近年、すっかり熱気を帯びている欧州小型ピックアップトラック市場。そのなかで、英国でのベストセラーモデルは何かご存知ですか?
答えは「三菱 L200」。今回は、かつてトライトンとして日本でも販売されていた L200を解説、並行輸入の情報についても掲載します。
この記事の目次
モデルの概要
三菱L200という名前は御存知なくても、トライトンという名前なら御存知の方は多いかも知れません。仕向地によって現在も名前を使い分けています。
L200の初代モデルは1978年にデビュー、日本ではフォルテと呼ばれたモデルです。ピックアップトラックと言えば無骨なイメージがあった時代に、ギャラン・シグマやラムダを彷彿させるスタイリッシュなデザインを採用したモデルです。パワートレインなどをギャランと共有した、乗用車に近い乗り味で人気を博しました。
2代目モデルのデビューは1986年、日本ではストラーダと呼ばれたモデルです。発売当初は日本へは導入されませんでしたが、1991年からは日本でも4WDのダブルキャブが販売されました。
3代目モデルのデビューは1996年、日本市場へは1997年に導入されています。当時の三菱はディアマンテワゴン(オーストラリア)をはじめ、カリスマ(オランダ)、エクリプス(アメリカ)など海外拠点で生産する車種を積極的に導入しており、3代目 L200もタイで生産されていました。
4代目モデルのデビューは2005年、このモデルから仕向け地によってトライトンと呼ばれるようになりました。2006年にはタイで生産されるガソリンエンジン×ダブルキャブ仕様が日本へも導入されました。当時はハイラックスやダットサントラックの国内販売は終了しており、日本で唯一のピックアップモデルでした。
現行モデルとなる5代目モデルは、2015年のデビュー。先代モデルと同じく、タイ・レムチャバンの三菱モータータイランドの工場で生産される輸入車です。イギリスでは引き続きL200の名前で販売されていますが、5代目を示す「L200 Series5」の愛称でプロモーションされています。
現行モデルにはフィアット版の兄弟車があります。フィアット フルバックと呼ばれるこのモデルは、フィアットとの提携により生まれたモデルです。
2017年のイギリスの商用車ショーでは、ヘビーデューティにカスタマイズされたショーモデルの「L200 PROJECT SWARM」と、限定車の「BARBARIAN SVP」が出展されました。オフロードカスタマイズがされたPROJECT SWARMは英国の自動車誌「TOP GAERマガジン」とコラボレーションしたモデルです。
日本市場には、4代目モデルが販売終了となった2011年以降、現行モデルも含め販売されていません。
三菱 L200 コマーシャル動画(約40秒)
ハイライト
エクステリア
曲線を巧みに組み合わせたスタイリング
最近でこそ丸みを帯びたスタイリッシュなピックアップが増えてきましたが、曲線を巧みに組み合わせた大胆でスタイリッシュな仕上がりは、以前から三菱が得意としてきたところであり、L200ならではと言えるでしょう。
フロントセクション以外は、基本的に兄弟車のフルバックも共通です。ただし、ダブルキャブのみを設定するフルバックに対して、L200は1列シートのシングルキャブ、2ドア2列シートのクラブキャブ、4ドア2列シートのダブルキャブの3種類が設定されています。
インテリア
SUVのような洗練されたインテリア
インテリアの各パネルや内装素材の質感は高く、商用車っぽさはありません。インパネデザインもエクステリア同様、曲面を巧みに組み合わせたスタイリッシュな造形です。
大振りなシートは、ファブリックとレザーの表皮を選択可能。遮音材の追加など細かい対策も行い、オンロードでの快適性も向上しています。L200がヘビーデューティ一辺倒なモデルというよりも、洗練を目指していることがわかります。
パワートレイン
新世代クリーンディーゼル DI-D MIVECエンジンを搭載
パワートレインはディーゼルエンジンのみで、チューニング違いの2種類が設定されています。
- 直列4気筒 2.4L DI-D MIVECディーゼル 154PS
- 直列4気筒 2.4L DI-D MIVECディーゼル 181PS
「DI-D MIVEC」と呼ばれる、三菱の4N15型2.4Lエンジンは、日本ではデリカD:5に搭載されている4N14型2.2Lエンジンの兄弟にあたるものです。オールアルミ製で軽量化しただけでなく、VG(可変容量)ターボも新たに採用した最新のクリーンディーゼルユニットです。
トランスミッションは6MTが標準ですが、一部上級グレードにはパドルシフト付き5ATも設定されています。
サスペンション
一部グレードにヘビーデューティサスペンションを設定
サスペンションは、フロント:ダブルウィッシュボーン、リア:リーフリジットの構成。アプローチアングル:30度、デパーチャーアングル:22度を確保しており、本格的なオフロード走行が可能です。また、4lifeグレードには、悪路走破性と耐久性を高めたヘビーデューティ仕様のサスペンションが設定されています。
AWDシステムはパジェロの流れをくむスーパーセレクト4WD-IIシステムを採用しており、手元のダイヤルで2WD/4WD、デフロック/アンロックを簡単に切り替えられます。
英国三菱では、人気自動車バラエティ番組「Wheeler Dealers」(日本でも「名車再生!クラシックカーディーラーズ」の名前で放送)のパーソナリティ「マイク」ことマイク・ブルーワー氏が、L200のオフロード性能を解説する動画を公開していますので、ここで紹介します。
三菱 L200 マイク氏によるオフロード性能紹介動画(約4分50秒)
参考スペック
MITSUBISHI L200 BARBARIAN SVP Diesel 6MT
寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=5,285×1,815×1,780mm
ホイールベース:3,000mm トレッド前/後 1,520 x 1,515mm
エンジン▶︎水冷ディーゼル 直列4気筒 DOHC フロント横置 コモンレール式直噴
2,442cc -mm x -mm -:1 133kW/3500rpm 430Nm/2500rpm
駆動方式▶︎AWD 6段MT
懸架装置▶︎前:ダブルウイッシュボーン
▶︎後:リーフスプリング
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッド・ディスク 後 ドラム
タイヤ ▶︎前:245/65R17 後:245/65R17
燃料容量▶︎75L 車両重量▶︎1,860kg 最高速度▶︎179km/h 0-100km/h加速▶︎10.4秒
燃 費 ▶︎14.0km/L(欧州複合基準)-m/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎29,330ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください
ライバルモデル
L200のライバルは、欧州市場に多数存在します。真っ先にライバルとして思い浮かぶのは、同じジャパニーズピックアップであるトヨタ ハイラックス、日産NP300ナバラ、いすゞD-MAXではないでしょうか。
ハイラックスはヘビーデューティの代名詞のようなモデルです。古くなっても過酷な環境で淡々と仕事をこなせる耐久性と信頼性は、海外での「ジャパン」「トヨタ」のイメージそのものです。日本にも間もなく導入されると噂されており、待ちわびているユーザーもいるのではないでしょうか。(2017年9月7日時点)
NP300ナバラは、かつてはダットサントラックと呼ばれた、戦前の日本車黎明期から続く老舗モデルです。現行モデルでは、乗用車としての使用が多いと想定されるダブルキャブのリアサスペンションに、コイルスプリングを採用しているのが特徴で、オンロードでの快適性にアドバンテージがあります。最近話題になったメルセデスベンツXクラスのベースとなるのはこのモデルです。
いすゞ D-MAXは、日本ではコンシューマ向けモデルからは撤退したいすゞが、タイで生産し欧州でも販売するピックアップトラックです。2017年のマイナーチェンジでは、環境性能に優れた1.9Lの新型ディーゼルエンジンが採用されました。ディーゼルエンジンのパイオニアであるいすゞならではの一台です。
ほかにもコアカーズでは、フォード レンジャーやフォルクスワーゲン アマロック、そしてL200の兄弟車であるフィアット フルバックなど、欧州市場で各社ひしめくライバルを紹介しています。ぜひ御覧ください。
バイヤーズガイド
L200のラインナップは、ヘビーデューティな4life、ベーシックなTitan、充実装備のWARRIOR、プレミアムモデルのBARBARIANの4種類が通常モデルとして設定されています。なお、ダブルキャブ以外は4lifeグレードのみとなっています。
これに比べ、限定車 BARBARIAN SVPも用意されています。これは2017年のイギリス商用車ショーで発表されたモデル。SVPは「Special Vheicle Project」の略で、三菱がスペシャルモデルをリリースするために立ち上げたプロジェクトです。L200はSVP初のモデルに選ばれました。
BARBARIAN SVPは、ブラックアウトされたアルミホイールやフロントグリル、さらに専用のオーバーフェンダーが装着され迫力が増しています。ノーマルのBARBARIANがプレミアムな印象を受けるいっぽう、BARBARIAN SVPはヘビーデューティな凄みを感じます。
L200を選ぶなら、このBARBARIAN SVPのMTモデルはいかがでしょうか。SVPは現時点の欧州では、イギリスでしか手に入らないスペシャルなモデル。台数限定モデルですが、現時点(2017年9月時点)では購入可能のようです。
2017年現在のL200の日本導入の可能性
2011年にトライトンがモデル途中で販売終了以降、L200も含めて現行モデルが日本市場に導入されていません。しかし、トライトンの輸入実績があるため、日本再導入の可能性はないとは言い切れません。トヨタが13年ぶりにハイラックスを再導入する噂がありますが、これがヒットとなれば L200(トライトン)再導入の後押しになる可能性があります。
並行輸入という選択肢
日本市場では販売されていないL200ですが、並行輸入を行えば日本で所有することができます。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映したL200 BARBARIAN SVPの6MTモデルの乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
カタログダウンロードページ
- 三菱 英国 L200 カタログ(要個人情報登録) (MITSUBISHI UK L200 Series5)
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- 三菱 英国 L200のオフィシャルサイト (MITSUBISHI UK L200 Series5)
※本記事は2017年9月7日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。