フィアット 500(チンクエチェント)を解説、日本未導入モデルや並行輸入の情報も掲載

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フィアット 500

今回はフィアットのベーシックモデル、500(チンクエチェント)を紹介します。「カワイイは正義」、そんな言葉がよく似合うモデルです。

もちろん、ただカワイイだけではありません。あらためてこのクルマの魅力を、日本には導入されていないモデルの紹介を中心に解説していきます。

モデルの概要

フィアットにとって特別なモデルである500の歴史は戦前まで遡ります。正面から見るとネズミのように見える初代500は、トポリーノ(ハツカネズミ)という愛称で親しまれ、低廉な価格でヒットしました。戦中・戦後を経て1950年代半ばまで生産され、小型車を得意とするフィアットの礎を築きました。

フィアット 500(初代モデル)

フィアット 500(初代)

フィアット NUOVA500(2代目モデル)

フィアット NUOVA500(2代目)

第2次世界大戦敗戦からの復興を成し遂げていた1950年代半ばにデビューしたのが、2代目モデル NUOVA500です。小さなエンジンをリアに積み、リアタイヤを駆動するRRレイアウトを採用し、極端に小さなボディのなかに最大限の空間を確保しています。このNUOVA500は大ヒットとなり、イタリアのモータリゼーションを一気に推し進めました。日本ではアニメ「ルパン三世のクルマ」と言われると真っ先にピンとくるクルマではないでしょうか。

そして3代目モデルとなるのが、1990年代デビューのCinquecento。これは500をイタリア語読みした名前のモデルですが、パンダよりも更に小さいベーシックカーとして、20世紀末のイタリアで愛されました。これら各世代の500は、時代だけでなく駆動方式(FF/FR/RR)やエンジンのタイプ(空冷/水冷、2気筒/4気筒)も異なり、直接的な繋がりは薄いモデルです。

フィアット Cinquecento

フィアット Cinquecento(3代目)

スタディモデルのトレビウーノ

スタディモデルのトレビウーノ

そして2007年、NUOVA500の誕生50周年を記念してフィアットが送り出したのが、現在にも続く新生500です。NUOVA500を連想させるデザインは、2004年のジュネーブショーに出品されたスタディモデル、トレビウーノをモチーフとしています。

2000年頃は、フォルクスワーゲン ニュービートルや、BMWミニなど、かつての名車をトリビュートしたヘリテイジラインと言われるクルマが立て続けにデビューしましたが、フィアット 500は懐古趣味のファンカーではなく、パンダよりもさらに小さい欧州Aセグメントモデルとして本気で戦うために、フィアットが社運を賭けた一台でした。結果、新生500は大ヒットとなり、窮地に陥っていたフィアットにとっての救世主となりました。

デビューから8年経った2015年には、はじめての大規模なマイナーチェンジが行われ、走りに関わる部分や、快適性の向上、燃費性能の向上など、実に1,900点にもおよぶ改良が行われました。

フィアット 500 CM動画(約30秒)

ハイライト

エクステリア

良いモノは変わらない。誰からも愛されるデザイン

誰が見てもフィアットと分かる、かつてのNUOVA500を彷彿とさせるエクステリアです。いくつかある欧州ヘリテージカーのなかでも、とくに上手にベースモデルの特徴を再現しています。

2015年のマイナーチェンジでは、LEDデイライトが全車標準装備となったほか、フロントグリル下にクロームのラインが入ったり、リアランプの一部がボディ同色になりましたが、基本的なデザインに変更はありません。良いものは変える必要がないというメーカーの自信が伺えます。

ボディカラーの設定は多く、メタリックペイントを含めたモノトーンは11色に加え、イエロー/ブラックとレッド/ブラックのバイトーンも2種類設定されています。さらにアロイホイールが9種類用意されているなど、好みの組み合わせを楽しめます。

マイナーチェンジでLEDデイライトが標準装備に

マイナーチェンジでLEDデイライトが標準装備に

リアランプの一部がボディ同色に変更された

リアランプの一部がボディ同色に変更された

インテリア

エクステリア同様豊富なカラーと素材を用意

インテリアもNUOVA500を意識した洒落たものに仕上がっています。カラーと素材が豊富で、ベーシックなファブリックのほか、チェック柄のバイトーン、さらにポルトーナフラウ社製のレザーを使用したシートは、それだけで4種類も設定されています。

また、マイナーチェンジの際にインパネ形状がタッチスクリーンを中心としたものに変更されており、LOUNGEグレードはスマートフォンのミラーリング機能も備えたものが装備されています。同時にメーターはフル液晶パネルに変更されました。

新意匠のインパネとフル液晶メーターを採用

新意匠のインパネとフル液晶メーターを採用

インテリアのカラーと素材を豊富に用意

インテリアのカラーと素材を豊富に用意

パワートレイン

日本仕様にはないハイパワー仕様やディーゼルも設定

パワートレインは、ガソリン/ディーゼルの両方が用意されています。(★は日本仕様に設定されているユニット)

  • 直列4気筒 1.2L Fire8V 69PS(★)/69PS ECO仕様(ガソリン)
  • 直列2気筒 0.9L ターボ TwinAir 85PS(★)/105PS(ガソリン)
  • 直列4気筒 1.3L ターボ MultiJet 95PS(ディーゼル)

ガソリンエンジンは、1.2Lと0.9Lの2種類。1.2Lエンジンは、熟成の域に達しつつあるFireエンジンです。日本に導入されている69PSの通常仕様に加えて、環境性能を向上させたECO仕様も用意。欧州複合値で比べた場合、通常仕様の21.2km/Lに対して23.2km/Lと燃費が向上しています。一方の0.9LのTwinAirにも、日本未導入の105PS版がラインナップされています。

ディーゼルエンジンは1.3L MultiJet で、最高出力95PSとハイパワーであると同時に、29.4km/Lという低燃費を誇ります。

トランスミッションは5速MTを基本に、TwinAirの105PS仕様のは6速MTを設定。1.2Lの標準仕様と、0.9L TwinAirの85PS仕様には、2ペダルのAMT、デュアロジックも用意されます。

フィアット 500 0.9L TwinAirエンジン

フィアット 500 0.9L TwinAirエンジン

サスペンション

マイナーチェンジでハンドリングが向上

サスペンションはフロント=マクファーソンストラット、リア=トーションビームを採用。ホイールベースが短いため若干のピッチングはあるものの、マイナーチェンジの際にハンドリングに手が入り、手応えを感じるキビキビとした走りを実現しています。

道の狭いイタリアの路地裏などを、小さいボディを生かして水を得た魚のように駆け回るのが本分です。

ショートホイールベースを生かした軽快なハンドリングが持ち味

ショートホイールベースを生かした軽快なハンドリングが持ち味

参考スペック

FIAT 500 1.2 Fire8V 69hp Pop Manual


寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=3,571×1,627×1,488mm
     ホイールベース:2,300mm トレッド前/後 1,413 x 1,407mm
エンジン▶︎水冷ガソリン 直列4気筒 SOHC フロント横置
     1,242cc 70.8mm x 78.9mm 11.1:1 51kW/5500rpm 102Nm/3000rpm 
駆動方式▶︎FF  5速MT
懸架装置▶︎前:マクファーソン
    ▶︎後:トーションビーム
ブレーキ▶︎前:ディスク 後 ドラム
タイヤ ▶︎前:175/65 R14 後:175/65 R14
燃料容量▶︎35L 車両重量▶︎-kg 最高速度▶︎158km/h 0-100km/h加速▶︎12.9秒
燃 費 ▶︎21.2km/L(欧州複合基準)-m/L(JC08モード日本仕様参考値) 
価 格 ▶︎12,215ポンド(イギリス仕様車 オプションのエアコン込み)

※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください

ライバルモデル

500のライバルとして、Aセグメントのルノートゥインゴとフォルクスワーゲン up!を挙げます。

トゥインゴは代々ルノーのボトムレンジを担っているモデルです。現在販売されている3代目モデルはスマートの兄弟車となり、今ではめずらしいリアエンジン・リアドライブ(RR)であることに注目が集まりました。丸みを帯びたボディは500に負けず劣らずキュート。RR化に伴い室内空間が広いことや、3ドアではなく5ドアハッチバックであることも魅力です。

新型ルノー トゥインゴを徹底解説。日本未導入のターボ・MTモデルを並行輸入します。

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up!も同じく、フォルクスワーゲンのボトムレンジを担うモデルです。フォルクスワーゲンらしさを小さなボディに押し込んだような、しっかりした作り込みと、高速走行時の安定感が魅力です。デビュー当初は直列3気筒1.0Lの自然吸気ユニットのみでしたが、1.0LターボのTSIや、近々ホットモデルのup! GTIも導入される予定で、走りの楽しさも期待できるモデルになりそうです。

フォルクスワーゲン up!を徹底解説、TSI搭載のマイナーチェンジモデルをMTなどお好みの仕様で並行輸入します。

いちばんベーシックなモデルを見ると、そのメーカーのクルマづくりの方向性や、ポリシーが見えてくると思います。 フォルクスワーゲン up!は、同社のボトムレンジを担う「いちばん小さなフォルクスワーゲン」...

バイヤーズガイド

フィアット500のグレードは、ベーシックなPOP、充実装備のPOP STAR、上級グレードのLOUNGEをはじめ、クロームパーツを多用したMIRROR、スポーツグレードの500Sのほかに、(2017年に)NUOVA500誕生から60周年を記念した特別仕様車のANIVERSARIOがあります。

フィアット500を選ぶなら、ベーシックな1.2L Fire8VのPOPグレードに5MTの組み合わせはいかがでしょうか。ハイパワーなTwinAirやワンタンクの航続距離が長い低燃費MultiJetは、もちろん魅力的です。しかし、デビューからもうすぐ10年を迎える500に1.2L Fireエンジンの組み合わせは円熟の域に達しています。のんびりまったり、フィアットならではの素の良さを味わえるおすすめのチョイスです。ただし、エアコンはオプションなので注意が必要です。

考えれば考えるほど、インテリアもメカニズムもしっかり作りこまれており、小型車として優秀な500ですが、これほどにも愛されみんなを笑顔させるのは、このキュートなデザインだからでしょう。やはり500にとって「カワイイは正義」なのです!

フィアット 500 紹介動画(約3分)

MTモデルやMultiJetディーゼルの日本導入の可能性

日本仕様の場合500SにMTモデルが設定されているため、ノーマルの500にMTが設定される可能性は低そうです。そしてディーゼルエンジンの導入についても、500自体がモデルライフ後半に差し掛かっていることや、フィアットの他モデル(パンダなど)に設定されないところを見ると、期待はできそうにありません。

ただしパンダMTなどの限定車の導入には積極的ですので、MTやTwinAirの105PS仕様が限定車として導入されることは今後あるかもしれません。

並行輸入という選択肢

日本市場では販売されていないモデルもある500ですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。

一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したFIAT 500 1.2 Fire8V  69HP Pop Manualモデルの乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。

現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。

国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。

また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。

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※本記事は2018年1月12日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。

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