アウディ Q2は2016年に発表、2017年にデリバリーが開始されたSUVです。アウディに留まらずVWグループ全体で見てもSUV専用モデルとしては末弟となるコンパクトなQ2ですが、濃縮された魅力を持ち、2017年現在もっとも注目度の高い1台です。
この記事ではアウディQ2の情報を、日本仕様はもちろん、四輪駆動(4WD)やディーゼル、MTの設定がある欧州仕様についても解説しています。また並行輸入した場合の価格情報も掲載しています。
この記事の目次
モデル概要
Q2はアウディのSUVの末弟としてラインアップされていますが、同社のSUVとしては初の偶数を車名としたモデルとなりました。また、その”2″という数字が示す通り、Q2はBセグメントとCセグメントの中間に位置しています。また2013年以来VWグループのB〜Dセグメントモデルで採用が進んでいるモジュール形式のプラットフォーム、MQBが採用されています。
余談ですが”2″を名乗るアウディは過去に時代を先取りしたようなフルアルミボディを持つコンパクトカー、A2が存在しましたが、1代限りで生産を終えています。また現在とはナンバリングの方法が違った1990年代には、80(B4型)の派生車種としてS2とRS2というスポーツモデルも存在しましたが、特にRS2はアウディ初のRSであったと同時に、ポルシェが開発と生産に携わっていたという一面もありました。アウディにとって”2″は何かと尖った数字なのです。
ハイライト
エクステリア
オーナーの所有欲を満たす特徴あるデザイン
Q2のエクステリアデザインを手掛けたのは、1969年ドイツ生まれのマルク・リヒテ(Marc Lichte)。1996年からVWでキャリアを重ねゴルフV〜VIIのデザインにも携わった彼は2014年からアウディのデザインセンターに籍を移しています。戦前のアウトウニオン Pワーゲンに範を取ったお馴染みのシングルフレームグリルはQ2でも踏襲されていますが、ともすれば八角形にも見えるその形状や、ブレードと呼ばれる最大3色(欧州仕様)から選べるCピラーとも相まって、かつてマーク・ニューソン(Marc Newson)が手掛け短期間販売されたカメラ「PENTAX K-01」のように、Q2のデザインは高級感やスポーティーさといった普遍的な価値観以上に、ユーザーの所有感を満たすことに重きが置かれているようにも感じられます。
ちなみにホイールベースは3代目A3(タイプ8V)の3ドア仕様(日本未導入)と同じ2,601mm。取り回しやすいコンパクトさも魅力のひとつです。
インテリア
アウディの文法に倣いつつも彩りのあるインテリア
Q2のインテリアのデザイン文法はアウディの一般的なものに倣いますが、よく見れば完全な新設計&専用内装であることが分かるでしょう。アクセントのトリムはグレードによって最大4種類から選択可能(欧州仕様)、特にLEDが仕込まれて発光するトリムはドイツ車らしい質実剛健とした内装に、思い切った彩りを与えます。
また全高に余裕があるパッケージングの恩恵で後席にも大人が長時間過ごす上で必要十分なスペースを確保。ラゲッジスペースも通常時で405Lを確保しており、後席を倒せば1000L以上の大容量にも対応します。趣味の相棒としてもファミリーカーとしても対応可能です。
パワートレイン
最新ユニットを含む6種類を用意
Q2には6種類のエンジンが用意されています。ガソリンは直列3気筒 1.0L 116PS、直列4気筒 1.4L 150PS、同2.0L 190PSの3種類、ディーゼルは直列4気筒 1.6L 116PS、同2.0L 150PS/190PSの3種類で、同一出力でそれぞれガソリンとディーゼルから選択できるような構成になっています。またガソリン1.4Lは気筒休止機構も搭載されています。
変速機はSトロニックと呼ばれる7段デュアルクラッチトランスミッション(2ペダルMT)がすべてのエンジンに設定があり、116PSと150PSのエンジンでは6MTが設定されています。また駆動方式は前輪駆動が116PSと150PSのエンジンに、四輪駆動が150PSと190PSのエンジンに紐付けられています。
ただし残念ながら、すべての仕向け地ですべてのパワートレインを選べるわけではありません。例えば日本仕様の場合、ラインアップは前輪駆動に限られてしまい四輪駆動の選択はできません。
駆動方式/サスペンション
ハルデックス社製4WDユニットによるクワトロをラインナップ
Q2には前輪駆動と四輪駆動の”クワトロ”が設定されています。A4以上の縦置きエンジンのクワトロと異なり、横置きエンジンのクワトロはスウェーデンのハルデックス社のユニットを採用したもので完全自社開発ではありませんが、ハルデックス自体の進化とアウディによるチューニングが相まって、クロスカントリーを走る等でなければ十分な性能を持っています。
また駆動方式はエンジンと紐づけられており、両方の駆動方式が選べるのは中間の150PSエンジンのみです。116PSのエンジンでは駆動方式が前輪駆動に、190PSのエンジンでは四輪駆動に紐づけられています。
リアサスペンションはMQBを採用した他のVW車同様にトーションビームとマルチリンク(4リンク)の2種類が用意されています。Q2の場合構成はシンプルで、前輪駆動ではトーションビームが、四輪駆動ではマルチリンクとの組み合わせです。
参考スペック
アウディ Q2 2.0TDI(2017年モデル)
寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4,191 × 1,794 x 1,508mm
ホイールベース:2,601mm トレッド前/後 -x-
エンジン▶︎水冷直列4気筒ディーゼルターボ フロント横置
1,968cc – mm x – mm - 150ps/3,500-4,000rpm 340Nm/1,750-3,000rpm
駆動方式▶︎FF/4WD 6段MT /7段Sトロニック
懸架装置▶︎前:マクファーソン・ストラット
▶︎後:トーションビーム(FF)/マルチリンク(4WD)
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッド・ディスク 後 ディスク
タイヤ ▶︎前:215/50 R18 後:215/50 R18
燃料容量▶︎50L(参考値) 車両重量▶︎- 最高速度▶︎202km/h 0-100km/h加速▶︎8.5秒
燃 費 ▶︎27.6km/L(欧州複合基準)
価 格 ▶︎31,415ポンド(イギリス仕様車・4WD)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください
ライバルモデル
Q2のライバルとして日本の多くのメディアではBMW MINI クロスオーバーが挙げられる機会が多いようです。しかしイタリアに目を向ければフィアット 500Xの存在がありますし、フランスにはシトロエン C4 カクタスが、また日本のスズキ エスクード(ハンガリー生産モデル)もライバルとして挙げることができるかもしれません。
いずれもCセグメントとBセグメントの中間に位置するような従来の物差しでのカテゴライズの難しさ、クラスレスな立ち位置、上下方向にも余裕のあるパッケージングで限られた全長で快適な室内空間を実現している点などに共通項があります。
バイヤーズガイド
特にパワートレインや足回りの構成から読み解くとQ2は、経済性が高く使い勝手の良い上質なコンパクトカーが欲しいという需要、もしくはパワフルかつ走破性も高く死角がないSUVが欲しいというふたつの需要に対応していることが分かります。
2017年現在のQ2の日本仕様について
Q2はアウディジャパンにより2017年から日本へも正規輸入車として導入が開始されています。日本仕様のラインアップは上述したQ2が応える需要のうち前者に対応する構成です。
最初に輸入されるQ2は1.4LのガソリンエンジンにSトロニックと前輪駆動の組み合わせで、2017年6月現在の価格は405万円です。導入を記念した1stエディションと呼ばれる280台の限定車はこれにオプションをフル装備して490万円というプライスタグを掲げました。遅れて導入される1.0Lのガソリン仕様は299〜364万円です(諸経費除く)。
一方で残念ながら日本仕様では6MT、四輪駆動、ディーゼルといったモデルを選択することはできません。エクステリアのアクセントになっている”ブレード”ことCピラーの色でブラックが選択できない、インテリアのトリムも選択の余地がないといった点が惜しまれます。
並行輸入という選択肢
よりSUVとしての性能が高い四輪駆動のQ2が欲しいという方、日本仕様のQ2に飽き足りない方には、並行輸入で欧州仕様のQ2を手に入れるという方法もあります。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークス(大阪/横浜)では、2017年現在全国20都府県22拠点の提携工場ネットワークを構成、有償延長保証を組み合わせて最大5年の保証期間を設定するなど、並行輸入車にありがちなデメリットの解消に精力的に取り組んでいます。
またYMワークスでは最新の為替レートを反映したアウディ Q2の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格の一例として、右ハンドルイギリス仕様のQ2の中から日本への輸入可能性の低い2.0Lディーゼル150PS仕様に四輪駆動を組み合わせた仕様の価格をピックアップしてます。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- ・アウディ 英国 Q2のオフィシャルサイト(AUDI UK Q2)
・アウディ 英国 Q2のコンフィギュレーター(AUDI UK Q2)
※本記事は2017年6月14日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。