フォード エクスプローラーは、北米ではミドルサイズに分類されるSUVで、14年連続売上ナンバーワンの記録を持つ大人気モデルです。2016年にフォードが日本市場から撤退するまで、初代から4世代に渡って日本でも販売されていたため、馴染みのある方やオーナーだった方も多い事でしょう。最新の2018年モデルとなったフォード エクスプローラー(北米仕様・左ハンドル)についてこの記事で解説するとともに、並行輸入の方法についてもご紹介します。
この記事の目次
モデル概要
初代フォード エクスプローラーは、フォード ブロンコIIの後継として1990年にデビューし、日本では1991年から販売されました。強靭なラダーフレームに4.0L V6 OHVエンジンを搭載し、ブロンコの面影を強く感じさせる角ばったデザインを採用した初代は、武骨なクロカンSUVとして鮮烈な印象を残しました。
2018年モデルのフォード エクスプローラーは、2010年に登場した4代目の後期に当たります。それまでのラダーフレーム構造からモノコックボディに変更し、大幅な軽量化を実現しています。3代目までと異なりエンジンを横置きに変更して、FFモデルもラインナップに加えたことも大きな変更点で、よりオンロード性能を重視したSUVへと生まれ変わりました。
現行フォード エクスプローラー(北米仕様)のグレードは、EXPLORER(そのままグレード名になっています)、XLT、LIMITED、SPORT、PLATINUMの5つで構成されています。エンジンは3.5L Ti-VCT V6、2.3L EcoBoost、3.5L EcoBoost V6の3種類で、燃料はすべてガソリンです。エンジンと駆動方式の組み合わせはグレードごとに異なります。
ハイライト
エクステリア
現代的なアメリカンSUVの雰囲気を纏うエクステリア
4代目フォード エクスプローラーが登場した際には、そのスタイリッシュな外観が話題となりました。後期に当たる現行型は、スタイリッシュな中にも落ち着きを感じさせるデザインとなっています。フェイスリフトの際、ヘッドライト、グリル、バンパー、フェンダーなどフロント回りは一新され、リア回りもテールランプ、リアゲート、バンパー、ルーフスポイラーなどの形状が変更されています。特に印象深いのは、LED化されたヘッドライトと高さを抑えたフロントグリルです。前期型ではフロントバンパーの中ほどまで占めていたフロントグリルですが、後期型はヘッドライトの少し下までに収まっており、これが落ち着きを感じさせる要因になっています。
一方でブラックアウトされたBピラー、太く幅を取ったCピラーなど初代から継承されている部分もあり、長年のエクスプローラー・ファンに対する計らいも忘れていません。初代の武骨さは薄れはしたものの、広大な国土を悠々と走る姿が様になるアメ車らしさは確かに息づいています。北米仕様のグレードによる外観の違いは、フロントグリルやドアハンドル、ルーフレールのカラーなどの細かな部分と、ホイールのサイズやデザインとなります。
インテリア
2-3-2の7人乗車が可能な使い勝手に優れた室内空間
フォード エクスプローラーのインテリアの特徴としてまず挙げられるのは、2-3-2の7人乗車が可能であることです。サードシートは補助席の意味合いが強く大人の長時間乗車には不向きですが、いざという時に7人乗れるという事実は非常に心強いことでしょう。3列目を使用しても、595Lというラゲッジスペースを確保しているので荷物が積めなくなる心配はありません。3列目を使用しない時はフラットな荷室となり、さらに大容量の荷物スペースとして使えることはもちろん、2列目までフラットに出来るので使い道がかなり広がります。シートアレンジの多彩さと使い勝手の良さはミニバンと同等と言えるでしょう。
LIMITED以上のグレードには、ハンズフリーパワーゲートが標準装備。リアバンパーの下につま先を差し込めばリアゲートが開きます。また、サードシートの電動折りたたみ機能やデュアルゾーンオートエアコンが付くのもLIMITED以上となります。そのほか、パワーシートの仕様やシートヒーターの有無、トリムカラー、シート素材などグレードによって異なる部分が多岐に渡るため詳細は割愛します。洗練された外観と同じく、インテリアも乗用車ライクで使い勝手に優れていることは間違いありません。
パワートレイン
レギュラーガソリン仕様の3種類のエンジン
現行のフォード エクスプローラーには3種類のガソリンエンジンがあります。
3.5L V6 Ti-VCT(吸排気独立可変バルブタイミング機構)は、自然吸気(NA)で290hp/5,500rpm・345Nm/3,500rpmを発揮します。EXPLORERとXLTで標準となり、オプションでLIMITEDでも選べます。駆動方式は4WDのみです。
2.3L EcoBoostはターボで過給され、280hp/5,600rpm・420Nm/3,000rpmというスペックです。駆動方式はFFと4WDがあり、LIMITEDに標準、EXPLORERとXLTでオプションになります。
3.5L EcoBoost V6はツインターボとなり、365hp/5,500rpm・474Nm/3,500rpmというスペックになります。駆動方式は4WDのみ、SPORTとPLATINUMに標準となり、ほかのグレードでは選べません。
フォードのEcoBoostは、燃料高圧直噴とTi-VCT、過給器を統合制御することで、燃費を抑えながら高トルクを両立しCO2の排出量を抑えた、新世代のエンジンです。すべてのエンジンがハイオクではなくレギュラーガソリンでOKなことも嬉しいポイントと言えるでしょう。3つのエンジンに組み合わされるトランスミッションは、6-speed SelectShiftと呼ばれる6速オートマチック。手元でギアチェンジ可能なパドルシフトはSPORTとPLATINUMに装備されます。
サスペンション
現代的な進化を遂げた4輪独立懸架式を採用
フォード エクスプローラーのサスペンションは4輪独立懸架式で、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクで前後ともアンチロールバー付きとなります。SPORTはスポーツチューンドサスペンションで足回りが強化されています。現行型から採用されたモノコックボディの恩恵で大幅な軽量化を実現し、先代と比べ約25%の燃費向上と、優れたハンドリングを実現しています。
エンジンを横置きに変更し、FF(前輪駆動)モデルをラインナップに加えたことも現行型の大きな特徴であることはすでに述べましたが、このFFをベースにした4WDは、ランドローバーのテレインレスポンスとよく似たテレインマネージメントシステムを採用しています。ノーマル、雪道、岩場、砂地、泥濘地(ぬかるみ)の5つのモードをシフトレバー横のダイヤルで選択し、路面状況に応じてセッティングを最適化してくれるこのシステムは、急勾配の下り坂で威力を発揮するヒルディセントコントロール機能もセットになっています。SPORTとPLATINUMに標準装備され、その他のグレードではオプションで選択可能です。2.3Lと3.5Lで制御が異なり、3.5Lの方がより細かな制御を行います。
このほか時速10マイル(約16km/h)以上で走行中、オーバースピードでカーブへ侵入したときにスロットルと4輪のブレーキを制御するカーブコントロールが全車標準装備。ドライ路面はもちろん、ウェット時に安全性を向上させる頼もしい機能です。
参考スペック
フォード エクスプローラー XLT 2.3L I-4 EcoBoost 4WD 6速AT(280hp)
寸 法 ▶︎全長x全幅x全高 = 5,050 x 2,000 x 1,820 mm
ホイールベース:2,860mm トレッド:前/後 – mm/ – mm
エンジン▶︎2.3L 直列4気筒ガソリンターボ
2,260cc 280hp/5,600rpm 420Nm/3,000rpm
駆動方式▶︎4WD 6速オートマチックトランスミッション
懸架装置▶︎前:マクファーソンストラット
後:マルチリンク
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後:ベンチレーテッドディスク
タイヤ ▶︎前:245/60 R18 後:245/60 R18
燃料容量▶︎70L 車両重量:-kg 最高速度:-km/h 0-96km/h加速:-秒
燃 費 ▶︎17.0km/L(北米複合基準) -m/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎34,060ドル(訪米仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください
ライバルモデル
フォード エクスプローラーは北米でミドルクラスに分類されるとはいえ、全長 5mを超えるSUV。しかもFFベースで7人乗車が可能となると、世界的に見てライバルがほとんど存在しません。唯一ライバルと言えそうなのは、シボレー トラバースというモデルです。
現行型のシボレー トラバース(Chevrolet Traverse)は、初代が2008年にデビュー。2017年にフルモデルチェンジを受けた2代目に当たります。エンジンは 3.6L V6 SIDI VVT(310hp/360Nm)と2.0L I4 Turbo SIDI VVT(255hp/400Nm)の2種類が用意されます。4WDはすべて3.6L V6エンジンとなり、FFはターボで過給され400Nmを3,000rpmで発揮する直列4気筒2.0Lエンジンとなります。4WDには、FWD・4×4・SNOW・OFF-ROADの4つのモード(Trailering Packageをオプション装備すると「TOW/HAUL」モードが加わります)をダイヤル操作で切り替えできるトラクションモードセレクトを装備。これらに組み合わされるトランスミッションは9速ATとなります。
全長はエクスプローラーより139mm長い5,189mm、ホイールベールは同じく211mm長い3,071mmです。2-3-3の8人乗りが標準で、2-2-3の7人乗り(2列目キャプテンシート)もオプションで用意されています。
このほかにサイズが近いSUVとしては、レクサス LXやレンジローバー、アウディ Q7、メルセデスベンツ GLSなどがありますが、いずれもFRベースの4WDですし、ランクル200ベースのレクサス LXに至ってはSUVと言うよりクロスカントリーモデルですので、フォード エクスプローラーとはキャラクターや方向性が異なります。
シボレー トラバースはモデルチェンジしたばかりなので、9速ATやボディの軽量化、最新装備などで比較すると目新しさを感じます。一方で、シボレー特有のグリルやトラックに似た外観はどちらかと言えばアメリカ人の好みに寄せており、その点エクスプローラーの外観はグローバルで洗練されたものに感じられます。モデルとしては末期に近いエクスプローラーですが、毎年改良を加えられることから、2018年モデルの今が最良のエクスプローラーであると言えるでしょう。
バイヤーズガイド
日本でも撤退まで販売されていた現行型のフォード エクスプローラーですが、この記事では日本には導入されなかったXLT 2.3L EcoBoost 4WDをベストバイに推したいと思います。約2トンのボディですが、420Nmを発揮する2.3L EcoBoostなら街中でもストレスを感じさせません。4WDがあれば多少の積雪でも安心できます。
積雪の心配がない地域でしたら、XLT 2.3L EcoBoostのFFモデルもおすすめです。4WDに比べ軽くなりますし、コストも抑えられます。装備の充実を求める方には、PLATINUMの3.5L V6 EcoBoostをおすすめします。このエンジンは4WDのみとなります。安全装備や快適装備が標準となりますし、365hpのパワフルなV6エンジンは回転フィールも良く、気持ち良い走りが味わえるでしょう。
2018年現在のフォード エクスプローラー 日本導入の可能性
2016年1月、米フォード・モーターが日本事業からの撤退を宣言し、その後日本では在庫限りの販売となりました。そもそも撤退した理由は、日本におけるフォード車の販売不振が原因で、採算が見込めないという判断からでした。長年に渡って日本市場に向けた改良をしなかったこと、欧州車の魅力が増し、特にエントリーモデルの投入が盛んになったことなどが販売不振の原因と考えられます。
日本法人のフォード・ジャパンやフォード販売店はまさに寝耳に水で、アメリカ式のドライな経営判断に困惑を隠せない状況でした。また、日本におけるフォード・オーナーに対しても不安と不信感を抱かせてしまったのも事実です。撤退後のアフターサービスやメンテナンスは、ピーシーアイ株式会社が継承したため大きな混乱はありませんし、パーツは部品商が取り扱っていますので、メンテナンスについては今後も心配は不要でしょう。
ただ、上記のような経緯で一度撤退したフォードですから、よほどのことがない限り、近いうちに再び日本で展開する可能性は極めて低いものと思われます。
並行輸入という選択肢
日本市場に正規輸入されていないモデルも、並行輸入を行えば日本で所有できます。コアカーズを運営する並行輸入車販売店のYMワークスでは、フォード エクスプローラーの並行輸入を承っております。並行輸入する場合の詳細な価格についてはお問い合わせ下さい。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- フォード米国 エクスプローラーのオフィシャルサイト (FORD US EXPLORER)
- フォード米国 エクスプローラーのコンフィギュレーター (FORD US EXPLORER)
※本記事は2018年2月22日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。