ボクスホール コルサ VXRはボクスホールが英国で販売しているBセグメントのスポーツモデルです。オペルではコルサ OPC(Opel Corsa OPC:Opel Performance Center)として販売されています。
この記事ではイギリス仕様右ハンドルのボクスホール コルサ VXRについて解説しています。また、日本で乗るための並行輸入情報も掲載しています。
この記事の目次
モデル概要
コルサは、GM傘下のオペル、ボクスホール、ホールデン等で販売される、Bセグメントの主力ハッチバックモデルです。初代モデル(コルサA)は1982年に発売が開始され、現在のモデルは2014年秋に発表された5代目(コルサE)となります。日本でも2代目と3代目は「オペル ヴィータ」の名称で販売されていたので、ご記憶の方も多いでしょう。
今回ご紹介するのは、ボクスホールの主力コンパクトモデル「コルサ」に、207ps/28.5kgmを発揮する1.6Lターボエンジンを搭載し、0-96km/h加速6.5秒、最高速度230km/hのパフォーマンスを発揮するホットモデル、ボクスホール コルサ VXR(Vauxhall Corsa VXR)です。このモデルを知るために、ボクスホールとVXRについて説明しましょう。
オペルのイギリス向けブランドであるボクスホールは、100年近くの歴史の中で設立当初から高性能スポーツカーをいくつも開発し、多くのレースやヒルクライムで活躍した歴史を持ちます。その伝統は現代も受け継がれ、イギリスで根強い人気を誇るツーリングカーレース、BTCC(イギリスツーリングカー選手権)に参戦し、2001年からの10年間で8回のメーカーチャンピオンとなるなど、速さと強さを発揮しています。
そのBTCC参戦チームである「VX Racing」のテクノロジーと情熱を現在の各モデルに注ぎ込んだのが「VXRシリーズ」です。ボクスホールではコルサ以外にも、主力モデルのアストラ(Astra)、旗艦モデルのインシグニア(Insignia)、600ps級エンジンを搭載したモンスター VXR8といった車種構成でVXRモデルを展開しています。BMWでいうところの「Mモデル」、メルセデスの「AMG」と同様の位置づけといえます。
コルサにVXRが設定されたのは2007年、2006年に販売が開始された4代目のコルサDからのこと。当初は192psの1.6LターボエンジンとVXR専用装備を持たせた標準仕様ともいうべきコルサ VXRが発売されました。2011年には、205psへのパワーアップと数多くの専用装備を付加したコルサ VXR ニュルブルクリンク エディション(Corsa VXR Nurburgring Edition)を発売。2013年には後継モデルとして、一部仕様変更を行ったコルサ VXR クラブスポーツ(Corsa VXR ClubSport)がリリースされています。こうした“攻め”のスペックでイギリスでは人気モデルとして定着しており、2007年の登場以降、累計9000台以上を販売しています。
そうしたコルサ VXRに込められた走りに対する情熱や自信は、各部のモディファイの内容、レカロ(Recaro)やレムス(REMUS)などのパーツのチョイス、オプションのパフォーマンスパックが示しているといえます。加えて、モデル名の「コルサ(Corsa)」はイタリア語で「レース」の意味。まさに熱く走るために生まれてきたモデルといえます。では、その内容を見ていきましょう。
ボクスホール/オペル コルサ VXR のPV動画 各部紹介とサーキット走行シーン(約2分)
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ハイライト
エクステリア
専用エアロとローダウンで“武装”したエクステリア
コルサには3ドアと5ドアのハッチバックが用意されていますが、コルサ VXRは3ドアのみ。基本的なデザインはノーマルモデルと共通ですが、専用のエアロパーツや大径ホイール、そしてコニ(Koni)社と共同開発の可変式FSDショックアブソーバーの採用で10mmダウンした全体のフォルムが、ただのコルサではないことを主張します。外見上のアクセントにもなっているツインエキゾーストは、ヨーロッパで高い人気を誇るレムス製。エンジンの力強さや軽快な吹け上がり、絶妙なエグゾーストでドライビングを演出します。
また、ボンネットフード前端にはノーマルモデルにはないスリット状のエアインテークを追加しており、大きく口を開けたフロントグリルと合わせ、吸気や冷却の効率を向上させています。
インテリア
レカロシートを備える走りのためのインテリア
インテリアはオーソドックスな構成ながら、メーターやダッシュボードには、走りを盛り上げるVXR専用デザインが施されています。まず目をひくのはレカロ製バケットシートでしょう。コルサ VXR専用設計で、サーキットでのスポーツ走行などでも正確なハンドル / ブレーキ操作をサポートします。
ハンドルは下端部がカットされたフラットボトム型の3本スポーク・スポーツステアリング。その他、ショートストローク化された6速マニュアルのシフト、スポーツペダル、専用フロアマット、サイドシルプレートなど、ドライバーをその気にさせ、しかも満足いく走りを演出するための装備に抜かりはありません。これらの主要なパーツにはVXRのロゴが配され、特別なモデルであることを主張しています。
パワートレイン
クラストップレベルのハイパワーエンジン
コルサ VXRのエンジンは「ECOTEC-4」と名乗ってはいますが、どちらかというとパワー追求型です。
1.6L 4気筒 16Vエンジンはインタークーラー付きターボで加給され、最高出力 207ps、トルクはノーマルモード時で25.0kgm、オーバーブースト時で28.5kgmを発揮します。これにより、0-96km/h加速は約6.5秒、最高速度は230km/hとクラストップレベルのパフォーマンスを実現しています。1,900-5,800rpmという幅広い回転域で最大トルクを発揮するため、タイトコーナーからの脱出時などにも鋭い加速を楽しめます。
また、2015モデルからは吸排気系がリファインされています。エアインテークを新型に、エグゾーストは排圧を抑えたレムス製により出力特性もより改善され、ドライバビリティが向上しました。
サスペンション
コニのダンパーがもたらす正確で痛快なハンドリング性能
フロントはマクファーソン・ストラット、リアはトーションビームという、欧州コンパクトカーの定番といえるサスペンション形式を採用しています。当然、VXRモデルはブッシュなども強化された専用仕様です。
ダンパーにはレースでの実績も数多く持つオランダ コニ(Koni)社のFSD(Frequency Selective Damping)を採用しています。FSDは減衰力自動調整機能を持つダンパーで、伸び側のストローク量が少ないシーンでは減衰力を弱く、伸び側ストロークが大きくなると自動的に減衰力をアップ。これによって街中から郊外のオープンロード、高速道路、さらにサーキットでのスポーツ走行まで、優れた乗り心地と、狙い通りのラインをトレースできるシュアなハンドリングを高い次元で両立しています。
また、ボディサイズに対して長めの2,510mmのホイールベースにより、高速コーナーなどでも優れた安定性を維持します。エンジンのハイパワーを解き放って大きなコーナーを豪快に回り込む、そんなシーンでもハイスピードドライビングが楽しめます。
参考スペック
ボクスホール コルサ VXR
(イギリス仕様2017年モデル)
寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4021 × 1736 × 1479 mm
ホイールベース:2,510mm トレッド前/後 -x-
エンジン▶︎水冷直列4気筒ターボ フロント横置
1598cc / 79.0x81.5mm - 207ps/5800rpm 25.0kgm / 1,900-5,800rpm (オーバーブースト時は28.5kgm)
駆動方式▶︎FF 6段MT
懸架装置▶︎前:マクファーソン・ストラット
▶︎後:トーションビーム
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク(308mm) 後:ディスク(264mm)
タイヤ ▶︎前後:215/45 R 17
燃料容量▶︎45L 車両重量▶︎- 最高速度▶︎230km/h 0-100km/h加速▶︎6.5秒
燃 費 ▶︎13.3km/L(欧州複合基準)
価 格 ▶︎19,745ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください
ライバルモデル
古くからBセグメントのホットハッチは激戦区でしたが、2010年前後から過給という選択肢が広く浸透した結果、従来では考えられなかったハイパフォーマンスモデルも増えてきました。2017年現在は俗に「ウォームハッチ」と呼ばれる、1990年代以前はこのクラスで主流だった100ps前半程度のモデルと、よりパフォーマンスを追求した100ps後半から200ps前半に達するモデルとの棲み分けが起きています。200psオーバーのターボエンジンを搭載するコルサVXR/コルサOPCは後者に分類されます。
このクラスのライバルとしては、フォルクスワーゲン ポロ GTI、ミニ クーパーS、プジョー 208GTi、ルノー クリオRS(日本名ルーテシアRS)、そして2017年に新型が登場するフォード フィエスタ STなどが挙げられますが、コルサ VXR/OPCは3ドア、そして3ペダルの6MTのみしかラインアップしていないという点で208 GTiやフィエスタ STに真正面からぶつかり、それ以外のモデルとは差別化が図られています。またコルサに設定のある機械式LSDはライバルに対する優位性のひとつとなっています。
バイヤーズガイド
コルサ VXRには、最新の電子デバイスや、デュアルクラッチトランスミッションなどの装備はありません。その代わり、強力なパワーがあります。そのパワーを使い切るべく、高剛性のボディや、実績あるパーツによって組み立てられた走りの世界があります。コルサ VXRは、ハイパフォーマンスをシンプルに追求した操りがいのあるマシンに仕上がっています。
そんなシンプルさは“走り”を追求するドライバーにきっと響くはずです。とにかく走ることが好き。クルマに走らされるのではなく、自分が主体となってクルマを操って走りたい。クルマを操る実感を楽しみたい。そういった方にオススメの一台です。
オプションには、前方衝突防止アラートや車線逸脱警告、リアビューカメラなどがセットになったテクニカルパックなど、安全性や快適性に関するオプションも用意されていますが、特徴的なのはパフォーマンスパックの設定です。
【パフォーマンス パック】
・ドレクスラー社製機械式LSD(リミテッドスリップデフ)
・ブレンボ社製フロントブレーキ(4ポット 330mmディスク)
・18インチアルミホイール(2トーンカラー)
・215/40R18 ミシュラン パイロット スーパースポーツタイヤ
・強化・再セッティングされたコニ製FSDダンパー
特筆すべきはドレクスラー社製 機械式LSDの採用でしょう。最近ではABSやESPを応用した疑似的な電子制御デフも増えてきましたが、効果という面では機械式LSDがベスト。ただ、一般的な機械式LSDは作動が唐突でハンドリングが難しくなるのが難点でした。その点、ドレクスラー社製LSDはマイルドな動作特性で定評の逸品。LSDを初めて体験するドライバーでも扱いやすくしかも高性能です。
このドレクスラー社製機械式LSDは単体で50万円程度になるといわれており、ブレンボ製4ポットキャリパーと大径330mmのベンチレーテッドディスク、強化版コニFSDダンパー、18インチホイールとミシュラン パイロット スーパースポーツタイヤがセットに含まれることを考えると、パフォーマンスパックの£2,410という価格はかなりのお値打ちといえます。コルサ VXRを選ぶ際には是非装着したいオプションです。
2017年現在のコルサ VXR日本導入の可能性
GMが2006年にオペルを日本市場から撤退させたのを最後に、ボクスホールとオペルの各車種の日本への正規輸入は途絶えてしまいました。
2017年にオペルとボクスホールの親会社はGMからグループPSAに変わり、今後仮に正規輸入が再開される場合はPCJ(プジョー・シトロエン・ジャポン)が担うことになりますが、日本でのブランドの浸透性や需要、プジョーやシトロエンの各車種と競合することを考えると、オペルとボクスホールは正規輸入再開の可能性が低いモデルです。
並行輸入という選択肢
前述のように正規輸入の可能性が低いボクスホール コルサ VXRですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したボクスホール コルサ VXRの乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格の一例を表示しています。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
カタログダウンロードページ
- 英国ボクスホール VXRカタログダウンロード(Vauxhall UK / コルサ VXR)
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- 英国ボクスホール オフィシャルサイト(Vauxhall UK)
- 英国ボクスホール VXRスペシャルサイト(Vauxhall UK / VXR全モデル掲載)
- 英国ボクスホール VXRコンフィグレーター(Vauxhall UK / コルサ VXR)
※本記事は2017年7月18日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。