2019.06.19

フォード マスタング コンバーチブルを解説、日本未発売モデルの概要やスペック、価格他、右ハンドル車の並行輸入情報も掲載。

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日本市場からは残念ながら撤退してしまいましたが、フォードが世界的に推し進めている「One Ford」戦略。これにはプラットフォームやデザインの共通化などの施策があり効果を上げつつありますが、そのなかでも意外な福音がありました。誰もが思い浮かべるであろうドメスティックなこのアメリカンモデルが身近になったのです。

今回は「フォード マスタング コンバーチブル」を紹介、合わせて並行輸入の方法と2018年中に発売が予定されている新型についても記載します。

モデルの概要

マスタングコンバーチブルは、フォードを代表するスポーツモデルのマスタングに設定されるオープンモデルです。

初代モデルは1964年にデビューしました。当時のフォード副社長(後の社長)であるリー・アイコッカを中心に、戦後のベビーブーマーに対して訴求力を備えたモデルとして、中型車のファルコンをベースに開発したのが初代マスタングでした。マスタングの名前はアメリカでは「野生の馬」を表すもので、そのためボディやインテリアの各部に馬のマークがシンボルとして装着されています。

フォード マスタングコンパーチブル(初代モデル:1964年)

フォード マスタングコンパーチブル(初代モデル:1964年)

フォード マスタングコンパーチブル(2代目モデル:1971年)

フォード マスタングコンパーチブル(2代目モデル:1971年)

コンバーチブルボディは初代モデルから設定されており、はじめはコンバーチブルとクーペの2種類のボディタイプでした。その後ファストバックが追加されています。

オーバーデコレーションではない直線を基調とした爽やかなデザインや軽快な走りに加え、手頃な価格や数多くのオプションを用意しユーザーの選ぶ楽しみを訴求したフルチョイスシステムでマスタングはユーザーの心を掴みました。そのうえ、巧みな広告戦略も功を奏してたちまち大ヒット車種に。フォードの原点とも呼ばれるモデルT(T型フォード)に次ぐ販売台数であったことから、いかに市場で支持を得たかが伺われます。このヒットから、マスタングは手頃な価格にスポーティなモデルという「ポニーカー」というジャンルを作ったパイオニア的なモデルとなりました。

2代目モデルは1969年に登場し、コンバーチブルモデルも設定されています。このモデル一番のトピックはMach1(マッハ1)の存在、マスタングにハイパワーなV8ユニットを詰め込んだこのモデルは、マスタングの印象のひとつ「マッスルカー」をイメージ付けました。映画などでも使われ、今なおファンが多い一台です。

フォード マスタングコンパーチブル(6代目モデル:2005年)

フォード マスタングコンパーチブル(6代目モデル:2005年)

光岡 ガリューコンバーチブル(2007年)

光岡 ガリューコンバーチブル(2007年)

その後、オイルショックやダウンサイジングなど世間の荒波に揉まれつつ進化を続けたマスタングですが、潮流が変わったのが2005年にデビューした6代目モデルでした。デザインがこれまでのモデルとは一変、初代モデルをモチーフに現代流に解釈しなおしたレトロモダンなものに。もちろん、この代もコンバーチブルモデルは設定されています。6代目モデルは、子育てが落ち着いた初代モデルのターゲットである戦後のベビーブーマー世代には懐かしさを、当時を知らない若いユーザーにはこのレトロさが新鮮に映りヒットモデルになりました。変わり種モデルとして、これをベースに光岡自動車がレトロな架装を行った「我流(ガリュー)コンバーチブル」がありました。

現在販売されている7代目モデルは2015年にデビュー。初代モデルのデビューから50周年というタイミングで米国市場を皮切りに販売開始されました。7代目モデルは、フォードが推進する「One Ford」戦略に則り、マスタングの主要市場の米国だけでなく、世界各国の市場で販売されることを意識して開発されました。一番のトピックはイギリスをはじめとする市場に向けた右ハンドルモデルの存在です。これは、米国市場向と共に歩んできたマスタング50年の歴史上、はじめてハンドルを右に備えるモデルになりました。

日本市場には初代以降、正規輸入で導入されてきました。7代目モデルもフォード・ジャパンがデビュー直後の2015年に左ハンドルの限定モデル(米国仕様と同じ50周年記念モデル)をファストバックのみ販売後、2016年にはコンバーチブルを含む右ハンドルモデルの導入が予定されていました。しかし2016年初頭にフォードが日本市場から撤退することが発表され、残念ながら正規輸入の7代目マスタングコンバーチブルおよび右ハンドルモデルが日本の地に降り立つことはありませんでした。

フォード マスタング コンバーチブル/ファストバック紹介動画(約1分30秒)

ハイライト

エクステリア

初代モデルのエッセンスを残しつつ進化を目指す

マスタングのボディタイプはコンバーチブルのほかに、クローズドボディがあり、これには往年のファストバックの名称が復活しました。ボディサイズは6代目モデルより全長は長く、全高は抑えられたため、よりワイドアンドローなシルエットになっています。

フォード マスタングコンバーチブル(リア:オープン時)

フォード マスタングコンバーチブル(リア:オープン時)

フォード マスタングコンバーチブル(リア:クローズ時)

フォード マスタングコンバーチブル(リア:クローズ時)

デザインは6代目モデルと同じく、特に前後は初代モデルをフューチャーした「誰もが思い浮かべるマスタングそのもの」な雰囲気になっていますが、サイドから見ると流麗なボディラインを描いており、アメリカンでワイルドなイメージと繊細なイメージが共存しています。これはマスタングが初代モデルを回顧したただのトリビュートモデルではなく、さらに進化を目指していることが伺えます。

フォード マスタングコンバーチブル(サイド)

フォード マスタングコンバーチブル(サイド)

リアに装着される馬のエンブレム(V8はGTのエンブレムになります)

リアに装着される馬のエンブレム(V8はGTのエンブレムになります)

コンバーチブルも同様、屋根を開けた際にはアメリカンな明るさを感じる一方、屋根を閉じた際には美しいボディラインが浮かび上がります。オープン走行時のこともしっかり設計されており、サイドウィンドウを下げても風の巻き込みは少なく快適なドライビングが可能です。

ボディカラーは、目の覚めるように鮮やかなレースレッドから、一方落ち着いたダークカラーのシャドーブラックまで豊富な全10色が設定されています(V8 GTの場合、EcoBoostは7色)

インテリア

マスタングの歴史を継承

マスタングコンバーチブルのインテリア

マスタングコンバーチブルのインテリア

インテリアは、エクステリア同様マスタングの歴史を意識しており、ダブルブロウと名付けられた左右対称のインパネ形状と3本スポークのステアリングは代々受け継がれているモチーフです。これに加え、レトロでレーシーな雰囲気を演出するトグルスイッチなどオーナーがマスタングというクルマを運転していることを実感するための巧みな演出がされています。

シートは全車フルレザーシートを標準装備。スポーティーなエボニーレザーをはじめ、明るく華やかなセラミックレザー、プレミアムな雰囲気のダークサドルレザー(一部ボディカラーとの組み合わせ)の3種類が設定されています。シートは大ぶりで掛け心地がよく、リアシートも十分な居住性が確保されています。

プレミアムな雰囲気のダークサドルレザー

プレミアムな雰囲気のダークサドルレザー

リアシートも十分な居住性があります

リアシートも十分な居住性があります

ファストバックと比べてコンバーチブルのインテリアは、オーナー以外の目に入る機会も多いはず、ここは街行く人々を魅了する選択をしてみるのも如何でしょうか。

パワートレイン

どちらも魅力的、V8とEcoBoost

パワートレインの設定はファストバックとコンバーチブルは同じく、全く性格が異なる2つのユニットが設定されています。

  • V型8気筒 5.0Lガソリン コヨーテ 416PS
  • 直列4気筒 2.3Lガソリンターボ EcoBoost 317PS

マスタングと言えば真っ先に浮かぶ形式である「V8」、コヨーテと呼ばれるこのユニットは、高圧のデュアル・ダイレクトインジェクションシステムと、低圧のポートインジェクションシステムをそれぞれ採用。環境意識が高まるなか存続が危ぶまれているV8ですが、まだまだ改良の手を惜しまないことに、フォードの意気込みを感じます。ターボなどの過給機に頼らずともハイパワーなこのユニットはアメリカンで豪快な味わいが魅力です。

V型8気筒 5.0Lコヨーテユニット

V型8気筒 5.0Lコヨーテユニット

直列4気筒 2.3L EcoBoostユニット

直列4気筒 2.3L EcoBoostユニット

一方、7代目マスタングの目玉となるのが直列4気筒の「EcoBoost」です。V8コヨーテユニットと比べて気筒数も排気量もばっさり半分近くになっていることに驚くかも知れません。しかし、ただダウンサイジングしただけではありません。このEcoBoostはフォーカスRSとほぼ同じユニットでスムーズな回転フィールが魅力なのに加え、パワーも300PSを超える十分なもの。さらにマスタングにマッチングさせるにあたり、まるでV8のような低音を効かせたエンジンサウンドチューニングなど独自のセッティングがされており、まるでダイエット向けの低カロリーフードを食べるような物足りなさは決して感じません。

熟成のV8、新しいEcoBoostどちらも魅力的です。

トランスミッションは、6速MTと6速ATがそれぞれのパワーユニットに設定されています。駆動系はもちろん後輪駆動のみです。

サスペンション

独立懸架化でより安定した走りに

サスペンションには、フロントはマクファーソンストラット、リアは長年採用してきたリジットからマルチリンクに。マスタング50年の歴史のなかで、はじめて独立懸架になりました。これにより高速走行時だけでなく、ワインディングでもスタビリティが向上しています。コンバーチブルはフルオープン時でも剛性低下は少なく、気持ちの良い走りが可能です。

リア独立懸架化でより安定した走りを手に入れました

リア独立懸架化でより安定した走りを手に入れました

ハンドリングはマスタングがスポーティモデルであることを感じさせるレスポンシブルで素直な味付けです。そのなかでもEcoBoostモデルはエンジンが小さくフロントが軽いぶん、より良いハンドリングと言われています。

一方、V8モデルはいかにもアメリカンマッスルとして期待を裏切らない乗り味です。V8モデルには巨大なパワーをきっちり抑えるストッピング性能を備えた、ブレンボ製6ピストンブレーキを装備しています。

参考スペック

FORD MUSTANG 2.3EcoBoost Convertible Automatic


寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4,784×2,080×1,394mm
ホイールベース:2,720mm トレッド前/後 - x -mm
エンジン▶︎水冷ガソリン 直列4気筒ターボ フロント縦置き
     2,260cc -mm x -mm -:1 317PS(232kW)/5,500rpm 432Nm(44.0kgm)/-rpm
駆動方式▶︎AWD  6速AT
懸架装置▶︎前:マクファーソンストラット
▶︎後:マルチリンク
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後 ディスク
タイヤ ▶︎前:255/40R19 後:255/40R19
燃料容量▶︎59L 車両重量▶︎1,718kg 最高速度▶︎232km/h 0-100km/h加速▶︎-秒
燃 費 ▶︎10.2km/L(欧州複合基準)-km/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎38,785ポンド(イギリス仕様車)

※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください

ライバルモデル

元祖ポニーカーと言われるマスタングのライバルとして、シボレーカマロとダッジチャージャーを挙げます。

シボレー カマロコンバーチブル

シボレー カマロコンバーチブル

ダッジ チャレンジヤー

ダッジ チャレンジヤー

シボレーカマロは、マスタングのフォロワーとして初代モデルがデビューした1967年以降、長年に渡り直接的なライバルとして火花を散らしてきました。ボディタイプにコンバーチブルモデルがあることをはじめ、現在販売されているモデルは初代モデルをモチーフとしたレトロモダンな雰囲気であること、ダウンサイジングユニットとして、コンパクトな直列4気筒2.0Lダーボを採用しているなどマスタングと同じです。一方、V8ユニットはLT1と呼ばれるOHVのもので、アメリカンな豪快さを楽しめるのが魅力です。日本にも正規輸入されていますが、マスタングと違い右ハンドルモデルの設定はありません。

ダッジ チャレンジヤーは、FCAのマッスルな2ドアクーペです。マスタングやカマロ同様、米国市場では手頃な価格とハイパワーなことから人気のモデルです。マスタングやカマロと違いコンバーチブルモデルやダウンサイジングユニットの設定はありませんが、クライスラー伝統のV8 6.4LのHEMIユニットを積んだチャレンジヤーSRT8は、アメリカンマッスルカーのイメージを担う一台としてファンも多くいます。かつては日本でも正規輸入で導入されていましたが、2011年にダッジブランドが撤退以降、正規輸入で販売されていません。

ほかにも欧州勢のライバルとしてはBMW M3やメルセデスベンツ C63AMG、さらにアメリカとも欧州とも違う雰囲気が魅力な豪州育ちのボクスホール VXR8 GTSなどがあります。

バイヤーズガイド

グレードは各ユニットに対してモノグレードとなっており、V8エンジンを搭載する「5.0GT」と、EcoBoostエンジンを搭載する「EcoBoost」があり、それぞれにMT/ATの組み合わせがあります。

マスタングコンバーチブルを選ぶならどの組み合わせが良いか?今回は相当悩ましいです。おそらくそろそろラストチャンスになりそうなV8エンジンをホットに乗るのも、ダウンサイジングでシャープな挙動が楽しめるEcoBoostエンジンをクールに乗りこなすのもどちらも魅力的です。

ここでは、マッスルなグランドツアラーとして選ぶならV8、ワインディングも楽しめるスポーツモデルとして選ぶならEcoBoostをそれぞれ提案します。トランスミッションはMT/AT両方選べますが、今回はマスタングコンバーチブルの性格からイージードライブの6ATの方が近いでしょう。

フォード マスタングコンパーチブル(V8 5.0GTグレード)

フォード マスタングコンパーチブル(V8 5.0GTグレード)

オープンにすれば大きな開放感と共に見事なまでにキマる海岸線から、喧騒の都市のなか、そしてワインディングまで、どんな道も幅広くマッチするマスタングコンパーチブル。OneFord戦略により、右ハンドルで乗れるという福音を得てより身近になりました。アメリカの空気を残しつつ、敢えて全世界に向けて勝負に出た、この一台を楽しんでみるのは如何でしょうか。

マスタングコンパーチブルの日本導入の可能性

やっと右ハンドルモデルが開発されたマスタングコンバーチブルですが、フォード・ジャパンが撤退してしまった現在、再びこのモデルが再上陸する可能性は残念ながらほぼ無いといっていいでしょう。

並行輸入という選択肢

日本市場では販売されていないマスタングコンパーチブルですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。

一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したフォード マスタングコンパーチブル Automatic(イギリス仕様右ハンドルモデル)の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。

  • 車名
  • 2年保証付き
    国内乗り出し価格目安

  • (税込・諸費用込)

  • (税込・諸費用込)

国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。

また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。

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新型フォード マスタング(左ハンドル車)

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カスタムやチューニングも

YMワークスでは、フォードと密接な関係を持ち、純正指定のアップグレードパッケージを展開する「モンチューン(mountune)」と長期のパーツ供給・サポートで合意しています。同社はマスタング用のカスタムパーツを次々と発表すると思いますので、ノーマルのマスタング/マスタングコンバーチブルでは満足できない方のリクエストにもお応えできます。

mountune M335

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マスタング GT V8 5.0L用マフラー

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