スバルといえば、かつてのWRCでの活躍や、「シンメトリカルAWD」「ボクサーエンジン」など、テクニカルなイメージをもつ方が多いのではないでしょうか。
そしてもうひとつ、ステーションワゴンと商用ライトバンの区別がなかったような時代から今日まで、AWDのステーションワゴンをラインナップし続けてきた、日本におけるパイオニアでもあります。
スバル アウトバックは、同社のラインナップにおいて、最上級かつ最新のAWDクロスオーバーワゴンです。
日本でも販売され人気を得ているアウトバックですが、今回は日本で販売されていないイギリス仕様の“ボクサーディーゼル”モデルを中心に徹底解説します。悪路走破性も高く燃費も良い、アウトバックディーゼルを逆輸入してみませんか?
この記事の目次
スバル アウトバックの特徴
アウトバックのルーツは、1960年代に試作されたスバルff-1 1300Gバン4WDまで遡ります。このクルマは試作で終わりましたが、その後、流れを汲んだレオーネ エステートバン4WD がデビューしました。このモデルはまだ商用バンのみで乗用モデルはありませんでしたが、1980年代はじめ、乗用用途に対する市場要望に応えてレオーネ ツーリングワゴンがリリースされます。これが現在のアウトバックまで続く、スバルAWDワゴンのファーストモデルです。
その後スバルは、レオーネの後継モデルとしてレガシィ ツーリングワゴンをリリースしました。みなさまご存知の通り、レガシィ ツーリングワゴンは爆発的なヒットを記録。スバルを代表する車種として成長するだけでなく、日本においてステーションワゴンをポピュラーな存在に押し上げる立役者となりました。
アウトバックはレガシィをベースに車高を上げ、悪路走破性向上の要望に応えたモデルです。
初代アウトバックは2代目レガシィをベースにしたモデルで、1994年に北米で最初に発表されました。それ以降、1998年に2代目、2003年に3代目、2009年に4代目モデルが発売され、どのモデルも各国で人気を博してきました。日本では初代モデルはグランドワゴン、2代目モデルはランカスターの名前で販売されましたが、3代目からは輸出向けと同じくアウトバックの名前になっています。
アウトバックのヒットにより「クロスオーバーワゴン」という新ジャンルが生まれ、ステーションワゴンの老舗ボルボや、スバルと同じく4WDに強みをもつアウディはもちろんのこと、世界中の自動車メーカーがコンセプトを踏襲したモデルをリリースし、現在のクロスオーバーSUVブームの礎を築きました。
現在販売されているモデルは2014年のニューヨークショーで発表された5代目モデルです。現在のモデルからツーリングワゴンが廃止されたため、アウトバックがスバルのフラッグシップモデルとなりました。日本仕様は2.5L水平対向4気筒エンジン搭載モデルのみですが、欧州仕様には水平対向4気筒のボクサーディーゼルエンジン、北米仕様には水平対向6気筒のボクサー6(シックス)エンジンもラインナップされています。
今回紹介するイギリス仕様のボクサーディーゼルエンジン搭載モデルには、標準モデルのSEと、装備が充実したSE Premiumの2つのグレードがラインナップされています。
アウトバック プロモーション動画(約2分25秒)
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大型化を意識させない洗練されたエクステリア
アウトバック専用設計となったボディは、北米市場を見据えたことで、歴代モデルでもっとも大柄なものとなりました。
フロントマスクは近年のスバル車に共通の意匠であるヘキサゴングリルを採用しています。ボディサイズは大きくなりましたが、プレスラインを工夫するなどして、間延びせずシャープで引き締まったデザインにまとめられています。
アウトバックのデザインは、日本で2015年のグッドデザイン賞を受賞しています。
プレミアムモデルらしい上質なインテリア
アウトバックのインテリアは、以前紹介したフォレスターディーゼルと同じく、ソフトパッドを随所に使用した仕立ての良いものになっています。
かつてのスバル車のインテリアは、無骨なデザインで華やかさとは縁遠いイメージがありましたが、近年は内装の素材選択や仕上げが格段に向上しています。そのため、このアウトバックもプレミアムモデルとして不足ない仕上がりになっています。
シートも、イギリスで標準のSE Premiumモデルではフルレザーシートが用意されており、プレミアムモデルとして、よりいっそう満足感を高めています。
そして、アウトバックはただプレミアムだけでなく、ワゴンとしての使い勝手も忘れていません。ラゲッジの容量は標準で512L、リアシートを畳めば2000Lを超え、ライバルと比べても大容量。ワゴンを作り慣れたスバルならではの美点です。
豊かなトルクで悠々と走るボクサーディーゼル
イギリス仕様のアウトバックには、ガソリンとディーゼル両方のパワーユニットが設定されています。
ガソリンエンジンは2.5L水平対向4気筒で、日本仕様と同等です。
ディーゼルエンジンは、ボクサーディーゼルと呼ばれる、EE20型2L水平対向4気筒ターボのクリーンディーゼルが搭載されます。このユニットはアウトバックだけでなく、欧州仕様のフォレスターや XVなどにも搭載されます。最大出力は150PSと、ほかのメーカーの2.0Lディーゼルエンジンと比べると控えめです。ボディサイズが大きいアウトバックでは頼りなく感じられるかもしれませんが、実際は350Nmという強大なトルクを生かして余裕をもって走ることができます。ちなみにこのトルクは、スバルでもっとも大きいガソリンエンジン 3.6Lボクサー6エンジンとほぼ同等です。
さらに燃費性能にも優れ、欧州複合値で21.4Km/Lの低燃費を誇ります。燃料タンクは60Lですから、単純計算で1,200km以上の走行が無給油で可能です。かつてスバルのフラッグシップクーペ「アルシオーネSVX」のCMで、”500miles a day”というキャッチコピーがありましたが、航続距離の長いアウトバック ディーゼルなら、余裕で駆け抜けることが可能でしょう。
トランスミッションは、スバル自慢の金属ベルトCVT “リニアトロニック” と、日本仕様にはラインナップされていない6速MTが選択できます。
日本仕様には設定されない熟成の機械式AWD
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リアにはダブルウィッシュボーンを採用しています。
駆動系はスバル自慢の「シンメトリカルAWD」を採用しています。AWDシステムはフォレスターと同じく、トランスミッションにより2種類のAWDシステムが用意されています。
リニアトロニックには電子制御で常に最適なトルク配分を行う「アクティブトルクスプリットAWD」が設定されています。さらに、悪路走破時にミッション、ブレーキも総合制御し走破性を高めるX-MODEも搭載され、走破性を高めています。
MTには「ビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD」が設定されています。このAWDシステムは、現在スバルで唯一の機械式AWDシステムです。長年スバルが改良を重ねてきたこの本格AWDシステムの特徴は、高い走破性と自然なフィーリングです。なお、日本仕様のアウトバックにはMTの設定がないため、このAWDシステムを選択することはできません。
これらのAWDシステムに加えて、アウトバックは車高を200mm上げることによりデパーチャーアングルに余裕を持たせて、さらなる走破性の高さを実現しています。
これらの性能こそが、日本はもとより世界中で「頑丈で悪路に強い」とアウトバックが愛される理由のひとつでしょう。
総評:スバルのAWDと一緒に進化してきたフラッグシップモデル
スバルの主要技術であるシンメトリカルAWDは、レオーネからレガシィ、そしてアウトバックへと受け継がれ、進化を続けてきました。その成果が最新の電子制御AWDであり、熟成の機械式AWDの確かな性能です。
そして、今まであまり得意としていなかった高級車らしい上質感という点でも、アウトバックは大幅な進歩を見せました。これまでにない華やかさと品質感を感じさせる内外装の仕上げは、スバルがプレミアムメーカーに向けた道を歩み始めていることを雄弁に物語っています。
これらが融合したアウトバックディーゼルは、まさに「スバルのAWDと一緒に進化し続けてきた、プレミアムなフラッグシップ」と言えるモデルです。
アウトバックが開拓したクロスオーバーワゴン市場のライバルは?
アウトバックディーゼルのライバルには、AWDクロスオーバーワゴンとしてフォルクスワーゲン パサートオールトラックや、ボルボ XC60が挙げられます。
パサートオールトラックは、広い室内と使い勝手の良いラゲッジを備えたパサートヴァリアントに、AWDシステム「4モーション」を装備し、地上高を上げたモデルです。このモデルのメリットはユーティリティの良さですが、AWDシステムはスバルの方がより本格的なものになっています。
ホルボXC60は、スバルと同じく長年ワゴンモデルをリリースし続けるボルボのクロスオーバーワゴンです。高いユーティリティを備えたボルボのステーションワゴンに、AWDによる高い走破性をプラスしています。アウトバックに近いキャラクターですが、価格はアウトバックやパサートよりも高く、32,000ポンドを超えてしまいます。
アウトバックが切り開いたクロスオーバーワゴンモデルは、他にもライバルが多いカテゴリーですが、やはり長年進化を続けてきた悪路走破性の高さと、ステーションワゴンを作り慣れたスバルならではの手堅いつくりが、アウトバックの強みと言えるでしょう。
アウトバック コマーシャル動画(約1分45秒)
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アウトドアやホビーのお供に、アウトバックディーゼルのオプション
アウトバックのオプションには、ボートやキャンピングトレーラーを牽引するヒッチメンバーや、スーリーのサイクルキャリア、サーフキャリアなど、アウトドアやホビーで役立つアイテムが多数用意されています。これらを組み合わせて、アウトバックをアクティブに使ってみませんか?
おすすめは2.0D SE Premium Manual、右ハンドルモデル
アウトバックを並行輸入で選ぶなら、ボクサーディーゼルを搭載した2.0D SE Premium Manualの右ハンドルモデルをおすすめします。
このモデルは低燃費のボクサーディーゼルエンジンに、日本では選択できない機械式AWDシステム「ビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD」とMTを組み合わせています。もちろん、最上級のSE Premiumですから、装備も充実しています。
かつてのレオーネ以降、代々スバルのAWDツーリングワゴンをステップアップし続けてきた、生粋のスバリストに選んでいただきたいのはもちろん、人とはひと味ちがう特別な一台を選びたい方にもきっと満足できるモデルです。
ちょっとした悪路から、長距離のグランドツーリングまで悠々とこなすアウトバックディーゼルで、日本の津々浦々を走ってみませんか?
スバル アウトバックディーゼルの日本国内での乗り出し価格は?
スバル アウトバックディーゼルのイギリスでの販売価格は、レザーシートなどが標準装備の上級グレードである 2.0D SE Premium Manualで32,940ポンドです。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
アウトバックディーゼルは、日本では販売されていないので、入手するには逆輸入が現実的な方法です。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
スペック表
スバル アウトバックディーゼルのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | スバル アウトバック 2.0D / SUBARU OUTBACK 2.0D |
サンプルグレード | SE Premium / 6MT |
英国販売価格 | £32,940 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | アイスシルバーメタリック(OP/MTL) ダークグレーメタリック(OP/MTL) タングステンメタリック(OP/MTL) プラチナグレーメタリック(OP/MTL) ラピスブルーパール(P/MTL) クリスタルホワイトパール(P/MTL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 ※P:パール塗装 |
全長x全幅x全高 | 4815× 1840 × 1605 mm |
ホイールベース | 2745 mm |
トレッド(前/後) | 1575mm / 1590mm |
車両重量(乾燥) | 1649kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6MT |
エンジンタイプ | 水平対向4気筒DOHC 16V 直噴インタークーラー付きディーゼルターボ |
総排気量/内径x行程 | 1998cc/86.0mm×86.0mm |
圧縮比 | 15.2 :1 |
最高出力 | 110kW(150PS)/3600rpm |
最大トルク | 350Nm(35.6kg-m)/2500rpm |
燃料タンク容量 | 60L |
燃費 | 約21 .4km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 18インチホイール |
最高速度 | 198.4 km/h |
0-100km/h加速 | 9.7 秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
スバル アウトバックディーゼルをもっと知りたい方はこちら
・スバル 英国 アウトバックのオフィシャルサイト(SUBARU UK OUTBACK)
・スバル 英国 アウトバックのカタログダウンロード (SUBARU UK) ※要登録
※本記事は2017年2月25日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。