ビジネスで使う商用車、日本の四角四面な商用車と比べて、写真などに何気なく写る、ヨーロッパの街角で働く商用車が、なんかお洒落に感じたことありませんか?
心当たりがある方には、今回御紹介するフォード トランジット クーリエは、ぴったりな一台かも知れません。
フォード トランジット クーリエ(FORD TRANSIT COURIER)は、同社のバンモデルであるトラジットを筆頭とした、「トランジット ファミリー」では一番小さなモデルです。ボディサイズからも末っ子的な存在ですが、小さなボディに、大きなスペースを備えたこのトランジット クーリエは、ファミリーを支えるボトムレンジのモデルとして、大切なポジションの一台です。
これらトランジット ファミリー全般を含む、欧州フォードの商用車は、今まで日本に正規輸入車として導入された実績は無く、今後も見込みはなさそうです。
イギリスから多数の並行輸入実績があるYMワークスでは、荷物も沢山積めて、運転も楽しく、プロユースにも耐えられる「プロスペックのコンパクト」、トランジット クーリエのエコブーストエンジンを搭載した、バン、MT、右ハンドルモデルを中心に、並行輸入し皆様へお届けします。
この記事の目次
フォード トランジット クーリエの特徴
トランジット クーリエは、同社のコンパクトカーであるフィエスタと同じく、フォードB3プラットフォームを使用した、近年欧州市場でも人気のコンパクトLCV(Light Commercial Viecle)と呼ばれる小型商用車です。
フォードには、長年、欧州商用バン市場で不動の知名度を誇るトランジットがありますが、フルサイズバンのトランジットをはじめ、LCVのトランジット カスタムや、トランジット コネクトに次ぐ、トランジットファミリーでは一番小さなモデルとなります。トランジット クーリエは2013年のジュネーブモーターショーで発表され、2014年モデルよりイギリス市場で販売開始されました。これは人気のジャンルでライバル車種も多いコンパクトLCV市場では、ほぼ最後発の参入でしたが、商用車開発に長けたフォードということもあり、市場では「コンパクトLCVの真打ち登場」といった反応であったようです。
このクーリエという名前は、かつて1990年代に欧州フォードが、フィエスタMk3をベースにした小型商用モデルとして販売していた、フォード クーリエ(FORD COURIER)のリバイバルネームとなります。しかし、このクーリエは、トランジット クーリエのようにワンモーションなフォルムではなく、フロントはフィエスタ、Bピラー以降は真四角な荷室が組み合わされる、かつてのルノーエクスプレスや、日本でも日産AD-MAXで採用された、フルゴネット型に近い形状のモデルでした。
生産は他のトランジット ファミリーと同じく、トルコのフォード・オトサン(FORD Otosan)の工場です。この工場は、かつてトルコの自動車メーカーであったオトサン自動車のものを、フォードが傘下に収めたもので、主にトランジットなどのバンや、ライトトラックなど、欧州フォードで販売される商用モデルの生産拠点です。
ボディタイプは4ドア(リア片側スライドドア)と5ドア(リア両側スライドドア)の2種類で、サイズは「全長4157mm×全幅1764mm×全高1747mm」と、他車ライバルと比べても小さめで、国産車では欧州でもライバルとなる、日産NV200バネットよりも一回り小さく、現行モデルでダウンサイジングしたトヨタタウンエースに近いもので、日本の道路環境でも扱いやすいサイズと言えるでしょう。
ラインナップは、前席のみの1列2人乗りのバン(Van)と、可倒式リアシートを備えた2列5人乗りのコンビ(Kombi)の2種類のモデルがあります。
ちなみに、トランジット クーリエベースの乗用モデルで、トルネオ クーリエ(FORD TOURNEO COURIER)がありますが、現在イギリスで販売されておらず、左ハンドルモデルのみの販売です。
フォード トランジット クーリエのPV動画 (約1分20秒)
シンプルでも、欧州フォードの味をしっかり感じられるエクステリア
トランジット クーリエのエクステリアは、ベースとなるフィエスタと同じく、近年のフォードのデザインモチーフである、キネティックデザイン(Kinetic Design)から発展した、ニューグローバルデザインランゲージ(New Grobal Design Laungage)に基づいたものです。シンプルながら機能性に優れたデザインは、親モデルであるトランジットファミリーの一員であることを確実にアピールしています。
デザインは、フロントからリアにかけて流麗なワンモーションフォルムで、かつてのフルゴネットのように、荷室を取って付けたような無骨なものではなく、とてもスタイリッシュなものです。側面はリアドア以降は大きな面積の合板パネルとなっており、ビジネスで使われる場合は、お店や会社のロゴのペイントや、カッティングシートでアピールするのに、格好のキャンバスとなってくれるでしょう。ちなみに、リアスライドドアは、バンの場合は片側が標準ですが、右ハンドルのイギリス仕様は、日本の道路環境に合った左側に設定されています。更に、オプションで両側スライドドアも選択可能です。
リアのバックドアは、バンの場合は観音開きが標準で、狭い場所でも荷物が出し入れ出来る便利さと、機能性のある欧州商用車の雰囲気を演出するのに一役買っています。しかし、「雨よけにならないから普通のドアを」という方には、オプションでリフトゲートのバックドアも選択可能ですのでご相談ください。
プロ御用達のインテリア、使い方はあなた次第!
トランジット クーリエのインテリアは、インパネもエクステリア同様、近年のフォード車のトレンドに沿った、SYNCシステムを中心としたもので、同社のMPVであるB-MAXにほぼ近いスタイリッシュなものです。インテリアのトピックはこれだけでなく、プロ御用達ブランドであるトランジットの名を冠するだけあり、使い勝手の良さも自慢です。
A4サイズのノートパソコンをすっぽりと飲み込む大容量グローブボックスや、オーバヘッドコンソールをはじめとする沢山の収納だけでなく、インパネ中央に標準装備されるデバイスドックは、最近はナビゲーションでも使われがちな、スマートフォンの充電や音楽の転送が可能など、プロの道具として使い勝手は、末っ子でもフルサイズのトランジットと遜色ないものと言えるでしょう。
インテリアで乗用モデルと違うのは、バルクヘッドと呼ばれる隔壁があります。これは乗員保護を目的とし、急ブレーキや事故の際に荷物がキャビンへ飛び出すのを防止します。日本の商用バンでは鉄のバー1本のものも見受けられますが、欧州市場のバンでは、隔壁としてしっかりとしたものが装備されています。
トランジット クーリエの場合、バンでは頑丈なフルスチールのバルクヘッドが標準装備ですが、オプションでリアを確認出来るウィンドウ付きや、助手席部分を折りたたんでカーゴスペースを増やせるメッシュタイプなども選択可能です。
シートは、座り心地に定評がある、大ぶりなサイズでコシがあるもので、長時間座り続けるユーザーも想定して、とてもしっかりとした作りのものになっています。バンではフロントの2座が標準装備で、乗用モデルのコンビには、6:4で分割可倒可能なリアシートが付くのに加え、全モデルで畳んでカーゴスペースの拡大や、作業テーブルにもなる、可倒式の助手席もオプションで選択できます。
積載能力は、最大積載量660kgでコンパクトLCVクラスでは大容量を誇ります。室内スペースは助手席が折り畳めるオプションのシートを選択した場合、2.59mというクラス最大の長尺のものも積載可能です。
「高い積載能力の使い方はあなた次第」、ビジネスだけでなく、バイクや自転車などもそのまま積める、趣味のトランスポーターの用途としても活躍してくれるでしょう。
フォード トランジット クーリエのショー発表時動画 インテリアとカーゴスペースの紹介 (約40秒)
フォード トランジット クーリエのPV動画 ユーティリティの紹介 (約1分20秒)
フォードの力作ユニット、1.0Lエコブーストエンジンがベストマッチ
エンジンは3種類が設定されています。ガソリンは1種類、1.0L直列3気筒ターボのエコブースト(EcoBoost)125PSと、ディーゼルは2種類、どちらも直列4気筒の1.5L 74PSと1.6L 94PSのデュラトルク(Duratorq)となります。
お勧めしたいのは、やはり1.0L直列3気筒のエコブーストです。このエンジンは日本にも正規輸入車として導入済みのフィエスタに搭載され、絶賛に近い評価を受けています。3気筒という一般的に振動が大きくなるエンジンレイアウトですが、入念にバランスを取ることで、バランサーシャフトを用いずに低振動を実現しています。パワーも最高出力125PS(最大トルクは170Nm)と、リッターあたり100PSを軽く超える商用バンでは異例のハイチューンですが、気難しいところもなく回転もスムーズです。燃費も欧州複合燃費で19.2km/L(アイドリングストップ付きモデル)とクラストップレベルの低燃費性能を実現しています。
実際このエンジンはフィエスタなどのコンパクトカーだけでなく、Dセグメントのモンデオまで幅広く採用されている、現在の欧州フォードでイチオシの力作ユニットと言えるでしょう。実際に2012年から3年連続でインターナショナル・エンジン・オブザイヤーに選ばれていることも、評判の良さの裏付けとなります。
商用車として扱いやすく「走れる」足回り
足回りは、フロントはフィエスタ譲りのマクファーソン、リアはトランジットの耐久性を実現するリジットです。欧州フォードの足回りは、フォーカスSTなどスペシャルモデルは勿論のこと、フィエスタやエコスポーツのようなベーシックモデルまで、粘り強く安定した、運転が積極的に楽しめるもので定評がありますが、トランジット クーリエも例外ではありません。耐久性も持ちつつ、運転の楽しめる足回りとハンドリングは「走りを楽しめるバン」と言えるでしょう。
駆動系は、前輪駆動のモデルのみで、ミッションは全て5速マニュアルのみとなっていますが、ギアを駆使してキビキビと走れます。
また、安全性も高く、2015年のEuro NCAPでは、クラストップレベルの4つ星を獲得しています。
総評:「オールマイティに使えるプロスペックなコンパクト」
トランジット クーリエは、小さなボディに大容量のカーゴスペースを持ち、エコブーストエンジンは走りも楽しめ、プロユースにも答えられるヘビーデューティーさも持ち合わせています。
一方、デザインはシンプルですが、商用車でもちゃんとデザインされているため洒落ていて、さりげなくお店や会社、そして街にもマッチして欧州の雰囲気を演出してくれるはずです。
これらビジネス用途だけではなく、趣味のトランスポーターとしても使える、まさに「オン」も「オフ」も両立できる「オールマイティーに使える、プロスペックなコンパクト」であると言えるでしょう。
人気市場のコンパクトLCV、ライバルとの比較は?
今や欧州市場で人気のコンパクトLCV、トランジット クーリエのライバルは、日本でも正規輸入車として導入され大人気な、ルノーカングー以外にも、フィアット フィオリーノや、プジョー ビッパー、シトロエン ネモの3兄弟に加え、最近ではメルセデスベンツもカングーをベースとしたシタンで参入したぐらいです。
トランジット クーリエのメリットは、乗用車ベースの、素晴らしい走りと商用車とは思えないクオリティの高さ、エコブーストエンジンの高い出力と経済性、そして何よりトランジットのイメージとヘビーデューティーな用途にも答える耐久性は、頭一つ抜けています。
しかし、各メーカーのモデルには、それぞれの味があり、フィオリーノ、ビッパー、ネモの3兄弟のモデルでも、フィアットはエンジンの活発さ、シトロエンは乗り心地の良さ、プジョーは高速走行の安定性と、ベースは同じでも味付けが異なるため、メーカーの特色がよく表れています。
トランジット クーリエも素晴らしいバンですが、他のライバルモデルも特色があり甲乙つけがたいところです。お客様のニーズとデザインや乗り味が合ったモデルを、お好みで選んでみてください。
多数のオプションから、自分好みのトランジット クーリエをビルドしてください
トランジット クーリエのグレードには、名前の通り最小限の装備を備えたグレードのベース(Base)と、装備を充実させたグレードのトレンド(Trend)があります。全車標準でESCスタビリティコントロールや、ヒルスタート、Bluetooth対応オーディオなどが装備され、トレンドには、15インチフルホイールカバー、フロントフォグライト、ヒーテッドドアミラー、オートライト、雨滴感知ワイパー、ワンタッチパワーウィンドウなどが装備されています。
オプションは、マニュアルエアコン(トレンドにはフルオートエアコンも選択可能)や、助手席エアバッグは日本で乗る場合必須のものとして挙げられます。続いてアイドリングストップ(Start-Stop)は燃費向上のためにもオススメです。
エアコンなどは、パックオプションとして、マニュアルエアコン(保冷庫機能付き)、レザーステアリング、パーキングセンサーがセットのコンフォートパックが用意されています。他にもパックオプションとして、15インチアルミホイール、リアパーキングセンサー、ルーフラックがセットのスポーツパックもあります(トレンドのみ選択可能)。
その他のオプションは、前述のドアのタイプや、シート、バルクヘッドなどニーズに合わせて各種細かく選択できるようになっていますので、自分好みのトランジット クーリエをビルドしてみてください。
お勧めは1.0Lエコブーストのバン・トレンド、MT、右ハンドルモデル
フォード トランジット クーリエを選ぶなら、B-MAX、エコスポーツなどと同じく、1.0Lエコブーストを搭載した、バンの上級モデルであるトレンド、コンフォートパック付き、5速MT、右ハンドルモデルがオススメです。
荷物を沢山積んで沢山走る営業車や、趣味でガンガン使われる方には、コンパクトLCVというジャンルはきっと良きパートナーになってくれると思います。
特に、コンパクトLCVというと「日本では右も左もカングーばかり!」とお思いの方には、日本のバンとは一味違う、欧州本場仕込みのお洒落でタフなトランジット クーリエのバンモデルは、格好の一台となるでしょう。
スペース効率の良いコンパクトカーでも、「流石にパネルバンはちょっと」という方や、乗員の快適性をお求めの方は、以前に御紹介した同社の1.0Lエコブーストエンジンを搭載したMPV、B-MAXもオススメです。
もちろん、エコブーストモデル以外にデュラトルクディーゼルエンジン搭載モデルや、リアシートが付いた5人乗りのコンビなども並行輸入出来ますので、お気軽に御相談ください。
フォード トランジット クーリエのCM動画とメイキング (約1分10秒)
トランジット クーリエ 1.0Lエコブーストモデルの日本国内での乗り出し価格は?
フォード トランジット クーリエの英国での販売価格は、1.0Tエコブースト バン・トレンド、コンフォートパック付き、5速MTモデルの標準仕様で12,395ポンドです(コンフォートパック分の650ポンドを含む)。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
既に生産終了、あるいは新型・後継モデルが発表済のモデルです。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。ご対応ができない場合もございます。
※表示金額はご覧になっている時点での為替レートにて算出しております。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
高年式フォード トランジット クーリエの輸入中古車も狙い目!
新車はちょっと・・・という方には、現地で流通している高年式の中古車やディーラーデモカー等がオススメです。中には、現行モデル、走行50-100マイル程度の極上コンディションの出物があったりします。ご希望をお聞かせいただければ、条件に近いものをお探しいたします。
スペック表
車名 | フォード トランジット クーリエ / FORD Transit Courier 1.0T EcoBoost |
サンプルモデル | Van Trend 1.0T EcoBoost with Comfort Pack / 5MT |
イギリス販売価格 | £12,395(Comfort Pack £650を含む) |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 4 |
カラー | ブラザーブルー(標準色) フローズンホワイト(標準色) レースレッド(標準色) ムーンダストシルバー(OP/MTL) パンサーブラック(OP/MTL) ディープインパクトブルー(OP/MTL) テクトニックシルバー(OP/MTL) マグネティック(2015年8月追加予定/OP/MTL) アイスベルグ(トレンドシリーズのみ/OP/SPM) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 ※SPM:スペシャルメタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4157× 1764 × 1747 mm |
ホイールベース | 2489 mm |
トレッド(前/後) | 1494/1479 mm |
車両重量 | 1120 kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 5MT |
エンジンタイプ | 水冷直列3気筒12バルブ インタークーラー付直噴ターボ |
総排気量/内径x行程 | 999cc/71.9×82.0mm |
圧縮比 | 10.0:1 |
最高出力 | 100PS/6000rpm |
最大トルク | 170Nm/1400rpm |
燃料タンク容量 | 52L |
燃費 | 18.5km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
ホイール | 17インチホイール |
最高速度 | 180km/h |
0-100km/h加速 | 12.7秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
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※本記事は2015年11月25日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。