輸入車を購入するときに、並行輸入車の存在が気になったことがある方は少なくないかと思います。けれども並行輸入車のメリットやデメリットがよく分からないと、なかなか一歩を踏み出すことはできないかもしれません。自動車は高額な買い物なので、買った後で絶対に後悔したくないですよね。
そこで今回は、そんな並行輸入車の購入を検討される方が、知っておくべきメリット・デメリットを徹底解説します。
並行輸入車のメリット一覧
まずは並行輸入車のメリットから確認していきましょう。
1.日本未発売のモデルを購入することが可能です
並行輸入車のメリットのひとつは、正規輸入に設定されていない魅力的な車種を買うことが可能なことです。
フォード C-MAXのようなミニバン、ボクスホール/オペル モッカのようなクロスオーバーSUV、ルノー トラフィックのような長距離高速巡航に適したバンなど、日本では競合車種が多かったり、販売台数が見込めないことから導入されていない魅力的な車種を、並行輸入車ならば楽しむことができるのです。
またアルファロメオ ジュリアのように将来的な日本への導入が予想されていても、その予定がまだ決まっていないモデルを、予約などを行い、他の人よりも先に買うことができます。ヨーロッパの最新モデルを真っ先に購入すれば、大きな注目を浴びることができるでしょう。
2.正規輸入されている車種でも、日本には設定のない仕様が購入できます
正規輸入されている日本仕様車で、例えばこの車体色や内装色があれば良かったのに、もっとパワフルなエンジンがあれば良かったのに、と残念な思いをされたことがある方は多いのではないでしょうか?
並行輸入ならば、正規輸入では設定のない豊富な仕様の中から、自分好みの1台を作り上げることができます。例えばフォード フィエスタならば、日本未導入のMTや限定モデルはもちろん、スポーティーなフィエスタSTを選ぶこともできます。
また、世界中で限定車として販売されたものの、日本への割当台数が少なくて買い逃してしまったり、抽選から漏れてしまった車種でも、並行輸入車としてならば手に入れるチャンスがあります。例えば2015年に話題になったホンダ シビック タイプRの日本割当台数は僅か750台でした。惜しくも抽選に漏れてしまった方にも、並行輸入車ならば手に入るチャンスが残っていますし、日本には設定のないオプションやグレードを選ぶことも可能です。
3.何物にも代え難い満足感が得られます
自分が本当に心から欲しいモデルが手に入る、人とは一味違ったクルマに乗れるということは、あなたのカーライフの満足度を大幅にアップさせてくれるでしょう。
所有すること、乗ることでの満足感はもちろん、駐車場に置かれているだけでも、普段の通勤でも、大げさに言えば生活そのものが今までとは違ったものに感じるかもしれません。並行輸入車に乗ったら、服をはじめとするファッション全般、自宅のインテリアや小物、利用するお店等も大きく変わったという声もあります。
4.交流の輪が広がります
近年はオフラインのみならず、SNSやブログなどによりオンラインでも盛んなユーザーコミュニティーのなかで、マニアックな並行輸入車は注目の存在です。並行輸入車をきっかけにして、新しい人との出会いもあるかもしれません。交流の拡がりは、ときに人生観すら変えるきっかけになるでしょう。
5.円高のときは割安です
並行輸入車の価格は、現地での購入手続きのタイミングの為替レートに左右されます。従ってタイミングが良ければ、正規輸入車よりも安く買える場合もあります。
並行輸入車のデメリット一覧
次に並行輸入車のデメリットを確認していきましょう。ここではデメリットとその対応策をあわせて解説していきます。
1.ローンや自動車保険の利用では、オーナーに工夫が求められます
並行輸入車の場合、正規輸入車のような、輸入元が独自に用意しているローンやリースの設定はありません。たとえば正規輸入車のウェブページでは、低金利のローンや、期間限定の優遇キャンペーンが紹介されているのをよく見掛けますが、このようなローンを並行輸入車では使うことができません。
また一般的な金融機関やリース会社でローンやリースを使う場合も、不慣れな並行輸入車であるということから難色を示される場合があります。
自動車保険(任意保険、車両保険を含む)加入についても同様で、国産車や正規輸入車に比べると、スムーズに進まないケースが存在します。
販売店や輸入代行業者での購入を考えている場合は、まずはその販売店や業者に相談してみましょう。ローンについては金融機関やリース会社と提携している場合があるほか、提携先がなくとも、過去に実績のある金融機関やリース会社を紹介してもらえる場合があります。保険については対応可能な保険会社や代理店を紹介してもらうと、スムーズに進む場合が多いです。
残念ながら紹介が受けられなかった場合も、他の並行輸入車の販売店で紹介されている金融機関やリース会社、保険会社を当たってみても良いかもしれません。保険についてはネットを使って対応が柔軟なところを探すこともできます。
2.保証の条件が正規輸入車と異なる場合があります
正規輸入車のウェブページを見ていると、保証についての説明がありますが、このうち日本だけで独自に決められた保証は、並行輸入車では適応されません。
またメーカーの世界共通保証(ワールドワイドワランティ)は並行輸入車にも適応されますが、もしも並行輸入車に乗っていて保証期間内に不具合が出た場合、いきなり正規ディーラーに飛び込んでも、すぐに対応してもらうことが難しい場合があります。
世界共通保証の適用にあたっては、自動車メーカーによって対応は異なりますが、最初に販売した本国のディーラーを通した手続きや、場合によっては日本法人の協力が必要になる場合もあります。日本で並行輸入車の販売を行う販売店がノウハウを持っている場合もあり、購入前によく確認を行っておくことが大切です。
並行輸入車の販売店によっては、スムーズな対応のために独自に保証期間を設けて、重大な故障以外はこちらで対応する場合もあります。良心的なところは正規輸入車と同程度に設定していることもあります。この場合、ユーザーは正規輸入車と同じような感覚で、保証を利用することができます。
3.部品の入手が正規輸入車のようにいかない場合があります
自動車には定期的な交換部品が沢山あります。また故障したり事故にあったりすると、補修部品が必要になります。並行輸入車では、正規輸入車に比べて価格が高かったり、納期が長くなることがあります。
部品については、並行輸入車の販売店では、現地から直接手配するルートを持っている場合があります。販売店の力量や経験に左右される場合もありますが、まずは相談してみましょう。
また本国での純正部品が日本よりも割安に価格設定されていたり、OEM部品(純正部品供給メーカー製補修部品)を安価に入手できる場合もあります。メーカーによっては、輸送費など余計にかかる分を差し引いても、状況次第で国内の正規輸入車と同等額以下での部品入手が可能なこともあります。また近年はインターネットの発達により、発注から納品までの時間も大幅に短縮されています。
4.下取りの際に不利に働くことが多くあります
並行輸入車は資料の少なさなどもあり、下取り価格が安くなる場合が多く見られます。特に大手中古車チェーンや自動車ディーラーなどでは、下取り査定時にマイナスに働いてしまうことが多いようです。
並行輸入車を下取りに出す場合、その個体に対する需要が考えられるところに持って行くのが確実です。
その並行輸入車を販売した販売店は、一般的な中古車販売店などよりも、有利な条件で下取りを行う場合があります。場合によっては再度海外へ輸出する場合もあります。ただしこれらはモデルによって大きく異なる部分です。気になることは事前に相談しておいた方が良いでしょう。
5.諸経費を含めた日本での乗り出し価格が分かりにくいです
並行輸入車は販売店によって価格の表記方法が異なります。そのため自動車雑誌やウェブサイト上に表示されている価格と、実際の乗り出し価格に大きな差が出る場合があります。手数料の安さを宣伝しつつ実際の諸経費が他よりも高かったり、総額の乗り出し価格を表記しているように見えて、実際には別税だったりと、実際に注文する段になってから、思わぬ乗り出し価格になる場合もあります。
乗り出し価格については、表に出している価格をすぐには鵜呑みにしないことが大切です。表に出している価格と、実際の乗り出し価格の差が大きいか小さいかは、販売店の姿勢にも繋がる部分です。
何が見積もりに含まれているのかなどをメールや電話で確認して、必ずトータルでのコストで比較しましょう。
並行輸入車で高い満足度が得られる販売店の選び方
これまでの記事で並行輸入車のメリット・デメリットと対応策をご紹介してきました。特にデメリットについては、ユーザー自身が何を求めているか、また輸入車販売店がどのように対応できるかに大きく左右されるので、それに伴ってメリットの満足度は大きく変わってくるでしょう。
そこで最後に、並行輸入車とその販売店に何を求めているのか、ユーザーのタイプを3つに分け、高い満足度が得られる並行輸入車の販売店の選び方を考えてみましょう。
Aタイプ:細かいことは良く分からないので、販売店から、きめ細やかなサポートが欲しい方
Aタイプの方は、生活圏(概ね半径50-100km)にある、サポートに定評のある並行輸入車の販売店を選ばれることをおすすめします、そこで購入すれば、購入前の相談からアフターサービスまで、正規輸入車に近い感覚で並行輸入車を楽しめ、高い満足度が得られるでしょう。一方、サポートが手厚い販売店でも遠方だったり、逆に近場でもサポートには力を入れていない販売店を選んだ場合、販売店からのきめ細かなサービスが受けにくくなります。点検や車検も負担になりますし、調子が悪くなった場合に困ったことになってしまうかもしれません。
Bタイプ:国産車や正規輸入車に比べて多少の不足は自分で対応するが、ある程度のサポートは欲しい方
Bタイプの方は、販売店を選ぶ場合に、どこまでのサポートが必要で、どこまでは自分でやれるか、妥協ラインを考えておきましょう。例えば遠方の販売店から購入する場合は、近場で駆け込み寺となる整備工場を確保しておくことが有意義でしょう。事前に気になる点を潰して対策を立てておけば、購入後に困ったことになる可能性は少なく、並行輸入車のメリットを享受して、十分な満足度を得ることができるでしょう。
Cタイプ:目的のクルマを手に入れることが最優先。整備や修理等、多くのことは自分で対応策を取る自信がある方
Cタイプの方はどんな買い方をしても、基本的には大丈夫なはずです。ただし自動車の設計は日々新しくなっているので、自信の根拠が過去の経験だけの場合、思わぬところで足元を掬われてしまうかもしれません。並行輸入車の整備や部品供給などをめぐって、オーナーと正規ディーラーとの間でトラブルが起こるという話も散見されます。想定している対応策が本当に通用するのか、販売経験を持つ並行輸入車販売店に一度は相談してみることをおすすめします。
まとめ:まずは遠方でも気になる販売店に相談してみましょう
並行輸入車のメリットとデメリット、またタイプ別の販売店の選び方を書いてきました。メリットを多く感じられた方もいれば、やっぱりハードルが高いなぁと感じられた方もいるかもしれません。
そこで、まずは並行輸入車の販売店への相談から、一歩目を踏み出してみてはいかがでしょうか?
販売店の姿勢・対応能力は様々です。遠隔地でも納車実績を持っている販売店もありますし、納車した地域の整備工場とコネクションを持っていて、紹介してもらえる場合もあります。そうなると上で挙げたAタイプの方でも、問題は意外と簡単に解決するかも知れません。
これから並行輸入車に乗ってみたい、欲しいクルマが並行輸入でないと手に入らない、という方の参考になれば幸いです。憧れの1台の所有を現実に変えられれば、きっと素敵な世界が待っています。
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※本記事は2016年3月13日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。