ルノー セニック XMOD(Renault Scénic XMOD)はルノーが2013年にジュネーブショーで発表したモデルで、ルノーを代表する小型ミニバンのセニックにクロスオーバーの要素を与えた派生車種です。
セニックには2列シート5人乗りの標準モデルと、3列シート7人乗りのグランセニックがラインアップされていますが、セニックXMODは5人乗りのモデルをベースとしており、ベースモデルの使い勝手の良さは全て継承しながら、クロスオーバーらしいデザイン性を増しています。またイギリスなどでは、セニック全ラインアップの中でも、XMODが主力販売モデルとして位置づけられています。日本にはベースモデルのセニックを含めて、現在は正規輸入車として導入されていません。
そんな使いやすい大きさのクロスオーバーミニバンであるセニック XMODを徹底解説します。また、日本でも使いやすい右ハンドル仕様で並行輸入いたします。もちろん、ベースモデルのセニックや、7人乗りのグランセニックについても対応いたします。
この記事の目次
ルノー セニックXMODの特徴、ベースモデルとの違いは?
セニック XMODのベースとなったセニックの歴史は、1996年に遡ります。当初はハッチバックの乗用車であるメガーヌの派生モデルとしてメガーヌ・セニックを名乗り、フロントマスクもメガーヌとの共通性が高いものでしたが、1999年にフェイスリフトを受け、セニックとして独立、デザインも専用のものとなりました。この初代セニックはヒット作となり、ヨーロッパの小型ミニバンの元祖とも言うべき存在になりました。
2003年には2代目に移行し、またホイールベースを約5cm、全長を約20cm拡大して3列シート7人乗りとしたグランセニックが追加されます。これはセニックの登場に触発されたライバル勢が7人乗りモデルを展開していたことに対抗すると同時に、大型化が進む同社のエスパスでは大きすぎると感じる人たちからの需要に対応する意図もありました。
そして2009年にセニックは3代目に移行します。しかしライバルはいよいよ増加し、また、ルノーグループ自身からも傘下のダチアで、グランセニックと同クラスでより安価で経済的なロガンMCVを展開するなど、セニック/グランセニックの位置づけにも変化が生じました。そこでルノーは2013年のセニックのフェイスリフトのタイミングで、派生車種としてクロスオーバーのXMODを追加するに至ったのです。
実はセニックにはXMOD以前にもクロスオーバーモデルが展開されていました。セニック1ではサブフレームを追加した四輪駆動の本格的SUVとしてセニックRX4が、セニック2ではメカニズム面ではベースの共通としつつも、最低地上高をベースモデルから2cm上げたセニック・コンクエストが、いずれもモデルライフの半ばから追加されています。
今回のセニック XMODが、ベースグレードのセニックと、どの様な点で違うのか。セニック自体の特徴と合わせて、チェックしていきましょう。
2013年 ルノー セニック XMODのPV動画 (約40秒)
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樹脂パーツでワイルドさを増したエクステリア
3代目となる現行セニックが登場した2009年は、ルノーのデザイナーがパトリック・ルケマンからローレンス・ヴァン・デン・アッカーへの交代したタイミングに当たり、デザインの過渡期となったことから、セニックのフロントマスクもマイナーチェンジのたびに大きく印象を変えてきました。特に2013年の少変更では、それまでのグリルレス風のデザインから一転して大きなフロントグリルが備わり、現在のルノーの他のモデルとの共通性を高めたアグレッシブさを増したデザインとなっています。
フロントマスクに比べると、サイドビューは先代のセニック2からのキープコンセプトとなっており、リアに向かって下がっていくルーフラインと、後ろが切れ上がったサイドウィンドウが特徴的。これらはキャビンへの開放感と良好な空力特性を両立しており、空気抵抗を示すCd値は0.32と、ミニバンとしては優秀な値を誇ります。
更にXMODでは樹脂パーツを車体の全周に配し、バンパー形状等が見直されています。これはクロスオーバーらしいデザイン性に寄与したり、車体下部の傷を防ぐという点では勿論、最低地上高を上げることにも役立っています。セニック XMODの車高はベースモデルに比べて1.6cmと僅かな上昇幅に留まりますが、最低地上高はベースモデルよりも3cm上がった15cmを確保しています。これは本格的なクロスオーバーSUVには及ばないものの、日常的に段差を超えるときなどに気を遣わなくて済む最低限の数値です。
2013年 ルノー セニック XMODのジュネーブショーでの様子(約3分)
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洗練の進んだスタイリッシュなインテリア
セニック XMODのドアを開くと真っ先に目を引くのは、抑揚に富んだダッシュボードです。ハンドル正面から中央まで、なだらかな円弧を描くメータークラスター内には、マルチメディアディスプレイとデジタルメーターが収まっています。ルノーは1992年発表の初代トゥインゴ以来、エスパス、セニック、モデュスと、モノスペースのモデルでセンターメーターの採用を積極的に進めており、現行セニックでもセンターメーターが継承されていますが、表示位置は運転席側に強めにオフセットされており、センターメーターが苦手な方にも受け入れられやすい配置となっています。
内装の色調は黒く落ち着いた雰囲気にまとめ上げられています。シートは黒のファブリックを基本として、オプションでスウェードやアルカンターラレザーが設定されています。2列目は3座独立となっており、フル5シーターとして使えるのが特徴です。セニックXMODの使い勝手は、ベースとなったセニックとは全く相違ありません。
最新の直噴ターボガソリンエンジンと、2つのディーゼルエンジン
セニック XMODのエンジンはガソリンとディーゼルの2つがラインアップされています。
ガソリンエンジンは日本仕様のメガーヌやルーテシアでも採用されている1.2LのH5Ftと基本的に同じものですが、車体の大きなセニックに合わせてチューニングは変更されており、115ps仕様と130ps仕様の2つが展開されています。
ディーゼルエンジンは2001年の登場以来、タイミングベルトの長寿命化など、熟成が進んでいる1.5LのK9Kの110ps仕様と、最新鋭の1.6LのR9M、130ps仕様の2種類が展開されています。このR9Mはトラフィックやエスパスなどにも採用されているエンジンです。是非そちらの記事も御覧ください。
6MTと最新のデュアルクラッチ、悪路対応のGrip Xtend
セニック XMODの変速機は3ペダルの6MTを基本としつつ、110ps仕様のディーゼルにはゲトラグ製のデュアルクラッチトランスミッションである”EDC”を選択することが出来ます。EDCは現在は日本に正規輸入されているルーテシアやメガーヌにも採用されていますが、この変速機が最初に採用されたのはセニックでした。
駆動方式は前輪駆動のみですが、セニック XMODの6MTモデルには注目すべき装備として、ルノーグリップエクステンド(Renault Grip Xtend)が設定されています。これは積雪路やぬかるんだ道などでトルクを制御する”ルーズ・グラウンド”など、3モードからなる走行モードをドライバーが運転席のスイッチから選択出来るものです。本格的なオフロードや深雪を走ることが出来るものではありませんが、セニック XMODのクロスオーバーとしての存在感を高める装備です。
足回りはフロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーションビームという、近年のルノーでは定番の、また定評のある設計です。
総評:痒いところに手が届く絶妙なバランスのミニバン
2015年現在、ヨーロッパのミニバンやトールワゴンの需要はすっかりクロスオーバーSUVに持って行かれてしまった感があります。オンロードでの利用にちょうど良い程度の高さの走破性と、セダンやハッチバックよりは広い室内、そして見晴らしの良さを味わえば、クロスオーバー人気は大いに納得できるところです。
しかしパッケージングの良さやユーテリティ性の高さ、取り回しの良さで、ミニバンとして設計されたモデルの方が有利な点が多いのも確かなところ。セニック XMODはそんなミニバンに、クロスオーバーモデルに必要な最低限の追加要素を加えました。元のセニックの持ち味は全く失わないままに備わった、適度な最低地上高や走行モード選択機能により、セニック XMODは絶妙にバランスが取れたミニバンの1台だと言えるかもしれません。
充実した安全装と選びやすいオプション群
セニックは安全性を重視した欧州車らしく、前席のサイドエアバッグや、前後席のカーテンエアバッグは標準装備。Euro NCAPの安全性評価も5スターを獲得しています。
またオートエアコンや4スピーカーのBluetooth/USBオーディオも標準装備。一方でXMODではパーキングブレーキが電動から手動に改められるなど、一部の装備が簡素化されていますが、使い慣れた手動パーキングブレーキを好まれる方には朗報かもしれません。ナビゲーションは欧州では定番のトムトムのものが標準装備されますが、こちらは残念ながら日本で使うことは出来ません。
是非おすすめしたいオプションはパッケージオプションのBose+パックで、£1,500とやや高価ながら、9スピーカーのBOSEのサウンドシステムを始め、助手席のシートバックを倒す機構や、12ボルト電源の追加、ディスプレイオーディオのR-Linkの追加などが行われます。Rリンクでは電話のハンズフリー発信や燃費データのレポート閲覧なども可能です。
ルノー セニック XMODのライバルの評価と評判は?
セニック XMODの直接のライバルはフォルクスワーゲンのクロストゥーランで、本国で展開されている2列シートの5人乗り仕様は真正面から競合します。走行モードの選択が可能な点や、最低地上高の余裕(クロストゥーランは145mm)などの点では、セニック XMODに若干の優位性がありますが、ドイツ車らしい高速域に最適化された足回りはクロストゥーランの魅力でしょう。
尚クロストゥーランは3列シート7人乗りが日本仕様として輸入されていますが、この仕様は7名乗車を視野に入れていることもあり、ドイツ車としてもハードな乗り心地になっている点が特徴です。6名以上の乗車でバランスが取れているという点で、やや性格が異なるモデルと考えても良いかもしれません。
ベースのセニックのライバルは、プジョー5008、シトロエンC4ピカソ/グランドC4ピカソ、フォードC-MAX、オペル/ボクスホール ザフィーラ、メルセデス・ベンツBクラス、BMW 2シリーズアクティブツアラー/グランツアラーなど、膨大な数があります。これらいずれも一長一短があり、明白な優劣があるものではありません。ただ、これだけのライバルを生み出したという点が、セニックのコンセプトが優れていることを示唆しているとも言えるでしょう。
2014年 ルノー セニック XMODのBOSEサウンドシステムの紹介動画(約1分20秒)
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ルノー セニック XMODのベストバイは?
イギリス仕様では、グレードはDYNAMIQUE NAV(ダイナミック・ナビ)のモノグレード展開です。エンジンが2種類4仕様となりますが、2ペダル必須の場合はディーゼルエンジンの110ps仕様が必須となります。6MTならばガソリンエンジンの130ps仕様を基本として、より出力を求められる場合はディーゼルエンジンの130ps仕様をおすすめします。
ルノー セニック XMODを並行輸入した場合の乗り出し価格
ルノー セニック XMODの英国での販売価格は、dCi110 AutoならびにdCi130で£21,845、TCe130で£21,625です。イギリスより並行輸入した場合の日本国内の乗り出し価格は、TCe130が諸経費込で、 460-480万円(2015年10月5日為替レート1ポンド182円にて計算)くらいになりそうです。最新為替連動による日本国内での乗り出し価格の目安を表示させていますので、ご参考にしてください。
ルノー セニック XMODは、正規輸入車として日本には導入されていないので、手にいれるには並行輸入が現実的な方法です。アフターケアもお任せください。
既に生産終了、あるいは新型・後継モデルが発表済のモデルです。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。ご対応ができない場合もございます。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
高年式セニック XMODの輸入中古車も狙い目
新車はちょっと・・・という方には、現地で流通している高年式の中古車やディーラーデモカー等がオススメです。中には、現行モデル、走行50-100マイル程度の極上コンディションの出物があったりします。ご希望をお聞かせいただければ、条件に近いものをお探しいたします。
以下のものは、この記事の掲載時に出ていたものの一例です。他にも魅力的な条件のものが結構出ています。
●RENAULT SCENIC XMOD 1.5 Dci Dynamique Nav 5Dr ・2015年式 ・ディーゼルターボ 6MT 右ハンドル ・Diamond black ・走行:8miles(約13km) ・£16,000(約292万円、現地販売価格) |
●RENAULT SCENIC XMOD 1.5 Dci Dynamique Nav 5Dr [Bose+Pack] ・2015年式 ・ディーゼルターボ 6MT 右ハンドル ・Azzuro blue ・走行:6miles(約10km) ・£15,995(約292万円、現地販売価格) |
スペック表
車名 | ルノー セニック XMOD / Renault Scénic XMOD |
サンプルモデル | Dynamique Nav TCe 130 |
英国販売価格 | €21,625 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | グラシエホワイト(標準色) マーキュリーグレー(OP/MTL) オイスターグレー(OP/MTL) ダイアモンドブラック(OP/MTL) デューン(OP/MTL) ダマスクレッド(OP/MTL) モカ(OP/MTL) アズーロブルー(OP/MTL) アークティックホワイト(OP/MTL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4372x1845x1656mm |
ホイールベース | 2704mm |
トレッド(前/後) | 1544mm/1559mm |
車両重量 | 1424kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6MT |
エンジンタイプ | 水冷直列4気筒DOHC16Vターボ |
総排気量/内径x行程 | 1198cc/72.0×73.2mm |
圧縮比 | 10.0 |
最高出力 | 96kw(130ps)/5500rpm |
最大トルク | 205Nm(20.9kgm)/2000rpm |
燃料タンク容量 | 60 |
燃費 | 約16.1km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク |
ホイール | 215/60 R16 95H |
最高速度 | 190km/h |
0-100km/h加速 | 11.4秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車名 | ルノー セニック XMOD / Renault Scénic XMOD |
サンプルモデル | Dynamique Nav dCi 110 Auto [130] |
英国販売価格 | £21,845 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | グラシエホワイト(標準色) マーキュリーグレー(OP/MTL) オイスターグレー(OP/MTL) ダイアモンドブラック(OP/MTL) デューン(OP/MTL) ダマスクレッド(OP/MTL) モカ(OP/MTL) アズーロブルー(OP/MTL) アークティックホワイト(OP/MTL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4372x1845x1656mm |
ホイールベース | 2704mm |
トレッド(前/後) | 1544mm/1559mm |
車両重量 | 1479kg [1511kg] |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6EDC [6MT] |
エンジンタイプ | 水冷直列4気筒DOHC8V[16V]コモンレール直噴ターボ |
総排気量/内径x行程 | 1461cc/76.0×80.5mm [1598cc/80.0×79.5mm] |
圧縮比 | 15.2 [15.4] |
最高出力 | 81kw(110ps) [96kw(130ps) ] / 4000rpm |
最大トルク | [320Nm(24.5kgm) ]/1750rpm |
燃料タンク容量 | 60 |
燃費 | 約22.7km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク |
ホイール | 215/60 R16 95H |
最高速度 | 180km/h [195km/h] |
0-100km/h加速 | 13.4秒 [10.3秒] |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細ギャラリー
ルノー セニック XMODをもっと知りたい方はこちら
・ルノーUK オフィシャルサイト(Renault UK)
・ルノーフランス コンフィグレーションサイト(Renault UK)
・ルノーフランス カタログダウンロード(Renault UK)
※本記事は2015年11月20日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。