欧州アルトこと、スズキ セレリオを徹底解説。イギリス仕様右ハンドルで並行輸入します。

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スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(Suzuki Celerio)は、スズキの欧州市場でボトムレンジとして設定されているAセグメントのハッチバックモデルです。欧州市場のこのレンジは、以前は日本の軽自動車の車種名でもお馴染みの「アルト(Alto)」として販売されていましたが、2014年のモデルチェンジを機に全世界でセレリオに車種名が統一されました。

セレリオの生産はインドやタイ、インドネシアで行われ、東南アジアやオセアニア、ヨーロッパなど各地域で販売されています。インドや東南アジアは世界的に見ても成長著しい市場で、各メーカーはコストを考慮に入れた専用車種の投入を進めていますが、セレリオは単なる新興国向けのモデルではなく、欧州市場でも積極的な販売が行われているという点が特徴です。

今回は、そんな世界戦略車である、スズキ セレリオを徹底解説します。軽自動車よりは大きく、スイフトよりも小さな、絶妙なコンパクトカーを、イギリス仕様右ハンドルで並行輸入してみませんか?

スズキ セレリオの特徴

スズキ セレリオは冒頭で触れたとおり、欧州では2014年までアルトとして販売されていた車種の後継車となります。

初代「欧州アルト」

初代「欧州アルト」

欧州市場でのアルトの販売は1981年からスタート、当時は日本で販売されているアルトの排気量を約1,000ccに拡大したものを日本から輸出し販売していました。その後、スズキの販売戦略の変化に伴い、1994年のモデルチェンジでは生産拠点をインドに移行、2008年のモデルチェンジでは、日本のアルトと共通したデザインテイストで車体を拡大した独自モデルへと発展しました。この新しいモデルはヨーロッパでは「アルト」の名が継続されましたが、生産国のインドでは「Aスター」、そして南米では「セレリオ」という車種名が導入されています。このモデルは日本のクルマ好きの間では「欧州アルト」と呼ばれることもありました。

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

かくして2014年に登場した最新のセレリオは、この「欧州アルト」の言うなれば2代目に相当するモデルです。欧州仕様車の生産はインドのマルチ・スズキのマネサール工場が分担しています。マネサール工場はスイフトやバレーノの生産を行っているマルチ・スズキの主力工場で、とくにバレーノについては、ヨーロッパと日本への輸出も行われています。

今回解説するイギリス仕様のセレリオはSZ2、SZ3、SZ4という数字を基準にした分かりやすい3グレード構成となっており、またSZ3には派生仕様としてSZ3 DUALJET(デュアルジェット)の設定もあります。

ちなみにセレリオは、2014年に日本国内での販売を終了したハンガリー製の小型車、スプラッシュの後継として日本にも導入されるのではないかと噂されたことがありました。結局日本への導入は見送られていますが、仮に導入されていたとすれば、日本仕様はイギリス仕様に近い仕様になっていたかもしれません。

 

エクステリアの特徴

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

セレリオのデザインは、2013年にタイで発表されたコンセプトカーであるA:Windの流れを汲んでいます。特にA:Windで見られたボディ側面のキャラクターラインは、市販されたセレリオでもそのまま継承されています。一方で、アクの強いフロントマスクは市販版のセレリオでは保守的な雰囲気に改められました。

このようなデザインは、基本的には主市場であるインドやタイの需要を意識したものですが、一方でヨーロッパの顧客の嗜好なども汲み込んでおり、保守的ながらも、どこかエキゾチックな雰囲気を漂わせるものに仕上がりました。近年スズキは、1980年代以前の自社の車種や、欧州車のデザインテイストを取り込み注目を集めていますが、セレリオの全体的な雰囲気は、その本流よりもう少し時代の浅い1990年代から2000年代前半の、東欧向けの西側自動車メーカーの製品にも通じるものがあります。このようなデザインは好みによって長所にも短所にもなりますが、2010年代に販売されている設計の新しいモデルとしては、希少な存在であるといえるかもしれません。

ボディサイズは全長3,600mm、全幅1,600mm、全高は1,540mmと、全長はスイフトよりも200mm以上、全幅もスイフトよりも100mm近く小さくなっていますが、全高は逆に40mmほど高くなっています。とはいえ、日本の古い規格の機械式立体駐車場でも問題ない高さに抑えられており、使い勝手で不便を感じるケースは皆無でしょう。

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

最低地上高は(燃費を重視したDUALJETを除き)145mmを確保、これもスイフトよりも15mmほど高く、ある程度の走破性を確保しています。この数値は近年のほとんどの一般的な欧州車の最低地上高を上回り、クロスオーバーの各車種に近いスペックで、ロードサイドの駐車場に入る際の段差もほとんど心配なく、また多少の雪などでも安心できるスペックです(たとえばルノー セニック XMODフィアット パンダ 4×4で150mm、ボクスホール|オペル モッカで158mmです)。一方、SZ3 DUALJETでは空気抵抗を削減するために最低地上高を135mmに落としています。このコンセプトは、価格こそ大きく異なりますが、フォルクスワーゲン ゴルフ マッチ ブルーモーション エディションBMW 116dブルーエフィシェンシーに相通じるものです。

ホイールベースは2,425mmで、こちらはスイフト比でマイナス5mm。小さくなった車体に対して十分なホイールベースの長さが確保されており、直進安定性などに不安を覚えることもないでしょう。

なお、エクステリアはグレードによって若干の差異があります。デイライトは全グレードで標準装備ですが、SZ3 DUALJETでは特別にLEDのデイライトが装備されます。ホイールはエントリーグレードのSZ2のみスチール、他のグレードはアルミですが、SZ4は黒の加飾が入ります。サイズはいずれも14インチです。クロームのアクセントが入ったフロントグリル、ボディカラー同色のドアミラーも最上級のSZ4の専用装備となっています。

 

インテリアの特徴

スズキ セレリオ 運転席(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ 運転席(左ハンドル仕様)

インテリアのデザインの方向性はスイフトによく似ていて、先代で欠点とされていた質感の低さを払拭しました。華美なところや高級感を感じさせるものではなく、またトヨタ アイゴ/シトロエン C1/プジョー 108のような飛び抜けた個性もありませんが、機能的でドライバーにストレスを感じさせない仕上がりです。

メータークラスター内は、中央に大径のスピードメーターを配置、左側にタコメーター、右側には複合情報画面が備わり、時計、外気温、通算燃費や瞬間燃費が表示できます。ステアリングはチルト対応で、高さ調整機構付きの運転席と合わせて、大方のドライビングポジションには対応できるでしょう。SZ2以外のモデルではBluetoothによるハンズフリー通話のためのステアリングスイッチが備わっています。

センタークラスターは上から空調の吹き出し口と非常灯のスイッチ、オーディオパネル、空調制御ダイヤルが順番に配置されており、説明書を読まなくとも操作を迷うことはない、シンプルなレイアウトです。このクラスでは中央の吹き出し口が省略されるケースが増えているので、セレリオの吹き出し口の存在は、後席に人が乗っているときなどに特に恩恵が大きいでしょう。オーディオはグレードにより仕様が異なりますが全車標準装備、一方エアコンはSZ3以上のグレードに装備されます。

スズキ セレリオ ラゲッジスペース

スズキ セレリオ ラゲッジスペース

セレリオのインテリアの特徴として、後席の窓が開閉可能な点も大きな特徴です。近年のこのクラスの欧州車では、軽量化やコスト対策で後席の窓はハメ殺しになっていたり、少しチルトアップするだけといったものが多くなりましたが、上下に窓が開くのは後席に座っているときには大きなメリットになります。動作は基本的に手動ですが、最上級のSZ4ではパワーウィンドウも装備されています。

セレリオのインテリア最大の注目ポイントはトランク容量です。その数値はクラス最大級の254Lをマークし、ひとクラス上のスイフトの210Lを上回ります。シンプルなシングルフォールディングの後部座席を完全に倒すと、フロアはフラットにこそなりませんが、その容量は726Lに達するとされています。

 

デュアルジェットの設定もあるパワートレイン

スズキ セレリオ エンジンルーム

スズキ セレリオ エンジンルーム

欧州仕様のセレリオには、直列3気筒で排気量1.0Lの自然吸気ガソリンエンジンのみがラインアップされています。このエンジンはK10B/K10Cと呼ばれるもので、K型エンジンに属し、アルミ合金製のエンジンブロックを持っています。

スズキのK型エンジンといえば、日本でもスイフトやソリオ、イグニスに搭載されている直列4気筒の1.2L仕様のK12B/K12Cが登録車の主力エンジンとしてお馴染みで、また以前は軽自動車の主力を担い、現在でもジムニーやセブン165で現役の直列3気筒0.66L仕様のK6Aもありますが、その中間に位置するK10B/K10Cは長らく日本市場に縁がありませんでした。

そんなK10Bの登場は2008年のこと。前年に登場したK12Bと同じ73.0mmのピストン内径(ボア)を持ちますが、行程(ストローク)がK12Bの74.2mmに対してK10Bでは79.4mmと、ややロングストロークのエンジンとなりました。その後効率化のために、登場時10.0だった圧縮比を11.0に変更、また2014年にはスズキがDUALJET(デュアルジェット)と呼称する、インジェクターを2つに増やし圧縮比も12まで上げた仕様が追加され、こちらがK10Cと呼ばれています。

セレリオはK10Bを基本として、K10Cを中間グレードのSZ3で選択できるようになっています。出力はいずれも68ps/6,000rpm、90Nm/4,800rpmで共通ですが、過渡域の特性が改善されているため、0→100km/hの加速は13.5秒から13.0秒に短縮されているほか、後述する燃費も劇的に向上しています。

組み合わせられるトランスミッションは、基本的には5MTですが、最上級モデルのSZ4ではシングルクラッチの2ペダルMTのAGS(オートギアシフト)が選択可能です。日本でも部分的に採用が進められているAGSは、スズキ内製の変速機に、イタリアのマニエッティ・マレリと共同開発した制御機構を組み合わせたものです。マニエッティ・マレリ繋がりで、しばしばAGSがフィアットのデュアロジック、アルファ ロメオのセレスピードと同じものであると書かれているのを見かけますが、デュアロジックやセレスピードとAGSは制御系が近いものの、変速機自体が異なるので、同じものだというにはちょっと語弊があるかもしれません。ちなみにスズキの発表によれば、AGSはインド本国では人気で、2014年2月から発売2ヶ月で受注された35,000台のセレリオのうち、47%に達したとのことです。

なお、オーストラリアなど他地域ではCVTとの組み合わせもあります。日本では日産、スズキ、三菱などで幅広く採用されているジヤトコ製の副変速機付きCVT(CVT7、正式名称はJF015E)との組み合わせですが、こちらはヨーロッパには輸出されていません。

また、インド本国では排気量0.8Lの直列2気筒ディーゼルエンジン(E08A)もラインアップされています。これはインド市場の需要や、郊外でも低速環境が多いインドの道路事情に応じたもので非常に高い経済性を持ちますが、排ガス基準はもちろん、動力性能もヨーロッパはもちろん日本で使うにも不足しているため、今後の進化が期待されるところです。

 

スズキ セレリオの足回り

スズキ セレリオ(南アフリカ仕様)

スズキ セレリオ(南アフリカ仕様)

セレリオの足回りはコンパクトカーとして平均的なもので、フロントにマクファーソン・ストラット、リアにトーションビームという構成です。プラットフォームの設計自体はスズキにとっては旧世代のもので、特にプラットフォームに名前はつけられていませんが、技術的な関連性は2代目、3代目のスイフトに近いと想定されます。

なお、2014年以降、スズキは新世代の軽量プラットフォームへの統合を進めると発表、軽トラックなどの例外を除いて軽自動車、Aセグメント、Bセグメントの3つへの集約を進めています。セレリオはプラットフォームの世代移行の発表直前に登場したモデルで、恐らく旧世代のプラットフォームを持つスズキ車としては、最後の1車種になるかもしれません。とはいえ軽量プラットフォームを採用せずとも、セレリオの車重は835〜845kgと十分に軽く、軽快な走行感覚が期待できます。

 

スズキ セレリオの経済性能

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

セレリオの経済性は高く、K10Bを搭載した基本仕様では、5MT、AGSを問わず欧州複合モードで23.2km/Lを記録します。また、K10Cを搭載したSZ3 DUALJETでは27.7km/Lに達します。SZ3 DUALJETの車重は実はイギリスのセレリオのラインアップの中でもっとも重いのですが、10mm下げられた車高、DUALJETによる出力特性の変化、そしてデイライトをLEDに変えることで抑えられた消費電力が、増えた車重を帳消しにしてお釣りが来るほどの効率化を実現しています。

燃料タンクの容量は35Lとそれほど大きくはありませんが、郊外主体ならば600km以上は安心して走ることができるでしょう。ロングドライブのときに、給油頻度の高さに悩んだり、給油所が少ないエリアで不安を覚える心配は、ほとんどなさそうです。

 

総評:セレリオは軽自動車に来なかった理想的な未来像

スズキは世界での販売シェア10位に位置し、特に成長著しいインドで最大のシェアを持つ点で、世界的に注目度の高い自動車メーカーです。一方で日本では、しばしばドメスティックな中小企業のイメージで語られることが多くあります。これは経営者の鈴木修氏が自ら中小企業を標榜していたこともありますが、同社の国内製品として軽自動車の存在感が強かったことも背景として大きいことは想像に難くありません。

そんな軽自動車は、しばしばと賞賛と批判の両方に晒されます。賞賛は、全長や全幅、排気量など著しく厳しい制約の中で、自動車として十分に実用に足る製品が開発されている状況に対して、一方で批判は、大きさや排気量を除けば自動車として十分な性能を持っているにも関わらず、各種制度や税額について著しく優遇されていることに対して向けられることが多いようです。そして多少なり所有者に対する金銭的な負担を大きくしても、大きさや排気量の制限を緩和した方が良いのではないかという建設的な議論がなされることもありました。

果たして2015年、軽自動車は税額が上げられる一方で、それ以外は何も緩和されないという、消費者にとってはあまり嬉しくない制度改正が行われ、軽自動車の販売台数は大きく減少しました。とはいえ自動車メーカー各社は、更なる厳しい状況に対して、軽自動車を極めて洗練されたコミューターとして磨き上げる方向に舵を切っており、それが例えばスズキ アルトワークスの復活や、ホンダ S660の登場にも間接的に繋がっているのかもしれません。

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

もし仮に、軽自動車の全長と全幅を今より拡大することが認められ、また排気量の上限も1.0L程度に引き上げられたとすれば、今回ご紹介したセレリオは、まさにその条件に合致します。セレリオは軽自動車に望まれながらも、まだ訪れていない未来なのかもしれません。

そんなセレリオは、細部に目を向けても特筆すべきような商品性は特に備わりません。代わりにシンプルに必要なものが必要なところに配され、そして非常に経済的です。このプリミティブさこそが、現在の軽自動車を含む多くのクルマが失ってしまったものであり、そしてセレリオの最大の魅力かもしれません。

そんなセレリオを手に入れて楽しめるのもまた、並行輸入車の醍醐味のひとつでしょう。

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

スズキ セレリオ(左ハンドル仕様)

 

スズキ セレリオのライバルは?

ヒュンダイ i10

ヒュンダイ i10

インドで生産されるセレリオは、現地ではヒュンダイ i10/グランド i10、シボレー ビート、ホンダ ブリオ、タタ ボルトなどのライバルと競合しています。この中でブリオとボルトはアジア向けの専用車として開発されたモデルですが、i10はヨーロッパでも販売されており、またシボレー ビートもボクスホール ビバ/オペル カール(Vauxhall Viva/Opel Karl)として、両ブランドで展開されています。

一方でヨーロッパでは、主に東欧の需要を睨んで開発された小型車とも競合することになります。ここではヨーロッパの主なライバルについてお伝えします。

ルノー トゥインゴ

ルノー トゥインゴ

ルノー トゥインゴ(Renault Twingo)は、日本でもお馴染みのルノーのボトムレンジを担うモデルです。元々冷戦末期にチェコのシュコダとの合弁事業として企画され、シュコダで生産される予定だった初代トゥインゴは、その後シュコダがフォルクスワーゲンとパートナーシップを結んだことから予定を変更して、クラスレスなコンパクトカーとしてフランスを中心に展開されるようになったという経緯があります。

そんなトゥインゴもモデルチェンジを重ね、3代目はメルセデス・ベンツのスマート フォーフォー(smart for four)の兄弟車に装いを変えています。歴代スマート譲りのRRレイアウトとルノーのパッケージングの融合は、3,595mmの全長に、大人4人が乗るのに十分な空間を備えています。

スマート フォーフォー

スマート フォーフォー

スズキ セレリオとトゥインゴ、そしてスマート フォーフォーを比較してみましょう。パワートレインはトゥインゴには90psのターボ仕様がある点でセレリオに優位性があります。一方、欧州仕様トゥインゴの下位グレード、そして日本仕様のスマート フォーフォーで主体の自然吸気エンジンは、ほぼ互角な内容です。ただトゥインゴ/スマート フォーフォのデュアルクラッチトランスミッションは、2ペダルのトランスミッションとしては、AGSよりも日本の道路事情と相性が良い場合が多いかと考えられます。

後席の居住性は、リアに重量物があるトゥインゴ/スマート フォーフォーの乗り心地が良いことがしばしば言及されています。一方でエンジンがラゲッジスペースを圧迫しており、フル乗車時の積載性はセレリオが圧倒的に上回ります。セレリオは後席の窓も上下に開閉できること、いざとなれば5人乗車することができるのも優位性でしょう。

プジョー 108

プジョー 108

次にライバルとして挙げられるのは、プジョー 108(Peugeot 108)シトロエン C1(Citroen C1)トヨタ アイゴ(Toyota Aygo)の3車種です。いずれもチェコにあるTPCA(トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモービル)で生産される小型車で、3,455〜3,475mmの全長はセレリオに対して100mm以上短く、少し広めの軽自動車向けの駐車スペースに停めることもできそうなほどの、コンパクトさが魅力です。

セレリオと比較すると、108とC1ではグループPSA製の高出力な1.2Lエンジンが選べる点に優位性があります。一方、ノーマルグレードや2ペダルと組み合わせられるトヨタ製1.0Lエンジンの性能は、こちらの動力性能はセレリオと同等です。2ペダルについてはシングルクラッチタイプで、この点もセレリオと互角と見て良いでしょう。また4ドアのラインアップもありますが、後席スペースやラゲッジスペース容量はボディサイズから、やはりセレリオに優位性があります。一方、いずれのモデルも内外装に趣向を凝らしたデザインが採用されており、これは保守的なデザインを採用したセレリオとは対象的です。

シュコダ シティゴ

シュコダ シティゴ

フォルクスワーゲングループは、VWブランドでVW up!を、また兄弟車としてセアト ミー(Seat Mii)とシュコダ シティゴ(Skoda Citigo)を展開しています。いずれも製造はスロバキアのブラチスラヴァ工場で行われています。

全長は3,600mmでセレリオと同一、コンセプト的にはもっとも近いモデルでしょう。エンジンは複数仕様が用意されており、最新のフェイスリフトではup!に90psのターボが追加されましたが、自然吸気エンジンは60psと75psの2つのラインアップで、より多くの需要に対応できるようになっています。ラゲッジスペースなどもセレリオとほぼ同等ですが、up!/ミー/シティゴでは後席の窓が上下に開かずポップアップタイプとなっている点では、セレリオの上下開閉式の方が後席に乗る人にも受け入れられやすいかもしれません。またこれは108、C1、アイゴにも共通していますが、センターコンソールに吹き出し口がないのは、夏場に後席にエアコンの冷風を届ける上でハンディになるかもしれません。

燃費の性能は基本的にカタログスペックでは、どのモデルもほとんど同等。燃料タンクもどれも35Lで綺麗に横並びなので、日本の軽自動車などに比べるとロングドライブにも対応できます。より高出力のモデルが必要な場合はセレリオは選択肢に入りませんが、ノンターボ、1.0Lという横並びの中ではライバルに決して引けを取らない基本性能を備えています。突出して分かりやすいキャラクター性はありませんが、乗り手にストレスを与えない移動手段として見るならば、後席の居住性に秀でたセレリオの良さも光ります。

 

セレリオの主要装備やオプション、気になる安全性は?

セレリオのイギリス仕様はエントリーグレードのSZ2でリモコンキーやBluetooth通信機能、そしてエアコンが省略されていることを除けば、基本的に日本で使うにも必要な装備が一通り備わっています。中間グレードのSZ3とSZ4の差異は、エクステリアの項目で触れた外見を除けば多くなく、ドアミラーが電動調節式に、スピーカーが2つから4つに、後席の窓が手動から電動に、そして助手席シートバックにポケットが付くといった違いとなります。

安全装備はイギリス仕様車らしく充実しており、運転席と助手席のエアバッグ、シート内蔵式のサイドエアバッグ、カーテンエアバッグが全てのグレードで標準装備され、タイヤ空気圧のモニタリングシステムも備わります。一方後席には3点式シートベルトが装備されていますが、プリテンショナーの装着はありません。後席シートベルトのプリテンショナーは普及率は低いものの、搭載も進んでいるので、この点は惜しまれます。

セレリオというと、グローバルNCAPと呼ばれる衝突安全テストでインド仕様が星ゼロを叩き出し、ちょっとした話題になったことがあります。ただこれは、インド仕様の最廉価版がエアバッグ等を装備しておらず、またエアバッグの搭載がなければ自動的に星ゼロとされるシステムなので、車体の強度等とは直接は関係ありません。同テストでは、他の欧州の自動車メーカーでも同様に星ゼロを記録しており、エアバッグの装備が進んでいないことを啓発する意図があったと考えられますが、オート3輪が現在も多く4輪の自動車に乗るだけでもインドでは飛躍的に安全性が向上するため、より多くの人にアプローチする手段として、各メーカーが極限までコストを最低限に抑える姿勢に対しては、単純に批判するのが難しい部分もあります。

一方、他地域ではセレリオは、EuroNCAPで星3、ANCAP(オーストラリア)で星4を獲得し、このクラスでは平均的なスコアを記録しています。ライバルではEuroNCAPで星4を獲得しているケースもあるので、セレリオは突出した安全性を持っているわけではありませんが、近年は衝突防止ブレーキの装備の有無などもスコアに反映されるので、低価格な小型車が高得点を取るのは難しくなっています。3.6mの小型車で一番安全なクルマを選ぶという観点ではセレリオは不適かもしれませんが、日本車では装備出来ないケースも多いサイドエアバッグとカーテンエアバッグの標準搭載も含め、欧州基準の安全性は満たしているモデルだと言えるでしょう。

またセレリオには外装を中心に、多くのディーラーオプションの設定があります。主なものとしては、リアハッチのクローム加飾、リアスポイラー、ホイールアーチの樹脂製オーバーフェンダー、バンパーの樹脂プロテクター、樹脂製のサイドモール、フロントスポイラー、サイドスカート、レザーシフトノブ、ルーフキャリア、純正トウバーなどが挙げられます。特に樹脂製のオーバーフェンダーやサイドモール、プロテクターは、セレリオの外装にアクセントを与え、1990年代のイタリア車やフランス車を髣髴とさせるルックスになるので、おすすめのオプションです。またフォグランプはSZ4で標準装備ですが、装備されないSZ2とSZ3でも、オプションでの追加が可能です。

 

セレリオのおすすめグレードは?

スズキ セレリオを並行輸入するならば、最上級グレードのSZ4に2ペダルのAGS仕様をおすすめします。セレリオの長所は後席の居住環境が良いという点にあり、それならばリアにスピーカーを装備し、窓も電動で動くSZ4は合理的な選択肢でしょう。

一方、パーソナルカーとしてMT仕様で楽しむならば、中間グレードのSZ3 DUALJETもおすすめです。パーシャルスロットルでも心地良いトルクが発揮されるDUALJETエンジンは、良い意味でクルマの存在を意識することなく、軽快なロングドライブを楽しめることでしょう。

ベーシックカーとしての在り方を楽しむならば、思い切ってエアコンレスのSZ2などの選択肢もありますが、低価格車の場合でも並行輸入に関する輸送費等のコストは変わらないので、やや割高感が強まる点については注意が必要です。

 

スズキ セレリオを並行輸入した場合の乗り出し価格は?

現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。

国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。

 

スズキ セレリオの輸入中古車もおすすめ

スズキの小型車は、日本国内では低走行の新古車や試乗車落ちを買うとお買い得であることが、一部のクルマ好きにはよく知られているところです。同様の事情はイギリスにもあり、5,000マイル以下、中には100マイル以下の低走行車が、新車より安く流通しています。

セレリオのイギリスでの売れ筋は中間グレードのSZ3で、こちらは5,000マイル前後の流通が多く、これが新車のSZ2と同等以下で流通しており、日本での乗り出し価格を大幅に抑えることができます。

一方、上級のSZ4は走行100マイル以下の実質新車に等しい個体が多く、こちらはまさに日本の新古車に近い感覚です。走行距離が少ない分、価格の落ち幅も大きくはありませんが、上級のSZ4を実質SZ3相当の価格で購入できるので、こちらもおすすめです。

国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。

 

スペック表

スズキ セレリオのサイズやカラーなどスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。

スズキ セレリオ SZ4 AGS £9,799
車名 スズキ セレリオ / Suzuki Celerio
エンジン、サンプルグレード 1.0 Petrol AGS Auto Gear Shift SZ4
英国販売価格 £9,799
型式
初度登録 国内未登録新車
車検 受け渡し
走行距離
ハンドル
ドア数 5
カラー スペリオールホワイト(標準色/SOL)
セルリアンブルー(OP/PAL)
スーパーブラック(OP/PAL)
アブレイズレッド(OP/PAL)
スターシルバー(OP/MTL)
ミネラルグレー(OP/MTL)
※OP:£415の有料オプション
※SOL:ソリッド塗装
※MTL:メタリック塗装
※PAL:パール塗装
全長x全幅x全高 3,600 x 1,600 x 1,540 mm
ホイールベース 2,425 mm
トレッド(前/後) 1,420 / 1,410 mm
車両重量 840kg
乗車定員 5名
トランスミッション 5AGS(オートギアシフト)
エンジンタイプ 直列3気筒DOHC自然吸気ガソリン12V
総排気量/内径x行程 998cc / 73.0 x 79.5 mm
圧縮比 11.0
最高出力 68ps(50kW) / 6,000rpm
最大トルク 90Nm / 3,500rpm
燃料タンク容量 35L
燃費 約23.2km/L(欧州複合基準)
ブレーキ形式(前/後) ベンチレーテッドディスク / ドラム
タイヤ/ホイール 165/65R14
最高速度 約154km/h
0-100km/h加速 16.4秒
特記事項 ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。
スズキ セレリオ SZ3 Dualjet £8,499
車名 スズキ セレリオ / Suzuki Celerio
エンジン、サンプルグレード 1.0 Dualjet manual SZ3 Dualjet
英国販売価格 £8,499
型式
初度登録 国内未登録新車
車検 受け渡し
走行距離
ハンドル
ドア数 5
カラー スペリオールホワイト(標準色/SOL)
セルリアンブルー(OP/PAL)
スーパーブラック(OP/PAL)
アブレイズレッド(OP/PAL)
スターシルバー(OP/MTL)
ミネラルグレー(OP/MTL)
※OP:£415の有料オプション
※SOL:ソリッド塗装
※MTL:メタリック塗装
※PAL:パール塗装
全長x全幅x全高 3,600 x 1,600 x 1,540 mm
ホイールベース 2,425 mm
トレッド(前/後) 1,420 / 1,410 mm
車両重量 845kg
乗車定員 5名
トランスミッション 5MT
エンジンタイプ 直列3気筒DOHC自然吸気ガソリン12V
総排気量/内径x行程 998cc / 73.0 x 79.5 mm
圧縮比 11.0
最高出力 68ps(50kW) / 6,000rpm
最大トルク 90Nm / 3,500rpm
燃料タンク容量 35L
燃費 約27.7km/L(欧州複合基準)
ブレーキ形式(前/後) ベンチレーテッドディスク / ドラム
タイヤ/ホイール 165/65R14
最高速度 約154km/h
0-100km/h加速 13.0秒
特記事項 ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。

車両詳細画像ギャラリー

スズキ セレリオをもっと知りたい方はこちら

スズキ 英国 セレリオ オフィシャルサイト(Suzuki UK Celerio)
スズキ 英国 セレリオ コンフィグレーター(Suzuki UK Celerio)
スズキ 英国 セレリオ カタログダウンロード(Suzuki UK Celerio)※要登録

 

※本記事は2016年9月17日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。

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