ボクスホール/オペル モッカ(Vauxhall/Opel Mokka)は、ゼネラル・モーターズ(GM)がオペルとボクスホールのブランドで欧州で展開する全長4.3m弱の小型SUVです。いわゆるサブコンパクトクロスオーバーSUVに分類されており、モッカという柔らかく親しみやすい響きの名前は、アラビア種のコーヒーの品種名に由来しています。
モッカは2012年の発売以来、欧州で高い人気を誇り、一時は元気が無かったと言われていたボクスホール/オペル全体でのシェア回復と拡大にも一役買ってきました。
残念ながらオペルが日本から撤退して久しく、モッカが正規輸入車として導入される可能性はほとんどありませんが、YMワークスでは日本で使いやすいイギリス仕様右ハンドルのボクスホール モッカを1.4ガソリンターボを中心に、6MTのFFと4x4、6ATのFFのお好みの仕様で、並行輸入いたします。
この記事の目次
ボクスホール/オペル モッカの特徴:間接的な先代は日本生まれのあのクルマ?
冒頭で言及したとおり、モッカは欧州で高い人気を持つ小型SUVです。オペルの地元のドイツでは、このクラスでのシェア1位を獲得、欧州全体でも日産やルノー、プジョーのライバル勢と人気を争っており、発売から約2年間が経つ2014年10月時点での受注は30万台に達しました。一時期は親会社GMの経営不振で先行きが危ぶまれたオペルでしたが、2014年時点で欧州市場ではシェアが拡大傾向にあり、モッカはオペル復活の象徴とも言うべき存在感を放っています。
そんなモッカですが、実は欧州だけの為に作られたモデルではありません。モッカがお披露目されたのはオペル創立150周年という節目の年だった2012年3月のジュネーブショーでのことでした。当時は欧州での小型SUVでの人気を追った新型車種といった報じられ方を多く見掛けましたが、これに先立つ2012年1月のデトロイトショーではビュイック アンコールが、更に同年秋のパリサロンではシボレー トラックスという小型SUVが、モッカの兄弟車としてそれぞれGMから発表されています。近年GMはボクスホール/オペルを欧州専売のブランドとして位置づけていますが、モッカ自体は完全な世界戦略車として開発されているのです。
この中でも特に注目すべきはシボレーのトラックスで、このモデルは南アメリカやロシアなど、必ずしも路面環境が良くないエリアでも販売されており、そして以前シボレーが販売していたトラッカーの後継車として位置付けられています。このトラッカーというのは、実はスズキのエスクードの兄弟車。日本では軽自動車の印象が強いスズキですが、エスクードは耐久性や信頼性の高さから、海外で高い人気を得て来ました。しかしスズキのGM離脱で、このセグメントは空白となってしまったのです。
つまりモッカ/アンコール/トラックスの3兄弟は小型SUV人気に応えるだけではなく、GMからのスズキ離脱後に、エスクードが抜けた穴を少なくとも部分的に埋めるという目的も持っているのです。もちろん昔に比べれば道の整備も進み、エスクードほどの高い悪路走破性能は現在は広くは求められなくなったのですが、それでもその様な経緯から生まれた世界戦略車故の骨太さを持つモッカが、群雄割拠のクロスオーバーSUV市場で支持されているであろうことには想像に難くありません。
ちなみに欧州でのモッカの人気度合いを裏付けるエピソードとして、生産国の変更が挙げられます。当初、モッカは”兄弟”たちと一緒に韓国の工場で生産されていましたが、これでは需要に追いつかず、スペインのサラゴサにあるオペルの工場でも製造される様になったのです。
それでは、そんなモッカの細部を見ていきましょう。
2015 ボクスホール/オペル モッカのコマーシャルフィルム(30秒)
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グラマラスなエクステリア
モッカは空力特性に優れた車体を持ち、そのデザインは抑揚に富んだ力強さと、一方でなめらかな流麗さを両立させているという、まさにクロスオーバーSUVの性格を体現しています。
大まかなデザインの方向性は、プレスラインなどは最近のボクスホール/オペルの流儀に従うものの、北米や中国では殆ど同じデザインのまま、プレミアムブランドのビュイックで販売されることから、フロントマスクなどにある程度の押し出しの強さも持っている部分が特徴的だと言えるでしょう。
各部に採用されている、成型色そのままの樹脂部品は車体を傷などから保護すると同時に、SUVとしての力強い印象を与えることにも貢献しています。
特に力強い印象を与えるヘッドライトは速度に応じて照射範囲をコントロールするアダプティブ・フォワード・ライティングが組み合わせられています。
最低地上高は158mmを確保、本格的なSUVには及ばないものの、クロスオーバーSUVとしては平均的な高さが確保されています。これは日本での日常使いで小さな段差を越えたり、ある程度除雪されたものの雪の轍が出来ている道路を走ったりする上でもストレスの少ない、最低限の高さです。
細かい部分では、ピラーではなくドアから生えているドアミラーも特徴的です。死角の少なさは、運転のしやすさに繋がります。
人間工学に優れたインテリア
世界戦略車としての素性を反映してか、モッカのインテリアは使いやすく、コンサバティブな雰囲気にまとめられています。視認性の高いダッシュボードの中央上部には多機能情報画面が配されており、このレイアウトは1990年代以来のオペルの流儀に則ったものです。欧州には先進的な造形のインテリアが増えている中で、落ち着いた雰囲気を求める需要に応えています。センターコンソールも昨今のスポーティーなモデルに比べると低く、もしもドライバーが助手席側から降りなければいけない場合にも役に立つでしょう。
また、収納箇所は19箇所に達し、実用車としての本質を抑えています。スイッチ類の電飾は夜間での良好な視認性を持つオレンジがかった赤色で統一されています。控えめな細いメッキの加飾と合わせて、ボクスホール/オペル自らがカタログで”クラシカル”と評しているほどです。
レイアウトこそ保守的ですが、モッカのインテリアは遊び心も併せ持っています。ダッシュボードは2トーンカラーを選択することが出来ます。これは上級グレードの無償オプションであるココアカラーのレザーインテリアとセットとなっており、ダッシュボード上部、シート表皮、そしてドアパネル統一された淡い茶色に変更され、車内をトータルコーディネートすることが出来ます。
モッカのインテリアのもうひとつの特色がシートの形状です。上級グレードのSEに標準装備されるシートは人間工学を重視して設計されており、調整出来る箇所は8ウェイに達します。これは、このクラスのSUVでは特筆すべき多さで、ドイツでは人間工学に優れている点から、認定団体”AGR”の認証を得ています。
ボクスホール/オペル モッカの細部紹介動画(約4分30秒)
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エンジンは2種類のガソリンと1種類2仕様のディーゼル。おすすめは1.4ガソリンターボ
モッカのエンジンは仕向地によってラインアップが異なりますが、イギリス仕様であるボクスホール モッカの場合は、1.6Lのガソリン自然吸気(115ps)、1.4Lのガソリンターボ(140ps)、1.6Lのディーゼルターボ(136ps)の3種類で構成されています。
このうち1.4LのガソリンターボはGMのファミリー0エンジンの第3世代で、2008年から登場しています。燃料の噴射方式は近年主流になりつつある直噴ではなく熟成の進んだポート噴射ですが、バルブタイミング機構の採用などにより、200Nmのトルクを1850-4900rpmまでの広い範囲で発揮し、また自然吸気の1.6Lよりも優れた燃費性能を持っています。
組み合わせられる変速機は1.4Lのガソリンターボと1.6Lのディーゼルターボにはトルクコンバーター式の6ATと3ペダルの6MT、1.6Lのガソリンには5MTとなっています。
燃費・環境性能
モッカは、ユーロ6の排ガス規制をクリアし、経済性と燃費・環境性能を両立するように設計されています。
燃費に関しては一例として1.4Lのガソリンターボの場合、カタログに記載されている欧州複合基準は6ATの前輪駆動で15.3km/Lです。
駆動系・足回り
モッカは前輪駆動を主として、6MTモデルに限り4WDがオプション設定されます。この4WDは前輪駆動を主体として必要に応じて後輪に駆動力を振り分けるオンデマンド方式です。また、4WDモデルには勾配を一定の低速で下るヒル・ディセント・コントロールも搭載されています。
サスペンションはオーソドックスなフロントがマクファーソン・ストラット、リアがU字断面のトーション・ビーム式。ホイールは17から19インチの設定ですが、ディーゼルでは17インチ、ガソリンでは18インチを基本として19インチがオプション設定されています。
総評:特に長距離を移動する方にうってつけな、骨太な設計思想のクロスオーバーSUV
GMの小型SUVの世界戦略で欧州市場を担うモッカ。一見するとライバル勢の様な強烈な個性は持たないものの、実用車として長距離を走る上で、優れたバランスを持つモデルであることが、細部から伺えます。その良さは、特に自動車で長距離を移動するユーザーに実感出来るでしょう。
また4WDの設定も見逃せません。スタッドレスタイヤの性能は上がっていますが、それでも4WDの安心感は代え難いものがあります。雪道を走ることが多く前輪駆動のクロスオーバーでは心許ない、一方で高速道路を長距離で移動することもあり、ありふれたSUVでは車高や重心の高さが心許ないという方にとっては、4WD仕様のモッカはちょうど良いパートナーとなってくれるのではないでしょうか。
ボクスホール モッカのライバルと評価
モッカには沢山のライバルがいますが、世界戦略車としての設計思想で相通じる部分があるのはフォード エコスポーツです。エコスポーツは4WDの設定もあり、モッカよりも高い最低地上高、深いアプローチアングルなどで、よりSUV的な要素を強めたモデルです。
エコスポーツに比べると販売エリアが限られるものの、シュコダ イエティ、スズキ SX4 Sクロス、日産 ジューク、ミニ クロスオーバー、そしてフィアット 500Xとジープ レネゲートの兄弟車などもまた、モッカに近い設計思想を持っていますが、それぞれに個性があります。優劣を付けられるものではありませんが、これらライバルと比べるとモッカは最低地上高が僅かに低めで、SUVとしての使い勝手ギリギリを維持した上でオンロードでの走行性能に振っています。これはアウトバーンを擁するドイツ車らしい部分かもしれません。
フランス生まれのライバルであるルノー キャプチャーやプジョー 2008は4WDの設定がありません。こちらはエクステリアやインテリアの強力な個性が魅力で、よりライトな需要に応えるものです。
ここまで世界戦略車としての位置づけを強調してきましたが、ライバルと比べると、モッカは相対的にドイツ車らしい要素を強く持っているモデルだと捉えることが出来ます。
ボクスホール/オペル モッカの公式試乗動画(2分30秒)
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ボクスホール モッカの装備とオプション
近年の欧州車の例に漏れず、モッカの装備は非常に充実していて、走行や安全性に関係する部分は勿論、パーキングセンサーや2ゾーンのオートエアコンも全グレードで標準装備されています。オーディオはベースグレードではデジタルラジオ/CD/MP3/AUX/Bluetooth/USBに対応したCD450、上位グレードではデジタルラジオに加えてAM/FMに対応し、またバックカメラに対応したCD600、中間グレードでは更にカーナビゲーション機能を加えたNavi 950 IntelliLinkが標準装備されており、このうちNavi 950はその他のグレードでもオプションとして選択できます。但しカーナビは日本では使えないので、CD600の使い勝手が最も良いと考えられます。
オプションの中では、上級グレードで無償で選択できるココア内装を是非おすすめします。シックで暖かい色合いは”モッカ”という名前を体現しています。
他にもモッカにはSUVらしいオプションが多数が設定されており、中でも自転車のキャリアなどを組み合わせられるトウバー(Fixed tow bar)は欧州でも注目のアイテムとしてカタログ写真などにも多数掲載されています。このトウバーの工場装着を選択した場合、パーキングセンサーの設定などもトウバーに最適化されます。
ボクスホール モッカのベストバイ
YMワークスのおすすめは、エンジンが「1.4i Turbo」、トリムラインは上級グレードの「SE」です。充実した装備とAGR認定シート、そして複数の内装色を選択できるSEは、モッカの良さを味わい尽くせる設定だと言えるでしょう。
駆動方式や変速機については6MTで4WDの「Start/Stop 4×4」が一押しですが、前輪駆動でOKな場合は日常での使い勝手が良い、6ATの「automatic」も魅力的です。
勿論その他の仕様にも対応致します、お問い合わせください。
注目の並行輸入!日本国内での乗り出し価格は?
ボクスホール モッカ 1.4i Turbo Start/Stop 4×4 SEは£23,644(オプション別途)です。イギリスより並行輸入した場合の日本国内の乗り出し価格は、520-540万円(2015年10月28日為替レート1ポンド186円にて計算)くらいになりそうです。最新為替連動による日本国内での乗り出し価格の目安を表示させていますので、ご参考にしてください。
ボクスホール モッカは、正規輸入車として日本には導入されていないので、手にいれるには並行輸入が現実的な方法です。アフターケアもお任せください。
既に生産終了、あるいは新型・後継モデルが発表済のモデルです。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。ご対応ができない場合もございます。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
高年式モッカの輸入中古車も狙い目
新車はちょっと・・・という方には、現地で流通している高年式の中古車やディーラーデモカー等がオススメです。中には、現行モデル、走行50-100マイル程度の極上コンディションの出物があったりします。ご希望をお聞かせいただければ、条件に近いものをお探しいたします。
以下のものは、この記事の掲載時に出ていたものの一例です。他にも魅力的な条件のものが結構出ています。
●VAUXHALL Mokka LIMITED EDITION S/S 1.4i 140ps ・2015年式 ・ガソリン直噴ターボ 6MT 右ハンドル ・Olympic White ・走行:10miles(約16km) ・£16,444(約306万円、現地販売価格) |
●VAUXHALL Mokka TECH LINE S/S 1.4i 140ps ・2015年式 ・ガソリン直噴ターボ 6MT 右ハンドル ・Carbon Flash ・走行:10miles(約16km) ・£14,995(約279万円、現地販売価格) |
スペック表
車名 | ボクスホール モッカ / Vauxhall MOKKA |
搭載エンジン、サンプルグレード | 1.4i Turbo SE Start/Stop 4×4 manual [4×2 automatic] |
イギリス販売価格 | £23,644 [£22,839] |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | フレアレッド(標準色) サミットホワイト(OP/PAL) スノーフレークホワイト(OP/PAL) カンタムグレー(OP/MTL) アマレット(OP/MTL) オレンジロック(OP/MTL) ソブリンシルバー(OP/MTL) カーボンフラッシュ(OP/MTL) ボラカイブルー(OP/MTL) ベルベットレッド(OP/MTL) ディープエスプレッソ(OP/MTL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 ※PAL:パール塗装 |
全長x全幅x全高 | 4278 × 1777 × 1654 mm |
ホイールベース | 2555 mm |
トレッド(前/後) | 1540 / 1540 mm |
車両重量 | 約1200kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6MT [6AT] |
エンジンタイプ | 水冷直列4気筒DOHC 16Vターボ |
総排気量/内径x行程 | 1364cc/72.5×82.6mm |
圧縮比 | 9.5 |
最高出力 | 140ps(103kW)/4900rpm |
最大トルク | 200Nm(20.4kg-m)/1850-4900rpm |
燃料タンク容量 | 52L |
燃費 | 14.9km/L [15.3km/L] (欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
ホイール | 215/55 R 18 |
最高速度 | 186km/h [191km/h] |
0-100km/h加速 | 9.9秒 [10.7秒] |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
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ボクスホール/オペル モッカをもっと知りたい方はこちら
・ボクスホール英国 オフィシャルサイト(VAUXHALL UK)
・ボクスホール英国 メーカーコンフィグレーションサイト(VAUXHALL UK)
・ボクスホール英国 カタログダウンロード(VAUXHALL UK、登録制)
※本記事は2015年12月15日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。