今回は、インフィニティQ60について紹介します。日産の高級車ブランドとして知名度の高いインフィニティブランドから発売されている2ドアクーペで、グラマラスなフォルムの中にもエレガントな雰囲気があり、高級クーペらしさが随所にあふれ出ています。
2021年時点では国内未発売のため、車事情に精通した一部のマニア以外、モデルの詳細はあまり知られていません。Q60とはどんな車なのか、また日本で購入する際に知っておきたいことなどを詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
モデル概要
インフィニティは日産自動車の海外における高級ブランドとして、1989年に初のインフィニティの名を冠したQ45が登場しました。
その後インフィニティからはセダンタイプを中心に様々なモデルが登場しましたが、Q60の前身にあたるGクーペが誕生したのは2001年のことです。歴代インフィニティブランドの主要市場となる北米で高い人気を博しましたが、ネーミングに関する新戦略により2014年モデルからQ60に車名が変更されました。
初代のQ60には、クーペに加えてカブリオレも存在しましたが、現行型ではクーペボディのみがラインアップされています。
日本国内では、4ドアセダンのQ50がV37型スカイラインとして販売されています。そのクーペ版であるQ60は2016年から現行型が北米市場に登場していますが、4年経過した2021年時点でも、日本国内には導入されていません。
北米で販売されているQ60に搭載されるエンジンは、日産の3.0L V型6気筒のツインターボエンジンです。グレードによって最高出力は異なり、Q60 PUREとQ60 LUXEに採用されるものは220kW(300ps)/6,400rpmですが、RED SPORT 400のエンジンは324kW(400ps)というハイパワーを発生させます。
他の地域では、155kW(211ps)を発生する2.0L直列4気筒のターボエンジンモデルも発売されますが、北米では3.0Lモデルのみが販売されています。
またトランスミッションは、全グレードに電子制御式7速ATが搭載されており、これを介してFRまたはAWD方式で駆動します。
Q60がもつ魅力や個性的な特徴は数多くあります。エクステリアやインテリア・走行性能など様々な角度から、インフィニティQ60のもつ個性を掘り下げていきましょう。
ハイライト
Q60のエクステリア
クーペフォルムとワイドボディが醸し出すQ60の美しいデザイン
Q60のエクステリアは、フロントまわりこそQ50と共通したイメージですが、大胆な曲線や流れるようなボディラインというクーペならではの特徴が活かされています。
斬新でモダンながらグラマラスなスタイルもQ60の特徴で、スポーツクーペとして美しいデザインになっています。鋭さを実現するために施されているボディプレス加工は、エレガントな中にも筋肉質なボディラインを浮かび上がらせており、日本国内で見かけないという珍しさを抜きにしても、その外観は周りの目を引きつけるでしょう。
またQ60は全幅1,850mmというワイドなボディをもち、それによるダイナミックなプロポーションも印象的です。豊かな表情を見せる照明周りや、周囲全てとつながっているかのような感覚を味わえる低いボンネットも特徴的です。
Q60のエクステリアでは、空力チューンにも力が入っています。ゼロリフトで設計されているボディは高速走行時などの安定性を高め、車線変更時も空力への影響を最小限におさえます。
インテリア
グレードによりテイストが異なるQ60のインテリア
Q60は高級クーペとして、インテリアの質感も高いのが特徴です。内装の素材はもちろん、スイッチのタッチなどのインターフェースも含め、高級感が随所に現れています。
インパネのデザインはセダンモデルのQ50と同一で、ナビゲーションディスプレイと各種コントロースパネルが連なったデュアルディスプレイが目をひきます。
ホールド性を重視したシートは、長距離ツーリングにも最適です。リアシートは2+2的なレイアウトになりますが、プレミアム感のある車内空間に身を委ねる喜びを感じることができます。
一方インテリアのイメージは、グレードにより多少味付けが違っています。
PURE及びPURE AWDでは、伝統工芸をモチーフにしたデザインで、合成皮革とヘアライン仕上げされたアルミのトリムが組み合わされています。LUXE及びLUXE AWDでは、クラフトマンシップとモダンマテリアルを融合させており、天然皮革は2色から選ぶことができます。
最上級グレードのRED SPORT 400になるとセミニアリン加工を施した本革が多用されており、ホワイトやグラファイト・モナコレッド+ブラックからカラーが選べます。また、そこに加わる赤いステッチが彩りを添えています。
Q60の走行性能
Q60の走行性能を高めるために凝縮された開発技術
Q60の走行性能を大きく特徴付ける機能としては、ダイナミックデジタルサスペンションとダイレクトアダプティブステアリングがあります。どちらの機能もQ60 RED SPORT400にのみ、標準もしくはオプションで用意されていますが、日産の開発技術の粋が詰め込まれています。
ダイナミックデジタルサスペンションは、コーナーや不整地路などの走行シーン・タイヤの挙動へ瞬時に反応し、優れた操縦安定性と快適な乗り心地を高い次元で両立させます。また手動で制御モード切り替えることも可能で、フリックスイッチで操作するだけで、簡単にコンフォートモードとスポーティなモードを使い分けられます。
Q60に世界初の技術として投入されたのが、ダイレクトアダプティブステアリングの機能です。この機能は、ステアリングの動きをステアリングECUが電気信号に置き換え、アクチュエーターを介して操舵するというものです。操舵フィーリングは低速域や不整地路でも快適で、高速走行時も圧倒的な安定性の高さを誇ります。
Q60の安全性能
Q60の安全運転をサポートする様々な機能
Q60は、現代車に要求される高い安全性能の基準を十分に満たすため、様々な安全装備が充実しています。必須の装備となったエマージェンシーブレーキは、衝突の回避や衝突してしまった際の被害軽減をサポートします。Q60に装備される安全機能について、ほかにどんなものがあるかを紹介します。
前方衝突予測警報の機能は、前車だけでなく2台前の車両の車間距離も監視しています。状況の変化を察知するとドライバーに注意喚起し、ブレーキの踏み遅れによる玉突き事故の回避をサポートします。
車線維持のサポート機能としては、車線逸脱警告機能や車線逸脱防止装置、アクティブレーン制御などがあります。車線逸脱に関する機能では、意図せずに走行車線をはずれそうになると警報を発し、あわせてドライバーのステアリング操作を促すように力を発生させます。またアクティブレーンコントロールは、車線マーカーや道路状況を確認しながら、ステアリングを微調整する機能です。
アラウンドビューモニターは車を上から見下ろすような映像を映し出すことで、360°死角のない視界を確保できます。周囲の状況がひと目でわかるため、ステアリングに集中し安全な駐車が可能になります。
側方運転支援の機能としては、後側方衝突防止支援システムや後側方車両検知警報があります。隣のレーンにいる後ろ側方の車両を検知した際にインジケーターが点灯し、そのままウィンカーをあげるとインジケーターの点滅と音により警告を発します。警告を無視して車線変更を試みた際には、接触を回避するため運転操作をサポートします。
総評
インフィニティQ60は2021年時点で国内導入されていないため、なかなかその魅力を知る機会がありません。しかしインフィニティブランドの主戦場である北米市場では高い人気を誇り、日産の高級車ブランドとして、その役割の一端を担っています。
2021年現在ではセダンバージョンのQ50が、日本国内でスカイラインとして販売されていますが、Q60は単純なクーペモデルでもなく、クーペならではの美しさと高級車としてのラグジュアリーな雰囲気を特徴とする特別なモデルであるといってもいいくらいです。2ドアクーペの市場が活気づいていないという理由があるにせよ、国内に導入されていないのは惜しいモデルです。
現代では、国内未発売の車種であっても、様々な方法で購入することができます。Q60のラグジュアリー感に魅了されたドライバーは、並行輸入を手がける会社を通じてオーナーになることを検討してみる価値が十分あるのではないでしょうか。
参考スペック
車名 |
INFINITI Q60 |
搭載エンジン、サンプルグレード |
2,997ccV型6気筒ツインターボ RED SPORT 400 AWD |
国内販売価格(オプション無) |
60,100$ |
型式 |
- |
ハンドル位置 |
左 |
ドア数 |
2 |
乗車定員 |
4名 |
全長x全幅x全高 |
4,685mm×1,850mm×1,395mm |
ホイールベース |
2,850mm |
トレッド(前/後) |
1,554mm/1,585mm |
車両重量 |
1,836kg |
最小回転半径 |
11.6m |
最高出力 |
295kW(400ps)/6,400rpm |
最大トルク |
475Nm/1,600-5,200rpm |
トランスミッション |
電子制御式7速AT |
燃料タンク容量 |
76L |
燃費性能(EPAモード) |
8.9 km/L (21M/G) |
タイヤ・ホイール |
255/35R20・20インチ軽合金 |
特記事項 |
※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
Q60のライバルとなる車種はどんなものがあるのか
Q60のライバル車として考えられるモデルとして、ボディサイズ・ボディタイプや車の成り立ちに類似点があるBMW 4シリーズとメルセデス・ベンツ Cクラスクーペをあげてみましょう。
4シリーズは3シリーズクーペの後継モデルとして誕生した経緯があり、BMWらしく走りにこだわったモデルです。伝統的な駆動方式であるFRに前後の絶妙な重量バランスなどの特徴が、思うままに車を操る喜びを提供してくれます。
Cクラスクーペは、Dセグメントの4ドアセダンであるCクラスのクーペ版にあたり、現行型はアジリティとインテリジェンスをテーマに開発されました。様々なパワートレインが選べる点や質感の高い内外装が特徴ですが、最小回転半径が同クラスのモデルよりも小さいというのは、あまり知られていない特徴です。
またAMGやブラバスなどのチューニングカーメーカーにより、さらに走行性能を高めたものがあるのも嬉しいポイントのひとつです。
ここで紹介した2つのモデルはいずれも2ドアクーペですが、クーペのようにスタイリッシュなフォルムをもつモデルとしては、アウディ A4をはじめとしたセダンやレクサスNSなどのSUVなど、多くのモデルをライバルにもつといえるかもしれません。
バイヤーズガイド
アメリカ国内で販売されているQ60のラインアップとしては、下から順にQ60 PURE・Q60 LUXE・Q60 RED SPORT 400があり、それぞれFRとAWDモデルが設定されています。
Q60 PUREはQ60の中でベーシッググレードに相当しますが、そこは高級クーペという成り立ちのQ60、装備は充実しています。ハイビームアシストやアクティブAFS・ガラスサンルーフなど、あればより便利な機能こそつきませんが、それでも高い満足を手軽に味わえるグレードです。
Q60 LUXEはQ60の中間グレードで、PUREには装備されないハイビームアシストやガラスサンルーフが標準装備されます。フロントシートやステアリングのヒート機能やスポーツペダルなど、より快適なドライビングを楽しめる装備も付いています。
Q60 RED SPORT 400はQ60の中でも最上級グレードとして、他のグレードよりもパワーアップしたエンジンが搭載されます。ほかにも、Googleを使った目的地検索機能やパドルシフトなど、RED SPORT 400にしか装備されないものも多く、車を所有する最高の喜びを味わえます。
もちろん最廉価のPUREでもインフィニティならではの高級感を存分に味わうことができますが、高額のお金を払ってQ60を購入するのであれば、ハイパワーエンジンと充実した装備が特徴のRED SPORT 400を選びたいところです。
日本市場へQ60導入の可能性はあるのか(2021年現在)
世界各地で高い人気を博し、以前はスカイラインクーペの名前で日本にも導入されていたQ60ですが、2016年にCV36型のスカイラインクーペが販売終了し、Q60が現行型にフルモデルチェンジして以降は、日本市場には導入されていません。
また現行型が登場してから4年経過していることに加え、高級2ドアクーペの国内ニーズが低いなどの点から、今後も国内に導入される可能性は低いでしょう。しかし販売台数自体は少なくても、日産自動車・インフィニティブランドのイメージリーダー的な1台として、今後の日本導入に期待したいところです。
現時点でどうしてもQ60が欲しいという人は、並行輸入を検討してみるしかありません。しかし個人輸入では煩雑な手続きを必要とし障壁も高いので、並行輸入を専門に扱っている業者に依頼すれば満足度の高い買い物ができるでしょう。
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現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
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