フォード ギャラクシー(Ford Galaxy)は、欧州フォードの最上級に位置するフル7シーターのミニバンです。快適性や実用性はもちろん、走行性能にも優れた、欧州ミニバン市場のベストセラーモデルです。
ミニバンの実用車然としたイメージを覆した、スタイリッシュな兄弟車 S-MAXと同様、エモーショナルでありながら華美にならず、旗艦モデルとしての落ち着いた佇まいも見せる巧みなデザイン大きなが特徴です。ミニバンに漂いがちな生活臭を敬遠していた人でも、「これなら乗ってもいいかも」と思わせるデザインに仕上がっています。
大変残念なことに、フォードは日本市場からの撤退を表明していますので、今後、日本にフォード車が正規輸入される可能性はなくなってしまいました。そんな今だからこそ、ギャラクシーの魅力を徹底解説します。ギャラクシーの最新モデルを、英国仕様の右ハンドルモデルで並行輸入してみませんか?
この記事の目次
フォード ギャラクシーの歴史と特徴
ミニバンとしての初代ギャラクシーは、フォルクスワーゲン シャランと共同開発された兄弟車として1995年にデビュー。7人がしっかりと座れる使い勝手の良さが受け、欧州市場で好評を博しました。日本へは1998年初頭に導入されたものの、大柄なボディと 2.8L V6エンジンのみという設定が災いしてか、人気が出ないまま 1999年末に輸入を終了しています。これ以降、日本への導入は途絶えたままです。
2代目はフォード独自開発のミニバンとして2006年にデビュー。
兄弟車として生まれたS-MAXと人気を二分しつつも、英国市場では10年間のモデルライフを通じて、年間1万台以上の販売水準をキープする大ヒットモデルとして君臨しました。
3代目は、プラットフォームを一新した現行モンデオをベースに2016年にデビューしました。歴代モデルで好評だった居住性の高さや、多彩なシートアレンジを堅持しつつも、欧州フォードの旗艦ミニバンに相応わしく、より上質かつスポーティーな最新モデルとして、販売が開始されています。
生活感を排除したエモーショナルなエクステリア
現行モデルは、キネティック・デザインを採用していた2代目からの正常進化型です。モンデオから採用が開始された、欧米の垣根を超えた世界共通のデザイン言語である、“One Global Design Language”に則った横長のヘッドライトと、鼻先の高い位置に配置される大型台形グリルを特徴とした、スポーティなフロントマスクが与えられています。
スポーティなデザインで好評を得た、兄弟車のS-MAXと多くのパーツを共有しているものの、ギャラクシーは極力ルーフラインを下げず、2列目と3列目のヘッドクリアランスを同等に確保しています。3列目シート横のクォーターガラスの面積も大きく、どの席でも快適に過ごせるルーミーなキャビンを実現した事が、ギャラクシーの特徴となっています。
高い居住性と多彩なシートアレンジを誇るインテリア
運転席と助手席は、なだらかにスラントしたインパネや、高めのセンターコンソールにより、包まれ感のあるレイアウトになっています。セダンなどに近い適度なタイト感があり、ドライビングに集中できそうな環境です。
2列目と3列目のシートは、サイズなどに極力差をつけず、大人が座っても十分なニースペースとヘッドクリアランスが確保されています。各シートは、座面ごと沈み込んで格納できる機構を内臓し、荷室から2列目シートまでのフルフラット化を実現しています。
このフォールディング機構は、「EasyFold Seat System」と呼ばれるもので、ラゲッジルーム左サイドにあるボタンひとつで、2〜3列目シートを個別に格納できます。背もたれの引き起こしは手動操作ですが、3列目シートのみ、電動で背もたれを引き起こせるオプションが用意されています。
フルフラット時には最大で2300Lを超える広大なラゲッジスペースが生まれます。シートアレンジそのものは、2列目~3列目の倒し方によって6通りの使い方が可能です。各席個別に可倒/格納して「本物のフルフラット」が可能な実用性を重視しつつも、そのためにシートを薄くしたりせず、座り心地にこだわった造りは、国産ミニバンにはない欧州ミニバンの美点のひとつです。
フォード ギャラクシー シートシステム解説 (約1分38秒)
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組み合わせ豊富なパワートレーン
エンジンは下記の通り、EcoBoost(エコブースト)と呼ばれるガソリン2種類と、Duratorq(デュラトルク)と呼ばれるディーゼル4種類の合計6種類があります。組み合わされるトランスミッションは3種類、駆動方式はFFとAWD(四輪駆動)の2種類です。変速機は6MTを中心に、トルクコンバーター式の6ATと、PowerShift(パワーシフト)と呼ばれる6速デュアルクラッチトランスミッションの設定があります。PowerShiftはゲトラグ製のものが採用されており、以下箇条書きでは6MPSと記載します。
【ガソリンエンジン(EcoBoost)】
- 1.5L SCTi 160ps 240Nm 6MT
- 2.0L SCTi 240ps 345Nm 6AT(タイタニアムXのみ)
【ディーゼルエンジン (Duratorq)】
- 2.0L TDCi 120ps 310Nm 6MT(ゼテックのみ)
- 2.0L TDCi 150ps 350Nm 6MT/6MPS (タイタニアムのみ6MTでAWDを選択可)
- 2.0L TDCi 180ps 400Nm 6MT/6MPS (タイタニアムXのみ6MPSではAWDを選択可)
- 2.0L TDCi 210ps 450Nm 6MPS(タイタニアムXのみ)
150psと180ps仕様のディーゼルエンジン車に用意されているAWDは、トルクスプリット型です。すべてのエンジンがダウンサイジング・ターボとなっており、トルクフルなのが特徴です。
高い走行性能は欧州フォードならでは
ギャラクシーのサスペンションは、フロントは一般的なマクファーソン・ストラット式ですが、リアには走りを重視するセダンなどに採用例の多い、マルチリンク式サスペンションを採用しています。
ミニバンはその重量やボディの大きさゆえ、足回りのセッティングは簡単ではありません。しかしギャラクシーでは、路面状況に対する追従性を高めるのと同時に、コーナーでのロールを抑えつつ、スムーズな乗り心地も両立した見事なセッティングで、ミニバンとは思えないスポーティーな走りを実現しています。ミニバンといえども、こうしたスポーティーな足回りのセッティングを実現できるのは、走りのよさに定評のある欧州フォードならではといえるでしょう。
ガソリン、ディーゼルともに優れた経済性
フォードでもっともサイズの大きいミニバンであるギャラクシーですが、ガソリン&ディーゼルの最高出力エンジンで公表されているカタログ燃費を見てみると、ガソリンエンジンの2.0L EcoBoost SCTi 240psが欧州複合モードで12.7km/L、ディーゼルエンジンの2.0L Duratorq TDCi 210ps の燃費が同18.2km/Lとなっています。これは、全長4.8m 全幅1.9m 車重1.8tのフルサイズミニバンであることを勘案すると、十分に低燃費と言えるのではないでしょうか?
またガソリン仕様のタンク容量は66.2Lなので、市街地ばかりをカタログ燃費の6割程度で走っても、満タンからの航続距離で500kmは走る計算になります。
フル乗車でも快適なスタイリッシュミニバン
欧州フォードのミニバンに共通する美点として、生活感を感じさせないスタイリッシュなデザインと、ミニバン離れした走行性能の高さが挙げられます。ギャラクシーの特筆すべき点は、7名全員にほぼ同じ大きさのシートを用意した、大きく重いフル7シーターミニバンでありながら、それらの美点をしっかりと受け継いでいることです。
プラットフォームも2006年からフォード各車種で使われてきたEUCDプラットフォームに対して、この3代目ギャラクシーでは新世代のCD4プラットフォームに変更されています。土台となる部分がアップデートされた効果は大きく、走行性能と快適性に磨きがかかり、さらに、最新のダウンサイジングターボエンジンの採用で、優れた燃費も手に入れました。
もともとスタイリッシュだったデザインには磨きがかかり、内外装の質感も高められています。好評だった歴代モデルの正常進化版として「大人7人をキチンと乗せる」を守りつつも、デザインも走りの楽しさも我慢しない。それが、新型ギャラクシーの魅力といえるでしょう。
フォード ギャラクシーのライバルは?
欧州でギャラクシーのライバルになり得るのは、2016年現在、フォルクスワーゲン シャランとルノー エスパスの2台でしょう。ただしエスパスの最新モデルはコンセプトを変更し、7人乗りとは言っても実質的に5+2シーターというレイアウトですから、ギャラクシーの兄弟車であるS-MAXの方がライバルとしてふさわしいかもしれません。
他にも以前はヨーロッパでPSAが開発したユーロバンと呼ばれるミニバンがあり、シトロエン C8、プジョー 807、フィアット ウリッセ、ランチア フェドラとして4ブランドからそれぞれ販売されていましたが2010年に終売、その後ランチアからは北米ではダッジブランドで販売されているボイジャーもラインアップされましたが(イギリスではクライスラーブランドで販売)、短期間で販売終了しています。
そうなると、ギャラクシーにとっての最大のライバルとなるのは、フォルクスワーゲン シャランです。元々初代では血を分けた兄弟車同士ですから、世代を重ねても狙いどころは同じです。
最新モデル同士で比較してもボディサイズは、
・ギャラクシー:全長4848mm x 全幅1916mm x 全高1747mm WB=2850mm
・シャラン :全長4855mm x 全幅1910mm x 全高1750mm WB=2920mm
と、見事にほぼ同じです。違いといえば、ホイールベースが70mmほどVWシャランの方が長いくらいです。
いちばんの違いは、ギャラクシーが初代以来のヒンジ式のリアドアを採用するのに対し、現在のシャランはスライドドアとなっている点です。ヒンジタイプもスライドタイプもどちらにもそれぞれ良し悪しがありますから、ここは用途や、好みの問題といえます。
日本に正規輸入されているシャランのエンジンは、ガソリン1.4L 150psのTSIのみです。パワーと燃費に定評あるエンジンですが、フル乗車の機会が多い場合、ギャラクシーに用意されている、2.0L 240psというパワフルなガソリンエンジンのほうが、余裕を持って走行できそうです。
ギャラクシーの装備とオプション
UK仕様のギャラクシーは、下からZetec(ゼテック)、Titanium(タイタニアム)、Titanium X(タイタニアム X)の3種類で構成されています。
グレードごとの主な標準装備は以下の通りです。+ボタンで詳細が表示されます。
Zetecの主な標準装備
- 17インチアロイホイール
- フロントフォグランプ
- デイタイムランニングランプ(電球式)
- 電動格納式ヒーテッド・ドアミラー
- 集中ドアロック
- 盗難防止装置
- パークディスタンスコントロール(フロント&リア)
- 2.3インチ液晶メーターディスプレイ
- デュアルオートエアコン(リア送風機能付き)
- 全席ワンタッチパワーウィンドー
- 電動チルト&テレスコピックステアリング
- SYNC2(8インチセンターコンソールタッチパネルディスプレイ
- メディアコントロール&統合コントロールシステム)
- 革巻きステアリング
- 革巻きシフトノブ
Titaniumの主な標準装備(Zetecの装備に加えて)
- デイタイムランニングランプ(LED式)
- リア・プライバシーガラス
- フロントロワグリルクロームライン
- クロームドアモール
- クロームルーフレール
- キーレスエントリーシステム
- 雨滴検知式自動間欠ワイパー(可変式)
- 自動防眩ルームミラー
- 10インチカラー液晶メータディスプレイ
- トリプルゾーンオートエアコン
- アンビエントランプ
- 車線維持支援システム
- 自動ハイビーム切り替え
- クルーズコントロール
Titanium X の主な標準装備(Titaniumの装備に加えて)
- 電動開閉式パノラマルーフ(電動ブラインド付)
- パワーテールゲート(リモコン動作)
- リアビューカメラ
- 全席本革シート
- 10ウェイパワーシート(運転席&メモリー付)
- 8ウェイパワーシート(助手席)
- 温度調整式シートヒーター(運転席&助手席)
- 自動駐車支援システム(後退車庫入れ&縦列駐車&縦列駐車脱出支援)
また、以下の装備は全車標準装備です。
- 電動パワーステアリング
- 運転席&助手席エアバッグ
- 運転席ニー・エアバッグ
- フロントサイドエアバッグ
- 全席カーテンエアバッグ
- ABS&EBD
- ESC(横滑り防止装置)
- アイドリングストップシステム
フォード ギャラクシー 公式レビュー動画 (約3分04秒)
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おすすめのオプション装備は?
ギャラクシーは、モンデオと並ぶ欧州フォードのフラッグシップのひとつとして、先進的なオプションも用意されています。またミニバンらしいパックオプションも設定されています。
£1,000のアダプティブ・グレアフリー・ハイビームLEDヘッドランプは、自動でハイビームとロービームを切り替えるという単純なものではなく、ハイビームのままでも、都市部や高速、郊外、悪天候などの走行環境、対向車への眩惑に配慮しつつ、できる限り広く明るく、最適な配光特性に可変可能なヘッドランプです。コーナー走行時は進行方向の先に照射方向を変える機能もついているので、夜間トライビングの負担が軽減されるスグレモノです。
エントリーモデルのゼテックに£400で設定されるゼテック・ファミリーパックは、カーゴネット、リアドア・サンシェード、230V電源ソケット、荷室マットがセットになったパックオプションです。
最上級モデルのタイタニアムXに£375で設定されるタイタニアム・ファミリーパックは、カーゴネット、リアドア・サンシェード、230V電源ソケット、電動EasyFold(3列目シート電動格納&引き起こし機能)荷室マットがセットになったお得なパックオプションです。特に3列目シートの電動引き起こし機能を装備できるのは、このパックオプションのみです。これだけの内容で上記ゼテック用パックよりも£25安いというお得な価格設定でもありますので、ぜひおすすめしたいパックオプションです。
フォード ギャラクシーのオススメグレードは?
豊富なエンジンの中から、おすすめのグレードを挙げるなら、ガソリン2.0LのEcoBoost 240psエンジンを搭載し、6速ATを組み合わせた、Titanium X(タイタニアム X)がおすすめです。
快適性に加えて快速性能も求めるならば、ライバルにないパワフルなエンジンは大きな魅力として目に映ることと思います。スタイリッシュなS-MAXではなく、ギャラクシーをご検討されるということは、2~3列目シートに人を乗せる頻度が高いからこそだと思いますので、フル定員の大人7人乗り状態であっても、余裕を持った十分な動力性能が期待できる最高出力仕様がベストです。
フォード ギャラクシーの並行輸入、日本での乗り出し価格は?
フォード ギャラクシーのイギリスでの販売価格は、Titanium X(2.0L EcoBoost 240psエンジン,6速AT)で£35,950です。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
フォード ギャラクシーは正規輸入車されておらず、今後の導入可能性も低いモデルです。日本で乗る場合、並行輸入が最も現実的な方法です。ディーゼル仕様や左ハンドルの並行輸入も可能ですので、ご相談ください。
※輸入国からの輸送料、各種税金、検査費用、登録諸費、納車費用(大阪近郊)は全て含まれています。
※正式なお見積り、遠方への納車費用など、改めてご提示いたしますのでお問い合わせください。
金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスしてください。
フォード ギャラクシー プロモーションビデオ (約1分57秒)
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スペック表
フォード ギャラクシーのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | フォード ギャラクシー / Ford Galaxy |
エンジン、サンプルグレード | Titaniam X 2.0 EcoBoost SCTi 240 6AT |
英国販売価格 | £35,950 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | ブレザーブルー(標準色/SOL) フローズンホワイト(OP/SOL/£250) ディープインパクトブルー(OP/MTL/£545) ムーンダストシルバー(OP/MTL/£545) マグネティック(OP/MTL/£545) シャドウブラック(OP/MC/£545) ガード(OP/MTL/£675) ルビーレッド(OP/MTL/£825) ※OP:有料オプション ※SOL:ソリッド塗装 ※MTL:メタリック塗装 ※MC:マイカ塗装 |
全長x全幅x全高 | 4848 x 1916 x 1747 mm |
ホイールベース | 2850mm |
トレッド(前/後) | 1606 /1606mm |
車両重量 | 1733kg(参考値) |
乗車定員 | 7名 |
トランスミッション | 6速オートマチックトランスミッション |
エンジンタイプ | 2.0L SCTi EcoBoost I-4 |
総排気量/内径x行程 | 1999cc / 87.4 x 83.0mm |
圧縮比 | 10.0:1 |
最高出力 | 176kW(240ps) / 5500rpm |
最大トルク | 345Nm / 1900-3500rpm |
燃料タンク容量 | 66L |
燃費 | 約12.7km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 235/55R17 /17インチアルミホイール |
最高速度 | 約225km/h |
0-100km/h加速 | 8.6秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
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※本記事は2016年7月1日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。