様にガード。雪道での塩カルが与えるダメージも最小限に抑えてくれます。これは、キャンピングカーの耐用年数に永続的なメリットとなるでしょう。
また、HYMER ML-Tシリーズは徹底して軽量化が施されており、操縦性や低燃費に大きく貢献しています。HYMER PUAL構造壁に加えて、インテリアの家具類も軽量化。家具部品の90%はHYMER自社工場で製造されています。キャンピングカーにとって軽量化は重要なコンセプトなのです。
巨大なリアガレージは、複数の自転車を簡単に並べて収納できます。また、スクーターや重くてかさばるキャンプ道具の保管にも最適。最大450キロの耐荷重があり、このガレージには、簡単にアクセスできる2つの大きなドアがあります。左右貫通になっているため、とにかく使い勝手が良い収納スペースとなるに違いありません。
インテリア
キャンピングカー装備品のすべてが揃った快適なインテリア
キャンピングカー装備品の中でも重要性が高いベッドルームですが、HYMER ML-Tはモデルによって2つのバリエーションがあります。ML-T560は横置きのツインベッド、その他モデルは縦置きのシングルベッドが2つ用意されています。
つまり、HYMER ML-Tは夫婦2人やカップルにもっとも適しているキャンピングカーとなりますが、オプションのクッションで中央を埋めれば広大な就寝スペースも作れます。また、ダイネットはベッド展開することができ、プラスαのベッドとして利用可能です。天井には窓が設置されているので、光の取り入れや換気もスムーズに行えます。
ギャレー(キッチン)は3口のコンロとシンクが備えらており、本格的な料理が可能です。隣には142Lの冷蔵庫と15Lの冷凍庫があり、飲料や食材をたっぷりと保存できます。長期滞在も可能なキッチンを標準で装備しているのは大きな魅力です。
食器やフライパンなどの調理道具はソフトタッチ閉鎖機能を備えた巨大な引き出しへ収納できます。上段にはLEDダウンライトを備えたキャビネットがあり、さらに収納力を高めています。これだけのスペースがあれば収納に困ることはないでしょう。
居心地の良いリビングエリアは、開放的でエレガントな雰囲気。木製仕上げでモダンなイメージに仕立てられた家具ユニットは高品質の素材で作られており、メンテナンスが簡単で耐久性も抜群です。
収納は上部キャビネットが各所に用意されている他、冷蔵庫下のタオルコンパートメントや収納棚、そしてワードローブなどHYMER ML-Tはあらゆるスペースが最適に設計され、車内をきれいに保つための工夫が見られます。サニタリールームは、カセットトイレと温水シャワーがあり、120Lの給水タンクと100L排水タンクで利用できます。
日中はパノラマルーフによって十分な日光を取り入れられます。車両全体の室内照明はLEDライトを標準装備しており、エネルギー消費量を75%削減。バッテリーの高寿命に貢献しています。また、LEDライトにより夜間でも座席エリアが常に明るく照らされLEDは熱くならないため、火災などの安全面も向上しています。
HYMER ML-Tシリーズ レイアウト
ML-T 560 | |
ML-T 570 | |
ML-T 580 | |
ML-T 620 |
パワートレイン
強くて軽快なメルセデス・ベンツのエンジン
先で紹介しましたが、HYMER ML-Tはメルセデス・ベンツのスプリンターがベース車両となっています。搭載されるエンジンは、2.2Lで105kW(143ps)を発揮し、オプションで163または190psバージョンも用意。ヨーロッパ最新の排ガス規制であるユーロ6もクリアしています。
駆動方式はFRが標準仕様で、4WDはオプションで利用可能。トランスミッションは6速ATとなっています。メルセデス・ベンツならではの快適な走りが魅力です。
「HYMER ML-T」 紹介動画(18分11秒)
参考スペック
HYMER ML-T580
■ 全長×全幅×全高:6,980 mm x 2,220 mm x 2,900 mm
■ ホイールベース:3,665 mm
■ 車両重量:3,500 kg
■ エンジン:2.2L ディーゼルターボ
■ 最高出力 :143 ps
■ 駆動方式:後輪駆動(FR)
■ トランスミッション: 6速AT
■ 使用燃料/燃料タンク容量:軽油/71L
■ 乗車定員:4 名
■ 就寝定員:2-3 名
ライバルモデル
「HYMER ML-T」のライバルとして「フォルクスワーゲンT6カリフォルニア・オーシャン」「メルセデス・ベンツ Marco Polo HORIZON(マルコ ポーロ ホライゾン)」を挙げます。
両者ともにバンタイプのキャンピングカーですが、ポップアップルーフを標準装備しているのが特徴です。下に2名、上にも2名といった拡張性の高い就寝機能が魅力。サイドオーニングと呼ばれるキャンパー装備品を備えているため、キャンピングカーでキャンプをメインに行うユーザーにおすすめのクルマと言えます。フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツのキャンピングカーですので、品質と走行性能は文句の付けようがありません。
バイヤーズガイド
「HYMER ML-T」は、FRや4WDを選択できるのがメリットで、冬場に出かける場合、特に積雪地域でのドライブでは心強いクルマです。右ハンドルは設定されていませんが、左ハンドルは大きなボディを持つキャンピングカーにはピッタリで、左に寄せやすいという恩恵もあります。
メルセデスのベース車というのもステータスですし、性能的にも全く問題ないでしょう。優雅な走りは他社メーカーを寄せ付けません。しかし価格が1500万円程度と、かなり高価になりるため中古車での購入がベストな選択と言えます。
日本導入の可能性
HYMER Japanが日本市場に導入しているHYMERのキャンピングカーですが、ML-Tシリーズはラインナップから外れています。正確には、メルセデス・ベンツをベース車としたモデルの輸入販売が一時停止されているようです。
並行輸入という選択肢
日本市場に正規輸入されていないモデルでも、並行輸入を行えば日本で所有できます。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入車販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映した「HYMER ML-T 」の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示していますので、参考にしてください。
HYMER ML-T570 フルオーダーはこちらからお問合せ下さい
外部リンク HYMER ML-T570 フルオーダーメイド可能です
その他、560 580もフルオーダー可能です。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
現地法人公式サイト
- HYMER オフィシャルサイト(HYMER ML-T–A perfect combination)
- HYMER オフィシャルサイト UK (右ハンドルUK仕様)
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※本記事は2022年2月13日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。