日本でもっとも売れている欧州製LCVがルノー カングーであることはおそらく間違いないでしょう。ビジネス用途にも答えられるタフなハードウェアに加え、欧州雑貨のようなシンプルな「モノ感」も、日本で高い支持を得ている理由ではないでしょうか。そして、毎年多くの参加者を集めるオーナーイベント「カングージャンボリー」などの盛り上がりを見ても、このクルマが多くの方々に愛されていることがわかります。
でも、ほかの選択肢も気になりませんか?カングーのハードウェアの良さはそのまま、「カングーに近くて敢えてカングーではない選択」として提案したいのが、今回紹介する一台です。
メルセデス・ベンツ シタン(Citan)は、メルセデスベンツが販売する小型LCVモデルです。そしてこのモデルは、カングーをベースにメルセデス・ベンツが開発した、ルノーとメルセデス・ベンツの業務提携の成果でもあるのです。
今回はメルセデス・ベンツ シタンを徹底解説します。ルノーとメルセデスの”いいトコどり”をしたシタンを並行輸入してみませんか?
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この記事の目次
メルセデスベンツ シタンの特徴
シタンは前述の通り、ルノー カングーをベースにメルセデス・ベンツが開発した、次世代の小型LCVモデルです。
シタンは、以前メルセデス・ベンツが販売していたバネオの実質的な後継モデルです。バネオは初代Aクラスのプラットフォームを使用したLCVで、日本にも乗用モデルが正規輸入されていました。しかし、欧州市場ではカングーの人気が高く商業的には振るわず、販売は2002年から2005年までの僅かな期間に留まりました。
2010年代に入り、メルセデス・ベンツ(ダイムラー)はルノー(ルノー日産アライアンス)との業務提携を強化しました。最近ではルノー トゥインゴとスマートの共同開発や、日産スカイラインへのメルセデス・ベンツ製パワーユニットの採用や、北米でのエンジン共同生産、インフィニティとのエンジン共用化など提携が密になってきています。
この業務提携の最初のプロジェクトが、メルセデスベンツの次世代小型LCVの共同開発でした。欧州市場で人気のカングーをベースにし、メルセデス・ベンツが開発したこのモデルはシタンと名付けられ、2012年に発表されました。
メルセデス独自の開発コードはW415、名前のシタン(Citan)は「City(街)」と「Titan(巨人)」を掛け合わせた造語です。生産はカングーと同じく、ルノーのフランス・モブージュ工場で生産されています。
ちなみにカングーをベースに他社ブランドでリリースされるモデルは、シタンが初めてではありません。初代カングーをベースに日産ブランドで販売された、日産キュビスターの例があります。
シタンのバリエーションは、貨物向けのパネルバン、貨客両用のクルーバン、乗用向けのツアラーの3つです。先代のバネオは、日本市場へ正規導入されましたが、シタンは今のところ日本への正規輸入の予定はありません。これは、日本ではルノー カングーが人気であること、メルセデスベンツのプレミアム性を考慮してLCVの導入例があまりないからかもしれません。
欧州市場では、人気アクションドラマ「冒険野郎マグガイバー(MacGyver)」主演俳優を起用した、同ドラマをオマージュしたショートフィルムを公開するなど、積極的なプロモーション活動がされています。
シタン MacGyverプロモーション動画(約3分)
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エクステリア
ホイールベースに合わせて選べる3種類のボディタイプ
シタンのボディタイプ以下の3タイプがラインナップされています。
- 全長3,937mmのコンパクト
- 全長4,321mmのロング
- 全長4,705mmのエクストラロング
ボディタイプは基本的にベースのカングーに準じたもので、日本に正規輸入されているカングーに相当するのは全長4,321mmのロングです。コンパクトは、日本にかつて限定導入された3ドアのショートモデル「カングー・ビポップ」と同じホールベースのモデルで、バンのみの設定です。
ドアはカングーと同じで、後席はスライドドア、バックドアはお馴染みの観音開きのほか、跳ね上げ式も選択可能です。
デザインはフロント、リアともに専用のデザインとなっており、カングーとの差別化が図られています。中央に大きなスリーポインテッドスターを配置したフロントグリルなどは、日本でも販売されている新型Vクラスに近いものになっており、最近のメルセデス・ベンツのデザインテイストに沿ったものになっています。
エクステリアは、カングーがベースとは思えないぐらい、しっかり「メルセデス」しています。
インテリア
使い勝手を重視しつつメルセデス流にアレンジ
シタンのインパネデザインは、カングーをベースにしつつも大幅に手が加えられ、見た目は大きく異なります。シンプルながら、質感は疎かにせず、メルセデス・ベンツ・ブランドのモデルとして不足のない仕上がりになっています。たとえばヘッドライトのスイッチはダイヤル式となり、古くからのドイツ車ユーザーにも違和感が無い操作系となりました。
シート構成はバンの1列シートから、ツアラーの3列シートまで豊富に用意されています。特にバンの場合は、乗用モデルに設定されていないフロントダブルパッセンジャー(ベンチ)シートが2016年モデルよりオプションで選べるようになりました。そしてリアシートは、荷物の大きさや乗員の数に合わせて取り外せるため、柔軟な対応が可能です。
乗用モデルには、シートバックテーブルや、可倒式パッセンジャーシートなど、便利な機能を装着することが可能です。
ほかにもバンモデルでは、荷崩れによる飛び込みを防止するバルクヘッドも選択可能です。
パワートレイン
2ペダルの新トランスミッションも選択可能に
パワーユニットは、ガソリンとディーゼルの両方が設定されています。
ガソリンエンジンは1種類です。
- 1.2L直列4気筒 114PS
これは日本に正規輸入されているカングーの1.2Lターボモデルと基本的に同じです。
CDIと呼ばれるディーゼルエンジンは、同じ排気量でチューニングの違う3種類が設定されています。
- 1.5L直列4気筒 75PS
- 1.5L直列4気筒 90PS
- 1.5L直列4気筒 110PS
このエンジンは、メルセデス・ベンツではOM607と呼ばれていますが、ルノーのK9Kと呼ばれるエンジンと基本的に同じです。このK9Kエンジンは、カングー以外にもコンパクトカーのクリオ/クリオ エステート(ルーテシア)から、メガーヌ、カジャール、そしてフラッグシップのタリスマンまで幅広く搭載されています。ルノーの主力ディーゼルエンジンで、実力は折り紙付きです。これらのパワーユニットは、2016年のマイナーチェンジでユーロ6に対応し、さらに、回生ブレーキやアイドリングストップシステムなどを備えるブルーエフィシエンシー・パッケージも設定されました。
トランスミッションは、標準の5速MTもしくは6速MTのほか、ガソリンモデルには6G DCTと呼ばれる、2ペダルのゲドラグ製の6速デュアルクラッチトランスミッションも設定されています。これは、カングーに搭載される6速EDCと基本的に同じものです。
足回り
ドイツとフランス、それぞれの長所が活かされる
駆動系はFFのみでAWDモデルの設定はありません。サスペンションはフロント=マクファーソン・ストラット、リア=トーションビームを採用しています。足回りの味付けは、LCVとしてヘビーデューティーな用途にも応えられる設定ですが、耐久性ばかりを重視しているわけではありません。
そもそもベースのカングーは、ルノーが得意とする当たりが柔らかく、かつコシのあるセッティングが評判です。シタンはこれに加え、メルセデス・ベンツが得意とする、しっかりとした安定性も垣間見えるようです。シタンの足回りは、フランスとドイツ、それぞれの長所を活かしたものと言えそうです。
総評
街ゆくカングーとは一味ちがう、プレミアムモデル
シタンはカングーの良いところを残しつつ、メルセデス・ベンツ流の仕上げを細部にまで施した一台です。スペックを見るとカングーと同じところが多く、違いは少ないように感じますが、エクステリアも含め、しっかりメルセデス・ベンツファミリーの一員としての存在感を発揮しています。
ポップでアクティブなイメージのカングーに対して、シタンがプレミアムかつ落ち着いた印象に仕上がっているのは、スリーポインテッドスターのせいだけではないはずです。
「街ゆく欧州LCVがカングーばかりで…」とお嘆きの方はぜひ、シタンを検討されてみてはいかがでしょうか。
シタン MacGyverプロモーション動画(2)(約3分)
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次世代LCV、シタンのライバルは?
シタンのライバルは、同じLCVのフォルクスワーゲン キャディ ライフ/キャディやフォード トルネオ コネクト/トランジット コネクトが挙げられます。
キャディは、フォルクスワーゲンの小型LCVで、ゴルフのプラットフォームをベースにしています。フォルクスワーゲンの商用車系モデルは、T6なども含めて高品質であることがメリットです。商用モデルとしての耐久性に加えて、乗用モデルに通じる質感の高さは、他のLCVと比べて頭ひとつ抜けているように感じます。そしてシタンには設定のない4WD(4Motion)モデルがあることも強みです。しかし高品質なぶん高価で、シタンが割安に感じるかもしれません。
フォード トランジット コネクトは、欧州LCVでは長年不動の人気を誇るトランジットの弟分となる小型LCVモデルです。トランジット カスタムで長年積み上げたノウハウを生かしたトランジット コネクトは、ヘビーデューティな用途でも信頼性は抜群です。燃費の良いデュラトルクディーゼルや、ダウンサイジングターボのエコブーストエンジンも評判が良く、乗用モデルもトルネオ コネクトの名前でラインナップされています。
タフなLCVとして魅力的なトランジットコネクトですが、シタンと比べるとデザインなども含め極めて実直なため、少々素っ気なく見えるかも知れませんが、特にロングホイールベースモデルのグランド トルネオ コネクトなどで日本車顔負けに工夫されたリアシートのシステムなどは見逃せません。
他にもシタンのライバルとしては、フィアット ドブロやシトロエン ベルランゴなどがあります。いずれも商用ユースを前提にした優秀なパッケージングを持ち、それを活かした広々とした乗用モデルも魅力あるモデルに仕上げられています。
シタンの主な装備とオプション
シタンの主な装備やオプションは、乗用モデルのツアラーの場合、ヒーテッドドアミラー、フロント&サイドエアバッグ、横滑り防止装置ESPなどが標準装備となるものの、日本仕様のカングーと比べるとシンプルです。そして、他社のLCVにもありがちですが、乗用モデルでもエアコンがオプションなので、日本で乗るには必須となるでしょう。
ほかにもオプションとして、チルトも可能なダブルサンルーフ「パノラミックルーフ」や、バックミラー内蔵のバックカメラ、助手席可倒シートや、シート背面テーブルなどの便利機能、内装を豪華にするクロームインテリアパッケージ、16インチ/17インチのアルミホイールなどが用意されています。
さらにアクセサリとして、キャンピングやボートなどのトレーラーを引くためのヒッチメンバーや、専用のルーフラックなども用意されていますので、使い方に合った組み合わせを見つけることができます。
おすすめはLong Tourer 1.2 112
シタンを選ぶなら、Long Tourer 1.2 112をおすすめします。
このモデルは、日本に正規輸入されているカングーと同じボディサイズのLongで、乗用モデルの5人乗りツアラーグレードです。パワートレインは、1.2Lダウンサイジングターボと6速MTの組み合わせです。
この組み合わせは、基本的に日本仕様のカングーに近いものですが、エクステリアも含めてしっかりメルセデス流になっており、「カングーとは違う選択をしたい」という方の期待に応えられる一台となっています。もちろん、3列シート7人乗りのエクストラロングや、パネルバングレード、ディーゼルエンジン搭載モデルなども並行輸入できますので、お気軽にご相談ください。
みんなのカングーとはひとあじ違う、もうひとつの選択肢。メルセデス・ベンツの小型LCV、シタンと一緒に暮らしてみませんか?
メルセデスベンツ シタンの日本国内での乗り出し価格は?
メルセデス・ベンツ シタンのイギリスでの販売価格は、日本に正規輸入されるカングーと同じホイールベースのボディにダウンサイジングターボの乗用モデル シタン Long Tourer 1.2 112で19,716ポンドです。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
シタンは、正規輸入されていないので、入手するには並行輸入が現実的な方法です。エアコンはオプションですので別途£1,270のDriver’s Packを選択した価格です。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
限定特価販売車のご案内
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メルセデスベンツ シタンの中古車情報
メルセデスベンツ シタンの現地中古車をお探しすることも可能です。走行距離が少ない高年式中古車(新古車)が出回ってますのでまずは予算と合わせてご相談ください。
スペック表
メルセデスベンツ シタンのスペックは以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | メルセデス・ベンツ シタン / MERCEDES BENZ CITAN |
サンプルグレード | Long Tourer 1.2 112 |
英国販売価格 | £19,716(エアコンを含むDriver’s Packは別途£1,270) |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | アークティックホワイト(標準色) ドルフィングレー(標準色) アマレーナレッド(標準色) インクブルー(標準色) ペブルブルー(標準色) ドラバイトブラックメタリック(OP/MTL) ブリリアントシルバーメタリック(OP/MTL) ボーナイトレッドメタリック(OP/MTL) コルネライトブルーメタリック(OP/MTL) リモナイトブラウンメタリック(OP/MTL) テノリテグレーメタリック(OP/MTL) ※OP:有料オプション ※MTL:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4,321× 1,829 × 1,809 mm |
ホイールベース | 2,697 mm |
トレッド(前/後) | – mm / – mm |
車両重量(乾燥) | 1,395kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6MT |
エンジンタイプ | 直列4気筒16V直噴ターボ |
総排気量/内径x行程 | 1,192cc/-mm×-mm |
圧縮比 | – |
最高出力 | 84kW(114PS)/4500rpm |
最大トルク | 190Nm(19.0kg-m)/2000rpm |
燃料タンク容量 | 60L |
燃費 | 約18.7km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 15インチホイール |
最高速度 | -km/h |
0-100km/h加速 | -秒 |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
車両詳細画像ギャラリー
メルセデスベンツ シタンをもっと知りたい方はこちら
・メルセデスベンツ シタン ツアラーのオフィシャルサイト(MERCEDES BENZ UK CITAN TOURER)
・メルセデスベンツ シタン ツアラーのカタログ(MERCEDES BENZ UK CITAN TOURER)
・メルセデスベンツ シタン パネルバンのオフィシャルサイト(MERCEDES BENZ UK CITAN PANELVAN)
・メルセデスベンツ シタン バンのカタログ(MERCEDES BENZ UK CITAN VAN)
※本記事は2016年10月4日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。