ランドローバー ディスカバリーは世界的に定評のあるオフロードSUVです。初代モデルから日本へも輸入されており、多くの支持を得てきましたが、本国イギリスには日本に導入されていない仕様がいくつもあります。
この記事ではそれらの仕様について解説するとともに、日本に並行輸入する方法もご紹介します。
この記事の目次
モデル概要
1989年にデビューした初代から数えて5代目となる現行ランドローバー ディスカバリーは、縦置きエンジンのプラットフォームを採用するオフロード志向の強いSUVです。4代目までのラダーフレームからアルミモノコックへと基本骨格も一新され、大幅な軽量化と、オンロードでの優れた操縦安定性を獲得しています。
レンジローバー譲りの高い走破性はそのままに、量産効率を高めて拡販することを目的として生まれましたが、代を重ねるにつれてラグジュアリー感も増し、現行型はレンジローバーと遜色ない高級感を持つと評されるほどになっています。
日本仕様のディスカバリーはHSEとHSEラグジュラリーの2グレードで、エンジンはガソリン、ディーゼルともに3.0LのV6を搭載していますが、本国イギリスではこれに加えて「S」「SE」という2つのグレードと、2.0L直4のガソリンとディーゼルも用意されています。さらに2シーターの「コマーシャル」というモデルも用意されているのがユニークな点です。
ハイライト
エクステリア
先代までの武骨なイメージを一新したスタイリッシュな外観
ディスカバリー5(北米ではLR5)あるいはディスコ5と呼ばれる現行ランドローバー ディスカバリーは、イヴォークから始まったランドローバーの新しいデザインコンセプトが反映され、4代目までのスクエアな印象から一転、現代的なスタイルに生まれ変わりました。
先代までと打って変わって大きくスラントしたフロントマスクや、一体感のあるリアのラゲッジ周りなど、険しいオフロードより街中が似合うスタイリッシュな雰囲気です。
グレード(イギリス仕様)による主なエクステリアの違いですが、ホイールはSとSEが19インチの5スプリットスポーク、HSEが20インチの5スプリットスポーク、HSEラグジュアリーは21インチの9スポークデザインとなります。
ヘッドライトはSがハロゲン、SE以上がLEDで、このほかにスカッフプレート・フロントグリル・フェンダーベントのカラーの違い、SとSEにはフロントフォグがないなどの違いがあります。HSE系グレードの外観は日本仕様とほぼ同じですが、HSEラグジュアリーのホイールサイズが日本仕様は標準で20インチです。
インテリア
本格的な悪路走破性からは想像できない上質な内装
5代目ランドローバー ディスカバリーのインテリアは、オフロード志向の本格SUVとは思えない高級感あふれる作りになっており、初代や2代目ディスカバリーを知る人が見れば、きっと驚くことでしょう。
イギリス仕様のディスカバリーは、サードシートを擁する7人乗りが標準です。2列目& 3列目シートが電動になるのはHSEグレード以上。前席から2列目、3列目にかけて着座位置が高くなる「スタジアムシート」が特徴です。アルミモノコックにより低床化を実現、サードシートの快適が増しています。シート素材はSがファブリック、SEがグレインレザー、HSE以上はウインザーレザーになり、ドア内張上部の素材もシート素材に準じます。また、グレードによって選べる内装色も異なります。
センターコンソールにある10インチ・タッチディスプレイは全車標準装備。メーター部はSとSEがアナログダイヤル+TFTディスプレイ、HSE以上はドライバーが任意で表示情報を変えられる12.3インチのインタラクティブ・ドライバーディスプレイ(S・SEにもオプションで装着可能)となっています。エアコンはSが標準的なもので、SEとHSEが2ゾーン、HSEラグジュアリーは4ゾーンのクライメートコントロールとなります。このほかにも、快適かつ高級感のある装備が満載です。
パワートレイン
日本に導入されていない2.0Lのガソリンとディーゼル
イギリス仕様のランドローバー ディスカバリーには、日本で販売されている3.0L・V6スパーチャジャーのガソリン、同じく3.0L・V6ターボのディーゼルのほかに2種類のエンジンが用意されています。
Si4と呼ばれる2.0Lガソリンエンジンは、セラミックボールベアリングとハイフロー・コンプレッサーホイールを採用したターボチャージャーと可変バルブタイミング機構により、300ps/400Nmという出力で、最大トルクは1,500-4,000rpmと常用回転域で発揮します。0-96km/h加速は7.3秒、最高速は約201km/hです。
Sd4と呼ばれる2.0Lディーゼルエンジンは、シーケンシャルツインターボチャージャーと独自のピストン形状で、240ps/500Nmのパワーを誇り、こちらも1,500回転で最大トルクを発揮します。こちらの0-96km/h加速は8.0秒、最高速は約195km/hです。これら2つの2.0Lエンジンは、イギリス仕様のすべてのグレードで選択可能となっています。
トランスミッションは変速を感じさせない滑らかさが特徴のツインスピード・トランスファーボックス(Si4はシングルスピード)を備えたZF社製8速オートマチック。駆動方式は電子制御センターディファレンシャル(Si4のみマニュアル)を採用した4WDです。
サスペンション
悪路走破性を維持しつつオンロード性能を大幅に向上
ディスコ5のサスペンションは、アルミニウムコンポーネントで軽量化された独立懸架式で、フロントはホイールを動かすスペースを広く確保したダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクを採用しています。これに電子制御式エアサスペンションを組み合わせることで、優れた悪路走破性はそのままに、オンロードでの快適な乗り心地も実現しています。
テレインレスポンスは、このエアサスと電子制御センターデフ、トランスファーボックスを統合制御し、路面状況や地形に合わせてセッティングを最適化するランドローバーならではのテクノロジーです。5つのモード(Si4は4モード)から走行に適した条件を選択できるだけでなく、進化したATPC(ALL TERRAIN PROGRESS CONTROL)により、時速2km/h~30km/hの低速でオートクルーズで走行することもできます。ドライバーは障害物の回避や走行ルートの選択に集中でき、より過酷な環境での走破性や安全性を向上させています。
また、ディスコ5の渡河性能はクラストップレベルの900mmですが、ドアミラーのセンサーによって水深限界と水深のリアルタイム画像情報をスクリーンに表示できるウェイドセンシングもあります。ATPCはSi4以外で選べるオプションで、ウェイドセンシングはHSE以上でオプション装着が可能です。
このほか、ランドローバーが特許を持つヒルディセント・コントロールは全車標準装備。急勾配の下り坂でドライバーの操作をアシストするため、一定の速度を維持しながら4輪個別にブレーキをかけて安定した姿勢を保ちます。
参考スペック
ランドローバー ディスカバリー S 2.0L Sd4 8速AT(240ps)
寸 法 ▶︎全長x全幅x全高 = 4,970 x 2,000 x 1,888 mm
ホイールベース:2,923mm トレッド:前/後 1,692 mm/ 1,687 mm
エンジン▶︎2.0L 直列4気筒ディーゼルターボ
1,999cc 240ps/4,000rpm 500Nm/1,500rpm
駆動方式▶︎4WD(四輪駆動) 8速ATオートマチックトランスミッション
懸架装置▶︎前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤ ▶︎前:255/60 R19 後:255/60 R19
燃料容量▶︎77L 車両重量:2,115kg 最高速度:195km/h 0-96km/h加速:8.0 秒
燃 費 ▶︎15.38km/L(欧州複合基準) -m/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎45,895ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください
ライバルモデル
ランドローバー ディスカバリーを本格オフローダー志向のSUVとした場合、考えられるライバルにはジープ グランドチェロキーやトヨタ ランドクルーザーがあります。また、ボディサイズが近いモデルとしてフォード エクスプローラーも挙げられます。
ジープ グランドチェロキーはクライスラーがジープブランドで販売するSUVで、日本仕様はV6・3.6LとV8・6.4L HEMIのガソリンエンジンとなっていますが、イギリス仕様はV6・3.0Lディーゼルと日本と同じV8・6.4L HEMIガソリンというラインナップになっています。高級感に満ちたインテリアとジープ独自の4WDシステム、クォドラトラックIIによる高い悪路走破性と快適なオンロード性能が高評価です。
トヨタ ランドクルーザーは世界で最も知名度の高いSUVのひとつであり、その堅牢な作りと高い耐久性で長年に渡って愛されてきた車で、そのルーツは第二次世界大戦中に製造された四式小型貨物車(AK10型)まで遡ります。200系と呼ばれる現行型は、悪路走破性はそのままに豪華な内外装が与えられ、先進技術によりオンロードの快適性も上がって国内外で人気を博しています。
本国アメリカで14年連続SUV売上ナンバーワンを誇るフォード エクスプローラーは、2.3L EcoBoostと3.5L Duratecの2つのガソリンエンジンで、4WDのほかFF(前輪駆動)も選べるのが特徴です。3.5L EcoBoostツインターボV6は4WDのみとなり、現在のラインナップではすべてガソリンエンジンとなっています。2018年にもフェイスリフトが予定されていますが、残念ながらフォードが撤退したため日本国内で正規販売される予定はありません。
この他にも、アウディQ7やメルセデスベンツ GLE、BMW X5といったプレミアム勢もあります。これら錚々たる顔ぶれの中で、ディスコ5は何といっても四輪駆動車専門であるランドローバーの技術に裏打ちされた悪路走破性がアドバンテージだと言えるでしょう。電子制御技術が発達した現代では、各社がエンジン・サスペンション・トランスミッション・ステアリングなどを統合制御したシステムをリリースしていますが、電子制御のない65年も前からこの分野に注力してきたランドローバーのテレインレスポンスは称賛の域に達し、あらゆる路面コンディションで信頼性が抜群に高いものとなっています。また、オンロードの快適性が飛躍的に向上したのもポイントで、大人7名がフル乗車しても快適に過ごせる点もディスコ5の特徴です。
バイヤーズガイド
日本で正規販売されていない仕様のランドローバー ディスカバリーについて購入を検討するならば、最初におすすめしたいのはSグレードの2.0L Sd4(ディーゼルツインターボ)です。最廉価グレードながら、5モードのテレインレスポンスやツインスピード・トランスファーボックスを備えており最高の悪路走破性を持っています。圧倒的な加速や最高速の伸びは3.0L・V6のガソリンやディーゼルに譲りますが、1,500回転で発生する500Nmの最大トルクは日常の使い方で不満を感じることはまずありません。2.0Lディーゼルのため自動車税や燃料費などのランニングコストを抑えられることもおすすめしたいポイントです。
また、ディスコ5のラグジュアリー感を存分に満喫したい方には、HSEの2.0L Si4、またはSd4をおすすめします。これらインジニウムと呼ばれるエンジンは、ランドローバーのフルサイズSUVには初めて搭載される2.0L直4エンジンとなり、ノーズが軽いためV6と異なる軽快なハンドリングが味わえます。
このほか、もっと個性的なディスカバリーをお求めの方には2列目・3列目シートをすべて取り払った「コマーシャル」もおすすめです。
2017年現在のランドローバー ディスカバリー 2.0L直4エンジン 日本導入の可能性
5代目ランドローバー ディスカバリーは、先代よりさらにラグジュアリー性の高いSUVとして捉えられています。日本では上級グレードのHSEとHSE ラグジュアリーのみが販売されていることがその一端です。今後、日本でも廉価グレードの販売を熱望する声が高まれば、SやSEといったグレードとともに2.0L直4のSd4・Si4が導入される可能性はありますが、現在のところ残念ながらその予定はないようです。
並行輸入という選択肢
日本市場に正規輸入されていないモデルも、並行輸入を行えば日本で所有できます。一例としてコアカーズを運営する並行輸入車販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したランドローバー ディスカバリー S 2.0L Sd4 (240ps – 8速AT)の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
・ランドローバー 英国 ディスカバリー オフィシャルサイト(LANDROVER UK DISCOVERY)
・ランドローバー 英国 ディスカバリー コンフィギュレーター(LANDROVER UK DISCOVERY)
※本記事は2017年12月26日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。