スポーツプジョーの代名詞として未だに人気の衰えを感じさせない106S16/ラリー16V。YMワークスでも大規模なメンテナンスのご注文の多い車種です。
今回ご紹介するこのプジョー 106ラリー16Vは、もともとYMワークスにて並行輸入した個体で、ヤレが少なかったこともあり2011-2013年にかけて「106再生計画」と称し、YMワークスの持てるノウハウの全てを投入、当時考えうる最大規模のレストアを施した車両です。ベース車から受け継いだのはボディ本体とエンジンブロック・ミッション及び一部のボディパネル他、ごく僅かで、補機類や電装系、ダッシュボードから内装に至るまで、可能な限りの新品部品を装着(通常修理や普通のレストアと違い、ココがキモです。)して仕上げられました。
ここまで新車に近い状態まで仕上げた106は国内はもとより海外に目を向けてもまずないと思います。販売後の利用状況・保管状態も良かったため、現在でもかなりのコンディションを維持しています。見方によっては現在、一般流通する中で最も新車に近いコンディションを維持している106といえるのではないでしょうか。
この記事の目次
- 1 「106再生計画」のコンセプト
- 2 レストア内容とレストア時の記録
- 2.1 エンジン・補機類はもちろん、ダッシュボード・内張りまで全て外したホワイトボディの状態からのフルレストア。
- 2.2 ボディ各部に補強材を溶接、大量のスポット増しも実施。
- 2.3 ポルシェ指定工場でホワイトボディ状態での焼付全塗装を実施。
- 2.4 交換可能なパーツは全て新品を投入。
- 2.5 エンジン・ミッションはフルオーバーホール、LSD、ハイコンプピストンも組込み。
- 2.6 インテリアはダッシュボード、メーターパネル、エアコン関係、内張に至るまで新品パーツを投入。
- 2.7 シートはレザー+アルカンターラ仕様に張替え、Rallyeのロゴ刺繍も。
- 2.8 足回り・ブレーキはノーマルを踏襲、ホイールはMICHELIN製の純正白鉄チン。
- 2.9 エンジン・ミッションの搭載と各部の仕上げ
- 3 レストア後の走行距離は僅か11,000km程。現車の今後の維持管理について。
- 4 装着・組込み済みチューニングパーツ
- 5 プジョー 106 ラリー16V フルレストア車両の価格と車両個体情報
- 6 プジョー 106 ラリー16V フルレストア車両の現況 車両詳細画像ギャラリー
- 7 関連リンク
- 8 掲載中の中古車に関するお問い合わせ
「106再生計画」のコンセプト
この個体は「106再生計画」の先行テストケースとして、レストア時より、5-10年程度は基本的なメンテナンスと消耗品交換で気持ちよく乗れる106を目指しました。機能部品はもちろんのこと、目に見える、人の手に触れるという部分は、純正部品(一部OEM部品)による可能な限りの新品パーツ交換を行うとともに、新車時のクオリティを再現すること、に主眼を置いています。
レストア内容とレストア時の記録
エンジン・補機類はもちろん、ダッシュボード・内張りまで全て外したホワイトボディの状態からのフルレストア。
とにかく外せるものは全て取り外しました。エンジン・補機類はもちろんのこと、サスペンションからアーム、燃料タンク、ダッシュボードから内装のカーペットに至るまで全部です。
ボディ各部に補強材を溶接、大量のスポット増しも実施。
ヤレが少ないとはいえ、元々は中古車ですから相応の劣化は出てきています。そこで106のボディ剛性上の弱点を意識し、バルクヘッド部を中心に補強材を溶接、ドア開口部やウィンドウ周りには大量にスポット溶接を実施しました。ノーマルとは一味違うボディの剛性感が得られています。
ポルシェ指定工場でホワイトボディ状態での焼付全塗装を実施。
ボディの補強が終了した段階で、最低限度の移動用架装を施し、全塗装を行っています。塗装を依頼したのは近隣にある「ポルシェ指定塗装工場」です。ここは国内でも屈指の技術を持った「板金・塗装工場」で塗装に一過言あるポルシェレベルで入念に塗装作業が行われました。
交換可能なパーツは全て新品を投入。
普通の修理やレストアと大きく異なるのが「交換可能なパーツは全て新品交換」であることです。使えそうだから、リビルドできそうだ、ということを徹底的に廃し、可能な限りの新品パーツを投入しました。パーツ代だけでも106の新車が買えるぐらいになります。
エンジンルームではエンジン・ミッション以外のほぼ全ての補機類・関連配管を、外装ではランプユニット、ウィンドウ、内装に至ってはダッシュボード(ブロアモーター、ルーバー等を含む)、メーターユニット、フロアカーペット、内張り等、ほぼ全部のパーツが新品に換装されました。
106の純正パーツは国内・本国を問わず、欠品が多数出始めており、YMワークスがこれまでに構築してきたパーツ入手ルートをフル活用して集めました。一部、問題ないと思われる箇所にはOEMパーツ(純正部品製造メーカーの自社ブランド販売部品)も使用しています。正直、国内でここまでの106純正パーツを用意できるお店もそうはないと思います。
エンジン・ミッションはフルオーバーホール、LSD、ハイコンプピストンも組込み。
エンジンブロックとミッションは、ボディとともにベース車から引き継いだ数少ない部分ですが、バラせるところはバラし、手を入れられる部分はほぼ全て手を入れています。
まず、ミッションは全て分解、フルオーバーホールし、機械式LSDを組込みました。もちろんクラッチもオーバーホール済みです。
ヘッド部も全てバラし、YMワークスの定番メニューである「MAX FLOW HEAD(ポート研磨・拡大加工)」を施工しました。吸排気バルブも研磨加工を施しています。シリンダーブロックは僅かにボーリング加工を施し、オーバーサイズの鍛造ピストンをクランクのOHとともに組込んでいます。加えて、定番の「Superchips ECU書換え」を実施。排気系には等長ステンエキマニを耐熱テーピング仕上げで装着しました。
これらの相乗効果で低中速トルクは大幅にアップ、高回転域のパワー感を犠牲にすることなく、タウンユースでもその違いを実感していただけます。
現車はエンジンの最終組上げ時に、オーナーから実用域を重視したい、との意向を受けておりましたので、見送りましたが、高回転域を重視、という方には「ハイリフトカムシャフト」への換装も別料金で承ります。
インテリアはダッシュボード、メーターパネル、エアコン関係、内張に至るまで新品パーツを投入。
インテリアの多くは目に見え、手に触れる部分。ここでもほどんどのパーツを新品交換しています。通常は交換することが滅多にないダッシュボード、エアコン関係のエバポレーター、ブロアモーター、ルーバー他、電装系の配線もほぼ全て新品に置き換えられました。
シートはレザー+アルカンターラ仕様に張替え、Rallyeのロゴ刺繍も。
元オーナーはシートをフルバケに交換し使用してきたので、ほぼ未使用のノーマルシートが保管されており、前席はそれを使っています。基本はオリジナルに拘ってはいますが、ここは近年のスポーツモデルを範としてサイドをレザー、センターをパンチングメッシュのアルカンターラに張替えました。カラーリングは内装のイメージに合わせブラック系とし、センターバックには「Rallye」のロゴを配しています。リアシート、ドア内張り、純正ステアリングも同じ素材を使用しました。なかなか良い感じに仕上がったと思います。
足回り・ブレーキはノーマルを踏襲、ホイールはMICHELIN製の純正白鉄チン。
マスターシリンダーをはじめブレーキ構成部品も全て新品交換済みです。ステンメッシュのホースを入れた以外、足回り・ブレーキはとりあえず、ノーマルを踏襲しています。これはオーナーの好みが分かれる部分でもあり、購入後に仕上げる余地を残したものです。また、本来は106S16と同じ14インチのアルミホイールが標準仕様なのですが、真円性が高く、より軽量で人気のあるMICHELIN製 純正スチールホイールをセレクトしています。
エンジン・ミッションの搭載と各部の仕上げ
各部に新品パーツを組み付けていきます。組み上がったパーツの状態をご確認ください。前後ウィンドウの組込みは専門業者に依頼しました。
レストア後の走行距離は僅か11,000km程。現車の今後の維持管理について。
現車はレストア後、ほぼ5年が経過しましたが、元オーナーの配慮により内外装ともにキズ・汚れ等はほとんどなく、かなりのコンディションを維持しています。レストア後の走行距離は僅か11,000km程で、機関の調子も上々です。
しかしながら、経年劣化に伴う消耗品の交換は必要とされる時期に来ていることも事実。エンジンオイルをはじめ必要と判断した油脂類や消耗品は全て交換してから納車いたしますが、気持ちよく、長く乗るためにも定期的な点検整備をキッチリ行っていくことが肝要と思います。
また、足回り・ブレーキはパッド・フルードの交換程度でいましばらくは問題ないと思いますが、好みが分かれる部分でもありますので、お好みの仕様にしたいという方は別途ご相談ください。
装着・組込み済みチューニングパーツ
この個体にはレストア時に、定番といえるチューニングパーツの組込みを多数行っております。
- 機械式トルセンLSD
- Superchips ECU ROM書換え
- YMワークス MAX FLOW HEAD加工
- 鍛造オーバーサイズピストン組込
- ステンレスエキゾーストマニホールド(耐熱テーピング済み)
- YM SPORT エアインダクションキット
- ステンメッシュブレーキホース
- YM SPORT クイックシフト
プジョー 106 ラリー16V フルレストア車両の価格と車両個体情報
106S16は最終モデルの販売後、もうすぐ15年が経過しようとしています。一部中古車の中には走行距離が3万km程の個体も見受けられますが、補機類・消耗品をはじめとする経年劣化は相応に進んでおり、いつどこで何が壊れてもおかしくない状況にあると言えます。
YMワークスをご利用の106ユーザーの方々の中には未だに高額な整備・修理・パーツ交換をご依頼の方が少なくありません。キチンとした状態で乗ろうと思えばある程度の覚悟が必要なクルマになりつつあることも事実です。
この車両の最大のポイントは5年前とはいえ、「ほぼ全てのパーツ交換を実施している」ことにあります。確かにレストア直後よりは信頼性や安心感が低下していることは否めませんが、それでも新車時からのパーツを数多く引き継いでいる一般市販中古車とは比較になりません。塗装についてもかなりの高品位塗装が施されていますのでコーティング等を定期的に施工すればまだまだ高いコンディションを維持できるでしょう。
少々、割高に感じられる方もいるかと思います。しかしながら、これまでご紹介してきた作業を実施し、パーツ代・工賃・外注作業費等をまともに計算していたら500万円クラスの価格になってしまいます。この個体は、その後のレストア車両の実験的意味合いを含めたテストケースとして可能なことは全部やる、という方針のもとに製作・施工したものですので、事実上、工賃等を考慮しない価格でご提供しています。
これから106を低コストでキッチリした形で乗り続けたいという方に自信をもってオススメできる車両です。
車名 | プジョー 106 ラリー16V フルレストア車両 PEUGEOT 106 Rallye16V |
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販売価格 | 売却済み(レストアご希望の方はお問合せ下さい) |
型式 | -S2S- |
初度登録 | 2001年07月 |
車検 | 2019年3月 |
走行距離 | 約11,000km(フルレストア後) |
ハンドル | 左 |
ドア数 | 3 |
カラー | ビアンカホワイト |
全長x全幅x全高 | 3690×1620×1370mm |
車両重量 | 約920kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 5速マニュアル |
エンジンタイプ | 水冷直列4気筒DOHC16V |
総排気量・内径×行程・圧縮比 | 1587cc・78.5×82.0mm・10.8 |
最高出力 | 118ps / 6600rpm (ノーマルカタログ値) |
最大トルク | 14.5kgm / 5200rpm (ノーマルカタログ値) |
燃料タンク容量 | 45(無鉛プレミアム) |
タイヤ・ホイール | 前後:185/55R14・ホイール:5.5Jx14 |
修復歴 | フルレストア車の為、分類上は有りになります。 |
特記事項 | YMワークス継続整備車両、保証3カ月 |
プジョー 106 ラリー16V フルレストア車両の現況 車両詳細画像ギャラリー
クリックで大きい画像が表示されます。
関連リンク
本個体のレストア作業の記録
2011年から2013年にかけてのレストア作業の様子をご紹介したFC2ブログでの記事になります。掲載情報は当時のものですので価格情報等を含め参考程度にご覧ください。
- 【106S16強化再生計画】 -スタート-
- 【106S16強化再生計画】 -概要-
- 【106S16強化再生計画】 -解体編-
- 【106S16強化再生計画】 -ボディー補強編-
- 【106S16強化再生計画】 -塗装編-
- 【106S16強化再生計画】 -駆動系-
- 【106S16強化再生計画】 -エンジン編その1-
- 【106S16強化再生計画】 -エンジン編その2-
- 【106S16強化再生計画】 -補機類編-
掲載中の中古車に関するお問い合わせ
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※本記事は2022年1月4日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。