スペインに拠点を持つVWグループの一員で、欧州で人気のセアト。そのセアトのCセグメントのステーションワゴンであるレオンST(Seat Leon ST)の派生車種として、クロスオーバーのSUVモデル『Xペリエンス』(Seat Leon X-PERIENCE)が追加されました。
ハイセンスなデザインを持ち、”ニュルブリックリンク市販ワゴン車最速記録”を誇るホットモデルをラインアップに有していたレオンST。もともと評価の高かった同モデルを、そのままリフトアップし4WD化した『Xペリエンス』は、欧州車でも屈指のスタイリッシュなクロスオーバーSUVに仕上がっています。
今回は、そんな魅力タップリのクロスオーバーSUVである、レオン Xペリエンスを徹底解説します。スペインから吹いて来たクロスオーバーの”新しい風”、レオン Xペリエンスをイギリス仕様右ハンドルで並行輸入してみませんか?
この記事の目次
セアト レオン Xペリエンスの特徴
“彼女”がみんなの前に初めて姿を現したのは、2014年のフランス・パリモーターショーでした。
“彼女”とは、セアトのSUV、レオン・Xペリエンスのこと。SUVであるXペリエンスを、あえて“彼女”と呼んだのには理由があります。フランス語では、乗用車が「女性名詞」ということありますが、(〜ence、〜anceで終わる単語は、ほぼ女性名詞)、なんと言っても、4WD・SUVとは思えぬ、その流麗なデザインです。一方で、セアトの故郷であるスペインでは、車は「男性名詞」。もし、Xペリエンスを、スペイン流に“彼”と呼ぶとするなら、たいへんなGuapo=ハンサムボーイであることは間違いありません。
それも当然のことで、Xペリエンスは、もともとスタイリッシュなデザインで定評のあるレオンSTを28mmリフトアップして“クロスオーバー化”した、言ってみればひとつのバージョンであり、そのほとんどを継承しているのですから。そしてそれは、「みごとに成功している」と言っていいでしょう。
セアトは、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニなどと並んで、VWグループにありますが、“彼女”が、グループでもトップのスタイリュッシュなSUVであることは間違いありません。
エクステリア
28mmの与えたもの
たとえば1台のランドクルーザーが(あるいはポルシェ カイエンでもかまいませんが)、ホテルのフロントに到着し、親切なドアボーイが運転席のドアを開ける。そこから降りて来たのがパーティドレス姿の女性だったなら、ドアボーイは感嘆の溜め息をもらすことでしょう。
ただし、その感嘆には、どこかにミスマッチングな意味合いがこめられていることは否めません。性差別とかそうしたものではなく、SUVには、とかくワイルドな「男くさい」印象がありますから。そしてそれはデザイナーの意図するところと、いささかも異なりません。
さて。これがレオン Xペリエンスであったなら。運転席からドレス姿の女性が降りて来ても、ドアボーイはいつも通りです。さらには、後部座席からヤンチャな子供たちが飛び出して来ても、笑顔で迎えられることでしょう。
それが、セアトの意図するところだからです。
セアトでは、クロスカントリーSUVとしてアテカ(Ateca)という(どちらかと言えばワイルドな)モデルをエントリーしており、Xペリエンスとの棲み分けを図っています。対するレオンは、ファミリーから女性まで、幅広い層がターゲット。いかにSUVと言えど、後部座席に子供を乗せたまま川渡りをしたり、絶壁のような急勾配に挑戦するようなことは、さすがにありえません。けれど、家族を乗せてゲレンデにも行くだろうし、時には奥様が自らハンドルをにぎることもある。より安全に悪路を走破し、より快適に家族を目的地へと運ぶ、その「融合点」が28mmだったということでしょう。
かと言って、Xペリエンスがワイルドさのない、牙の抜けたSUVか?と言うと、そうではありません。フロントバンパーからオーバーフェンダー風のホイールアーチ、サイドスカートまでを一体化したプラスチッククラッドと、前後バンパーには一体化したスキッドプレート(風)を備え、スタイリッシュさを損なわぬまま、クロスオーバービークルとしての実に絶妙な“味付け”がなされています。
インテリア
丁寧なトータルコーディネイト
インテリアもまた同様。もともと、レオンのインテリア自体、非常によくまとまっていて、ちょっと工学デザインをかじった者なら、一目で、このシリーズの「計算されつくした」デザインコーディネイトに感心されることでしょう。すべての曲線・角度がエクステリアと共通しており、それはドアトリムひとつにまで徹底されていて、それが昨今の潮流と言え、ここまでエクステリアとの統一感がある車はなかなか思いあたりません。
インストルメントパネルに目をやれば、レーシングオートバイをも彷彿させる0を180度(真下)に配置したメーター。人間工学に基づいた絶妙なスイッチ類の配置。レオンがシリーズを通して単なる“ファミリーカー”ではないことを物語っています。
Xペリエンスは、それらの”機能美”をそのままに、SUVとしての独自の味付けが施されています。ステアリングまで統一されたオレンジのステッチ。革シートこそオプション設定ながら、シートトリムにはアルカンターラ(昨今の高級車やスポーツ車に多用される人工スエード)をおごり、スポーツ性と乗り心地を「両得」しています。
ワゴンとしてのユーティリティはどうでしょうか?
ラゲッジスペースもまた、ベースのレオンSTとまったく同じ。通常時で587L、シートをたたむと最大で1470Lです。スバルのレガシィ アウトバック(LEGACY OUTBACK)の通常時で557Lですから、レジャー用としても十分。不足はありません。
パワートレインと経済性
180馬力で15.4km/L
パワートレインは、フォルクスワーゲングループの4気筒エンジンから、ガソリンTSI(VWの開発したガソリン直噴ターボエンジン)が2種類。ディーゼルTDI(同・ディーゼル直噴ターボエンジン)4種類の計6タイプがラインナップされていますが、このうち4WDにエントリーしているのは4タイプ。ただし、右ハンドルが選択できるイギリス仕様ではディーゼルエンジンのみのラインアップとなっています。
トランスミッションは6速MTと、ATに代わる6速DSGが採用されています。DSGとは、VWグループが開発した新世代トランスミッション。奇数段と偶数段の2つのクラッチを別々に持ち、これを0.0数秒というタイミングで切り替えるというもの。これにより、従来のATのトルコンロスがなく、よりスムースな加速が得られるとされています。
イギリス仕様のパワートレインのラインアップは以下のとおりです。
【ディーゼルエンジン】
- 2.0L 150ps/340Nm 6MT
- 2.0L 184ps/380Nm 6DSG
ベースとなったレオン STには、 ニュルブルックリンク8分切りという市販ワゴン車最速記録を持つ2.0L 290psのホットモデルが存在しますが、Xペリエンスには、現状ラインナップされていません。もっとも290psは、ラフロードにはむしろオーバースペックとも言えますが。
それでも、Xペリエンスの車重は約1,491kg(車両総重量)で、184ps仕様ならパワーウェイトレシオは8.0kg/ps。最高速221km/h、0〜100加速7.2秒は、SUVとしては十分すぎるくらいでしょう。
経済性は184ps仕様でも22.2km/Lの経済性。4WDとしては超のつく「優等生」と言っていいでしょう。
足回り・駆動系
扱いやすい4WDシステム
セアトが『4DRIVE』と呼んでいる4WDシステムは、フォルクスワーゲングループ共通で、第5世代ハルデックス(Haldex)カップリング(電子制御式油圧多板クラッチ)を用いています。
ハルデックスカップリングは、通常は前輪だけを駆動し、ひとたび路面状況や負荷状況が変わると、電子制御によってトラクションとディファレンシャルロックをコントロールし、4輪すべてに可変的にトルク配分する、というもので、VWグループの横置きエンジンの4WD車は、全てこのシステムを用いています。つまり「アウディ A3 クワトロと同じ」と言えば分かりやすいでしょうか。ドライバーにとって、非常に取り扱いの楽な4WDシステムで、燃料効率が高いのが特徴です。
グレード・装備とオプション
豊富なオプション群も魅力
レオン Xペリエンスは基準グレードのSEと、装備充実グレードのSE Technologyの2つがラインアップされています。SEは150ps仕様専用グレードです。ベースのレオンSTに設定されているエントリーグレードのSや、最上級グレードのSE Dynamic Technologyの設定はありませんが、ホイールが削り出しとなるなど装備が充実したLUX PACKの設定があります。
オプションとしてエクステリアで選びたいのは、マッドガード。SUVには必須でしょう。
インテリアでは、超多機能な通信ナビシステムがオプション設定されています。そのままでは日本国内では使えない機能もあるものの、それでもその先進性は魅力タップリです。
またXペリエンスは、ベースとなっているレオン シリーズの豊富な装備とオプション群がそのまま適用できます。詳細は記事末尾のリンクより、アクセサリーのカタログをダウンロードしてご覧ください。
まとめ
Xペリエンスが目指したもの
セアトの故郷・スペインには、“世界で最も美しい馬”と言われ、デンマーク・スペイン・イギリスなどの王室用馬として用いられている『アンダルシアン』という品種がいます。シンデレラの馬車を思い浮かべていただければ早いかも知れません(元がネズミであることはさておいて)。高貴でエレガントな外観を持つこの馬は、その立ち居振る舞いも「世界一」美しく、多くの馬術大会で用いられますが、ひとたび走ればサラブレッドと競える能力をも持っています。
これまでのSUVが、ひたすらに力強いバッファローを目指していたのだとすれば、X-ペリエンスは、間違いなく「アンダルシアンをめざした」と言えるでしょう。意図しているのかいないのか、セアトでは欧州向に『Horse vs X-periance』というコマーシャルフィルムを制作しています。これを見れば一目瞭然。それ以上を語る必要はないでしょう。
Horse vs. the SEAT Leon X-PERIENCE (約1分46秒)
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レオン Xペリエンスのライバルは?
Xペリエンスの競合車としては、同じフォルクスワーゲングループのシュコダ オクタビア スカウトや、このジャンルの元祖とも言うべきフォルクスワーゲン ゴルフ オールトラックが挙げられます。また少しクラスが異なりますが、アウディ A4 オールロードクワトロ、ボクソール|オペル インシグニア カントリーツアラー、またスバル アウトバックなども挙げられます。
性能面ではXペリエンスとまったく同等か、あるいはそれ以上のモデルもありますが、エクステリアは(あるいはインテリアは)、Xペリエンスの流麗さを備えていません。善し悪しなどではなく、「そもそもの目指したものが違う」のです。最も近似しているのはゴルフ・オールトラックですが、それですらXペリエンスの前では、逆に「平凡」すぎるかもしれません。
そういう意味で、レオンSTとの28mmの差は、“彼女”に多大な恩恵を与えました。高速をクルージングし、雪原を抜けてゲレンデへと向かい、ホテルのフロントに乗り付けて、子供たちが降りる。そのどのシーンにもXペリエンスはよく似合います。
レオン Xペリエンスのベストバイは?
Xペリエンスでは、やはり4WDを選びたいところ。
トランスミッションはイージードライブを楽しめる6DSGがおすすめで、その場合はパワートレインは、もっともハイパワーな184psとなります。グレードは自動的にSE Technologyと紐付けられます。
レオン Xペリエンスの並行輸入、日本での乗り出し価格は?
セアト レオン Xペリエンスのイギリスでの販売価格は、おすすめグレードのSE Technology 2.0 TDI DSG-autoで30,010ポンドです。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
セアトは日本には正規輸入されておらず、今後も導入可能性の低いモデルです。ご希望に応じて、左ハンドルガソリン仕様などの輸入も可能です。お気軽にお問い合わせください。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
スペック表
レオン・Xペリエンスのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | セアト レオン X-リエンス / SEAT LEON X-PERIENCE |
エンジン、サンプルグレード | SE Technology 2.0 TDI DSG-auto |
英国販売価格 | £30,100 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | メディテレニアンブルー エモーションレッド(OP) ホワイト(OP) アイスシルバーM(OP) テクニックグレーM(OP) モンスーングレーM(OP) ミッドナイトブラックM(OP) ネバダホワイトM(OP) ※OP:有料オプション ※M:メタリックカラー ※カラー名はコンフィギュレーターに準拠しています |
全長x全幅x全高 | 4,543 x 1,816 x 1,481 mm |
ホイールベース | 2,630mm |
トレッド(前/後) | 1,547 /1,547mm |
車両総重量 | 1,491kg(参考値) |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6DSG |
エンジンタイプ | 直列4気筒ディーゼルターボ |
総排気量/内径x行程 | 1,968cc /81.0 x 95.5 mm |
圧縮比 | 15.8 |
最高出力 | 184ps(135 kW) / 5,500rpm |
最大トルク | 380Nm /1,750 – 3,000 rpm |
燃料タンク容量 | 55L |
燃費 | 約22.3km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 225/45 R18 95XL W |
最高速度 | 約224km/h |
0-100km/h加速 | 7.1秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
セアト レオン Xペリエンスのカタログ・価格表ダウンロード
- セアト UK カタログ・価格表 (SEAT UK Brochures & Prices)
※Xペリエンスの情報はレオンのカタログ・価格表に含まれています
セアト レオン Xペリエンスの現地法人・ディーラーリンク
- セアト UK レオン Xペリエンス オフィシャルサイト (SEAT UK LEON X-PERIENCE)
- セアト UK コンフィギュレーター (SEAT UK Configurator)
※本記事は2016年11月25日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。