シトロエン C3は、シトロエンが生産し、ヨーロッパや南米で販売されているBセグメントの世界戦略車です。日本にも歴代モデルの正規輸入が行われており、ライバルとは一線を画した個性的なデザインや、シトロエンらしい独創性、そしてフランス車に期待される良好な乗り心地などから、一定のセールスを記録してきました。
そんなC3が2016年に2度目のフルモデルチェンジを行い、10月のパリモーターショーでベールを脱ぎました。3代目となる新型C3は、最新のシトロエンらしいデザインテイストを取り込み、また新しい個性や独創性も持ちながらも、同時に親しみやすいという、魅力的なモデルに仕上がっています。特にルーフやフォグライトベゼル、ドアミラーなどをボディカラーと異なる配色の2トーンカラーにすることで実現する、最大36通りのカラーバリエーションは、新型C3の特色のひとつとなるでしょう。
今回はそんな新型C3について徹底解説します。これまで同様に日本へも正規輸入が行われる見込みですが、MTの設定や、カラーバリエーションなど、選択肢はヨーロッパの方が多いことも予想されます。日本で乗りやすいイギリス仕様右ハンドルのC3を、豊富な選択肢を使って自分だけの1台に仕立てあげて、並行輸入してみませんか?
また、コアカーズでは新型C3が発表されたパリモーターショーにて、一般公開に先駆けてプレス枠での取材も行いました。C3一色に染まったシトロエンブースの様子も、あわせてお伝えします。
この記事の目次
シトロエン C3の歴史と特徴
シトロエンのBセグメント専用モデルの歴史は浅く、それはC3の歴史そのものと言っても良いかもしれません。C3の登場以前、シトロエンは小型車のラインアップがそれほど充実しておらず、AセグメントとBセグメントの棲み分けも明確ではありませんでした。現在C3がラインアップされている背景には、シトロエンの戦後の小型車開発での苦難が密接に関わっているのです。簡単に触れてみましょう。
元々、戦後のシトロエンのラインアップは、ハイエンドとボトムエンドという極端な構成で、その中間が抜け落ちていたのです。特に顕著だったのはトラクシオン・アヴァンの販売が終了した1957年頃で、カタログには現在でも傑作として名高いDSと2CVしかラインアップされておらず、一応DSの廉価版としてのIDという存在はあったものの、その中間はすっぽりと抜け落ちていた状態でした。
DSも2CVもシトロエンの理想主義の極致でしたが、無論、これだけのラインアップでは競合他社に対して訴求力は弱く、1960年代に入るとシトロエンは中間を埋めるため、2CVをベースに上級車であるアミ(Ami)、2CVの後継車を目指したディアーヌ(DYANE)などを次々と生産しました。しかしいずれも販売は振るわず、結局2CVの方が長寿となったことは現在でも広く知られています。他にもこの時期には仏パナールや伊マセラティの買収、西独NSUとの合弁事業開始、伊フィアットとの業務・資本提携など、他社との提携も積極的に行われましたが、抜本的な打開策にはなりませんでした。
こういった状況の中1970年代に入ると、フィアットとの提携解消、そしてオイルショックが致命傷となり、シトロエンは積年のライバルであったプジョーの傘下に入ることになります。プジョー傘下で販売から間もないスポーツカー、SMは生産中止されたほか、次世代パワートレインとして検討されていたロータリーエンジンも開発が中止され、登場したばかりの市販モデル(GS ビロトール)の販売も打ち切られましたが、一方でプジョーの戦略の元、待望だった設計の新しい小型車としてプジョー 104をベースにしたLN、そしてヴィザ(VISA)が相次いで登場しています。特にヴィザは104がベースとはいえ、そのサイズ感や内容は今日のBセグメントに通じるモデルで、シトロエンらしい独創性にも溢れたモデルでした。
しかしヴィザとLNは、1980年代にはAXに集約されてしまいます。AXの後継車として1996年にはサクソ(Saxo)も登場しますが、ベースであるプジョー 106に対して僅かに車体が大きいものの、このクラスで複数のモデルを作り分けるライバルに対して、シトロエンのラインアップは貧弱な傾向が続きました。
このような状況に対して、21世紀に入るとシトロエンはラインアップの大改革を断行、モデルチェンジのたびにモデルの名称を変えていた旧来の方針を変更し、Cの後に車格に対応した数字が付加されるという、ドイツのプレミアムブランドのような命名法へと改めました。同時に小型車のバリエーション拡大が行われ、この改革の中で新しく生まれたBセグメントのモデルがC3だったのです。サクソの後継車としても紹介されることがあるC3ですが、C3にはサクソのような3ドアが設定されず、別の3ドア専用車として、デザインやボディサイズが大きく異なるC2が別にラインアップされているなど、単純な後継車ではない点にも、この改革の意図が伺えます。
そんなC3の初代モデルは、2001年のフランクフルトショーで発表され、2002年に発売開始されました。デザインディレクターはイタリア人のドナート・ココ(Donato Coco)と、フランス人のジャン=ピエール・プル(Jean-Pierre Ploué)の二人ですが、後者はかつてルノー トゥインゴの初代モデルのエクステリアデザイン原案を担当した人物です。初代C3のデザインモチーフは2CVで、その丸みを帯びたデザインはシトロエンらしいと歓迎されました。生産はフランスのオルネー=スー=ボワの工場を中心に、スペインのマドリードやブラジルのポルト・レアウでも行われ、2010年のモデルチェンジまでの生産台数は225万台以上に達しました。また、C3 プルリエルやC3 ピカソといった派生車種も登場しています。
2代目のC3は2009年のフランクフルトショーで発表され、2010年に発売開始されました。デザインディレクターは初代C3のエクステリアを担当し、また初代C4やC4ピカソでデザインディレクターだったオレグ・ソン(Oleg Son)。アジアで生まれ多様な文化を吸収した彼は、2代目C3を初代のイメージを継承しつつ、より洗練を進め、プレミアム感も持つモデルとして仕上げました。2代目はフランスはポワシーの工場で生産されたほか、初代同様にブラジルでも生産され、2015年までに130万台が生産されました。
こうして、かつては空白だったシトロエンのBセグメントのモデルとして、歴代のC3は市場にしっかりと浸透していったのです。そんなC3の最新作は、これまでと異なり偶数年の発表となったので、フランクフルトからパリにそのお披露目の場を移し、地元メディアの注目も強い中で行われました。今回のデザインディレクターはC4 カクタスと同じアレクサンドル・マルベル(Alexandre Malval)で、ルノーのデザイナーやVWのデザインスーパーバイザーを経て、PSAには2001年から在籍、2012年からシトロエン全体のデザインディレクターにも就任しています。また、生産はフランスではなく、スロバキアのトルナヴァ工場に移すことも分かっています。
果たして新型C3は、どのようなモデルに仕上がっているのでしょうか?
シトロエン C3のプロモーションビデオ(約1分37秒)
※シトロエンは新型C3の紹介のために、上のPVを含む6本の映像を製作しました。この記事では、それらのすべてを掲載しています。
エクステリア
C4 カクタスのコンセプトを継承しつつ、C3独自にデザイン
新型C3に、C4 カクタス同様のエアバンプが採用されるという噂は、C3のオフィシャルフォトが公開されるよりも前、2016年のはじめから海外メディアなどで広く伝えられていました。そのためC3はC4 カクタスの縮小版、あるいはC4 カクタスはプロトタイプ的な位置づけであり、C3こそがC4 カクタスのコンセプトを体現する本命モデルではないのかという予想も見られていました。
しかし実際に公開されたC3は、エアバンプなどで確かにC4 カクタスでの取り組みを継承するものの、エアバンプはカクタスに比べると細く、実質的なサイドモールとしての採用に留められています。さらにエアバンプが省略されたモデルも設定されるなど、エアバンプをバンパー兼用のヘッドライトベゼルや、リアバンパーにも採用したC4 カクタスとは、また違った趣を持つデザインとなりました。
ヘッドライトはC4 カクタス同様に、細いフロントグリルから連続した補助灯の下に、独立した大きなものを設置。このヘッドライトが挟むように、カクタスには見られなかった大きなフロントグリルが配置されました。さらに、ひと回り小さくしたようなフォグライトがバンパー下部のスポイラーに連なるように装着され、この2段構えはC4 ピカソやC4 カクタスと異なる、C3の個性に繋がっています。またヘッドライトやフォグライトはいずれも表面から奥まった場所に配置されており、高さのあるボンネットとあわせて、C3にボディサイズを超えた重厚感や迫力を与えています。
サイドビューを見ると、樹脂色の素材で縁取られたフェンダーが目を引きます。このフェンダーは非常に存在感が強く迫力があります。クルマのデザインスケッチではしばしばタイヤの大きさを市販車よりも遥かに大きく描く場合が多く、スケッチではダイナミックだったデザインが、市販に向けて一気に大人しくなってしまうケースもしばしば見られますが、このフェンダーアーチのおかげで新型C3はスケッチからそのまま飛び出したようなデザインとなりました。さらに、ここにエアバンプのサイドモールも加わるわけですから、横から見た新型C3は大変起伏に富んでおり、近年サイドモールを一切廃してフラットな印象を強めたモデルが多い中で、独特な存在感を放っています。
ただし、フォグライトやフェンダーの縁取り、エアバンプなどはグレードによって省略されるので、それらのグレードではイメージが変わります。
唯一リアビューは保守的な印象で、フロントスポイラーの形状をリフレインさせて共通性を持たせていますが、例えばC4 カクタスと比べてもテールライトは小ぶりで、テールゲートの開口部を広く取られるなど、使い勝手を重視していることが伺えます。
全体的なシルエットは、ライバルと比較して依然として丸みは強いものの、従来のC3と比べて直線的な印象が強まっています。特にルーフ後端の丸みこそ従来のC3の流れを汲みますが、2CVのテイストを感じさせた初代、そのテイストを残した2代目のような、前後に大きくラウンドしたルーフは廃止され雰囲気は一変しました。実際のボディサイズは全長が先代比マイナス40mmの3,900mm、全幅が先代比プラス20mmの1,750mm、そして全高は実にマイナス60mmの1,470mmとなり、各ディメンションの大きな変更が、視覚的な印象を裏付けます。
注目は冒頭でも触れたカラーバリエーションで、ベースとなるボディカラーは9色用意されています。加えて車体とは異なる色でルーフ、フォグライトベゼル、ドアミラーをセットでコーディネートでき、こちらは3色の設定。さらにエアバンプの前部にあるアクセントの挿し色として白と赤が用意されています。このような組み合わせにより用意された36種類の中から、自分好みのエクステリアを持つ1台を選ぶことが可能になっているのです。このような試みはBMW MINIや、グループPSAでもDSオートモービルのDS3など、プレミアムなモデルでしばしば行われてきたものですが、C3はあくまでスタンダードなコンパクトカーという位置づけで実現しているところもポイントとなるでしょう。
シトロエン C3のスタイル紹介動画(約43秒)
インテリア
包まれ感のある落ち着いた形状
新型C3のインテリアは基本的に落ち着いたデザインでまとめられています。初代C3は樹脂の素材感が目立ち、コストとの兼ね合いを感じさせながらも、機能的でクリーンな印象のインテリアでしたが、2代目では幅の広い光沢のあるトリムを配した高級車のような雰囲気のインテリアが用意されていました。3代目のインテリアは、それらとはまた異なる様式でまとめられています。
ドアを開けて一見すると、上下のダッシュボードの幅の広さを感じられる方も多いかもしれません。シートに座ればさらにその印象は強まります。これは恐らく高いボンネットに応じた形状と考えられますが、ダッシュボードのエッジが角ばっていて、乗員に向けた側が垂直に近い平面となっているので、ともすれば圧迫感を感じかねないくらいのギリギリのデザインです。しかし逆にこの形状のおかげで、新型C3の室内は十分な包まれ感があり、小さな車体ながら安心感や頼もしさを感じられるものともなっています。このような手法は、古典的なイギリス車などでしばしば用いられてきましたが、フランス車ではダッシュボードをラウンドさせて奥行きや開放感を演出する例がほとんどだったので、C3のデザインは新しい試みと言えるかもしれません。例えば助手席エアバッグを天井に移設して、徹底してダッシュボードを薄くして開放感を高めたC4 カクタスとは対極の方向性となります。
ダッシュボードの素材の質感は良好です。ダッシュボードの端から端まで、平面部を取り囲むように配された細いトリムは複数色が用意され、室内にアクセントを与えています。同時に、前述したダッシュボードの切り立った部分もシートカラーなどとあわせてコーディネートされ、こちらもトリムのような視覚効果を与えています。この部分の素材感は合皮のような柔らかい質感で、ステッチも入り、高級感さえ感じられるかもしれません。内装カラーバリエーションは3色から選択できます。
エアコンの吹き出し口の形状やメーターナセルの形状は、ヘッドライトやフォグライト、あるいはエアバンプの表面に見られる、カドの取れた四角形と共通性を感じる、いわば”丸四角い”デザインで統一されています。丸四角いというところから、フィアット パンダで採用されているスクワークルを連想する方もいるかもしれませんが、そのテイストはパンダのものとは大分異なります。デザイナーの意図とは異なるかもしれませんが、メーターナセルに昔日のヴィザを想起するシトロエンフリークもいるかもしれません。
中央のエアコン吹き出し口の下には大型のタッチパネルディスプレイが搭載され、各種車両情報の確認や設定が可能なほか、オーディオやエアコン、ハンズフリーフォンの操作なども、すべてここに一元化されていて、iOSのApple CarPlayや、AndroidのMirror Linkにも対応しています。またボリューム操作や通話開始などはステアリングのスイッチでも可能で、運転中の操作性にも配慮されています。
ドアパネルもまた、この四角形のモチーフが用いられています。やや低い位置で内側になだらかに横向きに膨らむドアハンドルや、同じような膨らみを持つドアポケットなどとあわせて、このあたりはC4 カクタスとの共通点を感じさせますが、四角形の幅はカクタスよりも大きなものです。
シートもC4 カクタスと似ていて、フラットな座面、背もたれの両端に、やや細めのサイドサポートが立ち上がっています。座った印象は柔らかさがあり、例えばドイツや日本、あるいは近年ヨーロッパで存在感を強めている韓国のライバル勢とは異なる、フランス車らしさ、シトロエンらしさを感じ取れるものです。この座り心地はオーナーの期待を裏切らないでしょう。
後席の印象も前席とは大きく変わりません。やはり開放感よりも包まれ感を強く感じられます。絶対的な空間はこのクラスのモデルとしては平均的なものですが、車体後端に向けてルーフの高さが下がっていることに加え、リアハッチのヒンジが張り出すため、背もたれに背中をつけて座るとヘッドクリアランスの余裕が少ないことが惜しまれます。
ラゲッジスペースの容量は300Lを確保。Bセグメントでは最大級です。ライバルのルノー クリオ(日本名ルーテシア)でも300Lを確保していますが、クリオの全長はC3よりも100mm程度長い点を考えると、新型C3はラゲッジスペースのパッケージングで健闘したといえます。リアシートを倒した場合のスペースは最大922Lまで拡大できます。
シトロエン C3の快適性のプロモーションビデオ(約43秒)
パワートレイン
最初は2ユニットから、2017年以降には大幅なアップデートの予定も
新型C3にはガソリン、ディーゼル両方のパワートレインが用意されています。それぞれユニットは1種類で、チューニングの違いや、過給器、Start & Stop(S&S、アイドリングストップのこと)の有無で差別化されています。
ガソリンエンジンは1.2Lの直列3気筒で、自然吸気の68hpと82hp、ターボの110hpが設定されています。特に110hp仕様は2015年以降、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの1.0〜1.4L部門賞を受賞している評判の高いエンジンです。
ディーゼルエンジンは1.6Lの直列4気筒で、75hp、100hp、いずれもターボ付きです。このエンジンはHDiと呼ばれるもので、基本設計の源流は1990年代のシトロエン エグザンティアに採用されたものまで遡りますが、改良が繰り返されて、現在は2013年から登場した第4世代となり、最新の環境基準にも対応しています。
また、新型C3は2016年発表ですが、2017年以降は早くもパワートレインの拡充や変更が行われる予定です。
ガソリンエンジンでは165〜208hpを発揮する、1.6Lの直列4気筒ターボエンジンが追加される予定です。これらはホットハッチとしてラインアップされることになるでしょう。より大きな変更があるのはディーエルエンジンで、現行の1.6Lに代わって2013年頃から設計が行われている完全新設計の1.5Lに置き換えられ、75hp、95hp、そして115hpの3種類から選択できるようになる見込みです。
トランスミッションはいずれも販売開始時は5MTのみですが、ガソリンエンジンでは82hp仕様にETG5と呼ばれるクリープ機能付きの2ペダルシングルクラッチトランスミッションが、またガソリンの110hp仕様と、新型ディーゼルの115hp仕様に、EAT6と呼ばれるトルクコンバーター式のアイシン精機製6ATが追加される予定です。
経済性
日本のエコカー顔負けの低燃費
新型C3は、日本の最新コンパクトカー顔負けの燃費の良さを誇ります。欧州複合モードでのカタログスペックは、出力仕様によるものの、ガソリンエンジンで約21km/L前後、ディーゼルエンジンでは約28km/L前後に達します。ガソリンエンジンに関しては、過給された110hp仕様がカタログ上ではもっとも燃費が良好です。もちろん乗り方次第で実燃費は逆転するかもしれませんが、少なくとも燃費を理由にエンジン出力を我慢する必要はなさそうです。
この低燃費には、ボディ形状もひと役買っていると考えられます。先代のC3はCd値こそ0.307とコンパクトカーとしては良好な数値でしたが、絶対的な車高の高さもあり、小さくない前面投影面積とあわせると空力特性にそれほど優れているとは言えませんでした。新型C3のCd値や前面投影面積の詳細は2016年現在公式には発表されていませんが、いずれも改善していることは想像に難くありません。また車重がガソリンの自然吸気モデルでは、総重量1トン未満に抑えられているのもポイントです。
なお、燃料タンク容量はガソリンで45L、ディーゼルで42Lを確保しています。低燃費化が進む中で燃料タンク容量を落とすメーカーも多い中で、ディーゼルエンジンならばスペックの上では1,000km以上の航続距離を確保しており、長距離移動のためにシトロエンを好むユーザーの需要にもしっかりと応えています。
ホイールサイズは、エントリーグレードを除いて基本的に16インチが標準、オプションで17インチの選択肢もあります。ただし17インチを選択した場合、タイヤの維持費が若干高くなるケースについては留意が必要かもしれません。
足回り
熟成の進んだ設計を継承
新型C3は、フロントにマクファーソン・ストラット、リアにトーションビーム(カタログではスプリング付きトーションバーと表記)を採用しています。プラットフォーム自体は、従来のPF1を継承しており、基本設計はキャリーオーバーしていると考えられます。
ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リアがドラムとなりますが、100psを超えるモデルではリアにもディスクブレーキを装備しています。
グレード構成と主な装備
グレードによって差異が大きなエクステリア
新型C3のイギリス仕様は、2016年現在、Touch、Feel、Flairという3グレード構成となっています。これらのグレード名称はC4など他のモデルでも使われていますが、C3については外観の差異が大きくなっており、公式サイトやカタログなどで見かける新型C3の姿は、基本的にはFlairのものとなります。ですから、他のグレードについては、Flairに対して何が省略されているかを考えると分かりやすいかもしれません。
廉価版という性質を強く持つエントリーグレードのTouchは、エクステリアではエアバンプやホイールアーチの加飾がなく、フォグライトやLEDのデイライトも装備されていません。ホイールは15インチのスチールに、ボディカラーは2トーンが設定不可で必ずモノトーンとなり、ドアミラーは手動式で黒となります。ですから、TouchのエクステリアはFlairとはかなり印象が異なります。
インテリアも、クローム加飾やリアのパワーウィンドウなどが省略され、内装のカラーバリエーションも標準の黒しか選べません。さらに7インチのタッチパネル式ディスプレイも装備されませんが、こちらは代わりにBluetoothとUSB入力に対応したラジオユニットが装備されます。タッチパネルの非装備に伴い、ここに機能が集約されていたオートエアコンも装備されませんが、こちらは600ポンドのオプションでマニュアルエアコンが追加装備できます。エンジンは100hp以上のものを選択できません。
Touchは廉価版とはいえ、ホイールアーチ加飾が省略されるのはこのグレードしかなく、エアコンやスペアタイヤも、それほど高価ではないオプションで追加できるので、敢えてシンプルなデザインを求める場合、タッチパネルが苦手な場合などは、積極的な選択肢になり得るモデルかもしれません。
FeelではTouchで省略されていた装備の多くが標準で搭載され、2トーンカラーも選択可能となります。エクステリアではエアバンプとフォグライトが省略されていますが、これらは290ポンドのセットオプションで選べるので、Flairとの外観上の差異はなくなります。インテリアも基本的にFLAIRと同等で、赤や茶色のカラーバリエーションも加わります。このグレードではすべてのエンジンが選択可能です。
最上級のFlairは、エクステリアがエアバンプを含みフル装備となります(ただしエアバンプは無償でレスオプションとすることもできます)。また、リアのガラス3面はプライバシーガラスとなります。インテリアのFeelとの差異は僅かですが、ステアリングやシフトノブはレザー仕上げとなり、パーキングセンサーやバックモニター機能、自動防眩ドアミラー、オートライトとワイパーが標準装備されます。
さらにFlairではConnectedCAM Citroënと呼ばれる機能が装備されます。これは128GBの保存容量と120度の視野角、フルHDの解像度を持つドライブレコーダーで、スマートフォンとの連携も可能です。事故のときの映像記録に活用できるのはもちろんのこと、ボタンひとつで風景を静止画として撮影・記録できるなど、スマートフォンのインターフェイスのひとつとしても活用することが可能です。ちなみに同様の試みはBMW M2などでも行われています。
いずれのグレードでも、ブレーキ圧配分機構や急ブレーキ時のブースト機能が付いたABS、横滑り防止装置(ESC)、ヒルスタートアシスト、運転席・助手席のエアバッグとサイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、そしてレーン逸脱警告アラームや、速度表示読み取り・警告機能など、安全装備はすべて標準装備されています。またリミッター機能付きのクルーズコントロールも全車標準装備です。ただし、残念ながら前車追従型クルーズコントロールや追突防止自動ブレーキの設定はオプションでもありません。
シトロエン C3の快適性のテクノロジー解説(約57秒)
主なオプション
Feel以上には大型ガラスルーフの設定も
新型C3にはいくつかのメーカーオプションが設定されていますが、グレードによって主旨や構成が大きく異なります。
Touchでは、前述したマニュアルエアコンと純正スペアタイヤのみがメーカーオプションとして設定されています。たとえば7インチディスプレイに関連した装備はオプションでは追加することができません。Touchはあくまでシンプルなグレードとして、足りない装備はオプションで埋める設定がされています。
Feelのオプションは、基本的にはFlairとの差異を埋めるものとなります。すなわち、ConnectedCAM Citroënやオートライト/ワイパー、バックカメラなどの装備が単品、あるいはセットオプションとして用意されており、Flairの装備は過剰ながら、Feelでは装備が不足するというケースに対応しています。
Flairは装備が充実しているので(エアバンプを装備しない無償オプションを除けば)他グレードとの差を埋めるオプションはありません。ただし専用のオプションとしてはキーレスエントリー&スタート、いわゆるスマートキー、そしてドライバー用のフロントアームレストが挙げられます。これらをオプションで選択したい場合はFlairを選択する必要があります。
また、FeelとFlairには共通のオプションも設定されています。注目はパノラミックルーフと呼ばれる大型のガラスルーフで、先代C3に設定があったガラスルーフ兼用の大型フロントガラスである、ゼニス・フロントウィンドウに代わる装備となります。また、死角に入った斜め後方の並走車を感知するブラインド・スポット・モニタリングの設定もあります。これらの装備はFeelでは他の装備とセットオプションとして設定されているので、価格設定はFlairとは異なるものの、大きな差異はありません。他にも500ポンドで7インチディスプレイに、緊急時の救急連絡支援機能を搭載したカーナビゲーションシステムを追加することができますが、日本では利用できないのでおすすめできません。
なお、2トーンカラーや内装のカラーバリエーションもカタログ上ではメーカーオプションとして取り扱われています。こちらは追加費用が発生しません。
Feelでオプション、Flairで標準のConnectedCAM CitroënC3(約35秒)
総評
シトロエンに敷居の高さを感じていた方にこそおすすめのモデル
もしかすると新型C3は、特にシトロエン・フリークにとっては好き嫌いが分かれるモデルとなるかもしれません。
デザインスケッチそのままのようなダイナミックなデザイン、そこから感じられるシトロエンらしい個性に惹かれる方にとっては、このモデルは唯一無二の存在になり得ます。一方でシトロエンの理想主義的な部分に惹かれてきた方にとっては、たとえばスタイリングに2CVのテイストを取り入れてきた歴代のC3、あるいは2CVのような精神性を現代の水準で再構築したC4 カクタスのようなモデルと比べると、新型C3はやや薄味に感じられてしまうかもしれません。
冒頭で解説したとおり、シトロエンにとって小型車の拡充は半世紀以上に渡って課題となっていました。今世紀に入ってモデル名称とラインアップで大改革を行う中で、言わばこのセグメントで新参者となったシトロエンは、特にスタイリングの面で、過去の2CVの名声に頼っていたと捉えることもできます。最初のC3の登場から15年を経て、自らの存在が市場に浸透したからこそ、より独特なコンパクトカーを作り上げることができるようになり、その成果こそが新型C3だと評価することもできそうです。
新型C3は、特にC4 カクタスと対極にあるような包まれ感のあるインテリアに代表される、一種の頼もしさを感じるモデルとして仕上げられました。これは多くの人にとって、安心感に繋がるでしょう。ですから、特にシトロエンに魅力を感じつつも、その理想主義から生まれるある種の危うさが敷居の高さとなり、シトロエンを選ぶことを見送ってきた方にこそ、新型C3はおすすめのモデルと言えます。
かつての理想主義的なシトロエンに惹かれる方にはC4 カクタスを、広大な室内空間が必要ならばC3 ピカソを、そして特別な知識などを持たなくても、広く親しんでもらえるモデルとしてC3を用意するといったように、シトロエンはモデル間でコンセプトを変え、色々な需要に対応できるラインアップを揃えつつあります。アミやディアーヌでは成し得なかった、より多くの人にシトロエンを届けるという願いは、ようやく達成されつつあるのかもしれません。
シトロエン C3のパーソナライゼーション紹介動画(約37秒)
シトロエン C3のライバルは?
激戦区のBセグメントでは、各社が工夫を凝らしたモデルを展開しており、いずれも高い水準で仕上げられています。その中で2トーンカラーでカラーバリエーションを増やすという戦略をとった新型C3は、ややプレミアム色の強いモデルとも競合することになります。
同じグループPSAで、シトロエンからブランドが独立したDSオートモビルがラインアップしているDS3は、真っ先に気になる1台かもしれません。2代目C3の兄弟車だったDS3ですが、2トーンカラーの採用など、新型C3のコンセプトの先駆者とも言える存在です。ただDS3と新型C3を比べると、その車体色のコーディネートはC3の方がさらに徹底されていることも伺えます。もっともDS3は3ドアしかラインアップされていないので、今後C3にホットモデルが追加されても、ある程度の棲み分けが保たれることになるでしょう。
また、このような2トーンカラーの先駆者となったライバルとして、BMW MINIが挙げられます。特に3代目のMINIでは、これまでと異なり通常モデルにも5ドアが追加されました。5ドアのMINIは一見大きく見えますが、実はボディサイズは4mを下回っており、ボディサイズの面ではC3と真っ向勝負になります。ただMINIは、内外装ともに元祖のMiniをモチーフにしながら、より徹底したデザインコンセプトの徹底がはかられ、その分やや高価になるなど、プレミアム色の強いモデルとなります。
スタンダードなモデルで、カラーバリエーションの多様さを楽しむという観点では、実は日本の小型車にも通じるものがあります。
日本の軽自動車は近年2トーンカラーの採用に積極的で、スズキ アルト ラパンやホンダ N-ONEのようなデザイン性を重視したモデル以外でも、スズキ スペーシアやダイハツ タントなど、実用的なハイトワゴンでも2トーンカラーの選択肢が選べるようになりました。特にハイトワゴンでのルーフ色変更は、ハイトワゴン特有の腰高感を軽減し、視覚的な安心感を与えるという利点も併せ持ちます。ただし、インテリアはコストに配慮しながら実用に徹したものが多く、欧州勢のような統一感を実現している例は、ラパンやN-ONEなど高付加価値なモデルに留まります。2トーンカラー自体も相応に高価なオプションとなっています。2トーンカラーを追加費用なしとしたC3の意図するところは、直接のライバルとなるモデルは少ないものの、日本の小型車の価格設定などを見ると分かりやすいかもしれません。
デザイン面以外に目を向けると、グループ内のプジョー 208、フランスの強力なライバルであるルノー クリオ(ルーテシア)、ドイツ勢としてフォルクスワーゲン ポロやアウディ A1、ドイツ車ながらイギリスの色も強い、ボクスホール|オペル コルサ、フォード フィエスタなど、枚挙に暇がありません。ただ、このセグメントは各メーカーともに変革の途上にあり、各社いずれも旧世代のプラットフォームの最終進化系で設計されたモデルが並んでいる状況です。この先モデルチェンジを境に、モジュール設計のプラットフォームや、非モジュールでも最新設計のプラットフォームへのリプレイスが行われることが予想され、2020年ごろのBセグメントの様相は一変するかもしれません。そうなると、旧世代プラットフォームで設計されたC3は設計の古さがネックになる可能性がありますが、逆に熟成された技術を用いていることが優位性となるかもしれません。
シトロエン C3のベストバイグレードは?
新型C3は、グレードとエンジンの2つの要素を選ぶことになります。
もっとも価格と装備のバランスが取れているのは、中間グレードのFeelです。Flairとの価格差は、エンジンが同じ場合1,050ポンドとなっており、例えばエアバンプとフォグライトを290ポンドのオプションで追加しても、Feelの方が依然として割安になります。ただし、それ以外のオプションを選択すると価格差が詰まってしまいますから、その場合は最初からFlairを選んだ方が良いでしょう。
エンジンについては、2016年時点ではガソリン仕様をおすすめします。68hp、82hp、110hpの3仕様が設定されていますが、多くの場合は82hpと110hpのいずれかで悩むことになるでしょう。一般的には82hpでも必要十分なスペックは得られているので、あとはプラスαの動力性能が必要かが鍵になるかもしれません。
110hpは価格差1,200ポンドと引き換えに、100km/hまでの到達時間が13.0秒から9.3秒に短縮されますが、車両重量は70kg、大人1人分ほど増えてしまいます。アイドリングストップ機構のおかげでカタログ燃費も若干向上しますが、これは誤差範囲で特に気にするべきところではなく、むしろ停車中のエンジン停止による静粛性などが付加価値になると考えた方が良いでしょう。また、ホットハッチ的な走りを求めるならば、より高出力な1.6Lエンジンの追加を待つことをおすすめします。110hpは、今後追加されるトルコン式の6ATとの組み合わせが本命となるかもしれません。
ちなみに68hpは100km/hまでの到達時間が14.2秒ほどかかり、ルックスから受ける雰囲気に対して動力性能に流石にギャップを感じるかもしれません。アンダーパワー気味のパワートレインをフルに使い切るというのもフランス車らしい楽しみ方ではありますが、それならばグレードは15インチのTOUCHをおすすめします。ホイール径が小さくなったことにより、最高速度、加速性能、いずれも若干改善します。こちらはベストバイというよりも、通好みの選択肢となるでしょう。
ディーゼルエンジンについてはリプレイスを控えており、新しい1.5Lならば日本では自動車税の面でも有利になるので、現行の1.6HDiが気に入っている場合を除けば、1.5Lの登場を待つことをおすすめします。いずれにしても2ペダルが用意されないことを含め、新型C3のデビュー時点のグレード構成は暫定的な部分が残っています。
なお、日本には過去の導入例を踏まえると、ガソリン82hpとETG5の組み合わせが導入されることが予想されます。並行輸入するならば、日本への導入可能性が低いモデルの方が、より高い満足度が得られるかもしれません。色の組み合わせもイギリス仕様の方が多いことが予想されます。
シトロエン C3を日本に並行輸入した場合の乗り出し価格は?
シトロエン C3のイギリスでの販売価格は、ベストバイグレードのFeel PureTech 82 manualで13,745ポンドです。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
シトロエン C3は正規輸入が見込まれますが、スタンダードなエンジンのMT仕様などは導入可能性が低いモデルです。また日本で真っ先に乗る場合や、日本では設定できないオプションの組み合わせを選ぶ上でも、並行輸入は有意義な選択肢です。お好みに応じて左ハンドルなど、ご紹介している仕様以外の並行輸入も可能ですので、ご相談ください。
C3 Feelの乗り出し価格
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
C3 Flairの乗り出し価格
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
スペック表
シトロエン C3のカラーやサイズなどのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | シトロエン C3 / Citroen C3 |
サンプルグレード | Feel PureTech 82 manual |
英国販売価格 | £13,745 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
ボディカラー | アーモンドグリーン(標準色) ポーラーホワイト(OP) パワーオレンジ(OP/MTL) コバルトブルー(OP/MTL) ペルナレナブラック(OP/MTL) ルビーレッド(OP/MTL) アークティックスチール(OP/MTL) シャークグレー(OP/MTL) ソフトサンド(OP/MTL) ※OP:有償オプション (ポーラーホワイトは£260、MTLは£495) ※MTL:メタリック塗装 |
ルーフカラー | オニキスブラック(標準色) スポーツレッド(OP) オパールホワイト(OP) ボディ同色モノカラー(OP) ※OP:無償オプション |
エアバンプカラー(※2) | ブラック・ウィズ・ホワイト・インサート(標準色) ブラック・ウィズ・レッド・インサート(※1) ※1:ルーフカラーのスポーツレッド限定色 ※2:£290でフロントフォグライトとのセットオプション |
インテリアカラー | グレー’マイカ’クロス(標準) ‘アーバン’レッド アンビアンス(£150) ‘ハイプ’コロラド アンビアンス(£380) |
全長x全幅x全高 | 3,996 × 1,749 × 1,474 mm |
ホイールベース | 2,540 mm |
トレッド(前/後) | 1,471mm / 1,483mm |
車両重量 | 980kg(参考値) |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 5MT |
エンジンタイプ | 水冷直列3気筒DOHC12V自然吸気ガソリン |
総排気量/内径x行程 | 1,199cc / 75.0 x 90.5mm |
圧縮比 | 11.0(参考値) |
最高出力 | 60kW(82hp) / 5,750rpm |
最大トルク | 118Nm / 2,750rpm |
燃料タンク容量 | 45L |
燃費 | 約21.2km/L |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ドラム |
タイヤ/ホイール | 16インチアルミホイール |
最高速度 | 約167km/h |
0-100km/h加速 | 約13.0秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
シトロエン C3が発表されたパリモーターショーの様子
フランスで西暦偶数年の秋に開催されるパリモーターショーは、世界5大モーターショーのひとつで、また1898年から行われている、もっとも歴史の長いモーターショーでもあります。
正式にはモンディアル・ド・ロトモビル(Mondial de l’Automobile)という名称ですが、世界的にはパリモーターショー(Paris Motor Show)として案内されており、また以前はサロン・ド・ロト(Salon de l’Auto)という名称だったことから、日本では現在もパリサロンと呼ばれることがあります。特にフランス車の歴史の中でパリサロン(当時)は重要な存在で、シトロエンが2CVやDSを発表したのもパリサロンでした。
2016年のパリモーターショーは、パリ市街の南西部にあるベルサイユ見本市で開かれました。同見本市は複数のパビリオンを持ちますが、シトロエンやプジョー、ルノーは道路を隔てて他のパビリオンと少し距離があるものの、最大の面積を持つ1号館にて展示されました。
シトロエンのブースはC3一色で、C3の実物をブース構造物の上に展示したり、壁に貼り付けたりと、C3発表のプレゼンテーションの前から新型C3の存在をアピールしました。また背の高い構造物で部屋のような空間を作り、内側でシトロエンが実現するライフスタイルを提案するなど、同じグループのプジョーがフルラインアップで複数のグレードを用意し、理路整然と並べている様子とは対照的でした。
このパリモーターショーのプレスデー初日、2016年9月29日に、シトロエンは新型C3の発表に加えて、2017年からWRCに参戦するためのコンセプトカー、「C3 WRC」もお披露目しました。C3 WRCは市販版のC3とは全く異なる迫力で、報道陣の注目を集めました。
他にも「Cエクスペリエンス コンセプト」という、かつてのフラッグシップCXと共通性を持たせたコンセプトカーを発表。現在C6の生産終了に伴い不在となってしまったシトロエンのフラッグシップ復活を示唆するモデルとして、こちらも大変な注目を集めました。
発表会が行われた翌30日もシトロエンブースには地元の報道関係者が絶えず訪れ、フランス、パリの人たちにとって、このモーターショーの存在感の大きさ、そして地元企業であるフランスメーカーへの関心の高さが伺えました。
シトロエン C3 WRC コンセプト(約2分18秒)
パリモーターショー画像ギャラリー
シトロエン C3のカタログ・価格表・オプションリスト
・シトロエン 英国 C3のカタログ・価格表ダウンロードページ (Citroen UK C3)
シトロエン C3の現地法人・ディーラーリンク
・シトロエン 英国 C3のオフィシャルサイト (Citroen UK C3)
おすすめ関連アイテム
シトロエンの持つ特異性、そしてその深い歴史は書籍などで掘り下げるとさらに楽しむことができます。
Tipo誌などを発行するネコ・パブリッシングがラインアップするワールドカーガイドシリーズには、シトロエンも用意されており、シトロエンの歴史を豊富な写真とともに知ることができます。現在新本で手に入るのは2006年刊行の新装版「DX」ですが、イラストレーターのBow。こと池田和弘氏による2CVの表紙が魅力的な旧装版も(AXが新車として紹介されている時代の刊行ですが)資料としてはおすすめです。
[amazonjs asin=”4777051587″ locale=”JP” title=”シトロエン―時代を挑発し続けるフレンチ・アヴァンギャルド (ワールド・カー・ガイド・DX)”] [amazonjs asin=”4873660947″ locale=”JP” title=”シトロエン (ワールド・カー・ガイド)”]
より深く掘り下げたい方におすすめなのが2013年刊行のシトロエンの一世紀。こちらは2013年刊行ですが、全8章のうち2CVが4章、そしてDSが登場するのがようやく5章に入ってからという、創業時期からの情報量が非常に充実しているのがポイントです。
[amazonjs asin=”4876873267″ locale=”JP” title=”シトロエンの一世紀―革新性の追求”]
そして忘れてはいけないのが二玄社の自動車アーカイヴ。こちらはメーカーではなく国別・年代別にまとめられており、フランス車は1960年代のものがVol.2、1970年代のものがVol.9、1980年代のものがVol.14に掲載されています。CAR GRAPHIC誌の刊行体制の変化に伴い供給が不安定となり、一部の年代・国のものはタイミングが悪いとプレミア価格ですが、幸いフランス車が掲載されている巻の入手性は良好です。
[amazonjs asin=”4544091721″ locale=”JP” title=”自動車アーカイヴ (Vol.2) (別冊CG)”] [amazonjs asin=”4544910102″ locale=”JP” title=”自動車アーカイヴ (Vol.9) (別冊CG)”] [amazonjs asin=”4544910293″ locale=”JP” title=”自動車アーカイヴ (Vol.14) (別冊CG)”]※本記事は2016年10月28日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。