アルファロメオ ジュリエッタ(Alfaromeo Giulietta)は、Cセグメントに属するミドルサイズの5ドアハッチバックモデルです。
2000年から2010年まで販売され、大ヒット作となった147の後継モデルとして、末っ子のミトと共にここ数年のアルファロメオを牽引し続けているモデルです。日本でも2012年から正規輸入されていますが、一部のグレードや、ディーゼルエンジンを搭載したモデルは今でも正規輸入されていません。また、日本への導入初期にラインナップされていたMTモデルも現在はカタログモデルから消えてしまい、MT仕様を手に入れるには中古車を探すしか方法がなくなってしまいました。
そこで今回は、ジュリエッタの5ドアハッチバックモデルを徹底解説します。ジュリエッタのMT仕様やディーゼル仕様を英国仕様の右ハンドルで並行輸入してみませんか?
この記事の目次
アルファロメオ ジュリエッタの特徴
アルファロメオ ジュリエッタには、同じ車名で3つのモデルが存在します。これらは通常モデルのように連続した時系列による世代の継承がされているわけではなく、それぞれの世代間には10年以上のブランクがあり、都度「ジュリエッタ」の名を復活させる形をとったモデルばかりですので、時間的にも技術的にもそれぞれの世代間ではつながりのない独立したモデルとなっています。
第1世代(750/110系)は1954年に、当時ベルトーネに在籍していたフランコ・スカリオーネ氏が手がけたクーペボディの「スプリント」でデビューを果たし、翌年には4ドアボディのベルリーナ、ピニンファリーナがデザインと製造を行ったオープンボディのスパイダーと、美しく魅力的なモデルを次々に発表、いずれも大変な好評を博しました。
1963年にはスプリントとスパイダーが、後継モデルのジュリアに改名されるものの、ほぼ同じデザインで1965年まで10年以上継続生産され、戦後のアルファロメオの経営基盤を安定させる礎となりました。半世紀以上を経た現代でも、その美しさから人々を魅了してやまないイタリア車の傑作です。
第2世代は、1977年に60年代から70年代にかけて好評を博したジュリアの後継として、上級モデルのアルフェッタ(106系)をベースに、小型モデルのアルファスッドとの間を埋めるミドルレンジのモデルとして開発され、それがジュリエッタ(116系)を名乗ったことで、車名が復活しました。
ひと言で表すなら、アルフェッタのメカニカルコンポーネンツをそのまま使いつつ、内外装を当時のデザインに合わせて刷新し現代化を図ったモデルです。
ベースとなったアルフェッタは、前後の重量配分を50:50にする目的で、トランスミッションを後輪のリアデフと一体化したトランスアクスル方式を採用した珍しいモデルの二代目であり、1985年に登場した後継モデルとなるアルファ75も含め、このトランスアクスルを採用したFRモデルの系譜は3世代続くことになります。
しかし車名に関しては、当時のアルファロメオは小型モデルの車名をアルファ33、上級モデルの車名をアルファ90とするなど、2桁数字の車名で揃えられており、創立75周年を記念して命名された後継車であるアルファ75の登場により、ジュリエッタの車名は継承されることなく再び途絶えることになります。
ここで、近代アルファにおけるハッチバック、セダン、スポーツの各ジャンルにおける流れをざっとご紹介します。
ハッチバックモデルは、アルファ33の後継モデルとして1994年にデビューしたアルファ145/146を経て、2000年に登場したCセグメントHBモデルのアルファ147が空前の大ヒットを記録し、2010年まで生産されました。
一方で、セダンの血筋におけるアルファ75の後継モデルは、1986年に経営難に陥ったアルファがフィアットの傘下に入ったため、1992年にフィアット系シャシーをベースとしたFFモデルへと転身しつつも、欧州のDTMで大暴れして人気を得たアルファ155から、1997年にワルター・デ・シルヴァ氏のデザインによって大ヒットモデルとなったアルファ156を経て、2005年にはブレラと共にイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインを手がけ、GMとの共同開発で生まれたアルファ159がデビュー。Dセグメントのセダンに昇格し、2011年まで生産されていました。
しかし、それ以降は後継モデルの噂はあれども、なかなか登場せず、セダンの流れは一時的に途絶えました。しかし、2015年には新たなDセグメントセダンとなるジュリアを発表。アルファロメオがリリースするFR駆動のセダンとしては、アルファ75の生産が終了した1992年以来、実に23年ぶりの復活となり、ジュリアという車名も、1977年以来となる38年ぶりの復活を果たしました。
さらにもうひとつ、スポーツモデルに新たな潮流が生まれます。2003年に突如アルファロメオから8Cコンペティツィオーネというスポーツカーのコンセプトモデルが発表されました。マセラティのシャシーをベースにしてはいますが、アルファとしては20年以上途絶えていたFR方式のモデルで、古き良きイタリアを想起させるようなネオクラシカルなエクステリアを纏ったそのフォルムは、大変な驚きと好評を持って迎えられました。その後、2006年に2200万円、世界限定500台で市販すると正式発表され。日本でも販売直後に完売します。
これに気をよくしたのか、2008年には、8Cのデザインエッセンスがふんだんに盛り込まれたグランデプントベースの小粒な3ドアハッチバックモデル、ミトがデビューします。これにより、8Cのデザインが一時的なものではなく、これからのアルファにおけるアイデンティティを象徴するものになったことを示しました。
こうした背景の中で、アルファロメオ創立100周年にあたる2010年のジュネーブショーでジュリエッタの名前が復活、3世代目としてデビューすることになります。
エクステリア
近代アルファデザイン集大成のエクステリア
8Cのテイストを纏ったミトとの繋がりを示すように、ジュリエッタのフロントマスクは、8Cコンペティツィオーネやミトに似た縦型ヘッドランプと、アルファの象徴である盾型グリルを車体中央に独立させたレイアウトを持ちます。ボディサイドのキャラクターラインは前後ホイールアーチ直上付近で、ヘラで抉ったようなアクセントを持たせた手法を「156」から引用し、晴天でも曇天でもジュリエッタならではの美しいコントラストがボディサイドに浮かびます。線ではなく、面の抑揚でそうした色気が醸し出されるデザインには、イタリア車でしか得られない独特な味わいがあります。
リアドアのドアハンドルをリアサイドガラスのサッシュ内に設置することで、リアドアの存在を消してクーペのように見せる手法は156/147から引用しています。この手法は、現在も国内外の多くのHBモデルで採用例がありますが、もともとは156が最初に採用したものです。
リアパネルは、厚めのリアバンパーと、高めに位置する横長逆台形のリアコンビランプをテールゲート内側に置き、パネル中央に車名エンブレムを配置するブレラの手法を継承しつつ、8Cやミトとの共通性をうかがわせる外側の丸型リアコンビをドッキングさせる手法で象徴されるように、ジュリエッタのエクステリアは156以降に登場した各モデルの特徴となるデザインエッセンスを融合させ、ボディ全体に散りばめているのが特徴です。
アルファロメオとしての、ここ20年間におけるデザインの変遷を1台のモデルに反映させた集大成といえるモデルですが、そういった予備知識がなくても、1台のクルマとして破綻のないようにきっちりとまとめ上げられているのは、やはりデザインの国イタリアのクルマらしさを感じます。
2016年に行われた2度目のフェイスリフトでは、アルファの特徴であるグリル内の水平クロームバーを廃止してハニカムグリルとした上で、グリルの外側V字フレームをダーククローム化、フロントバンパー下にある三分割されていたエアダムは無塗装のガーニッシュで覆って一体化して見えるようにブラックアウト化、リアバンパーに装備される無塗装のディフューザーと対になるデザインとしています。また、グレードによってはボディカラーに関係なくエアダム外周部やリアディフューザーにアルファレッドのラインアクセントがつきます。これは国内外のスポーツモデルで流行っている表現手法です。
今回のフェイスリフトは、これまで10年以上続いた8Cを頂点とするネオレトロ路線から脱却し、今後はジュリアを起点にした新世代アルファのデザインアイデンティティに揃えるべく、全体的にスポーティなテイストを持たせることを主眼としたデザイン変更が行われています。リアパネルに貼られている車名ロゴのデザインが、ジュリアと同一のものに変更されたのもその姿勢の表れです。これらのジュリアテイストへの変更は、ミトにも同様に施されました。
もちろん、ジュリアの登場と同時に変更されたアルファロメオのロゴマークも最新ものへと変更を受けています。
インテリア
ドライビングに集中できるシンプル&クリーンなインテリア
ジュリエッタのインテリアで目を惹くのが、インパネにある運転席側から助手席までを横一文字に貫いている特徴的なガーニッシュで、このパネルはグレードにより、黒の梨地、ヘアライン調、燻したようなメタリックの仕上げの3タイプが用意されています。
インパネのアッパーパネルはほぼフラットで、メーターバイザーもインパネの中に沈み込むようなレイアウトになっています。これは、キャブフォワードでAピラーの付け根が前進しているため、フロントガラスの傾斜が大きく、フロントウィンドウの天地が狭いため、前方視界への圧迫感を軽減する必要があったためと考えられます。副次的ではあるものの、メーター自体が通常よりも下に位置しているため、チルト機構を使ってステアリングの位置を下げてもステアリングリムでメーターが隠れにくいというメリットもあります。
メーターパネルそのものは速度計とタコメーターが独立した2眼レイアウトで、メーターの円形シリンダーに沿うようにバイザーが2つのコブ形状になっているのは、古くから歴代のモデルが継承してきたアルファロメオの伝統的なデザインです。また、空調の吹き出し口はサイドやセンターもインパネの中の一部として目立たないようにビルトインされており、シルバー系の加飾パーツも最小限に止めています。スイッチパネルも少ないため全体的に華美にならず、シンプルかつクリーンな印象です。もっとも頻繁に使用するであろう空調パネルは温度調整のダイヤルが大型で、手が届きやすくブラインド操作のしやすいデザインが施されています。
インフォテイメントの核となるオーディオは、FCAグループ内で「Uconnect」とよばれるテレマティクスを搭載したカラー液晶のタッチパネルを備え、BluetoothやUSBによるスマートフォンなどの外部機器接続での連携にも対応するなど、最近のトレンドとなっているコネクティビティも確保されています。
シートはグレードごとに仕様が異なり、生地の違いやカラーリング、グレードの性格に合わせて、スポーツシートやフルレザーシートもオプションで用意するなど選択肢は豊富です。
エンジン
世界初の革新技術を持つエンジンラインナップ
ジュリエッタに搭載されるエンジンは下記の通り、ガソリン、ディーゼルともに4種類ずつラインナップされています。
【ガソリンエンジン】
- 1.4L ターボ 120ps/215Nm & 6MT*
- 1.4L マルチエア ターボ 150ps/230-250Nm & 6MT**
- 1.4L マルチエア ターボ 170ps/230-250Nm & 6TCT***
- 1.75L TBi 240ps/340Nm & 6TCT****
*GIULIETTAのみ
**GIULIETTA/SUPER/SPECIALEのみ
***SUPER/SPECIALEのみ
****VELOCEのみ
UK仕様のジュリエッタに用意されるガソリンエンジンは、ベーシックモデル向けに非マルチエア仕様の1.4Lターボと、ミドレンジ向けにマルチエア仕様で出力の異なる1.4Lマルチエア ターボの2タイプ、そして240psの最高出力を誇る1.75L TBiの4タイプがラインナップされています。
トランスミッションは6速MTとデュアルクラッチ式のAMTである6速TCTの二種類ありますが、エンジンの仕様ひとつにつきトランスミッションも1種類しか用意されていないので、6速TCT搭載車をご希望される場合に選択可能なグレードは170ps仕様のスーパー以上となります。逆に6速MTを希望する場合は、150ps仕様のスペチアーレ以下となります。
ガソリンエンジンの特徴は、FCAグループが持つエンジン開発部門であるFPT(Fiat Powertrain Technologies)が開発した独自のマルチエア機構を搭載したエンジンです。マルチエアとは、通常のエンジンではバルブの開閉にカムシャフトを用いるところを、吸気側のカムシャフトを取り除いた上で、代わりに排気側カムシャフトを動力源として作動する油圧ポンプの力と電磁弁を用いて吸気バルブの開閉制御を行う機構のことを指し、FPTが世界で初めて実用化しました。
マルチエアによって、吸気バルブはカムの回転による開閉タイミングやリフト量の縛りから解放され、従来のカムによる動弁機構ではできなかった、最適なエンジン出力制御が可能になります。市街地走行時における低回転域&低負荷時では、1ストロークの間に「吸気バルブを2回開ける」ことにより燃費や排出ガスを低減することも可能です。また、高速道路走行時の高回転域では、吸気バルブを全開にする時間を長くすることでエンジンの最高性能を引き出します。このようにエンジンの回転数や負荷に応じた制御を可能にすることで、高出力、低燃費、環境性能を高いレベルで両立することができます。もちろん、環境性能については、欧州で最も厳しい大気汚染物質の排出規制基準であるEuro6を、搭載するすべてのエンジンでクリアしています。
トップグレードのヴェローチェ専用となる1,750ccのTBiエンジンは、2009年に159やブレラ向けとして最初に搭載され、後にジュリエッタにも搭載されるエンジンですが、アルファにとって1,750ccという排気量は特別な意味を持っています。
その起源は1929年に登場し、ミレミリアなどのレースシーンで数多くの華々しい結果をもたらした伝説の名車である6C 1750グランスポルトにあり、1966年に登場した1750GTVは、その栄光の排気量にあやかって命名されました。この様な経緯があって、ジュリエッタのTBiエンジンも正確な排気量は1,742ccにもかかわらず、敢えて1750ccと表記しています。
このTBiエンジンは、159/ブレラ向けでは200psで投入され、ジュリエッタへの搭載時に235psにまでチューンされましたが、2013年にデビューした4Cへ搭載される際に、240psまでさらにチューンナップされたエンジンをジュリエッタ向けにも反映させた仕様になっています。
【ディーゼルエンジン】
- 1.6L JTDm-2 120ps/320Nm & 6MT/6TCT*
- 2.0L JTDm-2 150ps/380Nm & 6MT*
- 2.0L JTDm-2 175ps/350Nm & 6TCT**
*GIULIETTA/SUPERのみ
**SPECIALEのみ
ディーゼルエンジンは、1.6Lについては6速MTと6速TCTのどちらでも選択可能です。2.0Lは、トランスミッションごとに出力の異なるユニットと組み合わされ、選択可能なグレードも異なります。
ジュリエッタのディーゼルエンジンは、フィアットが得意とするコモンレール式直噴ターボディーゼルのJTDM-2エンジンが搭載されています。JTDMとはuniJet Turbo Diesel with Multijetの略ですが、これはアルファロメオにおける呼称であり、製造元であるフィアットではマルチジェットと呼ばれています。
ここで、フィアットのコモンレール式ディーゼルエンジンの歴史を紐解いてみましょう。現在クリーンディーゼルの主流となっているコモンレール式は、もとはフィアットが1980年代後半から90年代にかけてマニエッティ・マレリと共同開発していたものでしたが、フィアットの経営難により関連技術と特許をボッシュに売却しました。その後はボッシュが開発を続け、1997年に乗用車用として初めて実用化に成功し、その成果を元にフィアットが2.4Lの5気筒ターボディーゼルエンジン開発して156に搭載したのが量産車で最初といわれています。
これがFCAグループにおける第1世代のコモンレール式ディーゼルエンジンで、uniJet Turbo Dieselの頭文字からJTDと呼称されていました。これは一回の燃焼過程の間に燃焼音を抑えるプレ噴射とトルクを出すメイン噴射の2回に分けた上で、1300気圧という従来よりも高圧で燃料を噴射する方式に由来しています。これにより、ディーゼルエンジン特有の弱点であった音と振動を抑制することに成功し、燃焼コントロールも自在になったため、有害な黒煙もかなり抑えられるようになりました。
第2世代は2003年に登場し、燃料噴射回数を5回に増やすことで、騒音低減のみならず、排気ガス浄化用の触媒や微粒子フィルターを効果的に利用するために排気温を制御する燃料噴射も追加されるなど、環境性能を高めるような噴射制御を可能にしたものへと進化しました。これを機にFCAでは新たにマルチジェットと呼称変更を行いました。この時にアルファ版であるJTDエンジンも、従来の呼称を継承しつつ、マルチジェット系であることを示す“M”を追加したJTDMに変更されています。
最新の第3世代は2009年に登場しマルチジェット2という名称になりした。アルファ版はJTDM-2とよんでいます。さらに高精度に進化したインジェクターと油圧サーボシステムの導入により、噴射回数も8回へ増え、インジェクターからの噴射レートを緻密に制御するシステムと相まって、より高い静粛性と環境性能の向上を実現し、欧州の大気汚染物質の排出規制でもっとも厳しいEuro6をクリアしています。
日本市場ではディーゼルエンジン仕様の正規輸入がされていないだけに、アルファロメオというとガソリンエンジンのイメージが強いですが、乗用車としてコモンレール式ディーゼルエンジンを最初に搭載していた歴史を持つなんて、意外な印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
ディーゼルエンジンのラインナップを見ると、150ps仕様と175ps仕様では、最大トルクの値は150ps仕様の方が高いという逆転現象が起きており、妙な印象を受けますが、MT仕様の150ps仕様に対して、175ps仕様はデュアルクラッチトランスミッションであるTCT搭載車のため、クラッチに対する負荷を考慮し、敢えて最大トルク値は抑えられている仕様なのだと考えられます。
足回り
フラットでしなやかな乗り心地の足回り
ジュリエッタの足回りは、フロントはマクファーソンストラット、リアはマルチリンクで、前後共にアーム類にアルミ合金を多用し剛性を確保しつつ軽量化を図っています。
フラットでありつつも、しっとりとした乗り心地は独特なものがあり、印象は18インチ仕様で40タイヤを履いている場合でも大きく変わりません。多少の路面の荒れがあっても、それをものともせず、涼しい顔でいなしていくため、ドライビングに集中しやすく、市街地でも峠道でも高速道路でも快適で、かつ運転して面白く仕上がっています。
なお、アッパーミドルグレードのスペチアーレでは、スポーツサスペンションが装備され、トップモデルのヴェローチェにはローダウンサスペンションが標準装備となります。
さらに、ジュリエッタにはクルマ全体のパフォーマンスを統合制御する「ALFA D.N.A」システムが搭載されています。これは、D=ダイナミック/N=ナチュラル/A=オールウェザーの3モードによってエンジンの出力/トルク特性からTCTの変速ロジック、スロットルレスポンス、VDC(スタビリティコントロール)やASR(トラクションコントロール)などの動力性能や電子制御デバイスの介入具合を走行状況や好みに応じて切り替えることができるシステムです。
デフォルトポジションは「Nモード」で、市街地や高速道路などの一般的な走行時に最適になるように快適性と燃費を配慮したセッティングがされています。また、電子制御デバイスの介入を控えめにして、エンジンパフォーマンスをフルに発揮させたい場合は「Dモード」、雨や雪道などの悪天候時でグリップ重視にしたい場合は、TCTの変速ロジックをスムーズさ優先にしエンジントルクも穏やかにコントロールされる「Aモード」といったように、好みや走行環境に応じたモード選択によって最適なパフォーマンスが得られます。
燃費
マルチエアとJTDMエンジンの経済性
ジュリエッタのガソリン仕様とディーゼル仕様をピックアップして燃費性能を比較してみましょう。
日本におけるJC08モードに近いといわれる「欧州複合モード」のカタログ燃費は、ガソリンエンジンの場合、1.4Lのマルチエア、150ps仕様に6MTで17.9km/L、同170ps仕様に6TCTで20.1km/Lです。ディーゼルエンジンの場合、2.0L JTDM02ターボの150ps仕様で23.5km/L、同175ps仕様で22.9km/Lとなります。
どちらも大変良好な燃費性能で、ライバルと比較してもひけをとらないスペックです。最高出力はガソリンもディーゼルもほとんど同じですが、燃焼方式の違いで最大トルクは大きく異なり、ターボディーゼルエンジンならではの、3.5L級ガソリン自然吸気エンジン並みの豊かなトルクと、20km/Lを超える燃費とくれば、かなり魅力的なスペックです。
総評
イタリア車の門戸をたたくには最適なモデル
ジュリエッタは、10年にわたって好評なセールスを維持した147の後継モデルであり、現在アルファロメオで唯一量販が見込める守備範囲の広さを持つモデルです。創立100周年のメモリアルモデルでもあり、2010年のデビュー当時から開発陣が相当に力を入れたことがわかる仕上がりを見せていました。デビューから丸6年が経過し、2度のフェイスリフトを経ても大きなデザイン変更が行われなかったのは完成度の高さの証と言えます。
これまでイタリア車に興味を持ちつつも、壊れたらどうしようと不安になってしまい、躊躇う人は多いと思います。しかし、今やそのクォリティはドイツ車にさほどひけをとらず、トラブルも他の輸入車とそれほど変わらないレベルになっています。もし、ジュリエッタをご覧になられて、ご自身の感性にビビビと閃くものがあったなら、一歩踏み出してドアを開けてみましょう。共に生活してみれば、カタログのスペックに現れない感性の世界があることがきっとわかるはずです。
毎日目にする自宅の駐車場ですら、後ろ髪を引かれるほどに離れがたくなり、振り返って見つめていたくなる美しいデザイン。そんな愛着の湧くクルマと同じ時を過ごし、対話しながら走ることに、これまでにない幸せを感じるようになるかもしれません。
「どこかへ行くためにクルマに乗るのではなく、クルマに乗ること自体が目的になる」。クルマ好きな方なら特に不思議に思わない感覚ですが、これまでとりわけクルマに対して思い入れがなかったような人にまでそういったことを思わせてしまう魅力があります。「イタリア車の世界を知りたい人にこそ、乗ってほしいクルマ」それがジュリエッタなのです。
ジュリエッタのライバルは?
ジュリエッタのライバルについて、ピックアップしてみましょう。
【フォルクスワーゲン ゴルフ】
やはり最大のライバルは、言わずと知れたCセグメントのベンチマークカーであるゴルフです。
2012年に登場した第7世代は、最新のMBQプラットフォームを採用して軽量化を図った上で、さらにクォリティに磨きをかけています。ボディサイズやサスペンション形式、エンジンのラインナップもジュリエッタとよく似ています。
ただし、ゴルフにはジュリエッタには存在しない3ドアハッチバックモデルがラインナップされており、実用性よりもパーソナルな雰囲気がお好みの場合には3ドアのゴルフに軍配が上がります。ゴルフの3ドアモデルは日本未導入モデルですが、コアカーズではゴルフの3ドアモデルも並行輸入が可能です。
【プジョー 308】
そしてもう1台には、プジョー 308を挙げます。現行308は2013年にデビューしています。
プジョーならではのデザインや、独特の味わいがあった乗り心地も、ライバルを意識するあまり個性が薄れ人気が落ちた時期もありました。しかし近年、PSAグループ内におけるブランド間の役割を再構築したことで、アバンギャルドなモデルは同じグループのシトロエンが担い、プジョーは本来あるべきポジションに戻ってきたと言えます。端正なデザインや、クッションが厚く掛け心地に優れたシート、しなやかな「猫足」と呼ばれるサスペンションセッティングなど、プジョーらしさやフランス車に求められるものを取り戻し、再び人気を博しています。
2016年に入ってから日本市場へも最新のクリーンディーゼルであるBlueHDiエンジンを積極的に導入するなど、ライバルのドイツ車とは違うアピールで注目を集めています。
主要装備とオプション
ジュリエッタのグレード構成は、全4グレードとなっており、各グレードごとの特徴をベーシックな方から
簡単に解説していきます。詳細は、是非ともカタログをご覧いただければと思います。
・ジュリエッタ
車名がそのままグレード名になっているので少々紛らわしいですが、全グレードの基点となるベーシックモデルです。エンジンは、ガソリン/ディーゼルともに、120psと150ps仕様のみ選択可能。16インチアロイホイールを装着しています。
・スーパー
ジュリエッタをベースに、デュアルゾーンオートエアコンなどを標準装備して快適性を向上させたほか、クロームサイドウィンドウモールや、サテンシルバードアミラーハウジングなどでエクステリアに高級感を持たせています。内外装のカラーバリエーションやエンジンの選択肢がもっとも豊富な最量販グレードです。16インチアロイホイールを装着しています。
・スペチアーレ
快適装備&スポーティ装備充実の欲張り仕様です。スーパーをベースに、ブレンボ製アルミ4ポッドレッドキャリパー&フロント大径ブレーキ、スポーツサスペンション、ヘッドランプやドアミラー&ドアハンドルなどをダークカラー化した「ダークアンスラサイトフィニッシュ」パックを備え、オートライトや自動防眩ルームミラーなどの快適装備も追加した仕様です。エンジンは、ガソリンは150ps/170ps、ディーゼルは150ps/175ps仕様を選択可能。18インチアロイホイールを装着しています。
・ヴェローチェ
240psのTBiエンジンを搭載する、シリーズ随一のスポーツ仕様です。スペチアーレをベースに、ハイバックスポーツシート、ローダウンサスペンション、スポーティな吸気音を響かせるサウンドインテークジェネレーターや大径ツインエグゾーストパイプなど、走りのための装備を充実させたトップグレードです。チタンカラーの18インチアロイホイールを装着しています。
全グレード共通の装備は下記をご覧ください。+ボタンで詳細が表示されます。
【エクステリア】
・カラードバンパー
・電動カラードドアミラー
・リアスポイラー
・ハイマウントストップランプ
・LED式テールランプ
・ウォッシャー付リアワイパー
・リアウィンドウデフォッガー(タイマー付)
【インテリア】
・レッドイルミメーターパネル(スーパー以上はホワイトイルミ)
・チルト&テレスコピックステアリング
・革巻きステアリング(オーディオコントロールスイッチつき)
・マルチファンクションディスプレイ
・運転席高さ調整付きシート
・60/40 分割可倒式リアシート
・リモコン集中ドアロック
【快適装備】
・マニュアルエアコン
・パワーウィンドウ(前後)
【インフォテイメント/コネクティビティ】
・Uconnect
・5インチカラーディスプレイ付きデジタルラジオ
・CDプレーヤー(MP3対応)
・Bluetooth接続
・外部入力用USB端子
【ドライバビリティ】
・アルファD.N.Aシステム
【安全装備】
・6エアバッグ(運転席&助手席&サイドx2&カーテンx2)
・VDC (横滑り防止装置)
・ASR (アンチスリップレギュレーション)
・ABS (アンチロックブレーキ)
・EBD (電子制御制動力配分装置)
・EBA (ブレーキアシスト)
・緊急時ブレーキアシスト
・電動Q2システム(電動LSD)
・ヒルホールドシステム
・LED式デイタイムランニングランプ
・TMPS (タイヤ空気圧モニター)
・助手席エアバッグキルスイッチ
・ISOFIX対応リアシート
・アルファコード イモビライザー
オススメのオプション装備は?
ジュリエッタの純正オプションは大変に多くのバリエーションがあり、全てを紹介するには難しいため、ここでは車両注文時にしかオーダーできないオプション装備の一部をご紹介します。
・バイキセノン アダプティブヘッドランプ(£930)※全車オプション
ジュリエッタは全車ハロゲンヘッドランプが標準装備となっているので、夜間の視界を明るく確保したい場合は必須装備です。ステアリングの舵角に連動して照射範囲を自動的に調整するAFS機能を搭載し、コーナリング時の視界を確保、安全性を高めます。ヘッドランプウォッシャーも同時装着されます。
ジュリエッタにはスーパー以上のグレードでシート生地のオプションやカラー、スポーツシートなど多くのオプション設定があります。
・スーパー
レザーシートのカラーをブラック/レッド/タンの3色から選択できるのはこのグレードのみです。レザーシートを選択した場合は、インパネの外周部のカラーもシートカラーに連動して変更されますので、インテリアの雰囲気がかなり変わります。
・スペチアーレ
ヴェローチェで標準装備されるハイバックタイプのアルカンターラ/レザーのスポーツシートとブラック/レッドのレザーシートが選択できます。
・ヴェローチェ
ブラック/レッドのレザーシート仕様が選択できますが、シート形状はノーマルシートと同じになってしまうようです。
なお、全11色のボディカラーと内装色の組み合わせはグレードによっては選択できない場合もあります。ボディカラーとインテリの組み合わせのパターンは100種類を超えますので詳細はカタログにてご確認ください。ボディカラーについては、標準色はアルファレッドのみで、他のカラーは有料オプションとなっています。
ジュリエッタのおすすめグレードは?
ジュリエッタのラインナップからおすすめグレードを選ぶなら、日本では未導入のディーゼルエンジン搭載車から、ドライバビリティに優れたパワー&トルクのあるエンジンと、イージードライブも可能なオートマチックな組み合わせた、2.0L JTDM-2 175ps & 6速TCT 仕様の「スーパー」もしくは「スペチアーレ」をおすすめいたします。
インテリアカラーにもこだわってオシャレに乗りたいなら、シートカラーの選択肢がもっとも多いスーパーをおすすめします。定番となるアルファレッドのボディカラーにタンのレザーシートの組み合わせなら、イタリア車らしいオシャレな雰囲気を味わえます。
18インチホイールやブレンボの赤いキャリパー、スポーツサスペンション、ダーク化されたエクステリアパーツでドレスアップしてスポーティな外観で乗りこなしたいなら、スペチアーレがベストです。つや消しボディカラーの「マットマグネシオグレー」なら、フロントのエアダムとリアのディフューザーに入るアルファレッドのアクセントラインと相まって、スパルタンな雰囲気です。
ジュリエッタを並行輸入した場合の乗り出し価格は?
アルファロメオ ジュリエッタのイギリスでの販売価格は、SPECIALE 2.0 175ps JTDM-2 S&S 6TCTで£22,249です。イギリスより並行輸入した場合の日本国内乗り出し価格は、下記の表を参考にしてください。コアカーズを運営する並行輸入者販売店YMワークスでの最新の為替レートに基づいた諸経費込みの販売価格を表示しています。
アルファロメオ ジュリエッタのディーゼル仕様は正規輸入されておらず、今後の導入可能性も低いモデルです。日本で乗る場合、並行輸入が最も現実的な方法です。左ハンドルの並行輸入も可能ですので、ご相談ください。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
スペック表
アルファロメオ ジュリエッタのサイズやカラーなどスペックの詳細は以下をご確認ください。+ボタンで詳細が表示されます。
車名 | アルファロメオ ジュリエッタ / Alfaromeo Giulietta |
エンジン、サンプルグレード | SPECIALE 2.0 175ps JTDM-2 S&S 6TCT |
英国販売価格 | £22,249 |
型式 | – |
初度登録 | 国内未登録新車 |
車検 | 受け渡し |
走行距離 | – |
ハンドル | 右 |
ドア数 | 5 |
カラー | アルファレッド(標準色) アルファホワイト(OP) アルファブラック(OP) ストロンボリグレーM(OP) リパリグレーM(OP) コバルトブルーM(OP) エトナブラックM(OP) シルバーストーングレーM(OP) ルナパールM(OP) コンペティツィオーネレッド(OP・特別色) マットマグネシオグレー マット(OP) ※OP:有料オプション ※M:メタリック塗装 |
全長x全幅x全高 | 4,351 x 1,798 x 1,465 mm |
ホイールベース | 2,634mm |
トレッド(前/後) | 1,554mm / 1,554mm |
車両重量 | 1,335kg |
乗車定員 | 5名 |
トランスミッション | 6速オートマチックトランスミッション |
エンジンタイプ | 2.0L JTDM-2 175ps I-4 |
総排気量/内径x行程 | 1,956cc / 83mm x 90.4mm |
圧縮比 | 16.5 |
最高出力 | 128kW(175ps) / 3750rpm |
最大トルク | 350Nm / 1750rpm |
燃料タンク容量 | 60L |
燃費 | 約22.9km/L(欧州複合基準) |
ブレーキ形式(前/後) | ベンチレーテッドディスク/ディスク |
タイヤ/ホイール | 225/40R18 /18インチアロイホイール |
最高速度 | 218km/h |
0-100km/h加速 | 7.6sec |
特記事項 | ※一部推定値、非公式情報を含んでいる場合があります。 |
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※本記事は2016年12月23日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。