2016.08.04

アバルト 124スパイダーを徹底解説。お好みの仕様で並行輸入します。

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アバルト 124 スパイダー

2007年に復活した新生アバルトにとっての、グランデプント(Grande Punto)、500(Cinquecento)に続くラインアップ第3弾は、往年の名車の名前を冠した124スパイダー(Abarth 124 Spider)です。

2015年11月にロサンゼルスで発表されたフィアット 124スパイダーに続き、2016年3月にジュネーブで発表されたアバルト 124スパイダーは、日本でもアバルト・ジャパンによりデリバリーされることが決まっています。

今回はそんなアバルト 124スパイダーを徹底解説します。また、ヨーロッパ仕様ならブラックやグレー、ヘリテージルックなど、日本仕様には設定のないボディカラーの組み合わせを楽しむこともできます。人とは違う特別な1台を並行輸入してみませんか?

アバルト待望の最新モデル

アバルト 595 & 124 スパイダー

アバルト 595 & 124 スパイダー

ホットなイタリアン・コンパクトのブランドとして、今やすっかり定着したアバルトの創業は1949年。1952年からはフィアットのチューンナップに取り組み、その後はレーシングマシン・コンストラクターとして一世を風靡しました。

1970年代からはフィアット傘下に入り、コンペティションマシン開発の部門として活動します。WRCで活躍したフィアット・アバルト124ラリーや131ラリーをはじめ、ランチアの037ラリー、デルタS4、デルタHFインテグラーレの各モデル、ツーリングカーではDTM年間チャンピオンを獲得したアルファロメオ 155DTMをはじめ、イタリアツーリングカー選手権用の155ITCなど、フィアット傘下の各ブランドの名だたるマシンは、アバルトが手がけてきたものです。一方で市販車については、アバルトの名前はスポーティーなモデルに付与されるグレード名へと変化していきました。

アバルト グランデプント エヴォ

アバルト グランデプント エヴォ

しかし2007年、かつてそうだったように、アバルトはフィアット車のチューナーとしての立場を復活させ、本格的なコンプリートカーをリリースします。第一弾のアバルト グランデプントで過激なまでのチューニングで一躍脚光を浴び、次のアバルト500シリーズで、イタリアン・コンパクトのスポーツモデルの代名詞的なブランドとして、その地位を確固たるものとしました。

新生アバルト第3段となるアバルト 124スパイダーはフィアット 124スパイダーをベースに、またフィアット 124スパイダーは、マツダ ロードスターとプラットフォームを共用しています。ですから、ロードスターのカスタムモデルのように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

しかし前述の通り、アバルトは生粋のレース屋です。そんなアバルトが仕立てたモデルは、単にスポーティの域を超えてレーシーですらあります。ディーラーで新車を受け取り、そのままサーキットに持ち込んで全開で攻め込んでも(そんなことをする人は少ないでしょうが)びくともしないように躾けられています。しかも走るほどに楽しく、アクセルをもっと開けたくなる、そんなイタリア車ならではの魔力もあわせ持ちます。アバルトが“サソリの毒”といわれるゆえんです。

アバルト グランデプントや、アバルト 500、595、695など、これまでの新生アバルトのモデルは、隅々までレース屋としての手が加えられています。特にエンジンはプラグの番手や指定オイルなど、細かなところまでもがチューンされているのです。こうした、レース屋ならではのこだわりに満ちた作り込みこそがアバルトの魅力であり、もちろんそれは 124スパイダーにも継承されているでしょう。

Abarth 124 Spider V.O(約55秒)

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その気にさせる“走り”のデザイン

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

その気にさせるデザインも、モダン・アバルトの大きな魅力です。オリジナルよりも低く構えたフォルム、そして走りをイメージさせる凝ったディテールは、この124スパイダーでも健在です。

まず目にとまるのが、ボンネットとトランクリッドをマットブラックで仕上げたツートンカラー。往年のアバルト 124ラリーにインスパイアされたこのカラーリングは、イギリス仕様では「ヘリテージルック」としてチョイス可能なバージョンです。ちょっと派手過ぎるという方には、一般的な単一カラーも用意されています。ボディカラーはブラック、ホワイト、レッド、ブルー、グレーの5種類。それぞれのカラーには「サンマリノ 1972」など、アバルト 124ラリーで勝利したイベント名が冠されています。

アバルト 124 スパイダー(サンマリノ 1972 ブラック)

アバルト 124 スパイダー(サンマリノ 1972 ブラック)

日本仕様のボディカラーは4色のみのため、イギリス仕様では、日本仕様では選べないブラックやグレーのボディカラーも選択が可能です。

フロントグリルは、下部をブラックアウトすることで、さらに精悍な顔つきに。ブラック/ホワイト/グレーのボディカラーは、リップスポイラーのセンター部分とサイドミラーカバーが赤で塗り分けられ、鮮烈なイメージを引き立てています。こうした、個性を引き立てる細かな仕上げはさすがアバルトです。

アバルト特製のレコルトモンツァによる4本出しのテールパイプが奢られたリアエンドは、ただ者でない雰囲気をかもし出しています。実際のエグゾーストも迫力あるワイルドなものです。そのさわりは少しだけ、下部のムービーでお楽しみいただけます。さらに、フロント/リアフェンダーに追加されたエアインレットや、アウトレット(残念ながらこれはダミーです)などの小技も随所にちりばめられており、レースで磨かれた見せるデザインと仕上げが、走る心をそそらせます。

アバルト 124 スパイダー(ポルトガッロ 1974 グレー)

アバルト 124 スパイダー(ポルトガッロ 1974 グレー)

 

アバルトのデザインの魅力が凝縮されたインテリア

アバルト124 スパイダー インテリア

アバルト124 スパイダー インテリア

インテリアは、「アバルト スポーツシート」と名付けられたレザー製のシートがまず目に入ります。ブラック/ホワイト/グレーのボディカラーの場合、シートは赤と黒のツートン仕上げとなり、フロントスポイラーやサイドミラーカバーのレッドとあわせ、個性を際立たせるアクセントとなっています。

ドライバーズシートに座ると、目の前に大径タコメーター。真っ赤な盤面に、フェラーリなどのハイパフォーマンスカーを思わせるレタリングで速度が描かれています。さらにステアリングのセンターポイントやダッシュボードのステッチなど、随所にあしらわれた赤のステッチも印象的。スポーティだけれどもスパルタンすぎない、そして適度におしゃれな雰囲気も漂う、イタリアンデザインの魅力が凝縮されています。

ドライバーズシートだけでなく、パッセンジャーシートにもアルミ製フットレストが取り付けられており、このクルマの“走り”をイメージさせます。また生産2,500台までのモデルには、シリアルナンバー入りの特製プレートが、室内後方のコンソールボックス部に取り付けられます。

 

ワイルドでホットなエンジンは“パワード・バイ・アバルト”

アバルト124 スパイダー 1.4L マルチエア・ターボエンジン

アバルト124 スパイダー 1.4L マルチエア・ターボエンジン

かつて同じエンジンを独自の技術でまったく別物に生まれ変わらせてしまうと評された「アバルトマジック」、それは今の時代も健在です。

例えばアバルト124スパイダーに搭載されるエンジンは、アルファロメオ Mitoのクアドリフォリオ ヴェルデやアバルトプント エヴォにも採用されていた 1.4L マルチエア・ターボエンジンですが、アルファロメオブランドのMitoではジェントルでスムーズ、一方のアバルトのプント エヴォでは、ワイルドでアバルトらしい吹け上がりだと評価されていました。

その“血統”は今回のアバルト 124スパイダーにも脈打っています。単にパワーを出すだけでなく、点火系や油脂類までぬかりなく手を加え、サーキット走行でも高い実力をいかんなく発揮できるように仕立てるのがアバルトの流儀。レース屋のプライドが息づくエンジンといえます。

また、アバルトマジックを引き立たせるのが「スポーツモード」です。最近のドライブ・バイ・ワイヤのモデルによく装備されている非線形のマッピング切り替え機能ですが、アバルトのチューンはことさら刺激的で、わずかなアクセル操作にも反応し、駆動輪が大地を力強く蹴り飛ばします。奔放に振る舞う生き物のようなエンジンを右足で自在に操り、狙ったラインにクルマを乗せていく。それこそがアバルトの醍醐味です。

 

足回りはアバルト 124スパイダー専用設計

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

アバルト124 スパイダー(チュリニ 1975 ホワイト/ヘリテイジルック)

アバルト 124スパイダーの欧州仕様では、ビルシュタイン製ダンパーが採用されています。これにあわせて、スタビライザーも新設計されています。さらにリアデフには機械式LSDも標準装備されました。また、ブレーキはサーキットでの過酷な使用にも耐える、ブレンボのアルミ製4ポッドキャリパーも装備されています。

確かな足回りは、アバルトの走りの世界を熱く演出してくれることでしょう。

 

まとめ:その走りはビジュアルを裏切らない、まさにアバルト

アバルト 124 スパイダー(ポルトガッロ 1974 グレー)

アバルト 124 スパイダー(ポルトガッロ 1974 グレー)

アバルトは1960年代から、オリジナルのフィアットとは次元の異なる熱くほとばしるような走りを実現してきました。そして現代でもプントや500を素材として、私たちにレーシーで刺激的な走りの世界を提案してくれます。アバルト 124スパイダーは、今その歴史の新しい1ページを紡ごうとしています。

今や貴重な存在となってしまった、コンパクトでスポーティなモデルを私たちに届けてくれるアバルト。サーキット走行に耐えられるタフネスさと、スーパースポーツでは味わえないタコメーターの盤面をフルに使い切ることのできる一体感。走り好きなユーザーには、是非おすすめしたい1台です。

Abarth 124 Spider – le moteur(約4分25秒)

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アバルト 124スパイダーのライバルは?

BMW Z4 スパイダー

BMW Z4 スパイダー

アバルト 124スパイダーは仮想敵として、BMW Z4とポルシェ 718ボクスターの2車種を想定して開発されたとも言われています。

BMW Z4は、直列4気筒と直列6気筒エンジンを搭載。特に伝統の直列6気筒エンジンは最大340馬力を発揮し、圧倒的な動力性能を持ちます。その一方でリトラクタブルハードトップを採用することや、また基本設計が3シリーズに由来することもあり、全天候型のグランドツアラーといった性格をも併せ持ちます。

ポルシェ 718 ボクスター

ポルシェ 718 ボクスター

718ボクスターは伝統の水平対向6気筒に代わって、新設計の4気筒ターボを搭載。これまでの重厚さから軽快さへと舵を切りつつあります。ミッドシップレイアウトが生み出すハンドリングにも、ますます磨きがかかるでしょう。

アバルト 124スパイダーは、上の2車種に比べて、使い切れる範囲の性能に留めているという点がポイントです。ライバルのような圧倒的な速さはありませんが、ベースモデルのロードスターにも相通じる「人馬一体」感、そしてライバルに勝るとも劣らない存在感も、アバルト 124スパイダーの魅力です。

 

WRC仕様の「アバルト 124ラリー」とは?

アバルト 124スパイダーと同時に発表された、WRC仕様の「アバルト 124ラリー(Abarth 124 Rally)にも触れないわけにはいきません。アバルトが過去に手がけたコンペティションモデルは、すべて「SEナンバー(ESの表記もあり)」がつけられています。特別製作を意味する「Speciale Escuzione」の略で、1970年代に活躍した「フィアット 124アバルト・ラリー」はSE026、ランチア・ラリーはSE037、アルファロメオ155 DTMはSE057といったぐあいです。

今回発表されたアバルト 124ラリーは、SE139というナンバーがつけられた正真正銘の「アバルト ワークス」です。エンジンを1.8Lツインカムに換装し、300psオーバーにチューン。サスペンションも独自にモデファイされ、さらに先代の124アバルト・ラリー同様、ハードトップで武装した本気のマシンとなっています。2017年からWRCの2ドア・2輪駆動のモデルを対象とした「R-GT」カテゴリーに参戦を予定しており、ライバルはポルシェ911 GT3とのこと。復帰後のアバルトはグランデプントをベースにしたS2000などでラリー参戦の実績や優勝経験もあり、その戦いぶりが今から楽しみです。

アバルト 124 ラリー(レース専用車)

アバルト 124 ラリー(レース専用車)

 

ドレスアップやチューンアップにも注目

アバルトのようなクルマこそ、自分の好みに合わせてモデファイしたいもの。アバルト 124スパイダーには、ヨーロッパ各地でドレスアップやチューニングのパーツが数多く開発されることが予想されます。人とは違うこだわりの輸入車ライフを楽しみたい方には最適なベースモデルとなるはずです。

また、アバルトでは「エッセエッセキット」と呼ばれる後付けのチューニングパーツのパッケージを販売してきました。これは60年代に発売していたレース用のチューニングセットにならったもので、現代ではブレンボのキャリパーとドリルドブレーキディスクのセットや、特性ダンパー、大径アルミホイールなどをセットにしてモデルごとに販売しています。アバルト 124スパイダーのエッセエッセキットの登場も、期待されています。

 

アバルト 124スパイダー並行輸入、日本国内での乗り出し価格は?

アバルト124スパイダーの価格は29,565ポンドと発表されています。イギリス仕様の右ハンドル車を並行輸入した場合の日本国内での乗り出し価格は、諸経費込で、450-480万円(2016年8月2日為替レート1ポンド134円にて計算)くらいになりそうです。

また、お好みで左ハンドル仕様の輸入も承ります。お気軽にご相談下さい。

 

※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。

金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスしてください。

 

ノーマルのフィアット 124スパイダーにも注目です。

 

フィアット 124スパイダー

アバルト・ジャパンにより日本でも販売されるアバルト 124スパイダーですが、兄弟車であるフィアット 124スパイダーは価格的にマツダ ロードスターと競合してしまうからか、残念ながら日本で販売される予定はないようです。

フィアット 124スパイダーはアバルト 124スパイダーと同じ1.4Lのマルチエアエンジンを搭載しながらも出力は140psに抑えられ、サスペンションのチューニングなどもマイルドな味付けです。

こちらはエントリーグレードのクラシカ(CLASIKA)で22,555ポンドからのスタートとなっており、税金・諸経費込で330-350万円と、マツダ ロードスター Sスペシャルパッケージの乗り出し価格と、ほとんど変わらない価格で並行輸入できます。

詳しくはフィアット 124スパイダーの記事もご覧ください。

参考記事:【並行輸入車】フィアット 124スパイダーを徹底解説。イギリス仕様右ハンドルを並行輸入します。

 

アバルト124スパイダー の主なスペック

スペックの詳細は、「+」ボタンクリックで表示されます。

アバルト 124 スパイダー / Abarth 124 Spider
車名 アバルト 124 スパイダー / Abarth 124 Spider 
サンプルグレード 1.4 MultiAir 170 ps / 6MT(6AT)
イギリス販売価格 £29,695
型式
初度登録 国内未登録新車
車検 受け渡し
走行距離
ハンドル
ドア数 2
カラー サンマリノ 1972 ブラック
コスタブラバ 1972 レッド(OP)
チュリニ 1975 ホワイト(OP)
イソラ・デ・エルバ 1974 ブルー(OP)
ポルトガッロ 1974 グレー(OP)
※ボンネット/トランクリッドをマッドブラック仕上げした「ヘリテイジルック」も選択可能
※カラーの種類や名称は変更になることもあります。
※OP:有料オプション設定
全長x全幅x全高 4,054× 1,740 × 1,233 mm
ホイールベース 2,310 mm
トレッド(前/後) 1,496mm / 1,503mm
車両重量(乾燥) 1,060kg
乗車定員 2名
トランスミッション 6MT(6AT)
エンジンタイプ 水冷直列4気筒SOHC 16V インタークーラー ガソリンターボ(MultiAir)
総排気量/内径x行程 1,368cc/72.0mm×84.0mm
圧縮比 9.8:1
最高出力 170bhp/5500rpm
最大トルク 250Nm/2500rpm
燃料タンク容量 45L
燃費  –
ブレーキ形式(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク(フロントキャリパーはブレンボ製)
タイヤ/ホイール 17インチホイール
最高速度 約232km/h
0-100km/h加速 約6.8秒
特記事項 ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。

車両詳細画像ギャラリー

フィアット 124スパイダーをもっと知りたい方はこちら

※本記事は2016年8月4日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。

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