プジョー パートナー ティピー(Peugeot Partner Tepee)は、Cセグメントに属するフルゴネットをベースとしたLAV(Leisure Activity Vehicle)です。
2015年のフェイスリフトでデザインとエンジンラインナップが刷新され、パフォーマンスに磨きがかかりました。フルゴネットをベースとしたモデルならではの豊富な収納能力や、どの席でも同じ掛け心地になるようにこだわって作られたシートアレンジなど、フランス車の魅力を存分に味わえるユーティリティモデルに仕上がっています。
今回は、日本で乗りやすいボディサイズでありながらも、今まで一度も正規輸入されたことがないパートナーティピーを徹底解説します。新型パートナー ティピーを英国仕様の右ハンドルで並行輸入してみませんか?
この記事の目次
プジョー パートナー ティピーの歴史と特徴
初代モデルは1996年、プジョー306やシトロエンのクサラと同じプラットフォームをベースとした商用のパートナーと共に、パートナー コンビ(Partner Combi)の名前でデビューしました。「Combi」とは商用車をベースに乗用仕様にも対応した貨客両用モデルの名称です。
当時、このクラスのフルゴネットは、ハッチバック車のフロントセクションをそのまま流用し、後部セクションに箱型の貨物室をドッキングさせるという、乗用車と貨物車の半々のスタイルがメジャーでした。そのなかで、デザイン性と空力特性の向上を狙い、フロントから後部貨物室まで段差のないルーフで初めて一体化したのが初代パートナーでした。
翌1997年に登場した初代ルノーカングーと共に、欧州の道路事情に合ったコンパクトなサイズと、使い勝手の良さが多くのユーザに支持され好評を博しました。これ以降、LAVというジャンルが確立され、多くのライバルが参入することになります。
現行型である二代目モデルは、2008年にデビュー。コンビモデルから本格的な乗用モデルへ転換し、車名はパートナー ティピー(Tepee)に変更されました。「Tepee」とは、北米先住民族が使用していた円錐形のテントの名称に由来します。
初代の持っていた使い勝手やデザインを継承しつつ、ベースシャシーが308やシトロエンC4と同じPF2プラットフォームに変更され、ボディサイズはひと回り大きくなるとともに、居住性や積載性を向上させています。
エクステリア
最新のプジョーデザインにアップデートされたエクステリア
パートナー ティピーのフロントマスクにはデザインの変遷があり、2008年のデビュー時における207世代のフェーズ1、2012年のフェイスリフトでは508世代に合わせたフェーズ2となり、2015年のフェイスリフトでは2代目308のGT系に近いプジョーのデザイン言語に基づくものに変更され、フェーズ3となりました。
最新モデルのフロントグリルはバンパーから分離、独立し、508より採用された変形六角形タイプのグリルとなってヘッドランプの間に据えられました。グリル自体がメッキ化されたことに加え、兄弟車のシトロエンベルランゴと共通化が図られたヘッドランプと相まって、フェーズ2までのVラインを意識したグリルレスに近い先鋭的なノーズのデザインから、シックでワイド感のあるものになり、落ち着いた印象に変わりました。
グリルやバンパー開口部のデザインは、2016年春にデビューした上位モデルのトラベラーのフロントマスクとの共通点があり、今年以降に展開されるプジョーの新たなLCV/LAVラインナップにおけるファミリーフェイスを意識して先行採用されていたことがわかります。
ボディサイドは商用のパートナーと比較してリアクォーターウィンドウがガラス仕様となるほか、ドアミラーやドアプロテクター、ドアハンドルがカラード化されるなど、乗用車らしさに重点を置いたデザインが施されています。パネル自体はフラットなサイドパネルをベースに、前後ホイールアーチの膨らみによって柔らかなコントラストを作り出すことで、腰高になりがちな背の高いボディでも見た目の重心が低く見えるようなデザインが施されています。
リアのテールゲートは、リアコンビネーションランプのデザインとともに、商用のパートナーと外観上でもっとも異なる部分です。観音開きではなく一体型を採用しているため、テールゲートとしてはかなり大型ですが、リアウィンドウがガラスハッチとして独立して開閉可能になっているため、小さな荷物であればテールゲートを開けずに出し入れができます。
2016年10月以降は、UK仕様のラインナップが変更となりました。上級モデルの「ALLURE(アリュール)」がラインナップから外れ、無塗装パーツの装備を増やしてSUV系デザインが施された「OUTDOOR(アウトドア)」が新たにラインナップに加わりました。
このアウトドアは、UK市場でも2014年までは存在していたグレードで、2015年のフェーズ3以降は上級モデルであるアリュールと交代して姿を消していました。ベーシックモデルであるアクティブとアリュールは外観上の相違点が少なく、若干わかりにくいグレード構成でしたが、アウトドアとアクティブは外観上の差異が明確なため、どちらのグレードにするか選びやすくなったと言えそうです。
インテリア
抜群の収納性とシートアレンジに優れたインテリア
パートナー ティピーは室内のいたるところに小物入れが配置されており、その数はトータルで18ヶ所、総容量は90Lにも及びます。また、ラゲッジルームも標準の状態で675Lと十分な容量を確保しており、さらにリアシートのアレンジ次第で最大3,000Lもの大容量まで対応するなど、商用車ベースならではの積載性を備えています。
ベーシックグレードのアクティブでは60:40の分割可倒式シートを採用し、通常のシートバックフォールディング機構に加え、座面を引き起こしてフラットな荷室床面積を拡張できるダブルフォールディング機構や、シートそのものを脱着可能なデタッチャブル機構も備えています。上級グレードのアウトドアでは、一席ずつ独立した3分割シートに変更され個別に脱着できます。
なおアクティブには、荷室に独立した2席分のシートを増設した「7シートパッケージ」が用意されており、定員7名仕様にすることが可能です。この場合、2列目シートもアウトドアと同じ3分割シートに変更され、後部座席の5名分のシートは一席ずつ脱着可能なレイアウトになるため、さらに人と荷物のバランスを考慮した多彩なシートアレンジが可能になります。
乗用のLAVでは、7人乗り仕様が用意されていることはめずらしくありませんが、3列目シートはどうしても「たまに座る3列目」としての非常用シートの作りになりがちです。しかし、パートナー ティピーの3列目シートは、2列目シートに採用されているものと同じ仕様のシートが増設されるため、大人が座ってもしっかりとした掛け心地を得られます。また、分割式のおかげでカップルディスタンス(幅方向における乗員間の距離)がしっかりと取れるメリットもあり、3列目でも快適性が犠牲ならないよう十分考慮されたシート設計が施されています。
この3分割シートは、それぞれ独立したサイドサポートを備えた上で均等な大きさで分割され、どこに座っても同じ掛け心地になるように配慮されています。このようなシートアレンジや掛け心地に対する細やかなこだわりは、プジョーらしい美点です。
エンジン
ドライバビリティと低燃費を両立したエンジンラインナップ
UK仕様のパートナー ティピーには、4種類のエンジンが用意されています。
ガソリンエンジンは「VTi」と呼ばれる1.6Lのものと、2015年のフェイスリフトで新たに搭載された「PureTech」と呼ばれる新世代ユニットの2種類。ディーゼルエンジンは、最新型の「BlueHDi」と呼ばれるユニットが2種類用意されています。
【ガソリンエンジン(VTi/PureTech)】
・1.6L VTi 98
・1.2L PureTech 110
1.6Lの4気筒自然吸気のVTiエンジン(EP6CB型)は、PSAグループとBMWが共同開発した可変バルブタイミング機構を持つユニットで、98hpと98psと152Nmを発揮。5MTと組み合わせられます。これは「アクティブ」グレードのみに組み合わせられるパワートレインとなります。
一方、直噴3気筒ターボのPureTechエンジン(EB2DT型)は、PSAグループが開発した新世代エンジンとなっています。10年近くプジョーのB/Cセグメントモデルにおけるガソリンエンジンの主役を務めたVTiエンジンはその役目を終えつつあり、新世代のPureTechエンジンへとバトンタッチされました。プジョーの全ライナップにおいても、この2年間ですでに切り替えを終えつつありますので、現在のプジョーにおけるガソリンエンジンのメインストリームはPureTechエンジンといえます。
新世代ガソリンエンジンとして搭載された1.2L PureTechエンジンは、世界中のモータージャーナリストが選定するインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの1.0L~1.4L部門において、2015年と2016年の2年連続で最優秀賞に選ばれました。それまでこの部門における最優秀エンジンは、9年連続で不動の王者だったVWの誇るTSIエンジンであり、それを打ち破っての受賞となれば、PureTechエンジンがいかに優れたエンジンなのかがわかると思います。
1.2L PureTech エンジンは、110hpの最高出力に加え、2.0L自然吸気エンジンに匹敵する205Nmの最大トルクを1500rpmという踏み始めからすぐに体感できる低回転から発生させ、3,500rpmまで維持するフラットなトルク特性を持たせています。これにより、アクセル開度が小さくても日常的な範囲内で必要十分なドライバビリティを得られるのと同時に、意識せずとも優れた省燃費性能を得ることができます。
3気筒エンジンというと、日本市場では660ccの「軽自動車用エンジン」というイメージが強いですが、欧州車の1.0L~1.2Lクラスにおいて3気筒エンジンは主流になりつつあり、ダウンサイジングターボと同様に高効率化を含めた環境技術トレンドの一つです。BMWはすでに1.5L級のエンジンまで3気筒化を進めていますし、日本のメーカーもこのクラスのエンジンの3気筒化が進みつつあります。
3気筒化する目的は、気筒あたりのシリンダー容積(排気量)を大きくすることで、爆発力を高めて同排気量の4気筒エンジンよりも大きなトルクを発生させることと、摺動部分が減ることによるフリクションの低減、冷却損失を抑えて熱効率を高めることで省燃費性能を向上させる狙いがあります。
その代償として、アンバランスな奇数気筒数エンジンの宿命であるエンジンブロック全体を回転させようとする偶力の発生により、4気筒エンジンよりもエンジン振動が大きくなるデメリットがあります。小排気量エンジンにおける3気筒化のメリットを理解しつつも、なかなか量産モデルへの搭載に踏み切れなかったのはこうした問題によるものです。1.0L以上の3気筒エンジンは以前からあるにはあったのですが、それは部品点数を減らすなど、低コスト化を主眼とした目的で開発されたエンジンが多く、振動問題には目をつぶったものが多く見られました。
もっとも大きな課題となる振動への対処は、それを打ち消すバランサーシャフトをエンジンブロックに組み込むという直接的な対策を施した上で、乗員がもっともエンジン振動を感じやすい停車時は、近年普及したアイドリングストップ機構によってエンジンが停止するという副次的なメリットにより、実用上ほとんど気にならないレベルに抑えこまれています。
自動車メーカー各社が3気筒エンジンを積極投入するようになったのは、環境性能向上(CO2排出抑制や低燃費)から生まれた必然性と、それを支える周辺技術によって従来のデメリットを実質的に解消できる目処が立ったことで、市場投入に大きな弾みがついたことが大きいようです。
なお、2016年10月のグレード構成の変更により、新グレードのアウトドアにも1.2L PureTechエンジンが設定されたため、アクティブと合わせてどちらのグレードでもガソリンエンジンが選択可能になっています。
【ディーゼルエンジン(BlueHDi)】
- 1.6L BlueHDi 100
- 1.6L BlueHDi 120
ディーゼルエンジンの排気量はすべて1.6Lのターボディーゼルエンジンで、チューニングの違いで出力とトルクが異なり、 100hp、254Nm仕様を中心として、「アウトドア」グレードには120hp、300Nm仕様も
2015年のフェイスリフトで搭載されたクリーンディーゼルのBlueHDiシリーズは、2013年に登場した新しいエンジンです。308や508などにも搭載され、2016年7月から日本市場にもこのエンジンを搭載したモデルの正規輸入が開始されました。1.6Lの120hp仕様は日本仕様の308に搭載されたのと同じエンジンで、100hp仕様のBlueHDiエンジンは日本未導入ですが、欧州仕様の2008やシトロエンのC4カクタスなどに導入されています。
BlueHDiエンジンは、排気ガス浄化の第一段階として酸化触媒で一酸化炭素(CO)と未燃焼炭化水素(HC)を分解し、水と二酸化炭素に還元。第二段階で尿素水溶液(AdBlue)SCRフィルターによって窒素酸化物(NOx)を90%削減し、残りを水と窒素に変換します。最終の微粒子フィルターで燃焼後に出る粒子状物質(PM)を99.9%除去して、排出ガスを徹底的にクリーン化するという三段構えの浄化技術を搭載していることが大きなポイントで、これらの技術によってEuro6適合を実現しています。
SCRフィルターで必要となる尿素水溶液(AdBlue)は定期補充の必要な消耗品であり、プジョーでは1年または1万kmを基準に補充が必要とされています。そのため、AdBlueの残量が規定値をを下回った場合、残りの走行可能距離が2400kmの時点でメーターパネルに走行可能距離が表示され、AdBlueの補給を行うよう警告表示がされる仕組みになっています。
トランスミッションは、100hp仕様には通常の5MTと、6ETGというクラッチの接続を自動で行う2ペダルMTを搭載、また12ohp仕様では6MTが搭載されます。
ETG仕様の場合、インパネシフトのレバーがなくなる代わりに、シフトポジションの変更はインパネのセンターパネルにあるダイヤルで選択し、変速はコラムカバーに設置されたパドルシフトで行います。インパネシフトのために出っ張っていたセンターコンソールがかなりスリムなデザインに変わりますので、サイドスルーがより楽にできるようになるのも大きなメリットです。このETG仕様は1.6L BlueHDi 100 搭載車のみの設定となっています。
上級モデルのアウトドアには、専用仕様として、ハイパワーな120ps 6MT仕様も用意されています。
2016年10月以降からのモデルでは、アクティブに設定されていた75ps仕様のBlueHDiエンジンが廃止されたことにより、アクティブのディーゼルエンジンは100ps仕様のみのラインナップに変更となりました。
足回り
乗り心地を重視した足回り
パートナー ティピーのサスペンションは、フロントにマクファーソン・ストラット、リアにはトーションビームを採用しており、FF式の乗用車として一般的なサスペンション形式となっています。
LAVは商用車をベースとしていることが多いため、リアのサスペンション形式は耐荷重性能で有利なリーフスプリング式をそのまま採用しているモデルが多くあります。その点、パートナーシリーズでは商用も乗用でも一般的な乗用車と同じトーションビームのコイルスプリング式を敢えて採用したところに、フランス車らしい乗り心地へのこだわりの一端が垣間見えます。またパートナーティピーのホイールベースは2728mmと、同一クラスのライバルと比較して長めに取られていますので、高速走行時における直進性も有利です。
燃費
ガソリンでもディーゼルでも優れた経済性
日本のJC08モードに近いといわれる「欧州複合モード」のカタログ燃費で比較してみましょう。
【ガソリンエンジン】
・1.6L VTi 98:15.4km/L
・1.2L PureTech 110:19.3km/L
こうして両エンジンを比較してみると、1.6Lエンジンはエンジンスペックも燃費性能も1.2Lエンジンを下回ります。また、日本では税制上、自動車税の金額は1.2Lの方が低くなるメリットもあるため、経済性の面では積極的に1.6Lのガソリンエンジンを選択する必然は感じられません。
対して、最新世代の1.2L PureTechエンジンは、日本仕様の208/2008/308にも搭載されているエンジンと同じ仕様のエンジンで、2.0L自然吸気エンジン並みの動力性能を持ちながら、ディーゼルエンジンに近い省燃費性能を併せ持ちます。19.3km/Lという燃費は、前方投影面積が大きくなりがちで、空力性能や燃費性能で有利とは言えないLAVタイプのボディを持つモデルとしてかなり優秀な数字です。
【ディーゼルエンジン】
・1.6L BlueHDi 100 5MT:24.1km/L
・1.6L BlueHDi 100 6ETG:23.5km/L
・1.6L BlueHDi 120 6MT:22.4km/L
LAVのライバルであるVW キャディ ライフのメインエンジンは2.0Lディーゼルエンジンですが、パートナー ティピーのディーゼルエンジンは1.6Lでほぼ同出力&同トルクとなっています。燃費に関しても小排気量エンジンの強みで、パートナーティピーの方が良好です。
ただし、キャディ ライフはパートナー ティピーよりも200kg近く重く、2.0L級のディーゼルエンジンが必要となるのも理解できます。(エンジンの実性能は数値的なスペックだけではなく、数字に表れない過渡特性も重要です)
実質燃費をカタログ値の7割程度だと仮定しても、60Lの燃料タンクをフルに給油にしてからの航続距離は1000kmを超えます。この距離ですと、東京から九州北端の門司港までを無給油で走りきれる計算になりますので、BlueHDiエンジンが優秀な燃費性能を持っていることがわかります。
総評
LAVの魅力を存分に味わえる一台
広大なキャビンに、豊富な収納スペースと拡張性の高いラゲッジルーム、どこに座っても快適なシートと多彩なアレンジ誇りながら、実用的になりすぎず、どこか楽しい空間を提供するインテリア。優れた環境性能と経済性、高い動力性能を両立した新世代パワートレーンの組み合わせは、たくさんの荷物を積んでみんなでワイワイ言いながら、遠出したくなる魅力に溢れています。
これほどの高いユーティリティを持っていながら、日本へ正規輸入されていないのが本当に惜しいと思います。そう感じられるほどにLAVの魅力をボディ全体で伝えてくるのが、パートナーティピーの魅力といえるでしょう。
パートナー ティピーのライバルは?
パートナー ティピーのライバルをピックアップしてみましょう。
【ルノー カングー】
最初に取り上げるのは、プジョーと同じフランス車であるルノーのカングー。日本でもっとも知名度のあるLAVです。
パートナー ティピーとは、フランス本国でもライバル関係にあります。お互いによく研究しているだけあって、大きく差がつくところはないものの、リアテールゲートの仕様やスライドドアガラスの開閉方式などは好みが出るかもしれません。
エンジンは新世代の1.2L直噴4気筒ターボエンジンと、満を持して投入されたデュアルクラッチトランスミッション6速EDCとの組合わせでパワートレーン系を完全刷新しました。この6速EDCは日本市場のために開発され、欧州よりも先に投入されたという経緯からも、ルノーがカングーの販売において日本市場をいかに重要視しているかがうかがえます。
また、日本へは正規輸入されていませんが、カングーをロングホイールベース化し、3列シート定員7名とした「グランカングー」もラインナップされています。
【フィアット ドブロ】
フィアット ドブロはパートナーシリーズとよく似た構成ですが、積載性の高さや独特なバイリンク式のリアサスペンション、さらにデザインやカラーリングも個性的でイタリア車らしいモデルと言えます。パートナー ティピーよりすべてのディメンションで上回るボディサイズを持っているのは、ライバルのなかでドブロのみです。
そのため、最大積載容量は3200Lと、パートナー ティピーよりも更に200Lも多い充実した積載性を誇ります。ただ、パワートレーンに関してはガソリン/ディーゼル共に、最近のトレンドであるダウンサイジングエンジンなどは搭載されず、従来からあるマルチジェットディーゼルエンジンをメインに展開しています。
【フォード トルネオコネクト/グランドトルネオコネクト】
英国でも人気のある欧州フォードのトルネオ コネクトは、座席数とホイールベースの組み合わせでボディタイプが分類されています。ショートホイールベースで2列シートの定員5名仕様をトルネオ コネクト、ロングホイールベースで3列シートの定員7名仕様としたモデルは、グランド トルネオ コネクトとよばれています。
注目はパワーユニットで、わずか1.0Lの3気筒EcoBoostエンジンを搭載しています。このエンジンは100ps/170Nmというスペックを誇り、決して軽量ではないトルネオ コネクトを過不足なく走らせます。
どちらのモデルも、欧州フォードらしいスポーティなキネティックデザインのエクステリアを持ち、シートアレンジもパートナー ティピーとは異なる考え方ですので、見比べるとメーカーの考え方の違いが見えてきて面白いかもしれません。
【フォルクスワーゲン キャディ ライフ/キャディ マキシ ライフ】
キャディ ライフもパートナー ティピーと同じく2015年にデザインを一新しました。内外装ともに最新世代へアップデートされるのと同時に、各部の質感も大幅にアップしています。環境問題に対応しつつも、パートナー ティピーよりも排気量が大きく、高トルク/高出力なエンジンの設定があることは、たくさんの人の乗せたり、重い荷物を積む頻度が高いユーザーには見逃せない訴求点となります。また、ロングホイールベース版のキャディ マキシ ライフというモデルもあり、3列シートの定員7名仕様も用意されています。
パートナー ティピーのライバル達は、ボディサイズも近く、一見すると似たり寄ったりな印象がありますが、デザインやユーティリティ、シートアレンジ、荷室対する考え方に各社の開発スタンスが反映されており、単純な優劣をつけ難い部分があります。デザインの好みはもちろんですが、用途や、定員、シートアレンジなど使い勝手や経済性などを考慮したチェックポイント設けて確認してみると、ベストなモデルが見えてくると思います。
主要装備とオプション
パートナー ティピーは2つのグレードで構成されており、ベーシックな「アクティブ」、上級モデルでSUV風のエクステリアの「アウトドア」があります。
各グレードごとの主要装備詳細は下記をご覧ください。+ボタンで詳細が表示されます。
・リアスライドドア(両側)
・リアガラス独立開閉式テールゲード
・濃色ガラス(リア3面)
・カラードバンパー
・カラードドアミラー(電動調整式)
・カラードドアハンドル
・カラードドアサイドプロテクター
・ハロゲンヘッドランプ
・フロント&リアフォグランプ
・LEDデイタイムランニングランプ
・ラジオ/CDプレーヤー(ステアリングコントロールボタンつき)
・プジョーコネクト(Bluetooth&USB接続)
・フロントドアポケット&大型カップホルダー(1.5Lペットボトル対応)
・蓋付きセカンドグローブボックス(メーターバイザー内)
・フロントオーバーヘッドシェルフ
・二重底ラゲッジルーム
・脱着式リアパーセルシェルフ
・高さ調整式フロントシート
・高さ調整式ヘッドレスト
・60:40分割可倒式&ダブルフォールディングリアシート(脱着式)
・後席フロア小物入れ(蓋付き)
・フロントシートバックポケット
・パワーステアリング(チルト&テレスコピック機構つき)
・ワンタッチ式パワーウィンドウ(前席)
・マニュアルエアコン(グローブボックスクーラーつき)
・クルーズコントロール(スピードリミッターつき)
・15インチスチールホイール&ホイールトリム(205/65R15)
・フルサイズスペアタイヤ
・タイヤ空気圧センサー
ベーシックモデルとは言いつつも、過不足のない装備内容になっています。バンパーをはじめとした、カラードパーツがひと通り標準装備されているため、エクステリアから商用車っぽさは感じられません。
アクティブの装備に加えて
・ルーフレール
・ビジビリティパック(オートライト&雨滴検知式オートワイパー)
・フロントバンパーシルバーエフェクト(バンパーロアガーニッシュ)
・フロントバンパーアッパーブラック仕様(無塗装)
・ブラックドアハンドル
・フロアアンダーカバー増設&車高アップ
・シートセンターアームレスト(運転席&助手席)
・3分割式リアシート(個別脱着式)
・革巻きステリングホイール
・電動格納式ドアミラー
・フロント&リアパーキングセンサー
・デュアルゾーンオートエアコン
・タッチスクリーン式オーディオ
・16インチアロイホイール(215/55R16)*
上級モデルのアウトドアには、オートエアコンやパーキングセンサーなど、より快適性や使い勝手を高める装備も追加されています。
*アウトドアで6速ETG仕様を選択した場合のホイールは、スチール&ホイールトリムつきの15インチ(195/65R15)仕様となります。
以下の安全装備は全車種標準装備となっています。
【安全装備】
・運転席エアバッグ
・4輪ディスクブレーキ
・ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)
・EBA(ブレーキアシスト)
・EBD(ブレーキ圧適正配分機構)
・ESP(横滑り防止機構)
・ESS(緊急制動ハザードランプ)
・高さ調整式フロントシートベルト
・プリテンショナー&フォースリミッターつきフロントシートベルト
・リア3点式シートベルト
・リアISOFIX対応シート(リア中央席除く)
・集中ドアロック(速度感応式)
・チャイルドロック(電気式)
・キーレスリモコンドアロック
サイド&カーテンエアバッグはアウトドアでは標準装備ですが、アクティブはオプション装備となる点に注意が必要です。
オススメのオプション装備は?
純正オプションとして、車両注文時にしかオーダーできないオプション装備の一部をご紹介します。
【ゼニスルーフ(£583)】
アウトドアのみ設定されるゼニスルーフは、天井に4枚のガラス窓が装備され、前席から後部座席のセンターを縦断するようにルーフコンソールが装備されます。また、コンソールには後部座席専用の空調アウトレットが各席分装備されます。
コンソールそのものは巨大な収納スペースになっています。タオルやウェットティッシュ、絵本など、ファミリーユースではちょっとしたものを置いておきたいものですが、こういったものを室内に転がさずに収納できます。さらに、ラゲッジルーム真上のルーフにも開閉式の収納ボックスが追加装備され、室内からはもちろん、ガラスハッチを開ければ、外からも出し入れができます。この収納ボックスは実に60Lもの大容量を誇り、ルーフコンソール部分まで含めると84Lもの収納スペースが追加されます。ヘッドクリアランスの大きさを生かしたLAVならでは装備ですが、他のモデルでは見られない装備でもありますので、ぜひ装着したいオプションです。
【7シートパック(£704)】
「荷物よりも人を乗せたい」というご希望ならば、定員7名仕様になるこのパックオプションを選択しましょう。ベーシックグレードとディーゼルエンジンの組み合わせのみの限定された設定ですが、2列目シートも上級グレードと同じ個別脱着式3分割シートにアップグレードされますので、よりバラエティに富んだシートアレンジが可能になります。なお、ゼニスルーフとは同時装着できません。また、この7シートパックはアクティブの1.6L BlueHDi 100 S&S搭載車のみに設定されています。
オススメのメーカーオプションをピックアップしてみましたが、他にも魅力的な純正オプションが豊富に用意されています。
パートナー ティピーシリーズのおすすめグレード
パートナー ティピーのベストバイを探ってみましょう。
「装備充実で、じゅうぶんなパワーがあり、運転がラクな仕様」というご希望であれば、パートナー ティピー Outdoor 1.6L BlueHDi 100 6ETGをおすすめします。
基本的な装備はアクティブでも充実していますが、アウトドアを選べばオートエアコンや電動格納ドアミラーなど、日常的に使用する便利装備が標準で装備されますし、後席3分割シートの使い勝手も良好です。さらに開放感を演出するゼニスルーフを装着すれば、パートナー ティピーの魅力を最大限に味わうことができる仕様です。
さらに、モアパワーを望むなら「1.6L BlueHDi 120」エンジンを搭載するモデルとなりますが、そうすると選択肢はアウトドアに限られます。ただし、MTモデルのみとなります。
パートナー ティピーを日本に並行輸入した場合の乗り出し価格は?
プジョー パートナー ティピーのイギリスでの販売価格は、OUTDOOR 1.6 100ps BlueHDi S&S 6ETGで£20,305です。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
プジョー パートナー ティピーは正規輸入車されておらず、今後の導入可能性も低いモデルです。日本で乗る場合、並行輸入が最も現実的な方法です。ディーゼル仕様や左ハンドルの並行輸入も可能ですので、ご相談ください。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
スペック表
メーカー名 車種名のサイズやカラーなどスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | プジョー パートナー ティピー/Peugeot Partner Tepee |
エンジン、サンプルグレード | OUTDOOR 1.6 100ps BlueHDi S&S 6ETG |
英国販売価格 | £20,305 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | ビアンカホワイト アーデンレッド(OP) ブラック(OP) アルミニウムM(OP) トルネードグレイM(OP) カムラスグレイM(OP) シャークグレイM(OP) ヘーゼルナッツM(OP) キャノスブルーM(OP) ※OP:有料オプション ※M:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4,380 x 1,810 x 1,801 mm |
ホイールベース | 2,728mm |
トレッド(前/後) | 1,505mm / 1,554mm |
車両重量 | 1,399kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6ETG(シングルクラッチトランスミッション) |
エンジンタイプ | 直列4気筒ディーゼル |
総排気量/内径x行程 | 1,560cc / 75mm x 88.3mm |
圧縮比 | 未発表 |
最高出力 | 73kW(100hp) / 3,750rpm |
最大トルク | 254Nm / 1,750rpm |
燃料タンク容量 | 60L |
燃費 | 約23.5km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 205/65R15 15インチスチールホイール |
最高速度 | 169km/h |
0-100km/h加速 | 14.3sec |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
パートナー ティピーのカタログダウンロード
・プジョー 英国 パートナー ティピーのカタログ(Peugeot UK Partner Tepee)
パートナー ティピーの現地法人・ディーラーリンク
・プジョー 英国 パートナー ティピーのオフィシャルサイト(Peugeot UK Partner Tepee)
・プジョー 英国 パートナー ティピーのコンフィギュレーター(Peugeot UK Partner Tepee)
※本記事は2016年12月11日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。