イラン語で「遊牧民」という名を持つ 日産 キャシュカイ(NISSAN QASHQAI)は、欧州日産が製造・販売しているクロスオーバーSUVです。日本市場への導入は見送られていますが、コンパクトで扱いやすいサイズは日本の道路事情でも使いやすいものです。
今回は日産 キャシュカイを解説、並行輸入の情報についても掲載します。
この記事の目次
モデルの概要
初代の日産 キャシュカイは、コンパクトなボディーサイズと空力特性まで考慮された特徴あるデザインで、欧州で大ヒットとなりました。日本ではデュアリスと名前を変え、当初はイギリスのサンダーランド工場で生産されたものが、後に欧州での人気による品薄状態から日産自動車九州で生産されたものが販売され、やはりヒット作となりました。
2013年に発表された2代目の日産 キャシュカイは、ルノー日産の最新のモジュール設計であるCMFプラットフォームを採用、エクストレイル(北米名ローグ)とは兄弟車になり、市場によって棲み分けられています。2017年に行われたマイナーチェンジでは、フロントのVモーショングリルが大型化され、グレード構成も変更されました。
ハイライト
エクステリア
マイナーチェンジでアグレッシブな表情に
キャシュカイのフロントマスクは、日本市場に導入されているエクストレイルと基本的に同じデザインですが、ヘッドライトの形状など細部が異なります。SUVらしさと優雅さを兼ね備えた2代目キャシュカイのエクステリアは、欧州で好感を持って受け入れられています。2017年に行われたマイナーチェンジにより、顔つきがアグレッシブな印象に変わりました。
ボディサイズはエクストレイルと比べると、全長が約30cm、ホイールベースが約10cm短縮され、また全高も10cm低くなっています。またリアコンビランプとバンパーの独自の形状が キャシュカイに個性を与えています。
インテリア
初代より質感を向上させレザーシートも用意
日本で販売されているエクストレイルと基本的に共通のデザインのインテリアは、黒を基調とした落ち着いた雰囲気で、初代に比べて高級感や機能性が増しています。トリムはブラックのファブリックが基本ですが、上級グレードではプラムカラーのナッパレザーシートなども用意されます。
ラゲッジスペースの容量は通常時で430L、6:4分割可倒式リアシートを倒せば1,598Lまで広がります。日本仕様のエクストレイル(5人乗り)は通常時で565Lとさらに広いものの、キャシュカイも日常使いには十分以上のスペースを確保しています。
パワートレイン
エクストレイルより少排気量のラインアップ
キャシュカイには直列4気筒のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが2種類ずつ用意されています。
DIG-Tと呼ばれるガソリン直噴ターボは、ルノーと日産が共同開発した1.2Lの115PS(DIG-T115)と1.6Lの163PS(DIG-T163)の2種類です。前者はルノーが主に開発を担当したHR12DDT型エンジンで、ルノー カングーやルノー クリオ(日本名ルーテシア)に搭載されているのと基本的に同じです。後者は日産が主に開発を担当したMR16DDT型エンジンで、日産 ジュークやルノー クリオ RS(日本名ルーテシアRS)にも搭載されています。
dCiと呼ばれるディーゼル直噴ターボは、ルノー製の1.5Lの110PS(dCi110)と1.6Lの130PS(dCi130)の2種類。前者はK9K型エンジンでルノー クリオやルノー カングー、日産の欧州仕様の各車種、メルセデス・ベンツのA/B/CLAクラスにも搭載されています。後者はR9M型エンジンでルノー セニック、ルノー メガーヌ、ルノー トラフィック、ルノー エスパスなど上級セグメントで主に採用されているものです。キャシュカイにはシングルターボの最も出力が小さなものが採用されています。
トランスミッションはすべてのエンジンと駆動方式で6MTが設定されており、DIG-T115とdCi130ではエクストロニックと呼ばれるジヤトコ製のCVTを選択できます。
燃費は、ガソリンエンジンの場合、最もパワフルなDIG-T163(1.6L)で16.7km/L、1.2リッターのDIG-T115で17.8-17.2km/Lとなかなかの低燃費。ディーゼルは更に燃費が良く、dCi 110(1.5L)で26.3-25km/L、dCi130(1.6L)で22.7-19.6km/Lとなっています。
サスペンション
オンロードを重視したセッティング
キャシュカイの駆動方式はFFがメインです(4WDはdCi130のみで選択が可能)。このことからもわかるように、キャシュカイは舗装路主体での利用を想定されています。
サスペンション形式は、フロント=マクファーソン・ストラット、リア=トーションビームです。路面からの振動や揺すられ感を抑制する、日産独自のダブルピストンショックアブソーバーを採用し、乗員の快適性を向上させています。
参考スペック
日産 キャシュカイ N-CONNECTA DIG-T 115 (XTRONIC – AUTOMATIC)
寸 法 ▶︎全長×全幅×全高=4,394× 1,806 × 1590 mm
ホイールベース:2,645mm トレッド前/後 1575mm / 1575mm
エンジン▶︎水冷 直列4気筒 直噴ターボ
1,197cc - mm x – mm - :- 115ps(85kW)/5,200rpm 16.8kgm(165Nm)/1,750rpm
駆動方式▶︎FF CVT
懸架装置▶︎前:マクファーソン・ストラット
▶︎後:トーションビーム
ブレーキ▶︎前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤ ▶︎前:215/55R18 後:215/55R18
燃料容量▶︎55L 車両重量▶︎1,483kg 最高速度▶︎ 173 km/h 0-100km/h加速▶︎12.9秒
燃 費 ▶︎17.8km/L(欧州複合基準)-m/L(JC08モード日本仕様参考値)
価 格 ▶︎25,255ポンド(イギリス仕様車)
※その他の仕様のスペック詳細はカタログ情報(リンク)をご覧ください
ライバルモデル
日産 キャシュカイと同じポジションにあるモデルとしては、欧州ではフォード クーガ、シュコダ イエティ、マツダ CX-5、フォルクスワーゲン ティグアンなどが挙げられます。また、同じグループのルノーは、キャシュカイの兄弟車としてカジャールをラインアップしています。
この中で日産 キャシュカイは、ガソリンエンジンのフィーリングが良いと評価されています。オンロードを重視してクロスオーバーSUVの市場を開拓したキャシュカイは、初代同様に高い人気を保っています。
バイヤーズガイド
キャシュカイは、下から順にVISIA、ACENTA、N-CONNECTA、TEKNA、TEKNA+の5グレードが設定されています。
N-CONNECTA以上でハイビームアシスト、レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警報)、エマージェンシーブレーキ等の安全装備と、7インチタッチスクリーンモニター、インテリジェントアラウンドビューモニターが装備されます。TEKNAではブラインドスポット警告や、自動駐車システムのパーキングアシスト、LEDヘッドライトなどの先進装備が装着され、最上級グレードのTEKNA+ではパノラミックガラスルーフやブラックナッパレザーインテリアが標準装備となります。
おすすめグレードは装備と価格のバランスが取れたN-CONNECTA、エンジンはMTで乗られるならばパワフルな1.6LガソリンのDIG-T163を、2ペダルであれば経済的な1.2LガソリンのDIG-T115が良さそうです。走行距離が多い場合は、ディーゼルエンジンもおすすめします。
2017年現在の日産 キャシュカイの日本仕様と今後の導入予想
先代モデルは日本市場でもデュアリスとして販売されていましたが、現在はエクストレイルとキャシュカイを市場によって棲み分けている状況であり、またエンジンも欧州を想定したラインナップとなっていることから、再び導入される可能性は残念ながら低いと思われます。
並行輸入という選択肢
日本市場に正規輸入されていない組み合わせでも、並行輸入を行えば日本で所有できます。
一例としてコアカーズを運営する並行輸入者販売店のYMワークスでは、最新の為替レートを反映した日産 キャシュカイ N-CONNECTA DIG-T 115 (XTRONIC – AUTOMATIC)の乗り出し価格を案内しています。下記表では最新の為替レートに基づいた価格を表示しています。
現在、英国内のグレード整理・価格改定に伴う調整作業中です。日本国内での乗り出し価格の目安はお問い合せ下さい。
※国内乗り出し価格目安は、ご覧の時点での為替レートにて算出しております。 金額が表示されない場合は、しばらく経ってから再度アクセスをお願いします。
また並行輸入に関しては、関連記事も併せてご覧ください。
車両詳細画像ギャラリー
関連リンク
カタログダウンロードページ
- 日産 英国 キャシュカイ カタログダウンロード (NISSAN UK QASHQAI BROCHURE)
現地法人公式サイト・コンフィギュレーター
- 日産 英国 キャシュカイ オフィシャルサイト(NISSAN UK QASHQAI OFFICIAL)
- 日産 英国 キャシュカイ コンフィグレーター(NISSAN UK QASHQAI CONFIGURATOR)
※本記事は2017年8月29日時点の情報を元に作成しております。最新の情報に関しては直接ご連絡にてご確認ください。また、記載情報の誤りがある場合はお知らせください。