今回は、アウディ e-tron スポーツバックについて紹介します。
ドイツの3大自動車メーカーのひとつであるアウディから、同ブランド初の電気自動車として「e-tronスポーツバック」が2020年9月17日に日本国内で発売開始されました。
これまでのアウディでは、大気汚染への対策として主にディーゼル車の開発に力を入れていました。しかしドイツ国内では、2030年まで全てのエンジン車販売が禁止されることになったため、ピュア電気自動車の開発にシフトするようになりました。
アウディが最先端の技術を結集させた電気自動車の第2弾が、e-tronスポーツバックです。ここでは日本国内に投入されたばかりのe-tronスポーツバックの外観や走行性などを紹介することで、どんな点が注目されているのかを詳しく説明します。
この記事の目次
モデル概要
アウディのe-tronスポーツバックは、同ブランド初の電気自動車として発表された「e-tron」に遅れること1年、2019年のロサンゼルスモーターショーで初披露されました。
e-tronとは、アウディから発売される電気自動車及びプラグインハイブリッド車の総称です。アウディはWEC(世界耐久選手権)やフォーミュラEといったモータースポーツを通じ、電気自動車やハイブリッドシステムの開発技術を磨き続けてきた歴史をもち、それを市販車にフィードバックしています。
e-tronははじめ、ハイブリッド車を中心としたラインアップでした。
そんな中2018年に、モーター駆動のみの電気自動車としてSUV型のe-tronがヨーロッパ市場に登場し、その第2弾としてSUVクーペボディのe-tronスポーツバックが2020年から国内市場に導入開始されたのです。。
ドイツ本国ではe-tronとe-tronスポーツバックの2種類が発売されていますが、今回国内導入されたのはe-tronスポーツバックの方で、「e-tronスポーツバック ファーストエディション」というグレードが設定されています。
本国では50というバッテリー容量の少ない標準モデルや、装備が異なるアドバンスなどのグレードもあるようですが、今回国内に導入されたのは、本国仕様でいうと「スポーツバック・55・Sライン」という最上級の組み合わせに様々な専用装備が追加された特別仕様です。
ファーストエディションは、日本国内の発売を記念した特別仕様となっています。その装備は「サイレンスパッケージ」や21インチアルミホイールなど非常に豪華なもので、見た目も走行面でも高級感を高める内容となっています。
またe-tronスポーツバックの駆動方式は、アウディのこだわりがつまったクワトロとよばれる4WDです。前後に専用のモーターが搭載されており、通常は後輪2輪のみを駆動します。より大きな加速が必要な時やコーナリング時、もしくは滑りやすい状況などではフロントモーターも駆動することで、操縦安定性を高めるという仕組みになっています。
今回導入されたのはe-tronスポーツバックの特別仕様ですが、同モデルの標準仕様や装備の違うグレード・さらにはSUVであるe-tronの国内導入にも期待したいところです。
アウディは2025年までに世界の主要なマーケットで20モデル以上のEVを発売するとしており、現在発売されているエンジン車にも電気自動車仕様が用意されることや、電気自動車専用モデルの開発も噂されています。アウディの電気自動車については、今後の動向から目が離せません。
ほかにもe-tronスポーツバックならではの特徴は数多くあります。エクステリアやインテリア・走行性能など様々な角度から、e-tronスポーツバックのもつ個性を掘り下げていきましょう。
ハイライト
e-tronスポーツバックのエクステリア
アウディブランドと電気自動車のコラボレーション
e-tronスポーツバックのエクステリアには、随所にアウディ車としてのアイデンティティがちりばめられています。ボディの上半分は品格高いA7スポーツバックのような流麗さをもち、下半分は優雅さとスポーティさをまとったSQ5の特徴が意識されています。
また電気自動車という新世代の自動車にふさわしいスタイルももちあわせているのが、e-tronスポーツバックのもつ外観上のアクセントです。e-tronならではのデイタイムランニングライトやロゴがあじらわれた充電フラップ・ドアトリムのブラックインサートなど、随所にバッテリーを内蔵するという主張をすることで、新世代の電気自動車であることが表れています。
また国内導入されるファーストエディションならではの装備としてはオレンジ色のブレーキキャリパーがあり、アロイホイールの隙間からちらりと覗くオレンジ色がスポーティな装いを演出します。
バーチャルエクステリアミラーとよばれるミラーが装備されるのも、e-tronスポーツバックがもつ特徴のひとつです。従来のミラーに代わり搭載される小型カメラがミラーとしての機能を果たし、空気抵抗の軽減・悪天候時における視認性のよさなどを特徴としています。
e-tronスポーツバックには、5色の車両カラー(アンティグアブルー、ミトスブラック、グレイシアホワイト、フロレットシルバー、デイトナグレー)が用意されます。オンリーワンのe-tronスポーツバックを選ぶことができ、自動車に対する強い自己主張にもつながります。
e-tronスポーツバックのインテリア
高級メーカーらしさが随所にあふれる快適空間
e-tronスポーツバックはルーフラインが低いクーペスタイルのモデルながら、その車内空間は、広く開放的です。またデザインとテクノロジーを融合させた上質なインテリア・フロントシートを取り囲む水平基調のラップアラウンドデザインなども大きな特徴です。シートは触れた瞬間に上質さが伝わり、数々の装備が乗員を快適の空間に誘います。
e-tronスポーツバックのインテリアには、マルチカラーアンビエントライティングという機能も付いています。自分好みのカラーチャートから選んで、車内を自由に彩ることができるというもので、アウディドライブセレクトのモードに合わせた色も設定可能です。
電気自動車として床下に大量のバッテリーが詰め込まれていますが、その割にe-tronスポーツバックの居住性は良好です。広さ自体も十分ながら、見晴らしのよさも高い居住性につながっており、ダッシュボードやメーターフード・バーチャルエクステリアミラーも視界を確保しています。
またe-tronスポーツバックは、616Lという大容量のラゲージスペースも魅力のひとつです。リアシートは4:2:4と3つに分割可倒できるため、多岐にわたるシートアレンジで様々なシーンにも対応します。テールゲートにはオートマチックテールゲートを標準装備しており、リアバンパーに手をかざすだけでゲートが開けられます。そのため重いスーツケースの収納・積み込みも楽に行えます。
e-tronスポーツバックに搭載されるパワートレイン
ゼロエミッションと静粛さを兼ね備えた走行用モーター
e-tronスポーツバックは電気自動車のため、その動力源はモーターです。前後それぞれのタイヤを駆動するため2つのモーターが搭載され、最大出力は合計で265kW(360PS)というハイパワーです。
さらにアクセルをいっぱいまで踏み込んでブーストモードに切り替えれば、300kW(408PS)までパワーアップし、あらゆる速度域でスムーズな加速が実現します。また心地よく正確な操舵感もe-tronスポーツバックの特徴で、静粛さとゼロエミッションを両立させる電気自動車なのです。
電気自動車ということで、最大航行距離が気になるところですが、バッテリーは95kWhという大容量です。航行距離はWLTCモードで405kmと、エンジン車にも引けを取りません。
また電気自動車がもつ課題のひとつに充電時間や充電場所の問題がありますが、交流200VとCHAdeMO規格の急速充電に対応しています。優れたバッテリー制御や温度管理もe-tronスポーツバックの特徴で、急速充電器でも、満充電に近いレベルまで高速の充電スピードを維持できるという特徴があります。そのため30分の急速充電でも最大117km(30分)の走行ができます。
e-tronスポーツバックの走行性能
モーター駆動とクワトロの組み合わせによる高い走行性能
e-tronスポーツバックの走行性能を見ていきましょう。パワートレインには前後それぞれにモーターが搭載されており、前後輪を駆動するアウディの「クワトロ」システムが用いられています。
また前後の重量配分は50.4:49.6と理想的な値で、なおかつバッテリーをはじめとした重量物は低い位置に搭載することで、電気自動車ならではの絶妙なバランスを保っています。そのため大柄なボディながら、コーナリング時の追従性の高さが走行面での大きな特徴です。
クワトロシステムは悪路走破性に強いだけでなく、オンロードにおいてもモーターの動力を効率よく路面に伝えます。2基のモーターによるクワトロは、通常走行時はリアモーターのみが作動しますが、大きな加速が必要な場面やコーナリング時、あるいは、滑りやすい状況などではフロントモーターも作動させて駆動力を確保します。
さらにe-tronスポーツバックは、車全体のデザインテーマとして「静けさ」を掲げており、もともと静かな走行が特徴の電気自動車にさらに高い遮音性を追求しています。そのためロードノイズの遮断にも力が入っています。
またモーター出力はエンジンと違いフラットなトルク特性をもつため、高い加速性能と日常の扱いやすさを両立させています。0-100km/h加速は5.7秒と、一般的な交通をリードするには十分な数値です。
加速だけでなく高級な乗り心地を実現させているのも、高級車メーカーアウディとしてこだわっている点です。アルミとスチールを適材適所で組み合わせた剛性の高いボディとエアサスペンションが、路面の凹凸を巧みに吸収する快適な乗り心地を実現させています。
e-tronスポーツバックはSUVクーペとしての側面ももちあわせています。最低地上高は190mmと、SUVとして乗るのに不足しない十分な高さが確保されているので、悪路走破性に優れるのも意外な一面といえます。
総評
e-tronスポーツバックは、ドイツ3大高級車ブランドのひとつであるアウディが、モータースポーツの場で培った技術や経験を注ぎ込んだ電気自動車です。先鋭的・革新的な特徴をもちながらも、自動車そのものとしても優れた仕上がりになっています。
2020年10月時点で国内導入されているe-tronスポーツバックは、記念モデルの「ファーストエディション」です。大容量のバッテリー搭載や充実した装備などが自慢ですが、現状では1,000万円を超える価格がネックで、各種補助金を利用してもなかなか手の出ない価格設定です。
今後はe-tronスポーツバックの標準仕様や、e-tronの登場も予想されています。長距離走行のことを考えるとバッテリー容量が大きいものを選んでおきたいところですが、快適装備は「なくても困らない」という人もいるでしょう。そういった人は、他グレードの国内導入を待ってみるのもいいかもしれません。
参考スペック
車名 |
アウディ e-tronスポーツバック |
搭載エンジン、サンプルグレード |
2モーターe-tronスポーツバック ファーストエディション |
国内販売価格(オプション無) |
13,270,000円 |
型式 |
ZAA-GEEAS |
ハンドル位置 |
右 |
ドア数 |
5 |
乗車定員 |
5名 |
全長x全幅x全高 |
4900x1935x1615mm |
トレッド(前/後) |
1650mm/1650mm |
車両重量 |
2560kg |
最小回転半径 |
5.7m |
最高出力 |
300kW(ブーストモード時) |
最大トルク |
664Nm(ブーストモード時) |
バッテリー容量 |
95kWh |
一充電走行距離 |
405km |
タイヤ・ホイール |
265/45R21・21インチ軽合金 |
0-100km/h加速 |
5.7秒 |
最高速度 |
200km/h |
e-tronスポーツバックのライバルとなる車種はどんなものがあるのか
e-tronスポーツバックのライバル的存在となるのは、どのような電気自動車があるでしょうか。
現在世界各地の自動車メーカーから、様々な電気自動車が発売されていますが、多くはタウンコミューターとして、小型で低容量のバッテリーを搭載するモデルが中心となっています。大型のものでもセダンタイプのモデルが多く、e-tronスポーツバックと似たようなジャンルの自動車としてはテスラXがある程度です。
テスラXは7人乗りのSUVで、多人数乗車や大量の荷物積載など、様々なシーンに応じた使い方ができます。またテスラならではの高級感も特徴です。
世界的に電気自動車の開発スピードが上がる中、今後は大型車種が続々と登場することを期待しましょう。
ちなみに、e-tronスポーツバックと同程度の航行距離をもつモデルとしては、テスラのモデルSやモデル3・ルノーのソエ・シボレーの ボルトEVなどがあります。
モデルSは、高級感のあるデザインや大型のタッチスクリーンを採用している点などを特徴としている4ドアセダンです。モデル3は大衆向けのモデルとして、モデルSよりもコンパクトなボディサイズです。ルノー ゾエは5ドアのハッチバックとして、小型の電気自動車ながら400kmの航行距離を特徴としています。またシボレー ボルトEVは、ヨーロッパ諸国ではオペル アンペラeとして販売されているコンパクトなハッチバックです。
いずれのライバル車も、単にローエミッションを追求し電気自動車を開発するだけでなく、日常的な乗用ニーズにも対応するためそれぞれにこだわりをもち開発されているのがわかります。
バイヤーズガイド
2020年10月現在、国内導入されているe-tronスポーツバックは「e-tronスポーツバック ファーストエディション」の単一グレードで、バーチャルエクステリアミラーの有無を選ぶことができます。
バーチャルエクステリアミラーは従来のミラーに代わり、小型カメラにミラーの機能を持たせるものです。後方の状況は、車内のOLEDタッチディスプレイで確認することができます。従来のミラーでは確認しづらかった悪天候時や夕暮れ時なども鮮明な映像で見られるため、視認性が向上しています。
走行時に便利な装備内容としてはマトリクスLEDヘッドライト ダイナミックターンインディケーターがあります。状況に応じてヘッドライトが点灯する向きを高度に制御することで、対向車や先行車を確認してLEDのオン・オフを個別に切り替え、常時ハイビーム状態での走行ができます。
バーチャルコックピットも、e-tronスポーツバック特有の装備です。解像度の高い12.3インチのフルデジタルディスプレイに、ドライバーが必要とする情報を表示します。その内容は大きさを変更できるスピードメーターやパワーメーターに加え、ナビゲーションやアシスタンスの稼働状況・充電や回生の作動状況・モーター走行の状態など多岐にわたります。これらの切り替えはレザーステアリングにあるボタンで簡単に操作でき、ステアリングにはパドルシフトも備わります。
e-tronスポーツバックにはもちろん、現代の自動車に求められる安全機能も標準で、アダプティブクルーズアシスト・フロントクロストラフィックアシストなどが安全運転をサポートします。
現在国内導入されているファーストエディションは、装備やバッテリー容量が充実した豪華モデルです。今後はベーシックなグレードが出てくることも予想されますが、アウディブランドを存分に楽しみたいドライバーは、様々な快適装備が充実し大容量バッテリーを装備するファーストエディションを、今のうちに購入しておきたいところです。
日本市場におけるe-tronの今後の展開について(2020年現在)
e-tronスポーツバックは、まず記念モデルとして「e-tronスポーツバック ファーストエディション」から国内導入が始まりました。今後は国内未導入のe-tronや、スポーツバックの標準仕様モデルなどの登場が予想されています。
また2021年にはポルシェ タイカンと同じプラットフォームを採用するスポーツモデルの投入や、SUVクーペのエレーヌの市販化などが噂されています。
さらにコンパクトクラスのe-tronの発売も予定しており、今後、e-tronシリーズが拡充されていくことは必至。電気自動車としての性能はもちろん、近未来らしいフォルムを纏ったe-tronの登場で、アウディに新しいファン層が生まれるかもしれません。
このように様々な展開が期待されるアウディのe-tronですが、全てのモデルが輸入されるわけではありません。日本国内に導入されていないグレードがほしいという人は、並行輸入を検討してみるしかありません。しかし個人輸入では煩雑な手続きを必要とし障壁も高いので、並行輸入を専門に扱っている業者に依頼すれば満足度の高い買い物ができるでしょう。
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また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
カタログダウンロードページ
https://catalogue.audi.co.jp/catalogue_audi/my20_2_e-tron/
公式サイト・コンフィギュレーター
https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/tron/audi-e-tron_sportback_accx/simulation.html
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