フィアット フルバックを解説、日本導入の可能性や並行輸入車の価格情報も掲載。

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兄弟車のフィアット フルバック

近年の欧州ピックアップトラック市場は、トヨタ ハイラックス、日産 NP300ナバラなどの老舗車種以外にも、フォルクスワーゲンがアマロックで、ルノーがアサスカンで、メルセデス・ベンツがXクラスで本格参入するなど、すっかり盛り上がりを見せています。

今回は、新規参入組のフィアットがリリースしたピックアップトラック、フルバックを解説します。また、日本未発売モデルに乗るための並行輸入情報も掲載しています。

モデルの概要

フィアット フルバック(フロント)

フィアット フルバック(フロント)

以前からフィアットは、127やウーノをベースにしたフィオリーノや、南米市場向けにストラーダなどのピックアップトラックをラインナップしてきました。しかし、どれもボディサイズが小さく、近年、欧州市場で人気のあるトヨタ ハイラックスに近いサイズのモデルはありませんでした。そこでデビューしたのがフルバックです。

2015年のドバイモーターショーで発表されたフルバックは、フィアットが自社生産するモデルではなく、三菱 L200(トライトン)のフィアット版になります。2014年にフィアットと三菱自動車の間で、新型ピックアップトラックの開発と生産に関する契約を結んでおり、それによって生まれたモデルです。

フィアット フィオリーノ(1988年)

フィアット フィオリーノ(1988年)

フィアット ストラーダ(現行モデル)

フィアット ストラーダ(現行モデル)

フィアットが三菱をパートナーに選んだ理由は、日本を除くアジア圏ではシェアが高い一方、欧州のシェアが低い三菱自動車と、このサイズのピックアップトラックを持たないフィアット双方の要望が一致したことが考えられます。そして、三菱自動車本体ではありませんが、三菱ふそうのキャンター(トラック)や、ローザ(マイクロバス)に積まれている4P10エンジンを、フィアット(FPT社)と共同開発していることも遠からず関係しているのかも知れません。

三菱 L200(現行モデル)

三菱 L200(現行モデル)

ベースとなったL200は、仕向け地によってはトライトンとも呼ばれており、旧型モデルは日本でも販売されていました。1970年代にデビューしたギャランをベースとしたピックアップトラック、フォルテから数えると5代目のモデルになります。英国市場でも長年人気で、ときには販売台数がハイラックスを上回ることもあります。フルバックの生産はL200と同じくタイ・レムチャバンの三菱モーター・タイランドの工場で行われます。

フルバックの販売は、欧州市場だけでなく、北アフリカや中東諸国でも行われます。そのなかでもUAEではフィアットブランドではなくRAMブランドで販売されています。これはかつてのダッジから独立したRAMが、フィアットクライスラーオートモビルの傘下に収まったためです。

リアにはフィアット プロフェッショナルのエンブレムが付きます

リアにはフィアット プロフェッショナルのエンブレムが付きます

フルバックはコンシューマ向けだけでなく商用ユースも想定しています。そのためフィアットだけでなく、ドブロやフィオリーノなどと同じく小型商用車を扱うフィアット・プロフェッショナルブランドでも販売されています。

 

フィアット フルバック CM動画(約30秒)

 

ハイライト

エクステリア

曲面を多用したスタイリッシュなデザイン

フィアット フルバック(サイド)

フィアット フルバック(サイド)

イギリス仕様は4ドアのダブルキャブのみで、ライバルにあるようなシングルキャブやキングキャブは用意されていません。

デザインは基本的にL200に準じており、曲面を多用したグラマラスなデザインはピックアップトラックのなかでも一際スタイリッシュです。フロントマスクなどにはフルバック専用パーツを採用しており、最近のティーポやマイナーチェンジ後のドブロなどに通じるデザインテイストに仕上がっています。

そして、ピックアップモデルとしてはボディカラーが豊富なのも特徴。商用用途をイメージする色だけでなく、鮮やかなレッドやブルーなど全8色が設定されています。

フィアット フルバック(リア)

フィアット フルバック(リア)

サイドウィンドウ付きキャノピーもスタイリッシュです

サイドウィンドウ付きキャノピーもスタイリッシュです

オプションでは、スタイリッシュなデザインにマッチするサイドウィンドウ付きキャノピーも選べます。ステーションワゴンのような使い方をしたい方なら、ぜひチョイスしたいアイテムです。

 

インテリア

オンロード時の快適性を重視

フルバックのインテリア

フルバックのインテリア

インテリアは無骨なピックアップというイメージは薄く、洗練された乗用車(SUV)に近いものです。基本的にはL200に準じますが、フルバックには専用のステアリングなどが装備されています。

ほかにも、遮音材をたっぷり追加し静粛性を上げたり、シートの構造を改善するなど、オンロード時の快適性も重視しています。

 

座り心地の良いシート(レザーシート:フロント)

座り心地の良いシート(レザーシート:フロント)

座り心地の良いシート(レザーシート:リア)

座り心地の良いシート(レザーシート:リア)

特にシートは座り心地が良いと評判です。上級グレードでは、レザーシートも選択可能で、SUVと比べても遜色のない豪華さに仕上がっています。

 

パワートレイン

オールアルミの新生代クリーンディーゼルを設定

パワートレインは直列4気筒2.4L直噴ターボディーゼルエンジン1種類ですが、チューニングの違いで2種類が設定されています。

  • 直列4気筒 2.4L 直噴ターボディーゼル 150PS
  • 直列4気筒 2.4L 直噴ターボディーゼル 180PS

これはフィアットのMultiJetではなく、三菱製の4N15型、DI-Dと呼ばれる次世代クリーンディーゼルエンジンです。このエンジンは、日本国内で販売されている、デリカD:5向け2.2Lディーゼルエンジン4N14エンジンと同じシリーズです。オールアルミ製として軽量化した上で、可変バルブや可変ジオメトリーターボを採用し、Euro6をクリアする優れた環境性能を実現しています。

トランスミッションは6速MTと、パドルシフト付き5速ATが用意されています。基本は6速MTですが、180PS仕様の上級グレードにのみATモデルが設定されています。

 

サスペンション

オフロードの走破性もしっかり確保

フロント:ダブルウィッシュボーン、リア:リーフスプリングのサスペンションは、基本的にL200に準じます。サスペンションを改良することで、L200の旧型モデルと比べて乗り心地やハンドリング性能を改善しました。正確なハンドリング性能は高い評価を受けています。

4WDのセレクターダイヤル

4WDのセレクターダイヤル

悪路走破性の高さも魅力です

悪路走破性の高さも魅力です

駆動方式は4WDのみの設定。トルセン・センターデフを用いた4WDシステムは三菱の「スーパーセレクト4WD」と同等のものです。手元のダイヤルで2WD/4WD、デフロック/アンロックを簡単に切り替えられ、4WD走行時にはリアルタイムで適切なトルクを配分します。

悪路走破性も高く、アプローチアングル:30度、デパーチャーアングル:22度と本格的なスペックです。一方、最小回転半径の5.9mはライバルより小さく、タウンユースの使いやすさも配慮されています。

ほかにも、キャンピングトレーラーやレジャーボードなどを牽引する際にスタビリティを改善する、TSA(トレーラー スタビリティ アシスト)も装備されています。

フィアット フルバック 悪路走行紹介パノラマ動画(約2分30秒)

 

参考スペック

FIAT FULLBACK LX 2.4 Diesel 180 5AT


寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=5,285×1,815×1,780mm
     ホイールベース:3,000mm トレッド前/後 1,520 x 1,515mm
エンジン▶︎水冷ディーゼル 直列4気筒 DOHC フロント横置 コモンレール式直噴
     2,442cc -mm x -mm -:1 132kW/3500rpm 430Nm/2500rpm 
駆動方式▶︎AWD  5段AT
懸架装置▶︎前:ダブルウイッシュボーン
    ▶︎後:リーフスプリング
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッド・ディスク 後 ドラム
タイヤ ▶︎前:245/65R17 後:245/65R17
燃料容量▶︎60L 車両重量▶︎1,860kg 最高速度▶︎177km/h 0-100km/h加速▶︎-秒
燃 費 ▶︎16.0km/L(欧州複合基準)-m/L(JC08モード日本仕様参考値) 
価 格 ▶︎30,943ポンド(イギリス仕様車)

※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください

 

ライバルモデル

フルバックのライバルとして、トヨタ ハイラックスいすゞ D-MAXを挙げます。

トヨタ ハイラックス

トヨタ ハイラックス

ハイラックスは冒頭の通り、日産NP300ナバラと並んでこのクラスでは老舗のモデルです。とにかく頑丈で、その耐久性の高さは「地球最後の日でも普通に動く」と揶揄されるほど。フルバックと比べると持ち前のヘビーデューティーさや、牽引性能の高さが魅力ですが、小回り性能やオンロードの快適性はフルバックに軍配が上がるようです。

 

 

いすゞ D-MAX

いすゞ D-MAX

D-MAXは、今では貴重なコンシューマ向けのいすゞ車です。2017年にマイナーチェンジしたモデルは、ディーゼルエンジンを得意とするいすゞらしく1.9Lまでダウンサイジングしつつも、ハイパワーと低燃費を実現しているのが特色です。コンシューマ向けモデル販売から撤退してしまったいすゞ自動車のなかで、今でも日本導入を待ちわびているファンも多い一台です。フルバックと比べると、悪路走破性と環境性能はフルバックの方がより優れているようです。

 

バイヤーズガイド

フルバックにはベーシックグレードのSXと上級モデルのLXの2つのグレードがありますが、ここではLXグレードの5速ATモデルをおすすめします。

LXグレードには、17インチアルミホイールのほか、レザーシートやバックカメラが標準装備でSUVのような使い方も可能です。そしてオプションとして、前述のサイドガラス付きキャノピーを合わせておすすめします。

トランスミッションは、オン/オフロードを問わずイージードライブを可能とするパドルシフト付き5速ATをチョイスしましたが、MTを操れる方なら燃費もフィーリングも良い6速MTもおすすめです。

フィアットや欧州車ファンはもちろんのこと、かつて三菱トライトンやストラーダに乗られていた方にも、フルバックは満足して貰える一台になるでしょう。

フィアット フルバック CM動画(約20秒)

 

2017年現在のフルバック日本導入の可能性

近年大ヒットした新生500をはじめ、日本でも存在感を示しているフィアットですが、キュートな500ファミリーや、ベーシックなパンダ以外の日本導入には積極的ではないようです。例外として、キャンピングカーの特装ベースとしてデュカトを正規導入することで話題にはなりましたが、それ以外のフィアット・プロフェッショナル扱いモデルの導入実績がないのに加え、そもそもベースのL200(トライトン)が三菱から販売されていないため、今後も導入される可能性は低いでしょう。

 

並行輸入という選択肢

日本市場には正規輸入されていないフルバックですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。

一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したフルバック LXグレードの5ATモデルの乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。

現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。

国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。

また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。

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※本記事は2017年7月11日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。

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