2017.09.25

新型シビック タイプR FK8を解説、日本仕様、生産国イギリス仕様の違いや並行輸入の情報も掲載。

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ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビックは、かつてホンダを代表するコンパクトカーとして世界中で親しまれてきたモデルです。中でもハイパフォーマンスモデルのタイプRは、1997年のラインアップ追加以来、クルマ好きの心を掴んできました。しかしその後ホンダはシビックの販売方針を日本、欧州、北米に向けて同一車名ながら別のモデルを作り分けるという戦略に変更、これに伴い日本国内で生産されるシビックは通算8代目となるFDで幕を閉じ、タイプRも同時に国内での通常販売を終了しました。

しかしイギリスで生産された同世代シビックをベースにしたFN2型タイプR、そしてその後継であるFK2型のタイプRは、日本でもホンダ自身により限定販売され、その割当台数の少なさから生産国のイギリス仕様を並行輸入(逆輸入)するという選択肢も注目を集めました。そんなシビック タイプRは、2015年に再度全世界共通モデルに再編された通算10代目のシビックにもFK8というコードネームでラインアップされています。

今回はシビック タイプR FK8を解説、5年間で4,100台が割り当てられているといわれる日本仕様はもちろん、生産国であるイギリス仕様についても解説します。またイギリス仕様の並行輸入情報もお届けします。

UK 仕様 新型シビック タイプR FK8 限定販売、イギリスからの並行輸入という選択
※UK 仕様 新型シビック タイプR FK8 限定販売、イギリスからの並行輸入という選択

歴代 シビック タイプR

歴代 シビック タイプR

ホンダ シビック 2016パリ ベールオフ

ホンダ シビック 2016パリ ベールオフ

シビック タイプR FK8 モデル概要

ホンダ シビック タイプR(FK8)は2016年10月のパリモーターショーでコンセプトモデルが発表され、翌2017年3月のジュネーブショーで正式に生産モデルが発表されました。

FK8型タイプRの生産は全数がイギリスのスウィンドン工場で行われます。同工場でのホンダ車の生産は元は1990年代のホンダとローバーとの提携に端を発するもので、両社の提携解消後も欧州仕様のホンダ車を多数送り出しています。特にシビック タイプRについては、歴代モデルのうちEP3、FN2、FK2の3モデルがスウィンドン工場製で、FK8もその流れを引き継ぐものです。

ホンダ シビック タイプR FK2

ホンダ シビック タイプR FK2

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

限定販売だったFN2、FK2と異なり、FK8は日本でもカタログモデルとしてラインアップされます。しかし輸入車であることからか日本への割当台数は5年間で4,100台に留まります。生産国であるイギリス仕様と比較すると、日本仕様では一部ボディカラーが未設定なほか、残念ながら一部の安全装備も装備されていないことが惜しまれます。

 

ハイライト

エクステリア

低く、長く、ワイドに

タイプRのベースは近年の流れを引き継ぎ5ドアハッチバックが採用されています。このハッチバックモデルのボディサイズは歴代シビックの中で、全長・全幅共に最大となり、一方で車高は抑えられました。タイプRでは更にノーマルモデルよりも幅が広げられ、全幅は1,877mmに達します。

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

新型シビック タイプRを強く特徴づけるのは、ボディ後方に新たに設けられた巨大なウィングです。このウィングにより、通常のハッチバック仕様に標準装備されているハッチバック上端のリアスポイラーは廃止されていますが、付け根がフィンとして残されているほか新たに小さなフィンが複数追加され、より強く空力性能を意識していることが伺えます。

 

インテリア

見切りの良いダッシュボード

グローバルモデルとして開発された新型シビックは、ボディ形状を問わずインテリアは共通化されています。これまでの徹底したドライバーオリエンテッドなレイアウトは影を薄め、高級感や上質さが強まりましたが、タイプRではセミバケットタイプのスポーツシートをはじめ、赤色のアクセントが随所に効果的に使われており、その雰囲気はクラス上のGTカーを想起させます。ダッシュボードの高さは先代よりも低めに抑えられており、ボンネットを視認することが可能な見切りの良さも注目ポイントです。

ホンダ シビック タイプR FK8(欧州仕様)

ホンダ シビック タイプR FK8(欧州仕様)

ホンダ シビック タイプR FK8 セミバケットシート

ホンダ シビック タイプR FK8 セミバケットシート

ボディサイズの拡大は居住性や積載性の改善に貢献しています。特に後席の居住性では、レッグスペースが大きく拡大されました。またラゲッジスペースも非常に広くなっており、ホンダはこのクラスでナンバー1であると解説していますが、これらの実用性の高さはタイプRでも当然共通です。

 

パワートレイン

トータルでのパフォーマンスはFK2と互角以上

ホンダ シビック タイプR FK8 エンジンルーム

ホンダ シビック タイプR FK8 エンジンルーム

パワートレインは先代FK2に搭載されていたK20C型VTECターボがキャリーオーバーされます。その出力は当初350psという前輪駆動車としては前代未聞の領域に達するのではないかという噂も流れましたが、実際の市販モデルでは先代比+10psの320psに、またトルクについては先代と同一の400Nmに留まりました。

トランスミッションは先代同様に6MTのみを設定。2ペダルを用意するライバルも多い中で、ホンダのストイックな姿勢が垣間見えます。0→100km/hの加速力は5.8秒。車体の大型化が原因かFK2に対して僅か0.1秒ほど後塵を拝してしまいますが、ニュルブルクリンクでのタイムアタックではFK8を上回る7分43秒をマークしています。実際のパフォーマンスは互角以上と言えるでしょう。

 

足回り

ファン待望のリア独立懸架が復活

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

プラットフォームの刷新・大型化に伴い、10代目シビックではタイプRを含むすべてのモデルでフロントにマクファーソンストラット、リアに新設計のマルチリンクサスペンションが採用されています。

イギリスで生産される欧州仕様のシビックは2代続けてリアサスペンションがトーションビーム式でした。これは欧州のCセグメントとしては標準的な構成で、ルノー メガーヌ RSやボクスホール アストラ VXR/オペル アストラ OPCなどのホットハッチでもパフォーマンスのネックにならないことが立証されており、実際にリアトーションビームの先代シビック タイプRは、ニュルブルクリンクでFFホットハッチ、そして歴代タイプRの中で最速のパフォーマンスを発揮しています。

とはいえ日本仕様のシビックは、4代目から終売となる8代目まで4輪独立懸架が採用されており、ホンダは4輪独立懸架を小型車でも積極的に採用し、また豊富なノウハウを持つメーカーとして認知されてきたという側面もあります。サスペンションの形式だけで自動車の優劣は判断できませんが、ホンダにとって経験値の高いリア独立懸架サスペンションがシビックで復活することについて、歓迎する方も多いかもしれません。

フロントサスペンションはトルクステアを抑えるために、路面入力軸と転舵軸を分けたデュアルアクシス・ストラットを引き続き採用しています。減衰力可変ダンパーの採用も先代のFk2同様です。

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

 

参考スペック

ホンダ シビック タイプR GT
(イギリス仕様2017年モデル)


寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4,557 × 1,844 × 1,434 mm
     ホイールベース:2,699mm トレッド前/後 1,584mm x 1,602mm
エンジン▶︎直列4気筒VTECターボ
     1,996cc  86.0 mm x 85.9 mm - 235kW(320ps)/6,500rpm 400Nm/2,500-4,500rpm 
駆動方式▶︎FF  6段MT
懸架装置▶︎前:デュアルアクシスストラット
    ▶︎後:マルチリンク
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッド・ディスク 後:ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ ▶︎前:245/30 ZR20 後:245/30 ZR20
燃料容量▶︎46L 車両重量▶︎1,420kg 最高速度▶︎271km/h 0-100km/h加速▶︎5.8秒
燃 費 ▶︎15.6km/L(欧州複合基準) 
価 格 ▶︎30,995ポンド(イギリス仕様車)

※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(関連リンク)をご覧ください

 

ライバル

ルノー メガーヌ RS 265

ルノー メガーヌ RS 265

ホンダ シビック タイプR(FK8)のライバルとしては、ルノー メガーヌ RSの名前が真っ先に挙がります。メガーヌRS、それを開発したルノー・スポールの開発陣営は、ホンダ自身が最大のライバルとして言及することも少なくありません。

もっともメガーヌは2015年から複数年かけて新型モデルへの移行期間に入っています。この締めくくりとなるメガーヌ4 RSは2017年中に登場、5ドアハッチバックモデルをベースに新型エンジンを搭載し、FK8同様320psの出力を持つのではと噂されています。FK8のライバルの真打ち登場までは、2017年8月現在は今しばらく待つ必要がありそうです。

 

バイヤーズガイド

2010年代、かつてのスーパーカーに比肩するようなスペックを持つCセグメントのホットハッチは”メガハッチ”と呼ばれるようになりました。一方でその強大な出力を加速と操舵の両方を前輪が担わなければならない前輪駆動車で実現するには容易ならざるものがあり、4WDを採用するメガハッチも増えています。

その中でシビックは頑なに”最速のFF”であらんとすることを目指しており、最速のFFを求める方にとっては2017年現在は唯一無二の選択肢となっています。一方で余裕のあるボディサイズと、それが寄与するゆとりある居住空間・広大なラゲッジスペースなど、単に速いだけではなく使い勝手の良いホットハッチを求める方も満足できるモデルとなっています。

ホンダ シビック タイプR FK8

ホンダ シビック タイプR FK8

 

シビック タイプR FK8の日本仕様について

抽選販売750台の枠に対して10倍の募集があったとも言われるFK2に対して、FK8は通常のカタログモデルとして設定されました。その日本への割当台数は5年分4,100台で、FK2はもちろん最終的に3,510台が販売されたFN2をも上回ります。

もっとも、これは日本国内のタイプR需要を完全に満たすことは出来ず、供給不足である面は否めません。FN2と同時期に日本国内で生産・販売された4ドアセダンボディを纏うFD2は、14,000台以上が生産されています。

実際にFK8は発表早々の2017年6月に2018年3月までの納車が可能な初回受付分1,500台の予約が満杯に、その後2017年8月までの間に5年分4,100台が事実上の完売状態になってしまったと言われています。FK8の新車は既に入手困難な存在となってしまっています。

 

生産国イギリス仕様の並行輸入という選択肢

日本仕様に対して生産国であるイギリスでのFK8の入手性は良好です。為替レートや欧州での物価水準等により、イギリス仕様のFK8を輸入した場合、購入費用の面では日本仕様に対して不利になりますが、一方でイギリス仕様は価格を日本仕様に対して幾つかのアドバンテージがあります。

最大の差異は安全装備。日本仕様にもサイドエアバッグやカーテンエアバッグは装備されていますが、イギリス仕様では追突被害を軽減する自動ブレーキや前車追従式のアダプティブ・クルーズ・コントロール、レーンキープ・アシスト(操舵補正)やレーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警報)が搭載されており、万一の事故回避はもちろん、ロングドライブでの快適性や疲労軽減で有利です。

カラーバリエーションも赤、白、青、黒と4色の日本仕様に対して、ポリッシュド・メタル・メタリック、ソニック・グレー・パールと呼ばれる2色のグレー系の色を含む6色がイギリス仕様では設定されています。特にポリッシュド・メタル・メタリックはその金属的な質感が魅力的なカラーリングで、2016年にパリで発表されたコンセプトモデルが纏っていたのもこの色でした。

他にもイギリス仕様では日本仕様のような180km/hのリミッターがない点(代わりにドライバーが任意の速度にリミッターを設定できる機能が追加されています)や、イギリスにはオートエアコンがデュアルゾーンになり、パーキングセンサーが搭載されるなど更に装備が充実した上級グレード「GT」の設定もある点も注目です。

このようなイギリス仕様も並行輸入(逆輸入)を行えば日本で所有することができます。

※逆輸入は本来日本で生産され海外に輸出された車体がもう一度日本に輸入されるケースを指しますが、自動車専門ではないマスメディアなどでは海外生産の日本車を輸入する場合、正規輸入/並行輸入の別を問わず逆輸入と表記されています。

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※本記事は2017年9月25日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。

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