シトロエンがラージミニバンを作ったらどんなクルマになるでしょう?
「乗り心地ならフランス車」というフレーズから、きっと真っ先に浮かぶシトロエンとなれば、期待も膨らむのではないでしょうか!
2016年春、欧州市場で日仏ジョイントベンチャーによって、魅力的なLCV三兄弟がリリースされました。発表直後からコアカーズでも紹介していますが、「プジョー トラベラー(Peugeot Traveler)」、「トヨタ プロエース(Toyota Proace)」、そして「シトロエン スペースツアラー(Citroen Space Tourer)」です。
今回は「シトロエンのラージミニバン」、スペースツアラーを徹底解説します。シトロエンは現在までLCVやラージミニバンを日本へ正規輸入した実績がなく、スペースツアラーの導入も未定です。シトロエンの新型モデル、スペースツアラーを並行輸入してみませんか?
この記事の目次
シトロエン スペースツアラーの特徴
シトロエン スペースツアラーは、LCVの「ジャンピー」に設定されていた乗用モデルの後継車種です。
ジャンピーの初代モデルは1994年にリリースされました。以前よりLCVをはじめジョイントベンチャーを有効に活用していたシトロエンは、このモデルもプジョー、フィアットと共同で開発し、プジョーではエキスパート、フィアットではスクードの名前で販売され、欧州で一定のシェアを得ました。
2代目モデルのリリースは2007年。このモデルも初代と同じくプジョー、フィアットとのジョイントベンチャーでしたが、モデル途中から欧州仕様のハイエースの自社生産を終了したトヨタにも、プロエースの名前でOEM供給されました。
そして現行モデルとなる、2016年デビューの3代目です。ジュネーブモーターショーで発表されたこのモデルから、乗用モデルを「スペースツアラー」として独立させ、先行して販売開始されました。商用バンモデルは従来通りジャンピーとして、2017年モデルより追加予定です。
歴代モデルと同じくジョイントベンチャーで開発されていますが、初代モデルより手を組んできたフィアットが離れ、代わりにトヨタが開発段階から参加している点が今までと異なります。日本のメーカーと欧州メーカーのジョイントベンチャーは一見めずらしく見えますが、シトロエン、プジョー、トヨタの3社はシトロエン C1、プジョー 108/107、トヨタ アイゴでもジョイントベンチャーで開発を行っており、”勝手知ったる仲”でもあります。
グレード構成は、ファミリー層をターゲットにしたFeelとShine、ビジネス用途を想定したBusiness、そしてエクゼクティブグレードのBusiness Loungeが設定されています。
シトロエンらしさを主張するエクステリア
エクステリアは、LCV/乗用モデルのどちらでも違和感のないクリーンなデザインです。これは兄弟車であるトラベラーやプロエースと基本的に同一ですが、スペースツアラーは大きなダブルシェブロンを配したグリルを中央に据えたシトロエンファミリーの一員らしいフロントフェイスを持つなど、メーカー毎の棲み分けがされています。
両手が塞がっているときも足のジェスチャーで両側スライドドアを開閉できる「ハンズフリー・スライド・サイドドア」や、狭い駐車場でも荷物が取り出せるよう、バックドアにガラスハッチを設けるなど、「カユイところにも手が届く」使い勝手の良さを考えたミニバンに仕上がっているのが特徴です。
スペースツアラー ハンズフリー・スライド・サイドドア紹介動画(約30秒)
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用途に合わせて選べるボディタイプ
ボディタイプは、全長の違いで3種類設定されています。
- 小回りなども有利なショートホイールベースで全長4,600mmの「XS」
- ミディアムホイールベースで全長4,950mmの「M」
- 3列シートをフルに使用しても余裕のラゲッジ容量を確保する、全長5,300mmの「XL」
これら用途にあったボディをお選びください。
スペースツアラー ボディタイプ紹介動画(約50秒)
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上質な仕上げと多彩なシートアレンジ
インテリアはすべてのグレードでフルトリムとなっており、乗用車らしい質感の高い仕立てです。LCVをベースとした乗用モデルにありがちな素っ気なさを感じません。
シートレイアウトと、乗車定員はグレードによって異なります。
FeelとShineは、1列目は独立シートとなり、2列目は独立したキャプテンシートの7人乗りと、3人掛けで8人乗りの2種類があります。
Businessは、2列目は3人掛けのみで、1列目が独立シートの8人乗りモデルと、3人掛けの9人乗りモデルの2種類があります。
Business Loungeは、全席独立の6人乗りと、3列目が3人掛けの7人乗りモデルの2種類があります。
このようにスペースツアラーは、グレードによってさまざまな設定がされています。シートアレンジも、2列目、3列目は脱着可能であったり、分割可倒のため、後席の左右片側を倒して長尺物を積み込んだり、自転車などを積むトランスポーターのような使い方も可能です。
ソフトパッドをふんだんに使用したインパネは、各所にクロームのアクセントが入るなど、先代モデルに比べ大幅に質感がアップしています。トランスミッションについては後述しますが、MTはインパネシフト、2ペダルモデルはシフトレバーの代わりにダイヤル式のセレクターがインパネに装備されるため、足元は広く、左右の移動も容易です。Businessには前席3人掛けモデルも設定されていますが、3人座っても狭さはあまり感じないでしょう。
最上級モデルのBusiness Loungeには、回転対座の本革張りキャプテンシートや、収納式テーブル、頭上の解放感を演出するパノラマサンルーフなどが装備されており、グレード名の通り「走る高級ラウンジ」の佇まいです。これは従来のモデルには見られなかった装備です。
シトロエンは代々フランスの大統領専用車に採用されることも多く、近年ではC6やDS5が使われていますが、スペースツアラーのBusiness Loungeは、もし、それらに代わっても遜色の無い仕立ての良さを感じさせます。
スペースツアラーの持つ高級感は、アルファード・エクゼクティブラウンジなど高級ミニバンで培ったトヨタの持つノウハウが生かされているのかも知れません。そしてこれが、新たに乗用ワゴンモデルをジャンピーから独立させてスペースツアラーの価値を高めようという、シトロエンの戦略なのかも知れません。
スペースツアラー ユーティリティ紹介動画(約35秒)
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フレキシブルなパワー特性のBlueHDiエンジン
パワーユニットは、BlueHDiと呼ばれる新世代のクリーンディーゼルエンジンのみで、ガソリンエンジンの設定はありません。大きく分けると1.6Lと、2.0LのBlueHDiですが、グレードやボディタイプにより複数のチューンがあります。
- 直列4気筒1.6L BlueHDiディーゼル 95PS
- 直列4気筒1.6L BlueHDiディーゼルターボ 115PS
- 直列4気筒2.0L BlueHDiディーゼルターボ 150PS
- 直列4気筒2.0L BlueHDiディーゼルターボ 180PS
日本のラージミニバンに比べると排気量こそ小さいですが、フレキシブルなトルク特性のBlueHDiエンジンは、低速から十分なパワーを発揮します。
トランスミッションは、基本的に5速/6速のMTが標準ですが、1.6LモデルにはAMTのETG6、2.0Lにはトルコン式ATのEAT6も設定されています。
高速性能としなやかな乗り心地を両立
スペースツアラーと日本のミニバンのいちばんの違いは、足回りのセッティングでしょう。
全高の高さや、投影面積の大きさによる空気抵抗などで、高速走行には不利なミニバンでも、ヨーロッパでは優れた高速走行性能が求められます。そのため、スペースツアラーも安定した高速走行を実現する足回りを備えています。また、乗り心地に定評のあるシトロエンらしく、しなやかさも両立したセッティングが施されていることも美点のひとつです。
安全性の高さも自慢です
最新のEuro NCAP衝突テストでは、最高評価の5つ星を堂々獲得しているのに加え、衝突被害軽減ブレーキや、自動追従クルーズコントロールなど予防安全装備も充実しています。
巡航速度の高い欧州市場でも通用する安全性の高さは、万が一の際にも乗員をしっかりと守ってくれることでしょう。
総評:欧州仕込みの走りと”OMOTENASHI”を融合
スペースツアラーは日仏メーカーのジョイントベンチャーとして、プジョーの走りの良さや、シトロエンのしなやかな乗り心地を生かした、「欧州仕込みの走り」に加え、今までの欧州ミニバンがなかなか追いつけなかった、ミニバン大国日本が得意とする使い勝手や便利機能による「OMOTENASHI(おもてなし)」を融合したのが、このスペースツアラーの美点と言えるのではないでしょうか。
スペースツアラーは、「欧州ミニバンは走りはいいけど簡素」、「ユーティリティは日本のミニバンに及ばない」と言われていたことが、もはや過去のものであると感じさせる一台に仕上がっています。
ミニバンに対して便利さや豪華さだけでなく、どこまでも行ける走りを求めるユーザーにはきっと満足してもらえるはずです。
スペースツアラー コンセプト動画(約50秒)
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激化する欧州ラージミニバン市場でのライバルは?
LCVベースのラージミニバンというジャンルは、欧州市場でも今後競争が激化してくるジャンルと予想されます。
スペースツアラーをはじめとする三兄弟のライバルとしては、フォルクスワーゲン T6や、メルセデスベンツ Vクラスが挙げられます。
T6は、フォルクスワーゲンがビートルベースのType2(ワーゲンバス)の時代から長年地道に進化させてきたモデルです。各部の緻密な作り込みや、4モーション(4WDシステム)がもたらす抜群の走行安定性、TDIビターボエンジンのパワフルさなど、どれをとっても一級品であり、欧州ラージミニバンのベンチマークとも言われる一台です。
実際に、後発であるメルセデスベンツ(Vクラス)が持つプレミアム性を持ってしても、T6の牙城を崩すのに難儀している印象があります。しかし、スペースツアラーと比べると、その分高価です。
2014年にフルモデルチェンジをした新型メルセデス・ベンツ Vクラスは、このクラスの覇者であるフォルクスワーゲンT6に肩を並べる出来という声もあり、評判は上々です。日本にも2015年より正規輸入され、メルセデス初のディーゼルエンジンを搭載したラージミニバンとして注目を浴びています。しかし、T6と同様に価格が高めのモデルが中心であり、排気量もスペースツアラーより大きめです。
スペースツアラーをはじめとする三兄弟は、これらドイツの2大巨頭に、真っ向から勝負出来るだけのクオリティを持ったモデルです。ますます激化する欧州ミニバン市場の覇者はどのモデルになるのでしょうか?今後も目が離せません。
おすすめはShineのミディアム、EAT6モデル
Shineグレード、ミディアムサイズのMに、2ペダルオートマチックのEAT6を組み合わせた 2.0L BlueHDi 180PSモデルをおすすめします。装備が充実したファミリー向けの”Shine”に、ラゲッジスペースにも余裕があるミディアムホイールベースのボディを組み合わせた、運転しやすい2ペダル仕様です。パワーユニットはもっとも出力の高い180PSモデルですから、フル乗車でも余裕のある走りを実現してくれるはずてす。現在スペースツアラーは左ハンドルモデルのみの販売ですが、右ハンドルモデルの予約も可能です。
そして、さらに高級モデルをお求めの方にはBusiness Loungeのロングモデルとなる、XLのEAT6モデルは如何でしょうか?走るラウンジのようなこのモデルは、ただ広く豪華なだけでなく、長距離移動も疲れにくい乗り心地など、国産ミニバンとひと味違う高級さ、価値観でオーナーの所有欲を満たしてくれることでしょう。
ビジネスグレードや、小回りが効くショートホイールベース、今後発売予定の商用モデル『新型ジャンピー(バン)』もご予約できますので、お気軽にご相談ください。
新たなステージに突入した欧州ミニバン、スペースツアラーと暮らしてみませんか?
シトロエン スペースツアラーの日本国内での乗り出し価格は?
シトロエン スペースツアラーの右ハンドル・イギリス仕様の販売価格はまだ発表されていませんが、本国フランスでの販売価格は、ファミリー向けの上級グレードである M Shine BlueHDi S&S EAT6で51,850ユーロです。フランスより並行輸入した場合の日本国内の乗り出し価格は、諸経費込で、750-780万円(2016年7月26日為替レート1ユーロ116円にて計算)くらいになりそうです。下に、最新為替連動による日本国内での乗り出し価格の目安を表示させていますので、ご参考にしてください。
価格は左ハンドル仕様を掲載していますが、右ハンドルをご希望の方には価格が発表され次第ご案内します。お気軽にお問い合わせください。
スペースツアラーは、日本では正規輸入されていないので、入手するには並行輸入が現実的な方法です。
既に生産終了、あるいは新型・後継モデルが発表済のモデルです。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。ご対応ができない場合もございます。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスしてください。
スペック表
シトロエン スペースツアラーのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | シトロエン スペースツアラー / CITROEN SPACETOURER |
サンプルグレード | M Shine BlueHDi S&S EAT6 |
フランス販売価格 | €51,850 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 左 |
ドア数 | 5 |
カラー | ノワールオニキス(標準色) ブランバンクイーズ(標準色) ブルーラグーン(標準色) ブルーインペリアル(標準色) グリアルミニウム(OP/MTL) グリプラチナム(OP/MTL) サブール(OP/PAL) ブランリッチオーク(OP/PAL) オレンジトルマリン(OP/PAL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 ※PAL:パール塗装 |
全長x全幅x全高 | 4,956× 1,920 × 1,890 mm |
ホイールベース | 3,275 mm |
トレッド(前/後) | 1,627mm / 1,600mm |
車両重量(乾燥) | 1,730kg |
乗車定員 | 8名 |
トランスミッション | 6AT |
エンジンタイプ | 直列4気筒DOHCインタークーラー付きディーゼルターボ |
総排気量/内径x行程 | 1,997cc/-mm×-mm |
圧縮比 | – |
最高出力 | 130kW(178PS)/3750rpm |
最大トルク | 400Nm(40.6kg-m)/2000rpm |
燃料タンク容量 | 69L |
燃費 | 約16.3km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 17インチホイール |
最高速度 | 170.0 km/h |
0-100km/h加速 | -秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車名 | シトロエン スペースツアラー / CITROEN SPACETOURER |
サンプルグレード | XL Business Lounge BlueHDi S&S EAT6 / 6AT |
フランス販売価格 | €53,700 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 左 |
ドア数 | 5 |
カラー | ノワールオニキス(標準色) ブランバンクイーズ(標準色) ブルーラグーン(標準色) ブルーインペリアル(標準色) グリアルミニウム(OP/MTL) グリプラチナム(OP/MTL) サブール(OP/P) ブランリッチオーク(OP/P) オレンジトルマリン(OP/P) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 ※P:パール塗装 |
全長x全幅x全高 | 5,308× 1,920 × 1,890 mm |
ホイールベース | 3,275 mm |
トレッド(前/後) | 1,627mm / 1,600mm |
車両重量(乾燥) | -kg |
乗車定員 | 6名 |
トランスミッション | 6AT |
エンジンタイプ | 直列4気筒DOHCインタークーラー付きディーゼルターボ |
総排気量/内径x行程 | 1,997cc/-mm×-mm |
圧縮比 | – |
最高出力 | 130kW(178PS)/3750rpm |
最大トルク | 400Nm(40.6kg-m)/2000rpm |
燃料タンク容量 | 69L |
燃費 | 約16.3km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 17インチホイール |
最高速度 | 170.0 km/h |
0-100km/h加速 | -秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
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シトロエン スペースツアラーをもっと知りたい方はこちら
・シトロエン スペースツアラーのオフィシャルサイト(CITROEN FRANCE SPACETOURER)
・シトロエン スペースツアラーBusiness Loungeのオフィシャルサイト(CITROEN FRANCE SPACETOURER Business Lounge)
・シトロエン スペースツアラーのコンフィグレーター(CITROEN FRANCE SPACETOURER)
・シトロエン スペースツアラーBusiness Loungeのコンフィグレーター(CITROEN FRANCE SPACETOURER Business Lounge)
※本記事は2016年8月1日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。