シトロエンのモデルと言えば、かつては「アヴァンギャルド」という言葉をそのままクルマにしたイメージがありますが、近年アバンギャルドなプレミアムモデルは専門ブランドの「DSオートモビルズ」に任せ、シトロエンはデザインコンシャスで少しポップな車作りにシフトしているようです。
今回は、最近のシトロエンを分かりやすく表現している一台とも言える都市型クロスオーバー、C3エアクロスをご紹介します。合わせて並行輸入の方法についても記載します。
この記事の目次
モデルの概要
シトロエン C3エアクロスは、同社のコンパクトモデル「C3」をベースにクロスオーバー要素を加えたSUVモデルです。
C3エアクロスは、旧型C3をベースにしたMPVモデルの「C3ピカソ」の後継モデルと言われています。MPVとSUV、一見違うジャンルのように感じますが、最近のフランス車ではルノーエスパスやグランセニックのようにクロスオーバー要素を加えることでMPVからSUVに変化させた例がありC3エアクロスが異端なわけではないようです。
エアクロスという名前が付けられたのは、2012年にデビューしたC4エアクロスが最初です。三菱 ASX(日本ではRVRの名前で販売)をベースにしたクロスオーバーモデルで、同じく三菱のアウトランダーをベースにしたC-クロッサーの後継モデルです。これはC3エアクロスよりも一回り大きく直接の関係性はありません。しかし、C3エアクロスの先祖となるモデルが南米市場にありました。それは「シトロエン エアクロス」。先代モデルのC3ピカソにクロスオーバー要素を加えたモデルです。2014年のサンパウロモーターショーで「エアクロス・ルナー」という名のコンセプトモデルが発表されたのち、南米市場のみ導入されました。生い立ちやベース車など、C3エアクロスに近い一台です。
現在販売されているモデルは、2017年のジュネーブショーで発表されたコンセプトモデル「C-エアクロス」をモチーフにしており、同年欧州市場で販売開始されました。コンセプトモデルをほぼそのまま再現した市販モデルは発売直後から好調なセールスを続けた結果、発売4か月で5万台ものセールスを記録し、現在ではC3に次ぐ量販モデルになりました。
プラットフォームには、PSA F1プラットフォームを採用。同プラットフォームを採用する車種には、プジョー2008や、2017年にPSAグループ入りしたボクスホール/クロスランドXがあります。
日本市場には、ルーツとなるC3ピカソ同様、現時点で導入されていません。
シトロエン C3エアクロス CM動画(約30秒)
ハイライト
エクステリア
最近のシトロエンをよく表したエクステリア
エクステリアは、ベースとなるC3の雰囲気を残しつつC5エアクロスのようなクロスオーバー要素が追加されています。デザインは、□(四角)をシンボルアイコンとして各所に散りばめており、ポップだけどカワイイ一辺倒にならないしっかりと練られた印象です。これに加え、C4カクタス以降、明らかに変わったシトロエンのデザイン言語をしっかりと踏襲しています。しかしその一方、C4カクタスで話題になりC3にも採用されたエアバンプは採用されていません。
そしてC3エアクロスの魅力の一つは、幅広い選択肢のコーディネイトです。ボディーカラーは8色設定されるのをはじめ、エクステリアではルーフカラーは3色、Cピラーをはじめルーフレールやミラーなどに差し色が入ったエクステリアカラーパックが4種類。これらがそれぞれ設定できるため、オーナーは様々な組み合わせのなかから、自分の個性にあった組み合わせをチョイス可能です。
ホイールには16インチが2種類、17インチが1種類設定されています。エクステリアと比べれば少ないようにも感じますが、どんなエクステリアの組み合わせでも違和感のないデザインです。
シトロエン C3エアクロス デザイン紹介動画(約30秒)
インテリア
コンパクトでも使い勝手の良いユーティリティ
インテリアは、エクステリアのポップさとは一転、アバンギャルドな印象です。アバンギャルドと言えばシトロエンの得意分野。タッチスクリーンを中心としたインパネは、エアコンの吹き出し口などにデザインアイコンの四角を組み合わせた造形を加えた独特なもの。インテリアトリムによっては各所に差し色が入り、どのライバルとも似ていません。素材はDSオートモビルズのモデルのような質感高いものとは違い、どちらかと言えばプラスチッキーなものを使っていますが、決して安っぽいように見えず、デザインの力で魅力的に見せています。同じアバンギャルドでも、C3エアクロスは妖艶な色気を演出するDSオートモビルに対して「カジュアルなアバンギャルド」というまた違ったアプローチのようです。
トリムにはベーシックなファブリックのSTANDARDから、ポップな柄のMETROPOLITAN、パイピングのテクスチャが印象的の少しプレミアムな雰囲気のHYPE COLORADの3種類が設定されています。
インテリアの魅力はデザインだけではありません。フル乗車でもラゲッジは520L確保でき、使い勝手の良いユーティリティを持つのに加え、車内コネクティビティも充実。スマートフォンのワイヤレス充電や、ヘッドアップディスプレイも装備。一部グレードにはApple CarPlayやAndroid Auto対応のミラーリングディスプレイも装備しています。
パワートレイン
エンジンオブザイヤー受賞のダウンサイジングターボが魅力
パワーユニットには、ガソリン、ディーゼルそれぞれ設定されています。
- 直列3気筒1.2L ガソリン PureTech82 自然吸気 82PS
- 直列3気筒1.2L ガソリン PureTech110 ダウンサイジングターボ 110PS
- 直列3気筒1.2L ガソリン PureTech130 ダウンサイジングターボ 130PS
- 直列4気筒1.6L ディーゼル BlueHDi100 100PS
直列4気筒1.6L ディーゼル BlueHDi120 120PS
ガソリンは全てPureTechと呼ばれる直列3気筒 1.2Lダウンサイジングユニットで、自然吸気とターボがあります。ターボはチューニングの違いで2種類を設定。そのなかでも110PS版のPureTech110ユニットは、2016年のエンジンオブザイヤー(1.0から1.4Lクラス)を受賞しており、フィーリングの良さと燃費の良さに高い評判を得ています。
ディーゼルは直列4気筒 1.6LのBlueHDiでこちらもチューニングの違いで2種類設定されています。
組み合わされるトランスミッションは、PureTech82とBlueHDi100には5速マニュアル、PureTech110/130とBlueHDi120には6速マニュアルを設定。そしてPureTech110には2ペダルのEAT6も設定されています。駆動方式はFFのみでAWDの設定はありません。
サスペンション
FFでもしっかりとした走破性
サスペンションには、フロント:マクファーソンストラット、リア:トーションビームを採用。コンベンショナルな組み合わせですが、乗り味はクロスオーバーの要素を持ちつつも当たりが柔らかく癒し系という評判です。これは乗り味に強いこだわりを持っているシトロエンならではと言えるでしょう。
駆動方式はFFのみですが、ダイヤルで走行モードを選択可能なグリップコントロールが装備されています。悪路での走破性を上げるだけでなく、ヒルディセント アシストと呼ばれる急勾配でのブレーキングをアシストする機能も付いており、勾配率30%の路面も下ることが可能です。これらのデバイスを装備することで、FFであっても十分な走破性を確保できるとメーカーは判断しているようです。
走りだけでなく、安全性の高さも魅力。2017年のEuroNCAPでは最高評価の★5つを獲得しています。
シトロエン C3エアクロス グリップコントロール紹介動画(約3分30秒)
参考スペック
CITROEN C3 AIRCROSS 1.2 PureTech130 S&S 6MT
寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4,154×1,756×1,637mm
ホイールベース:2,604mm トレッド前/後 1,513 x 1,491mm
エンジン▶︎水冷ガソリン 直列3気筒ターボ フロント横置き
1,199cc 75mm x 90.5mm -:1 131PS(96kW)/5,500rpm 230Nm(23.4kgm)/1,500rpm
駆動方式▶︎FF 6MT
懸架装置▶︎前:マクファーソンストラット
▶︎後:トーションビーム
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後 ディスク
タイヤ ▶︎前:205/60 R 16 後:205/60 R 16
燃料容量▶︎45L 車両重量▶︎1,188kg 最高速度▶︎200km/h 0-100km/h加速▶︎9.3秒
燃 費 ▶︎15.1km/L(欧州複合基準)-km/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎18,935ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください
ライバルモデル
コンパクトSUVのC3エアクロスのライバルとして、セアト アローナと日産 ジュークを挙げます。
アローナは2017年にデビューしたセアトのコンパクトSUVです。アローナはアウディのコンパクトSUV、Q2をベースとした兄弟車という位置づけです。アウディ譲りのしっかりとした骨格に、セアトのモデルに共通するシャープでスポーティな佇まいは、Q2とはまた一味違った魅力を感じます。C3エアクロスと同じく発売直後から欧州市場では早速好評を得ているようです。
ジュークは、日産のマイクラやキューブとプラットフォームを共有するコンパクトSUVであり、このクラスの市場を作ったパイオニアのモデルと言ってもいいでしょう。初見では特徴的なライト配置などびっくりしたユーザーも多かったかと思いますが、この大胆なデザインを纏ったジュークは市場で大きな支持を得ました。パイオニア的なモデルだけあり、他社へのインパクトも大きく、このC3エアクロスも何となくデザインに影響を感じます。一方、デビューから8年以上経過し、そろそろライバルに対して次の一手が欲しいところです。
ほかにも、プラットフォームを共有する言わば身内であるプジョー2008や、ボクスホールクロスランドXをはじめ、ダチア ダスターや、ホンダ ヴェゼルなどこのカテゴリには多数のライバルが存在します。
バイヤーズガイド
グレードは3種類の展開、ベーシックなTouch、ミラーリングディスプレイやヒーテッドドアミラーなど充実装備のFeel、そしてバイトーンルーフ、17インチアルミホイール、オートエアコンなど、さらに付加価値をプラスしたFlairが設定されています。
C3エアクロスを選ぶなら、1.2L PureTech130のFlairに6MTの組み合わせはいかがでしょうか。欧州現地の魅力をたっぷり味わえる6MTモデルですし、PureTech130エンジンは、ハイパワー・燃費共にバランスの取れたユニットです。(※以前オススメしていたEAT6搭載モデルは廃止になりました。)
グレードのFlairはバイトーンルーフなのに加え、エクステリアは驚くほど多い組み合わせがありますので、オーナー好みにあった、ぴったりのチョイスを考えてみてください。
デザインコンシャスでポップなエクステリアに、カジュアルでアバンギャルドなインテリア。そしてしっかりとした走破性を持ちつつも柔らかく癒し系な乗り味を持つC3エアクロス。正にこれは最近のシトロエンを分かりやすく表した一台です。
他のディーゼルや自然吸気エンジン、左ハンドル車についても、並行輸入は可能ですのでお気軽にご相談ください。
C3エアクロスの日本導入の可能性
C3エアクロスについて正規輸入元のプジョー・シトロエン・ジャポンでは、先代にあたるC3ピカソと同じく今のところ日本市場への導入を名言していません。
しかし、フルモデルチェンジした新型C3が日本に導入されて早速人気を得ているのに加え、コンパクトSUVのジャンル自体が人気のため、きっとC3エアクロスは日本市場でも歓迎されるように感じます。そのため、C4カクタスのように限定台数かも知れませんが日本への導入の可能性はないとは言い切れません。
並行輸入という選択肢
日本市場では販売されていないC3エアクロスですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したシトロエン C3エアクロス Flair 1.2L PureTech130 6MTモデルの乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。
- 車名
- 2年保証付き
国内乗り出し価格目安
- 円
(税込・諸費用込)
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
カスタムやチューニングも
YMワークスは元々、プジョー・シトロエンの専門店。既に新型C3やC4カクタスの並行輸入・販売実績もあり、これまでに6000台以上に及ぶPSA車両のメンテナンスやチューニング、カスタムを手掛けてきました。
特にオススメしたいのがYMワークスが日本総代理店になっている世界最大級のプジョー・シトロエンチューナーであるムスケティア(MUSKETIER)によるカスタムです。こちらもお気軽にご相談ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
カタログダウンロードページ
- シトロエン 英国 C3エアクロス カタログ(要個人情報登録) (CITROEN UK C3 AIRCROSS)
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- シトロエン 英国 C3エアクロスのオフィシャルサイト (CITROEN UK C3 AIRCROSS)
- シトロエン 英国 C3エアクロスのコンフィグレーター (CITROEN UK C3 AIRCROSS CONFIGRATOR)
お問い合わせ
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また、並行輸入に関しては、並行輸入の一連の流れをまとめた「並行輸入車をご購入いただく場合の流れ」と、お客様からよくご質問いただく質問をまとめた「欧州車の並行輸入に関するよくあるご質問(FAQ)」等のページをご用意しております。お問い合わせいただく前に、併せてご利用ください
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担当者:小椋(オグラ)
※お電話の際、「コアカーズを見た」とお伝えください。
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※本記事は2019年6月19日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。